札響名曲シリーズ2013-2014 vol.5  ロシア

森の響フレンドコンサート 札響名曲シリーズ 2013-2014 vol.5
ロシア・作曲家たちのプロムナード

指揮/ロッセン・ミラノフ(Rossen Milanov)
ピアノ/ニコライ・ホジャイノフ(Nikolay Khozyainov)

ロッセン・ミラノフはブルガリアのソフィア生まれ。ブルガリア国立音楽院でオーボエと指揮を学び、その後、ジュリアード音楽院、カーティス音楽院で指揮を学ぶ。フィラデルフィア管弦楽団の副指揮者を11年間務めた後、アメリカ各地の他にヨーロッパ、アジアの数多くの著名なオーケストラと共演。日本ではN響、東京響や兵庫県立芸術センター管と共演。ソリストではヨーヨー・マ、五嶋みどり、パールマン、アンドレ・ワッツ、ジョシュァ・ベルなどと共演。ブルガリア国内や国際的な音楽活動で、2005年にブルガリア・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤーを受賞。ブルガリア国立放送響首席指揮者(07-08)、ソフィアの新交響楽団音楽監督(97-13)。ウィ―ン・ムジークフェラインにもデビュー。現在はアメリカのプリンストン響とスペインのアストゥ―リアス響の音楽監督。ブルガリアやアメリカのユース・オーケストラの音楽監督としても献身的な活動を続けている。

ニコライ・ホジャイノフは1992年、ロシアのシベリア南部の生まれ。6歳でモスクワ音楽院附属音楽学校に入学し、7歳でモスクワ音楽院オーケストラとの共演で神童ぶりを発揮して、05年からモスクワ音楽院で研鑚を積み、08年スクリャ―ビン国際コンクール優勝。数々の音楽祭にも出演して実績を積み上げ、10年のショパン国際コンクールでファイナリスト、12年のシドニー国際コンクール第2位、ダブリン国際コンクール優勝。13年にはカーネギー・ホールにデビュー。7月の日本ツアーでリサイタル5公演を開催。

《本日のプログラム》
 バルトーク(ウイルナー編曲):ルーマニア民俗舞曲
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調
 リャードフ:交響詩「バーバ・ヤガー」
 ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲「展覧会の絵」

ロシアのソチで冬季オリンピックが始まった時期にピッタリあったコンサートのプログラム。(2月8日は開会式当日でテレビでオリンピック旗を手にして行進するゲルギエフ、オリンピック賛歌を歌うネトレプコの姿も目にした。)

バルトーク(1881-1945)はハンガリーの作曲家。今から100年ほど前(1915年)に作曲された6曲から成るピアノ小品の組曲。1917年、小管弦楽曲に編曲。ハンガリー領であった地域音楽を調査したバルトークは隣国の民俗音楽にも関心を示して作品を発表した。本日はウィルナー編曲の弦楽合奏で演奏された。各曲1分程度で全体で約6分の小品。ルーマニア民族の生き生きとした逞しさが感じられる舞曲で印象深かった。

チャイコフスキー(1840-93)はピアノ協奏曲を3曲作曲しているが、「第1番」が余りにも有名であり、「第2番」や「第3番」の生演奏は聴いたことが無い。(他の2曲はプレトニョフによる演奏のCDで偶に聴くが良い曲ではある。)「ピアノ協奏曲第1番」は独創性に溢れたもので、作品が発表された当時は有名な逸話が伝わっている。この協奏曲は古今のピアノ協奏曲の中でも最も人気の高い曲ではないだろうか。
豪壮な導入部に導かれて、ピアノがウクライナ民謡に基づく抒情的な主題を奏で、オーケストラとの応答を繰り返しながら、ピアノ独奏のカデンツァが入る非常に長大な第1楽章。ホジャイノフの迫力が感じられる豪華な楽章。第2楽章はフルートの優しい旋律で始まる緩徐楽章。(フルート首席奏者の高橋聖純が奏でる音色は実に美しくて心の奥深くに響く。) 第3楽章にもチャイコフスキーが好んだウクライナ民謡がテーマに用いられている。輝かしいフィナーレとなる華麗な楽章。

演奏終了後、ほぼ満席状態であった客席から絢爛豪華な演奏を称えて盛大な拍手喝采。21歳のまだ幼さが残る顔立ちのホジャイノフも満足した様子。アンコールに応えて、リスト作曲《モーツァルトの「フィガロの結婚」の主題による幻想曲》を弾いてくれたが圧巻であった。聞いたことのある旋律が何度も繰り返されて出てくるが初めて聴く曲な筈だと思っていたら、その理由がホール出口のボードの題名で判った。アンコール曲にしては長いが、とても良かった。ピアニストのサービス精神が表れて好印象だった。実は今回のコンサートはホジャイノフに興味があって聴きに来た。昨年のクライバーン・コンクールの時の彼の演奏、特にラヴェルの「夜のガスパール」の演奏に魅せられていたのである。見事なテクニックを持ち難度の高い作品を余裕綽々で弾きこなしていた。
ホジャイノフは10日に東京のヤマハ・ホールでリサイタルがあってショパンを中心に弾く予定だが、今度はここ札幌で是非リサイタルを聴いてみたい。

リャードフ(1855-1914)はサンクトペテルブルク生まれのロシアの作曲家。没後100年を記念してのプログラム。ロシアの民話をもとにしての作品。「バーバ・ヤガー」はロシア民話に出てくる魔女の名前で、ムソルグスキーの「展覧会の絵」にも扱われている。魔女が臼にのって飛び立つ様子を描いている3分あまりのユーモラスな曲。
マリンバが使用されているのが生演奏でないと簡単には解らないのではないか。

ムソルグスキー(1839-81)が友人の追悼展覧会で感銘を受けて作曲したピアノ曲(1874年)をラヴェル(1875-1937)がオーケストラ版に編曲(1922-23)して広く知られるようになったと言われる。ストコフスキーの編曲版など、他にもいくつかあるようだが、手元にアシュケナージがピアノのオリジナル版とフィルハーモニア管で弾き振りした自らの解釈に基づくオーケストラ版の2曲のCDがある。ラヴェル版には当時の不正確なピアノ独奏版に起因する間違いが多く見られると書かれている。ラヴェル編曲には違いないが、細かい部分で解釈の違いがあるのかも知れない。
最近ピアノ曲として聴くことが多かったので今日は久しぶりに管弦楽曲として聴いた。やはりオーケストラの響きとしての良い特徴が出ていてダイナミックでスケールの大きさを感じ取ることができた。

オーケストラのアンコール曲はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」から《ロシアの踊り》(トレパーク)。ロシアの音楽でコンサートを締めた。真冬の寒さに見舞われた札幌が温かい雰囲気で包まれる午後のひとときとなった。

ミラノフは日本では知名度が広がっていないようだが、かなりの実力を備えた若手指揮者だと思う。今日は最初の曲の指揮ぶりからオーケストラの音を引き出す力が伝わってきた。最初から最後まで、特に最後の「展覧会の絵」では管楽器の良さを引き出していたと思う。今回のコンサートを機に札響定期にも出演依頼がありそうな予感のする指揮者であった。

ミラノフは来週の14日に東京シティ・フィル管の定期に出演し、5月には再来日して兵庫県立芸術文化センター管の定期で3回出演予定。彼のスケジュールによると、北米・南米・ヨーロッパ・アジアのオーケストラの指揮活動で世界を駆け巡る。リンクアップ教育プログラムなどの子どもたちの教育活動も入っていて驚異的な活躍ぶりは称賛に値する。Kitara再登場を期待したい。


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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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