ウラディ―ミル&ヴォフカ アシュケナージ ピアノ・デュオ リサイタル

アシュケナージについて2012年のブログに書いたことがある(teruoblog687.blog.fc2.com/blog-entry-43.html)。ブログを書き初めて2ヶ月余り経った時に過去のコンサートに関する思い出として書き記した。そのころ日本語のブログが英語に翻訳されているようだったが、まともな英語に翻訳されているか不安だったので、試しに簡単な英語で書いてみた。後半部分は日本語で少し書き加えた。
その後、英語で書くと日本語の検索でブログの欄に出てきづらいこともあって、英語では書かないことにした。英語、ドイツ語などの外国語の翻訳を通してアクセスしてくる人も結構いるのだが、翻訳の有様は今では気にしない。

札幌で初めてアシュケナージの演奏を聴いたのが1992年4月11日のことであった。その時のリサイタルで弾いた曲目は「ベートーヴェン:ソナタ第31・32番」と「ムソルグスキー:展覧会の絵」。04年6月、Kitara初登場。イタリアのパドヴァ管弦楽団を引き連れて「モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番」と「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番」を弾き振りした。その時に書いてもらったサインと感激の様子を12年のブログに書き綴った。

前回のコンサートからもう10年も経ったが、記憶に新しい。2・3年前のことのように当時のことが蘇ってくる。それほど大きい感激を受けた。もう、単独でピアノを弾くことはないのかと思っていた。11年に息子と日本でのデュオ・リサイタルを開いて、今回の札幌公演が実現したが、心待ちにしていた。

≪テレビ北海道開局25周年記念≫ 
ウラディ―ミル&ヴォフカ アシュケナージ ピアノ・デュオ リサイタル

2014年3月5日(水) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

〈プログラム〉
 シューベルト:ハンガリー風ディヴェルティメント ホ短調
 ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 作品56b
 ストラヴィンスキー:春の祭典
 ボロディン(ヴォフカ・アシュケナージ編):だったん人の踊り

シューべルト(1797-1828)はピアノの4手連弾作品を書いた代表的な作曲家だったようだ。1824年、ハンガリーの貴族エステルハージ家の音楽教師を務めていた時に作曲したとされる。アンドラ―シュ・シフのCDで「ハンガリー風メロディ」は聴いているが、この「2台のピアノのための二重奏曲」は初めて聴く。3楽章から成る。ハンガリー民謡が使われているが、ブラームスのハンガリー舞曲とは違った曲のイメージ。親しみ易い、魅力的な旋律が繰り返し奏でられるが、約30分もの長い曲で、いささか単調な感じがしないでもなかった。シューベルトの作品集を見ると、ピアノ二重奏曲の作品が沢山あるのに気付いた。演奏で聴く機会がないので全く知らなかった。

ブラームス(1833-97)の時代には、連弾曲や2台ピアノ作品が盛んに書かれていて、この変奏曲は当初から2台ピアノのために書かれた作品。その後、オーケストラ版も作られた。この曲はポリーニとウィ―ン・フィルによるピアノ協奏曲で親しんでいた。
主題、第1変奏~第8変奏、終曲の10曲の構成。美しい素朴な旋律の主題が、伸びやかでゆったりとしたメロディ、哀愁漂うメロディ、メランコリックな調べなどの変化に富んだ変奏で奏でられ心地よく聴けた。

ストラヴィンスキー(1882-1971)のバレエ音楽「春の祭典」は管弦楽曲で親しむ前に、2000年に発売された、トルコの鬼才ファジル・サイの4手ピアノ版を一人で演奏したCDを手に入れて聴き始めた。ストラヴィンスキーはオーケストラ版完成後に連弾版、2台のピアノ版を書き上げたそうである。
2013年は「春の祭典」初演100年を記念してコンサートで聴く機会が数回あり、迫力あるオーケストラの圧倒的な演奏で感銘を受けた。今回は2台ピアノ版で初めて耳にした。管弦楽版ほどの迫力はないが、ピアノで管楽器・打楽器の音を出す様子が興味津々であった。ヴォフカがiPadを使用して演奏したが、譜めくりすとが大変だったのではないか。演奏も興味深かったが、思わず譜めくりの様子に目がいってしまった。
この曲も含めて全体の主旋律はウラディ―ミルが担った。写真の印象より、実物の方が親子が似ている印象が強かった。2台のピアノ版では他の様々な曲より演奏が難しいのではないかと思ったが、父子の呼吸もピッタリ合っていて、この曲の面白さを十分に味わえた。

ボロディン(1833-87)は有機化学の研究者の仕事の傍ら、作曲活動を行った。ロシア5人組の一人として知られる。「だったん人の踊り」はオペラ≪イーゴリ公≫の第2幕の曲。彼の最も有名な曲のひとつ。
この原曲でも多用されている管楽器・打楽器の音を2台のピアノが如何に表現するかに興味が持たれた。原曲でのいくつかの旋律がとても聴き慣れているので、ある意味、親しみ易かったかもしれない。

アシュケナージの演奏会を待っていた人が大勢いたことは客の入りでも窺がえた。3階の客席は売り出されなかったが、2階席がほぼ埋まり、最近のリサイタルでは珍しくP席にも客が入った。P席より、RA、LAに客が多かったのはピアニストの手元を見たかったせいかなと思った。約1500名の聴衆が父子の共演に聴き入り、後半の曲にはそれぞれブラボーの声も上がって、聴衆が皆、感激した様子が見て取れた。

アンコール2曲もデュオ。エルガー(ウラディーミル・アシュケナージ編):朝の歌。シューマン:カノンの形式による練習曲 作品56-4。

07年に、世界的なピアニストのイエルク・デムスとパウル・バドゥラ=スコダのスーパーピアノデュオのコンサートがKitaraで開かれた。その時の二重奏曲はモーツァルトの曲が1曲だけであった。
今回のように4曲すべてピアノ・デュオで客を集める演奏家は少ないかも知れない。やはりアシュケナージは偉大である。ステージで見せる人柄、親子の愛、譜めくりすとへの気遣い、聴衆への接し方。多くの人の心の中に入り込んだのはホアイエで長蛇の列をなしてサインを貰う人々の姿からも見て取れた。
 
私も2台ピアノ作品集を買い求めようかと思ったが、CD売り場は物凄く混雑していて諦めた。10年前にサインを貰っていなかったら、無理をしていただろう。
余談になるが、22年前のアシュケナージのチケット代金と今回の代金は両方ともS席1万円で同じであった。

札幌コンサートホールは1997年7月にオープンする前にアシュケナージにKitaraホール用のコンサートピアノの選定を依頼していた。彼はハンブルクで4台を選んで今日に至っている。今回はアシュケナージ自身が選定したピアノを使用したのかどうか関心がある。多分、2台とも古いものではないかと思うが、アシュケナージの感想を聞きたいものである。最近は新しいピアノを運んでリサイタルを行なっているピアニストもいると聞く。

アシュケナージ親子の全国ツアーが東京、栃木、愛知、秋田、宮城、大阪 茨城と続く。各地のアシュケナージ・ファンを満足させることは間違いない。ピアノ・デュオを通して新しい音楽の世界を切り開いてくれることを願う。




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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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