川畠成道ヴァイオリン・リサイタル

川畠成道(Narimichi Kawabata)は1971年、東京生まれ。80年ロスアンジェルス滞在中に風邪薬の副作用で倒れ、スティーヴンス・ジョンソン症候群と診断された。重い皮膚障害に陥り、一命は取り留めたが後遺症として視覚障害を負った。音楽を志して精進。桐朋学園大学音楽学部を経て、英国王立音楽院を首席で卒業。98年、小林研一郎指揮日本フィルと共演してデビュー。99年に発表したアルバムが20万枚の大ヒットを記録して大きな話題を集めた。英国と日本を拠点に、ソリストとして精力的な活動を展開して、毎年数多くのリサイタルを行っている。
01年の国内ツアーとなるリサイタルで初めて彼の演奏を聴いた。タルティーニの「悪魔のトリル」とフランクの「ヴァイオリン・ソナタ」が強烈な印象を残した。06年の日本ツアーでユベール・スダーン指揮ザルツブルク・モーツァルテウム管との共演で「モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番《トルコ風》」の演奏にも感激。07年にはリサイタルで「ベートーヴェン:スプリング・ソナタ」、「イザイ:無伴奏ソナタ第2番」などを弾いた。以来、頻繁に来札して音楽活動を行いチャリティコンサートも開催している。
今日は久しぶりに彼のコンサートを聴くことになった。

2014年2月28日(金)19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

〈川畠成道チャリティープログラム〉              ピアノ:大伏啓太
 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第28番 ホ短調 K.304
 ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番「クロイツェル」
 チャップリン(寺嶋陸也編曲)スマイル(映画「モダン・タイムス」より)
 マンシーニ(寺嶋陸也編曲):ムーン・リヴァー(映画「ティファニーで朝食を」より)
 ガルテル(寺嶋陸也編曲):ポル・ウナ・カべサ(映画「セント・オブ・ウーマン」より)
 ボック(井財野友人編曲):サンライズ・サンセット(映画「屋根の上のヴァイオリン弾き」より)
 ラヴェル:ツィガーヌ

モーツァルトのソナタでホ短調は唯一の調性。ト短調が他に1曲あるが、他は長調。このソナタは内面的でスピリチュアルな曲だが単純明快。
ヴァイオリンが最初の音を出した瞬間から、その美音に惹かれた。

ベートーヴェンの10曲のソナタの中で第5番と共に有名で演奏される機会の多い曲。当時の最高のヴァイオリニスト、クロイツエルに献呈されたのがニックネームの由来である。協奏風にピアノと競って演奏される様式で書かれ、ヴァイオリン・ソナタの最高傑作として知られる。その旋律は華やかで雄大であり、変化に富んだ曲。
川畠の驚くべき高度な技量が際立った。若い才能豊かなヴァイオリニストが排出しているが、彼の演奏のレヴェルは一味違う印象を受けた。
 
07年頃はロンドンを拠点にして活動していて、ピアニストも外国人であった。今回のピアニストは大伏啓太(Keita Obushi)。彼は1986年、福島生まれ。03年、全日本学生音楽コンクール高校生の部全国大会第1位。06年、日本音楽コンクール第3位。13年3月、東京芸術大学大学院修士課程を終了。4月より同大学院室内学科非常勤講師。川畠のパートナーに選ばれるくらいなので、その技量のほどが推測できる。「クロイツェル」以降の演奏でも力量を発揮していた。

後半は衣装を替えてステージに登場。以前はピアニストに介添えされて登場したほど目が不自由であったと思ったが、視力がある程度回復されたのは喜ばしい。堂々とした態度でステージへ。デビュー15周年を迎えて、12枚目のCDをリリースの記念に、余り演奏する機会のない映画音楽を取り上げたそうである。緊張せずにリラックスして聴いてほしいとの話をして、演奏に入った。

映画は観たが、曲は何となく聞いた感じがしても、はっきり覚えていて親しんでいる曲は「ムーン・リヴァ―」だけであった。オードリ・ヘップバーン主演の映画で、この曲のCDもアンディ・ウィリアムズの歌声で聴くことが偶にある。無伴奏で演奏されたが、曲の美しさが一層際立った。
「屋根の上のヴァイオリン弾き」は丁度15年前の東京帝国劇場で観た西田敏行・本田美奈子主演の舞台を思い出して懐かしかった。

ツィガーヌとはロマ(ジプシー)を意味するタイトル。ハンガリーの女性ヴァイオリニストのために作曲したと言われる。前半の長大な部分は無伴奏のヴァイオリンの即興演奏のようで、ハンガリーの舞曲《チャルダッシュ》を連想させる。まさに超絶技巧が必要とされる曲。後半のピアノ・パートが入る演奏も興味深かった。

予定のプログラムの演奏終了後、トークも入った。淡々とした話ながらも、ユーモアが入って聴衆の笑いを誘う術も身に着けている。
アンコール曲にマイヤーズ:カヴァティーナ(映画音楽「ディア・ハンター」(?)より)、
       モンティ:チャルダッシュ(*毎回 定番のアンコール曲だそう)
最後の曲に ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 

川畠はこのところ毎年Kitaraで演奏しているとのことで、“Kitaraでの演奏を毎年楽しみにしている。また来年もよろしく。”と言葉を残して演奏会を終えた。客席を埋めた聴衆も大変満足した様子であった。私自身も小ホールの方がリサイタルでは演奏家との密着度が高いかなと改めて感じた。


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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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