田部京子 CDデビュー20周年記念特別ピアノリサイタル

田部京子(Kyoko Tabe)は1967年北海道室蘭市生まれ。東京藝術大学付属高校在学中に最年少で日本音楽コンクール優勝。東京芸術大学に進学後、ベルリン芸術大学に留学して同大学および大学院を修了。エピナール国際コンクール第1位、シュナーベル・コンクール第1位、ミュンヘン国際音楽コンクール第3位など輝かしい受賞歴を誇る。国内外の多数のオーケストラと共演。97年、カーネギーホール・ワイル・リサイタルホールでニューヨーク・デビュー。00年バンベルク交響楽団の日本ツアー、01年アルバン・ベルク四重奏団との室内楽ツアーで共演。演奏活動や録音活動の他に、06年より上野学園大学教授(演奏家コース)も務めている。
CDが30枚以上リリースされ、その多くが国内外で特選版に選出されるほか、カルミナ四重奏団との共演盤は08年度レコード・アカデミー賞を受賞。カルミナ四重奏団との共演は日本の室内音楽界の話題をさらっている。

私が初めて田部のコンサートを聴いたのが99年でKitaraに初登場。故郷が同じで注目していたピアニスト。演奏曲目は吉松隆:プレイアデス舞曲集、シューマン:交響的練習曲、シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番。この時にプレイアデス舞曲集のCDを購入して、演奏家から初めてサインを貰ったことを以前ブログに書いた。

02年にドイツのワイマール歌劇場管弦楽団との共演で「ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番」、10年に札響夏の特別演奏会で「グリーグのピアノ協奏曲」を演奏。今回が4度目のKitaraでのコンサート。

期日:2014年1月12日(日) 13:30開演

〈プログラム〉
 吉松隆:プレイアデス舞曲集 より
       前奏曲の映像、線形のロマンス、鳥のいる間奏曲、真夜中のノエル
 メンデルスゾーン:無言歌集第2巻 Op.30 より
            慰め、ベニスのゴンドラの歌第2番
 ブラームス:4つのピアノ小品 Op.119
           第1曲 間奏曲 ロ短調、  第2曲 間奏曲 ホ短調
           第3曲 間奏曲 ハ長調、  第4曲 ラプソディ 変ホ長調
 佐村河内 守:ピアノのためのレクイエム イ短調
 シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D960

15年前のリサイタルの時のプログラムと吉松、シューベルトの曲は同じ。

「プレイアデス舞曲集」は虹の7つの色、いろいろな施法の7つの音、3拍子から9拍子までの7つのリズムを素材にした「現代ピアノのための新しい形をした前奏曲集」への試みであると吉松隆は書いている。99年のリサイタルで初めて聴いた時に現代音楽とは思えぬメロディに感動して、CDをコンサート会場で買い求めた。その後、何度か聴いているが、透明で美しい抒情的な作品。吉松は1953年、東京生まれの作曲家。

メンデルスゾーンの「無言歌集」は全48曲から成るピアノ小品。アメリカの音楽雑誌で絶賛され、国内外で高く評価されている曲集と言われる。93年にスイスで録音されたCDを所有しているが、「春の歌」、「狩りの歌」、「タランテラ」などは有名で馴染みのある曲。自分もカセットでよく耳にして親しんでいた曲と後で判った。
今日の曲目「ベニスのゴンドラの歌 第2番」は甘く美しい曲であるが、「ベニスのゴンドラの歌 第1番」が人々により親しまれている曲である。

ブラームスの「4つのピアノ小品」はピアノ作品で最後に作曲された曲。3曲の間奏曲は内省的で心の奥に届くような作品。ラプソディだけはスケールの大きさを感じる曲。
ブラームスの協奏曲は別にして、ソナタや小品には殆ど親しんでいなかった。アファナシェフやクライバーンのCDを持っていて偶に聴く程度であったが、最近はコンサートでも聴く頻度が増えて少し親しめるようになった。

佐村河内(さむらごうち)は昨年から急に注目され出した作曲家で、「交響曲第1番《HIROSHIMA》」はCDを買って、4月のKitaraでのコンサートのチケットも既に手に入れている。「ピアノ・ソナタ第1番&第2番」の話題は知っていたが、「ピアノのためのレクイエム」のことは全然知らなかった。
東日本大震災で母を失った石巻の一人の少女に捧げられた曲を、昨年3月10日に田部が石巻小学校体育館で初演を行ったのを今回初めて知った。札幌初演となる演奏で心を落ち着けてこの鎮魂歌に聴き入った。

休憩時間中に演奏終了後のサイン会に備えて、「ブラームス 後期ピアノ作品集」と「シューベルトのピアノ・ソナタ第21番ほか」の2枚のCDを購入した。

シューベルトは他の作曲家に比べてピアノ曲のCDは殆ど持っていなかった。ラドゥ・ルプーのKitara出演の折にソナタ集を購入して演奏会に備えていた。残念なことに札幌公演がキャンセルになって、一昨年、東京まで聴きに出かけた。その時に聴いたシューベルトにすっかり魅せられてしまった。その後、アリス=沙良・オットや内田光子を聴いたりして更にシューベルトのピアノ曲の素晴らしさに気づき始めた。
今回、シューベルト弾きとアメリカで評判になったと言われる田部京子の演奏に期待していた。99年のリサイタルの曲目に「第21番」が入っていたとは気付いていなかった。その頃はシューベルトより「吉松のプレイアデス」に強烈な印象を受けたのであった。

「ピアノ・ソナタ第21番」はシューベルトが亡くなる2ヶ月前、1828年9月に作曲された最後のピアノ・ソナタである。落ち着いた深い情感が全楽章に満ちている抒情性豊かな作品で、最後まで深く心に静かに染み入る演奏であった。絢爛豪華な演奏より、重厚で抒情性豊かな演奏を得意とする田部は一貫して自分の言葉で静かに語りかける演奏にかけては他のピアニストに無いものを備えているのではないかと思った。

演奏が終わるとあちこちから一斉に“ブラボー”の掛け声が上がって聴衆の感動が伝わってきた。
〈アンコールに3曲〉
 シューマン:トロイメライ、 カッチーニ(吉松隆編曲):アヴェ・マリア
 シューベルト(吉松隆編曲):アヴェ・マリア序奏

アンコール曲も含めてホールに詰めかけた聴衆の心深くに届く静かな音の響きは感動的で、演奏終了後のサイン会に並ぶ人の列にも見て取れた。私も室蘭出身で応援していること、99年のリサイタルやシューベルトの感想を述べると顔を上げて対応してくれ、2枚のCDに日付を入れて丁寧にサインしてくれた。“次のコンサートをお待ちしています”と言うと“9月の札響に出演します”と答えてくれた。熱心に対応してくれる姿に恐縮したほどであった。ファンへの対応にも人柄の良さを感じて好感度も増した次第である。
        



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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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