札幌交響楽団第569回定期演奏会(2014年5月)

北海道が生んだ偉大な作曲家の伊福部昭の100歳の誕生日-5月31日ーを記念してのコンサート

2014年5月31日(土) 14:00開演  札幌コンサートホール大ホール

指揮/高関 健,  ヴァイオリン独奏/加藤 知子、   管弦楽/札幌交響楽団

         ~伊福部昭 生誕100年記念
日本狂詩曲 (Japanese Rhapsody)(1935)
ヴァイオリン協奏曲第2番 (Concerto No.2 for Violin and Orchestra)(1978)
土俗的三連画 (Triptique Aborigene)(1937)
シンフォニア・タプカーラ (Sinfonia Tapkaara)(1954, revised 1979)

伊福部 昭 Akira Ifukube(1914-2006)は釧路生まれ。札幌第二中学(現・札幌西高校)、北海道帝国大学農学部を卒業し、北海道庁厚岸森林事務所林務官を経て、戦後は作曲活動に入った。東京音楽学校(現・東京芸大)講師を務めながら、多彩な分野に亘って名曲を生み出した。映画「ゴジラ」を始め数々の映画音楽の作曲家としても名高い。
09年1月札響定期で横山幸雄が彼の作品《ピアノと管弦楽のための「リトミカ・オスティナータ」》を演奏した。

彼はシンプルなモチーフを執拗な反復を用いて、リズムを重視する技法が特徴のようである。前回の横山のピアノ演奏だけでは良く解らなかったが、今回の4作品を通して伊福部の意図した音楽の一部が解ったような気がした。

「日本狂詩曲」は日本よりも欧米で高く評価され、シベリウスが絶賛し、ラヴェルも楽譜を購入したと言う話があるらしい。ヴィオラ独奏が奏でる哀調帯びたメロディに始まる曲は印象的であった。打楽器が多用されて、日本音楽独特の雰囲気が醸し出される。3管編成で打楽器奏者9名の活躍が頼もしかった。管弦楽器より打楽器をより重視した曲を意図した明確な作品。打楽器奏者は思う存分に楽器を鳴らせる祭りの雰囲気を楽しんだのではないだろうか。

「ヴァイオリン協奏曲第2番」は何処となく幽玄なヴァイオリン独奏で始まり、土着民のエネルギー溢れる生き様が活力ある技法で表現された。独奏ヴァイオリンの幅のある生気溢れる表現はオーケストラの力強い雄大な表情に拮抗して見事であった。今演奏会が札響初演。
加藤知子(Tomoko Kato)は1957年、東京生まれの実力派ヴァイオリニスト。76年、桐朋学園大学入学。78年、日本音楽コンクール第1位。80年、タングルウッド音楽祭、アスペン音楽祭、マールボロ音楽祭に出演し、ルドルフ・ゼルキンの指導を受ける。81年から2年間、ジュリアード音楽院でドロシー・ディレイに師事。82年、チャイコフスキー国際コンクールで第2位に入賞後、国際的に活躍。

私が初めて聴いた加藤のコンサートは92年札幌市教育文化会館大ホールで〈加藤知子&小山実稚恵デュオ・リサイタル〉。93年旧北海道厚生年金会館で〈読売日響、小林研一郎と共演〉。その時以来、今回は20数年ぶりで3回目になる。ただイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全6曲は彼女のCDを所有していて.偶々耳にする。
今日の彼女の演奏はさすが経験に裏打ちされたアーテイストならではの演奏であったと思う感を深くした。

前作「日本狂詩曲」の大編成とは対照的な14人の独奏者から成る14人編成の室内オーケストラ。第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス各1の弦5名、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット各1の木管4名、トランペット、ホルン各1の金管2名、テインパニー1名、ピアノ1名。(金管が多分もう1名)
民族の特性が各楽器の特徴を通して繊細に表現され、明らかにアイヌの旋律が現れ、日本民謡の楽想が巧みに取り入れられて優れた曲と言える。
首席奏者ぞろいの編成で、まとまりも迫力もあって、個人的には最高レヴェルの演奏に思えて、曲の内容も面白かった。子供も楽しめそうな曲で、自分たちで演奏したくなる曲。

「シンフォニア・タプカーラ」は彼の晩年の大作。伊福部は教育者としても多くの教え子の中から芥川也寸志、黛敏郎、矢代昭雄、松村禎三等多くの作曲家を育て上げた。
曲目解説によると、「タプカーラ」とは「立って踊る」と言う意味で、両足を踏み鳴らすアイヌの野趣に富んだ踊りのことだそうである。
この曲で伊福部はそのリズムを活用して、アイヌの人々への共感を表したと言う。全曲は3楽章構成で彼の音楽の集大成になっているかも知れない。ハープ、フルートによる心温まる静謐な音楽を始め、抒情的なメロディも奏でられるが、打楽器が大活躍して活力に満ちた力強い音楽で終わる。

今日の4曲を合わせて聴くと「伊福部昭」の目指した音楽の一端が判った気がした。聴き終わるまでこんな気持ちになるとは予想していなかった。現代曲で漠然とした感じの音楽かと想像していたのが楽しい愉快な気持ちにさえなったのである。
















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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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