ミニコンサート(by下司貴大) in Steinway Studio

ミニコンサート(Vol.19) イン スタインウェイ スタジオ (札幌)

2014年2月23日(日)14:00~14:45  会場:井関楽器3F スタインウェイスタジオ

出演:下司 貴大/バリトン
    新堀 聡子/ピアノ

下司貴大(Takahiro Shimotsuka)というバリトン歌手の名を知ったのは、彼がファビオ・ルイジに見い出されて、2010年PMFシンガーズに選ばれ、歌劇「ラ・ボエーム」にマルチェッロ役で出演した時であった。彼は当時、北海道教育大学岩見沢校に在学中の学生であったが、他のプロの歌手に交じって堂々たる歌声を披露した。12年7月にはKItaraオペラ・プロジェクトにおいて歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」にグリエルモ役で出演。演奏会終了後、ホアイエで挨拶して顔見知りになった。同年8月、第1回ハイメスオーケストラ演奏会において歌劇「リゴレット」から第3幕、四重唱と三重唱でバリトンとして熱唱。
13年4月の札幌西区オーケストラの演奏会ではベートーヴェンの「第九」のソリストとしてKitara のホールに素晴らしい歌声を響かせた。大学院卒業後はフリーランサーとして幅広い活躍をしている様子である。

ピアニストの新堀聡子(Satoko Shimbori)は北海道教育大学札幌校を経て、ドイツ・ヴュルツブルグ音楽大学、同大学院を首席で卒業。コンクール歴はスタインウェイコンクール第2位(ドイツ)、ブラームス国際コンクール第5位(オーストリア)など。ドイツ各地でソロ、及び室内楽活動を行った後、11年より活動拠点を日本に移した。ヴュルツブルグ音楽大学講師を経て、現在は北翔大学非常勤講師、井関楽器ピアノ講師を務めながら、ピアニストとして札幌を中心に様々なコンサートに出演している。第1回ハイメスオーケストラ演奏会ではソリストとして「ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲」を弾いた。

Kitaraでのチラシで下司のミニコンサートの開催を知った。オーケストラをバックにしての歌声しか聴いていなかったので、ピアノ伴奏で彼の歌声を聴いてみたいと思っていた。限定80席の小さな会場でのコンサートは彼の歌声をより身近に楽しめると期待して出かけた。

〈プログラム〉
 デンツァ:フニクリ・フニクラ、 ブロドスキー:Be my love,   グリーグ:君を愛す
 中田喜直:雪の降る街を、 木菟(みみずく)、 新井満:千の風になって
 ヴェルディ:乾杯、 湯山昭:電話、 モーツァルト:酒で頭がカッとなるまで、 ビゼー:闘牛士の歌                                       

「フニクリ・フニクラ」という馴染みの登山電車の歌が始まるや否や彼の声量のある圧倒的な歌声がホールを包んだ。第1番を日本語、第2番を原語で歌った。続いて英語、ドイツ語で「愛の歌」を熱唱。

下司は2週間前に旭川で行われた《第13回中田喜直記念コンクール》で大賞受賞。コンクールで歌った課題曲の「雪の降る街を」を叙情味あふれる温かさで歌い上げた。私が大好きでよく口ずさむ歌である。自由曲は聴いたことが無い曲であったが、心を揺さぶるドラマティックな熱唱で感動を呼び起こすような歌となった。グランプリに輝くのが納得できる熱唱。続いてオペラ歌手が歌うような声量が必要とされる一世を風靡した「千の風になって」。

最後のプログラムは[酒]をテーマにした歌。下司はこのミニコンサートをトークを入れながら展開したが、話術も極めて巧みである。かしこまって聴かないように聴き手をリラックスさせながら歌った。3曲は聞いたことも無い曲だった。「電話」は日本語で演技を入れながら、最後には〈落ちが付いて〉笑いを誘う歌唱ぶりには感心した。会場には一瞬笑いが広がった。「闘牛士の歌」はオペラ≪カルメン≫で有名な曲。コンサートの最後を飾るのに相応しい選曲。聴衆の手拍子も入って大団円。

アンコール曲も[酒]に因んで「ラヴェルの《シャンペンの歌》(?)」。酒にまつわる曲が多かったが、本人は酒が一滴も飲めないとのこと。それでも酒のうまさを知っているような歌いぶり。歌唱力だけでなく演技力も備わっている。声量だけでなく、声に艶があって、包容力のある歌いぶり。ルイジの眼鏡にかなったのも当然と再確認した次第。いずれ海外に留学して経験を積んで欲しい逸材。

期待以上のコンサートでとても楽しかった。日曜の午後のひとときーーーとても良い気分に浸れた。ピアニストが適度な司会役をつとめ、下司は新進バリトン歌手とも思えない、まるでプロのヴェテラン歌手並みの堂々とした演唱。また、彼のコンサートを聴いてみたい。

*今日のスタジオは初めて訪れたが、ユンディ・リが来札の折には練習場として使っていたらしい。スタインウェイのコンサートグランドモデルD-274が常設されている。

   
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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