多文化共生とは何か?

札幌国際プラザ外国語ボランティアとして活動して7年目に入る。今は主として札幌時計台を訪れる来館者の対応を行なっている。公益財団法人札幌国際プラザ多文化交流部は400名ほどのボランティア登録者が海外からの訪問客のニーズに応ずるべく様々な活動を行う窓口になっている。

昨日(2014年4月21日)、北海道国際交流・協力総合センター主催で札幌国際プラザが共催する「多文化共生講演会」が〈かでる2・7〉を会場にして開かれて参加してきた。講演者は多文化共生センター大阪の代表理事の田村太郎。田村氏は1995年阪神大震災直後に外国人被災者支援の活動を行って、多文化共生センターを立ち上げ、現在、センターは東京、京都、大阪、兵庫、広島の全国5カ所で活動展開。彼は甲南女子大学・大阪市立大学大学院・関西学院大学非常勤講師も務め、復興庁上席政策調査官としても活躍している。

「多文化共生」という言葉はボランティア活動を始めた時から、グループ活動が行われていて世界各地の留学生との交流会に何度か参加して彼らの文化を知る機会を得てきた。グループのリーダーたちは、留学生や家族の支援だけではなく、彼らの子どたちの学習支援も行って活動している。

表面的なことしか知識が無かったが、今回の講演会で多文化共生について認識を深めることができた。

「多文化」は英語で形容詞にして“Multicultural”(*multiは<多い>の意味)と訳されるが、「多文化共生」は“Intercultural”。(*interは<~の間>という意味を持つ接頭語なので“international”「国家間の、国際的な」という語からも容易に類推できる。)
つまり、「多文化共生」とは、いろいろな文化を持った人々と共に働いて暮らしていくこと

日本は少子化・高齢化社会になって人口が減少して、製造業や建設業だけでなく医療介護の分野でも外国人を必要としている。
スウェーデン、ノルウェーなどの北欧諸国は高福祉・高負担の社会として知られている。1970年代にベトナム人やアフリカ人を移民として受け入れてきた移民政策が今日の国家の基盤を作り上げてきたことが、日本ではメディアを通しても余り報じられていない。フランスはアラブ民族、ドイツはトルコ人を移民として受け入れてきたことは比較的に良く知られてはいる。彼らはアジア人も受け入れてきたが、今やEU地域内の労働者だけを受け入れているようである。
日本だけでなく韓国や中国も少子化・高齢化社会になって、「多文化共生」は今や世界的潮流となってきているのを、昨日の講演会を通して改めて認識した。

オランダ、フランス、ドイツなどでは移民教育の法律が2006年から施行されている。移民を必要とする対策が各方面で取られていることが、具体的に講演で語られた。日本でも政府は取り組み始めているようであるが、国民的な話題になっていない。フィリピン人やインドネシア人の看護師の問題、製造業に従事する日系ブラジル人や中国人の話題が偶に報じられるだけである。
北欧では移民政策によって女性の就業率が上昇し、世帯当たりの所得も上昇して、出生率も40年前の1.5から1.9に上がっている。これは大変、興味深い数字である。

講演のポイントは外国人を観光客として迎えるだけでなく、外国人も暮らしやすい地域づくりを目指すことであった。
外国人登録をして日本に在住していた外国人は、2012年7月から住民基本台帳法に基づいて住民登録するように変わった。彼らの日本滞在の長期化で「出稼ぎ」から「永住」へ指向が変化して、子どもの教育・就労、高齢者福祉も課題として顕在化してきている。
現在、在留外国人数は約210万人。永住資格者(10年以上の定住者)は100万人を越えて、年々増加傾向にある。外国人に対する法制度の不備や社会資源の不足が上げられるが、市民の認識が変っていないことが大きな課題ではないかと思う。
訪日外国人の数が1千万人を越えて嬉しいニュースには違いないが、今回の講演会は多文化共生を目指して活動を見直してみる良い機会になった。

資料を充分に用意してよどみなく講演する田村氏は学生相手にも講義する機会が多くて慣れているようであった。内容が極めて明晰で、時折ダジャレを入れながら巧みな話術で90分余りの講演を見事に展開した。久しぶりに聴いた長時間の講演はあっという間に時間が過ぎた。充実感の味わえるとても有意義な講演であった。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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