札幌交響楽団第567回定期演奏会(2014.3)

シベリウス交響曲シリーズvol.2

来年の2015年はシベリウスの生誕150年に当たる。それを記念して札幌交響楽団音楽監督尾高忠明はシベリウスの交響曲全7曲を3回に亘って演奏するプロジェクトを昨年立ち上げた。2013年の第1回は3月開催の第557回札響定期演奏会。曲目は交響詩「フィンランディア」、交響曲第1番・第3番。

2014年3月1日(土)15:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

〈今回のプログラム〉
 組曲「恋人」“Rakastava(The Lover)”-Suite op.14
 交響曲 第4番 イ短調 op.63
 交響曲 第2番 二長調 op.43

シベリウス(1865-1957)が28歳の頃に作曲した無伴奏男性合唱曲「恋人」を1911年、45歳の時に《打楽器を伴う弦楽合奏曲》に編曲した。全3曲から成る組曲。第1曲「恋人」、第2曲「恋人の小径」、第3曲「こんばんはーさようなら」。多感な青春時代を湛えた、新鮮な香りが漂う作品で親しみ易い。第3曲で大平コンマスのヴァイオリンの響きが秀逸。いつ打楽器が鳴るか見守っていたが、最後にほんの少しだけ。意外性があった。札響初演。

シベリウスの交響曲で第4番だけCDを持っていない。これまで演奏会で聴いたことも無かった。シべリウスが交響曲第3番を書き上げた時までの生涯については昨年3月のブログに書いた。1911年に作曲した第4番は今迄の交響曲とは違った新しい試みの曲となった。内容的には深みのある音楽であるが、外面的に派手さがなくて、当時の聴衆の熱狂的な反応は得られなかった。ドイツ・ロマン派やロシア国民楽派からの影響を完全に脱して独自の世界を構築した名作と評価されているが、今日でも演奏機会が少なくて人気は高くないようである。札響演奏歴は今回で4回目。
緩徐楽章からスタートして、各楽章が古典派の交響曲とは異なって輪郭が不明瞭な感じを受けた。何となく幻想的というか幽玄的な世界に引き込まれたようでもあった。チェロ首席の石川祐支の独奏が曲を引き立てた。
演奏会前にホアイエの販売コーナーで昨年演奏されたシベリウスの交響曲のCDを購入したが、今回は発売されたら直ぐ手に入れて聴き直してみたい気になった。

「第2番」は7曲の交響曲の中で一番よく演奏されて、とても親しまれている人気曲。シベリウスは1900年のパリ大博覧会にヘルシンキ・フィルと同行して自作を指揮して国際的な名声を得た。1901年には家族と一緒にイタリアに旅行して、暗くて長い冬のフィンランドから明るくて暖かい南国イタリアの地に来て新しい交響曲に取り組んだ。帰国後に曲を完成し、翌年ヘルシンキで自らの指揮で初演して大成功を収めた。
第1番と似た内容でドイツ・ロマン派の影響が強く残っているが、第1番よりフィンランド的色彩が濃い作品。交響詩「フィンランディア」に似ていて、当時のフィンランド人のロシアからの独立を望む民族意識を掻き立てる雰囲気を持った作品にもなっている。
第1楽章は力感に富んで心地よい響きを奏でる。第2楽章は交響詩風の幻想的で、ほの暗い音楽。第3楽章はスケルツォで牧歌的雰囲気が漂う曲調。休みなく始まる第4楽章は堂々とした主題と哀愁を帯びた主題が歌われて、管楽器の高らかな賛歌で圧巻のフィナーレ。

前半の曲は聴き慣れないこともあってか熱狂的な反応こそなかったが、後半の親しまれた曲で尾高の指揮は最初から最後まで聴衆を曲の世界に引き込んだ。演奏が終了すると同時に万雷の拍手が沸き起こって、ブラボーの声もあちこちから上がり、ホールには感動の輪が広がったような印象を受けた。札響演奏歴は前回の12年7月以来で、今回が49回目であった。札響が得意とする曲でもあり、北欧の空気感を醸し出すオーケストラとして位置づけされるような出来のコンサートになったのではないか。音楽監督自身も満足感を得れた演奏のようであった。
 
演奏会終了後、3月末日で退団するコントラバス首席奏者の助川龍にブーケが贈られた。仙台フィルの首席奏者として移籍するとのことである。今後の活躍を祈りたい。演奏会プログラムに彼の尊敬する先生として日本を代表するコントラバス奏者の池松宏の名が書かれていた。私自身その名を知っている音楽家であった。偶々、今日の客演奏者欄に池松宏の名を見つけた。今日の演奏会のステージ上でイケメンのコントラバス奏者を目にして誰かなと思っていた。まさかニュージーランド在住でニュージーランド交響楽団首席コントラバス奏者の人物が札響の演奏会に出演しているとは夢にも思わなかった。

*池松宏(Hiroshi Ikematsu)は1964年、ブラジル生まれ。桐朋学園大学卒業後、89年N響へ入団し、94年同楽団首席奏者。06年、N響退団。活動拠点をニュージーランドに移し、ニュージーランド響首席コントラバス奏者に就任。その間、99年、ソロ・リサイタルを開催。ソリストとして国内外のリサイタルへ数多く出演。紀尾井シンフォニエッタ東京、サイトウ・キネン・オーケストラ、水戸室内管弦楽団にも参加。文字通り日本のコントラバス奏者の第一人者。
早速、帰宅して検索して同人物と確認。幸い、《コントラバス・リサイタル 2012より》で「モンティ:チャールダシュ」、「すみれの花咲く頃」の2曲をyoutubeで鑑賞。興味関心のある人におすすめ!

ホアイエで学生時代の友人に出会い誘われて、居並ぶ札響楽団員のヴァイオリニストを紹介されて親しく話が弾んだ。今迄、敢えて話しかける機会を作ってこなかったが、友人から良い切っ掛けをもらった。次回から、もっと自然な形で楽団員と交流する機会を自分で作ってみる気持ちになった。

札響は3月5日に恒例の東京公演を行う。サントリーホールで今日と同じプログラムの演奏会を行う予定になっている。コンサートの成功を祈りたい。


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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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