MET ライブ ビューイング2013-14 第5作 ドヴォルザーク  ≪ルサルカ≫

今シーズンのMET Live Viewingは第1作「オフゲニー・オネーギン」、第2作「鼻」、第4作「ファルスタッフ」に続いて、今日は第5作を観てきた。ショスタコーヴィチの風刺劇である「鼻」とヴェルディの遺作の感想はツィッターでつぶやいて、ブログには書かなかった。

第5作 ≪ルサルカ≫ (RUSALKA)

ドヴォルザーク(1841-1904)の交響曲第9番「新世界より」、チェロ協奏曲などが余りにも有名で、彼がオペラ作曲家でもあったとは数年前まで知らなかった。
チェコでは歌劇「売られた花嫁」で知られるスメタナが、今日でもチェコ音楽の祖として、ドヴォルザークより国民の人気が高いことは聞いていた。チェコのオペラ界はスメタナのお蔭で芸術的に水準の高い作品が生まれるようになったと言われている。ドヴォルザークはオペラ作品を10作ほど書いたが、台本に恵まれずに海外で評判になった作品はわずかだったようである。
1900年に作曲された歌劇「ルサルカ」は「売られた花嫁」と並んで、最も人気の高いチェコ歌劇の1つと言われる。

歌劇「ルサルカ」は人間に恋をした水の精ルサルカの悲恋の物語。 全3幕。 チェコ語公演。

第1幕。ある日、森に住むルサルカは王子に恋をし、魔法使いに人間の姿に変えてもらう。人間の姿の間は声を出せないのが条件であった。さもないと王子と一緒に水底に沈むと告げられる。美しい娘になったルサルカを見た王子は彼女を城に連れ帰って結婚する。
第1幕で森の木に登って月を見ながら、ヴァイオリンとハープにのせて歌う「月に寄せる歌」が、このオペラの中で最も有名なアリア。METのオーディションの時からルサルカを歌い、このオペラでデビューしたMETのスター、ルネ・フレミングの当たり役。かなり長いアリアを叙情味あふれる歌唱力で美しく歌い上げる場面は圧巻。
王子役のピョートル・ペチャワのテノールも素晴らしかった。昨シーズンの第10作「マノン」、今シーズンの第1作「エフゲニー・オネーギン」の2つの作品でネトレプコと共演して、主役を演じて注目していた歌手。今回は一人で歌い続ける場面が多く、聴く者を惹きつけた。張りがあって艶のある高音が魅力的で素晴らしさが際立った。
 
第2幕。お祝いのパーティで口をきかないルサルカに不満を抱き、王子は外国の王女に心を寄せる。そのうち、ルサルカは水の精によって庭にある池に連れ込まれる。
ペチャワの第1幕とは違った味わいの歌唱も見事。フレミングが歌わないで振る舞う演技力も凄い。

第3幕。王子は森の湖に移されたルサルカのもとへ帰って彼女に償いをしようとするが、彼女は呪いにかけられていた。彼は彼女の呪いを取り除こうとして、彼女に口づけを求め、その胸に抱かれて死ぬ決意をする。ルサルカは最後には彼の求めに応じて、彼を抱いて口づけをし、暗い湖底へと沈んでいく。

幻想的なメルヘン・オペラ。 アンデルセンが書いた「人魚姫」のオペラ版。 
R.フレミングは美しい自然を背景に美しい姿と澄み渡った歌声を披露した。水の精の複雑な内面も見事に表現した。ペチャワの歌唱力には改めて感動した。主役2人以外の共演者の歌手陣も持ち味を発揮して好演。
チェコ語上演はMETでは珍しいようであった。チェコ語はロシア語と同じスラブ系の言語なので、ポーランド出身のペチャワにとって得意の言語であることも最高のパフォーマンスに繋がったのかも知れない。

ドヴォルザークの魅力ある美しいメロディが散りばめられた曲をドラマティックな指揮で音楽を綴ったヤニック・ネゼ=セガン。彼は1975年生まれのカナダ人で、世界で最も活躍が期待される若手指揮者の1人。12年、フィラデルフィア管の音楽監督に就任。14年6月、同団を率いて来日予定。ロッテルダム・フィルの音楽監督も兼任。
ネゼ=セガンは表情豊かなダイナミックな指揮ぶりで、オーケストラから抒情性に富むロマンティツクで親しみ易い音楽を引き出し、自然描写と結びついた幻想的な美しい響きを作り出していた。オーケストラ演奏の場面でカメラが指揮者の姿を通常より多く追っていたのは、それだけ注目度が高かったからではないかと思った。いずれにしても格好良い指揮者で、いつの日か札幌での公演を期待したい。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR