ゴールデンウイークの音楽祭 Kitara“あ・ら・かると” 2014

5月3日~5日の3日間に3歳以上の小さな子ども楽しめるミニコンサート、親子や家族で気軽に楽しめるコンサートなど9つの演奏会が開催された。期間中にオルガン演奏体験、触って実際に音を出してみる楽器博物館、オリジナル楽器の制作などの子どもが積極的に参加できるイヴェントも開かれた。休日ならではの催しが午前から夕方まで開かれて、札幌コンサートホールKitaraは普段では味わえない御祭りの雰囲気に包まれた。

今年は3つのコンサートを聴いた。

5月3日(土・祝) 15:00開演 Kitara 大ホール

もっとオーケストラ
〈プログラム〉  ベートーヴェン:交響曲第1番~第9番より第1楽章
  出演  指揮/大植英次  管弦楽/札幌交響楽団

ベートーヴェンの全交響曲の第1楽章だけの演奏は大変ユニークな試みである。子どもたちに、もっとオーケストラに親しんでもらおうと考えたアイディアであろうか。勿論、大人も対象に入れているであろう。世界で活躍している情熱のマエストロ大植英次は昨年の“あ・ら・かると”に続いての登場である。昨年は思いのほか聴衆が少なくて(約5割)残念であったが、今年も札幌に登場してくれたとは嬉しい限りである。幸いなことに、今年は9割以上の聴衆が客席を埋めた。

ステージの前方中央にピアノが置かれていてチョット不思議な感じがした。結果的には交響曲第1番と第2番で指揮者が弾き振りをしたのである。当時、ベートーヴェンはハープシコード、今で言うフォルテ・ピアノを使って2曲を作ったらしい。大植は早口で語りながら相も変らぬエネルギーに満ち溢れた姿で、コンサートを展開した。(マイクのせいか、自分の耳が悪いのか、話の内容がはっきりと解らない箇所が多かったのが残念だったが、、、)
第3番以降はピアノを使わず、ハイドンやモーツァルトの影響を脱してベートーヴェン独特の曲を作り上げたことは良く知られている。ベートーヴェンの交響曲にピアノが部分的にでも使われていたことは全く知らなかった。

ステージでコントラバス奏者が中央の最後列に並んでいた楽器配置が目を引いた。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが対抗配置、第1の横にチェロ、ヴィオラが第2の横、ティンパニが上手。とにかく、コントラバスが最後部一列に並んだ配置は初めて見た。オーケストラのサウンドにどのような影響を及ぼしたのかは判らなかった。

ベートーヴェンのドラマティックな人生をたどる交響曲の第1楽章だけの演奏会は斬新なプログラムではあったが、何となく充実感が湧かなかった。今度は保守的ではあっても本格的なプログラムで大植英次指揮のコンサートを聴いてみたい。


5月4日(日・祝) 13:00~13:45 Kitara 小ホール

45分のミニコンサート ピアノ&バリトン
〈プログラム〉 ドビュッシー:《ベルガマスク組曲》より「月の光」
         シューマン(リスト編曲):献呈
         ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」、  他   ピアノ/山本真平
         
         ジョルダーニ:カロ・ミオ・ベン、 中田喜直:みみずく、 湯山昭:電話
         コルンコルド:歌劇《死の都》より「ピエロの唄」
         ビゼー:歌劇《カルメン》より「闘牛士の歌」、 他  バリトン/下司貴大
                     
今日の出演者とは彼らのPMF参加が切っ掛けで2012年にFacebookで友達になった。フェイスブックでは数人としかやり取りをしなかったがその折の2人である。私は12年9月頃からブログを中心にしてから、FBはしなくなった。彼らの活躍の様子は耳にしている。去る2月にも下司君のバリトンコンサートを聴いて感動したばかり。
山本君は2011、12年のPMFピアニスト。当時、PMF教授陣のピアノ伴奏も担当した実力派。ドビュッシーの心にしみる曲、ショパンの華やかで力強い「英雄」を見事に弾きわけた。ピアノを習っている人は特に印象に残って親しみを感じたであろう。曲ごとに簡潔明瞭でよどみない解説も良かった。今日は久しぶりに彼の活躍の姿を見れて懐かしかった。(彼とは直接に会ったことは無い。)

下司君は2月、中田喜直記念コンクールで大賞を受賞している。その時のコンクールでピアノ伴奏をして伴奏賞を受賞したのが本日のピアノ伴奏者であった鎌倉亮太。素人が聴いても中田喜直作曲「みみずく」はピアノ作品としても難曲と判る。コンクール直後におけるミニコンサートでも素晴らしい歌声を満喫したが、KItara小ホールでの音響はやはり違う。彼自身もこの3ヶ月で益々声に磨きをかけ、経験を積み重ねている。道内期待のバリトンの逸材が伸びやかで艶のある歌声をKitara小ホールに響かせた。
               
札幌出身の若い演奏家が活躍できる場が増えるのは好ましい。特に、何かの繋がりがあって応援できるアーティストがいるのは嬉しい。今後も彼らの活躍を祈りたい。


5月5日(月・祝) 16:00開演 Kitara 小ホール

室内楽コンサート 
安永徹&市野あゆみ 室内楽シリーズ第4回 ~札響メンバーとともに
〈プログラム〉
 ブラームス:ピアノ三重奏曲 第1番 ロ長調 作品8(1891年改訂版)
        (ピアノ/市野あゆみ、ヴァイオリン/安永徹、チェロ/石川祐支)
 ミヨー:“世界の創造” ピアノ五重奏版
      (ピアノ/市野、 ヴァイオリン/安永、伊藤亮太郎、 ヴィオラ/廣狩亮、
       コントラバス/飯田啓典)
 
 ワインガルトナー:ピアノ六重奏曲 ホ短調 作品33
             (ピアノ/市野、ヴァイオリン/安永、伊藤、ヴィオラ/廣狩、
              チェロ/石川、コントラバス/飯田)

札幌コンサートホールで2011年から開催してきた安永徹と市野あゆみ、札幌交響楽団メンバーによる室内楽シリーズが遂に最終章を迎えた。安永徹は77年にベルリン・フィルに入団、83-09年まで同楽団の第1コンサート・マスターを務めて厚い人望でも知られた。結果的に同じ日本人の樫本大進が後を継いだ。旭川にも居を構えて、北海道の音楽レヴェルの向上に果たした功績は大である。

チャイコフスキーのピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の想い出」はCDを持っていて偶々聴くが、ブラームス(1833-97)のピアノ三重奏曲は聴いたことがない。この「第1番」は1854年に作曲されたが、晩年の90年に大規模改訂を行った。ブラームス自身がピアノを弾いて初演をしているだけあって、ピアノの活躍が目立つ作品。石川のチェロが奏でる美音が素晴らしかった。彼の楽器から紡がれる旋律にいつも感動する。とても美しい作品だと思った。

ミヨー(1892-1974)はフランスの作曲家で、彼の名は聞いたことがあるだけで、曲を聴くのは初めてかも知れない。アメリカ滞在中にジャズ音楽に影響を受けた彼はこの作品を1922年に書いた。翌年、パリのシャンゼリゼ劇場で初演された。原作は小編成のオーケストラのために書かれた全5楽章から成る作品であるが、後にピアノと弦楽四重奏用に編曲された。フランス特有の色彩感のある音楽にジャズの特色が生かされていて、とても面白かった。この曲でもピアノの市野の活躍が光っていた。

ワインガルトナー(1863-1942)は聞いたことがある名だと思っていたら、マーラーの後継者としてウィ―ン宮廷歌劇場の指揮者を務めていた人物であった。現在のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の人気を築いた指揮者でもある。20世紀初頭までは作曲家が同時に演奏家でもあるのは当たり前の状況であった。
1906年に作曲された「ピアノ六重奏曲」は珍しい楽器編成。6人の奏者が各楽器の特色を生かしたシンフォニックな響きで色彩豊かな曲になっていた。
この曲が始まったのが5時20分過ぎで、曲に対する集中力が残念ながら失われかけていた。3日間の音楽鑑賞の開演時間が違い過ぎて身体が付いていかなかったようである。居眠りするような状態にはならなかったが、結果的に何となく耳を傾けていた感じになってしまった。

最後に安永と市野が〈室内楽シリーズ〉の終了にあたって挨拶。
アンコール曲は 《シューマン:子供のための12の4手用曲集から「夕べの歌」》(ピアノ連弾曲であるが、上のパートをヴァイオリンが演奏)。

札響のメンバーにとっても、この室内楽シリーズは何事にも変え難い素晴らしい経験になったと思う。一応、シリーズとして一区切りとなったが、今後もKitara主催でこのような室内楽コンサートが継続されることを期待している。









                         




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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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