札幌交響楽団第568回定期演奏会(2014.4)

2014ー2015シーズンの幕開け。今シーズンの終了後に尾高忠明音楽監督は長年務めた札幌交響楽団の任を退き、後進に道を譲ることが3月に発表された。

シーズン開幕の4月の定期演奏会の指揮者は2008年から札幌交響楽団首席客演指揮者ラドミル・エリシュカに固定されている。ドヴォルジャークやヤナーチェクのチェコ音楽シリーズが一段落ついて、今シーズンから新しいプログラム構成になるのも新鮮である。

2014年4月12日(土) 14:00開演(今シーズンから土曜日の演奏会開始時間が1時間早まった) 
 〈プログラム〉
  ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」op.9
  ヴォジーシェク:交響曲二長調 op.24
  チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調op.74「悲愴」
 
ベルリオーズ(1803-69)はロマンに溢れる標題音楽を多く作曲した。この序曲は彼のオペラ作品の旋律を使って、1844年に作曲された。彼の14曲ほどの序曲のうちで、最も多く演奏されて親しまれている。
イングリッシュ・ホルンが奏でる甘美なメロディが低音域弦楽器を伴奏にして歌われる。その後カーニヴァルの場面で威勢よく賑やかな音楽が展開される。生き生きとした舞曲で絢爛豪華なフィナーレ。

ヴォジーシェク(1791-1825)はチェコの作曲家だそうだが、初めて聞く名前である。シューベルトと同時代の作曲家のようだが、曲を聴いてみると何となくベートーヴェンを目標にして音楽を志した印象を受けた。明るくて活発な第1楽章。ボヘミアの田園の雰囲気が感じられる第2楽章。ドラマティックな第3楽章に続いて、第4楽章は力強いフィナーレ。
一度聴いてみただけであるが印象は悪くない。日本では余り知られていない作曲家がチェコには他にも沢山いるようである。

エリシュカはチェコの作曲家以外で今迄にもモーツァルト、ベートーヴェンやブラームスの曲も演奏してきた。今回はどんなチャイコフスキーの演奏になるのか注目された。

チャイコフスキー(1840-93)の7曲の交響曲の中で最後の作品となった「第6番」。1893年8月末に完成された曲は10月28日にチャイコフスキー自身の指揮でペテルブルグで初演。彼は9日後の11月6日にコレラのために死去。この交響曲の《悲愴》というタイトルは、初演の後でチャイコフスキーの弟の提案で「パセティック(悲愴)」の標題が付いた。
第1楽章がコントラバスの音と共にファゴットの奏でる暗い旋律で始まるのが改めて印象的。第1ヴァイオリンとチェロの甘美で哀しみを含んだテーマも心に響く。第2楽章にはロシア民謡の調べがあり、快活なようで暗い哀感が出ている。第3楽章はスケルツォと行進曲を組み合わせたような構成の楽章。熱い雰囲気を想わせるが、必ずしも快活ではない。第4楽章はパセティックというタイトルに相応しく、重く打ちひしがれた絶望感に満ちたフィナーレ。

最近、第3楽章の終了時に曲が終ったと勘違いして拍手が巻き起こることがあったが、本日は演奏方法も少し違った所為もあり、札響定期演奏会ということもあって聴き慣れた曲で楽章間での拍手は無くて良かった。
エリシュカの指揮ぶりは腕の振りでオーケストラをコントロールして彼自身の目指す音楽作りが出来ているように思った。チェコの音楽紹介では非凡な力を発揮していたが、どんな作曲家の曲でも聴かせる力量を見せてくれた。彼自身も演奏終了後にガッツポーズをしていたが珍しいことであった。彼自身も満足した様子が見て取れたのである。

エリシュカは聴衆の万雷の拍手が鳴り止まずにステージに何度も登場。そのたびにオーケストラ団員に起立を求めるが楽団員もエリシュカへオーディエンスと共に拍手する回数が今迄にないくらい多かった。マエストロは自分よりオーケストラに拍手をしてほしいという仕種を何度も示した。札響の演奏にはいつも満足しているようであるが、今回は特別に感激してしている様子であった。

エリシュカは数年前と変わらない重厚でエネルギーに満ち溢れた指揮ぶりで、今後も益々活躍が期待される。11月には定期演奏会と名曲シリーズで札響に再登場する予定。札響演奏会の折に日本での他のホールでの出演機会も増えている様子で喜ばしい。

追記:札響の4月号プログラムに「尾高忠明音楽監督の10年」の連載記事で「悲愴」に関する記事が載っていた。マエストロ尾高は札響在任中にこの名曲を大切な節目に繰り返し演奏してきたと言う。(正指揮者就任の1981年、ミュージック・アドヴァイザーとして復帰したシーズンの99年の東京公演、定期演奏会の2公演化の05年、ヨーロッパ・ツア―の11年など)
札響はシベリウスを得意にしていると思っていたが、尾高音楽監督のお蔭で「悲愴」は札響の18番になっていることを認識した次第である。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
最新コメント
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR