パスカル・ロジェ ピアノリサイタル

〈Kitaraワールドソリストシリーズ〉

2014年5月22日(木) 19:00開演 札幌コンサートホール Kitara 小ホール

〈プログラム〉
 ドビュッシー: ベルガマスク組曲
 ラヴェル: ソナティナ
 プーランク: ナゼールの夜会
 サティ: グノシエンヌ 第3番、第5番 
 ドビュッシー: 前奏曲集 第1集より
           (帆、 野を渡る風、 亜麻色の髪の乙女、 さえぎられたセレナ―ド、
            沈める寺、吟遊詩人)
        : 2つのアラベスク、  喜びの島

パスカル・ロジェ(Pascal Roge)は1951年、パリ生まれ。62年、11歳でオーケストラと共演、同年パリ高等音楽院に入学。67年、ジョルジュ・エネスコ国際コンクール入賞。69年、ロンドンとパリで正式デビュー。71年、ロン・ティボー国際コンクールに優勝して国際的な活動を始めた。75年のラヴェル生誕100年には世界各国でラヴェル・リサイタルを行った。世界の主要なオーケストラと共演して、リサイタルでも世界を駆け巡る。77年初来日以来たびたび日本を訪れているが、今回がKitara初登場。

ドビュッシー(1862-1918)の《ベルガマス組曲》はヴェルレーヌの詩にインスピレーションを得てピアノで表現したとされる。「前奏曲」、「メヌエット」、「月の光」、「パスピエ」の4曲から成る。「月の光」は彼のピアノ曲の中でも最も有名な曲。月の光輝く様子が美しく描写された。

ラヴェル(1875-1937)の「ソナティネ」は他のピアノ曲と比べて演奏機会が多くないのか、コンサートで聴くのは初めのような気がする。1905年に作曲された3楽章から成る古典的な指向の作品。

プーランク(1899-1963)は20世紀前半に活躍した〈フランス6人組の一人〉ぐらいの知識しかなかった。最近プーランクを得意とするガブリエル・タッキーノのCDを購入していたので、「ナゼルの夜会」は作品名だけは記憶にあった。一度、耳にしたのだが、余り覚えていなかった。1936年の作品。曲は前奏曲と8つの変奏曲、カデンツァとフィナーレから成る。変奏曲には機智に富んだタイトルが付いていて夜会の思い出が多彩に描かれていた。

50分余りの演奏を一気に弾き終えた。 コンサートの始めに“演奏者の希望で拍手は前半と後半のプログラムの終了時にしてください”とのアナウンスが予めなされていた。前半終了時まで満席状態の客席から咳1つない状況でコンサートが静かに進行した。前半終了後に万雷の拍手を受け、ピアニストも思い通りに集中した演奏ができて満足げに見えた。

サティ(1866-1925)の曲で「ジムノぺディ」だけは20年以上も前から親しんでいるが、他の作品や作曲家本人のことは詳しく知らないままだった。ラヴェルとほぼ同時代の作曲家と気付いて驚いた。まさか彼が、ドビュッシーやラヴェルの先駆者とは知らず、むしろ現代音楽の先駆者と誤解していた。「グノシエンヌ」は初めて聴いたが、「ジムノぺディ」に雰囲気が似ていると思った。

ドビュッシーの「前奏曲集 第1集」全12曲より6曲。「亜麻色の髪の乙女」は最も有名で親しまれている曲の一つ。スコットランドの乙女の肖像が静かで表情豊かに演奏された。このような耳慣れた曲を聴くと心も一段と癒された気分になる。曲の前後に拍手も含めて、雑音がなく集中できて余韻を楽しめるのも素晴らしい。
「沈める寺」は人々の不信仰のために海中に沈んだ大寺院が晴れた朝にその姿を現すと言う伝説による作品。24曲からなる前奏曲集の中で最も長い曲でスケールの大きな作品。

ドビュッシーの《2つのアラベスク》は彼の初期のピアノ作品。「アラベスク」とは「アラビア風」とか「唐草模様」という意味。この作品も親しまれていて耳にすることが多い。
「喜びの島」はフランスの画家の「シテール島への船出」にインスピレーションを得て1904年に作曲された。高度な技巧が必要な曲で、舞曲のリズムなどを用いてスケールの大きな楽想で華やかな曲に仕上がっている。

ドビュッシーに始まりドビュッシーで締めるプログラミング。フランス音楽の粋を見事に披露。心が浮き立つ楽しい気分に浸れるコンサートは久しぶりである。

今夜はパスカル・ロジェの音楽を聴きに来た聴衆が殆ど全員と思えるくらいコンサートへの集中力が高かったと思う。
鳴り止まぬ拍手に応えてアンコール曲も予定より1曲増えて3曲になった感じ。
〈アンコール曲〉 プーランク:15の即興曲より第15番 「エディットピアフをたたえて」
           サティ:3つのジムノぺディより第1番、 グノシエンヌ第2番

地下鉄駅へ向かう中島公園の中を歩いていると、「フランス音楽を聴いたら何だか幸せな気分になった」という若い男女の話し声が聞こえた。コンサートの帰り道で、偶にこんな感想を聞くと人との一体感が感じられて嬉しくなるものである。











         



スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR