Kitaraのニューイヤー2014

2014年の≪Kitaraのニューイヤー≫はヨハン・シュトラウス2世のワルツやポルカを中心に、世界の歌劇場で活躍するソプラノ・幸田浩子を迎えて、高関健指揮札幌交響楽団の演奏で華やかにKitara大ホールで幕を開けた。

2014年1月11日(土) 15:00開演

高関健は12年3月、9年間務めた札響正指揮者の任を終え、客演指揮者として13年2月に札響名曲シリーズに出演して以来の札響客演。13年2月にはサンクトペテルブルグ・フィル定期演奏会を客演指揮して大絶賛を受けた(この時、高関はフェイスブックで写真を載せてツィッターしていた)。14年4月より京都市交響楽団常任首席客演指揮者に就任予定。

幸田浩子は07年1月、フランツ・リスト室内管弦楽団ニューイヤーコンサートでKitaraに登場。J.シュトラウスの《こうもり》より「侯爵様、あなたのようなお方は」、ワルツ「春の声」、レハールの《メリー・ウィドウ》より「ヴィリアの歌」を歌った。

〈本日のプログラム〉
 ヨハン・シュトラウス2世:喜歌劇「こうもり」序曲 
              喜歌劇「こうもり」より“侯爵様、あなたのようなお方は”*、
              トリッチ・トラッチ・ポルカ、 ポルカ「クラップフェンの森にて」 
 レハール:喜歌劇「メリー・ウィドウ」より ヴィリアの歌*
 ヨハン・シュトラウス2世:皇帝円舞曲
            ーーーーーーーーーーーーーーーーーー    
 ヨハン・シュトラウス2世:芸術家のカドリーユ、  ワルツ「春の声」* 
              ポルカ「雷鳴と稲妻」、 アンネン・ポルカ
 ジーツィンスキー:ウイーン、わが夢の街*
 ヨハン・シュトラウス2世:ポルカ「恋と踊りにときめき」
              ワルツ「美しく青きドナウ」
                                    *ソロ:幸田浩子               
                                        
ヨハン・シュトラウス2世(1825-99)はワルツ一家の一人でワルツ王。18歳の時に私がクラシック曲として最も親しみ始めて何度も聴いた曲が「ウィ―ンの森の物語」と「美しく青きドナウ」。今では正月に耳にするぐらいの曲だが、J.シュトラウスの名曲中の名曲。

先日NHKニューイヤーオペラコンサートでライナー・キュッヒルが毎年12月31日と1月1日に「こうもり」をウイーン・フィルが演奏する理由を“物語が面白くて、音楽が美しい”からと語っていた。大晦日の夜の出来事が描かれているので、今日では大晦日に全曲が演奏されるのが恒例になっている。シュトラウスが書いた18の舞台作品の中で最高傑作とされるオペレッタ。豪華絢爛で楽しいオペレッタに相応しい華やかな「序曲」。作品に登場する美しいメロディが織り込まれていて、まとまった曲になっているので、この序曲は演奏会で単独で演奏されることが多い。ところで、「こうもり」は主人公の友人であるファルケ博士のあだ名。

「侯爵様、あなたのようなお方は」は何度か聴いていても題名は余り覚えていなかった。1月3日のNHKオペラコンサートで幸田が素晴らしい歌唱力で歌ってとても印象的であった。7年前にも聴いていたとは記憶になかった。喜歌劇「こうもり」は実演や映画で見たことがあるので、女優に扮した女中が侯爵に扮したご主人に向かって歌う場面は思い出すことができる。
ソプラノ歌手として絶頂期にある幸田浩子は表情豊かな演技力と歌唱力で、彼女の歌声が高らかにKitaraのホールに響き渡った。

「トリッチ・トラッチ・ポルカ」はおしゃべりなご婦人方の様子を描いた軽快なポルカ。
「クラップフェンの森にて」は題名も知らず馴染みのない曲。ウィ―ン郊外にある静かな森の情景を描いたポルカだそうである。

レハール(1870-1948)はハンガリーのオペレッタの作曲家。《メリー・ウィドウ》は《こうもり》と並ぶオペレッタの傑作。「ヴィリアの歌」は“おお、ヴィリア、森の妖精よ! 私をつかまえ、お前の恋人にしておくれ”とハンナが故郷を思いながら恋心を歌うアリア。この喜歌劇で最も有名な曲を幸田は美しい澄んだ声で歌い上げ、聴衆から一段と大きな拍手喝采が沸き起こった。

前半最後の「皇帝円舞曲」はオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフⅠ世の即位40周年記念祭のための祝典曲。明るく堂々とした音楽で風格のあるワルツ。

後半最初の曲「芸術家のカドリーユ」は聴いたことがない。カドリーユと呼ばれるダンスは2組または4組の人が四角になって踊る舞曲で、スクエア・ダンスのようなものらしい。ヨハン・シュトラウス2世は500曲ほど作曲しているが、70曲以上ものカドリーユを作曲していて、自作をもじったものや、他人の曲から借用したメロディを使ったものが沢山あるそうである。
メンデルスゾーンの「結婚行進曲」に始まってモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトやショパンなどの有名な作曲家たちの作品をもじったパロディ。冗談音楽のつもりかも知れないが、とにかく面白かった。

「春の声」では待ち望んだ春がやってきて、ひばりやナイチンゲールが楽しく鳴く様子が歌われる。コロラトゥラの歌声が美しい旋律とともに心に響く。いつ聴いても春の喜びが伝わってくる名曲。管弦楽曲として演奏されることが多いが、原曲版は歌付きであると指揮者の解説があった。ニューイヤーコンサートでの定番でもある。

ジーツィンスキー(1879-1952)の名は知らなかった。「ウィ―ン、わが夢の街」の題名は聞いたことがあって、確認してみたら、90年のニューイヤーコンサートで鮫島有美子がリサイタルのサブタイトルに使っていた。ウイーン賛歌の名曲でウィーンの代名詞と言えるのだろう。
幸田はウイーンで過ごした日々を思い出しながら精一杯心を込めて歌ったに違いない。
7年前より、どういう訳か判らないが今日は断然、強い印象を受けた。今度はリサイタルを聴いてみたい。彼女の今年のスケジュールによるとリサイタルを各地で行う予定になっている。歌手のコンサート出演では代役が必ず用意されているというが、今回は出演者が予定通りで良かった。寒波が襲っている状況の中、無事スケジュールを滞りなく終えてほしいと願う。

「雷鳴と稲妻」、「アンネン・ポルカ」は馴染みのポルカであるが、「恋と踊りにときめき」は初めて聴いた。

「美しく青きドナウ」はウィンナ・ワルツの代表作とも言える名曲で、オーストリアの第2の国歌とも呼ばれるほどオーストリアで愛されているワルツ。この曲がここ数年ニューイヤーコンサートで最後に演奏されていると気付いた。

アンコ‐ル曲にヨハン・シュトラウス1世の「ラデツキー行進曲」を演奏して、聴衆の手拍子でコンサートを締めくくった。

《Kitaraのニューイヤー》で全曲がウイーン風の曲だったのは初めの経験であった。今迄は客の入りも多くなく、むしろ少な目で寂しい感じがしていた。客演指揮者が選曲するとどうしても生真面目なプログラムになるのかも知れないが、以前からニューイヤーコンサートは定期コンサートとは違って、年の初めで肩の凝らない楽しい曲ばかりの演奏でウイーン・フィルと同じようなスタイルで良いと考えていた。
今日の指揮者は札幌の事情に詳しい高関健であり、選曲も工夫が凝らされていて、まずまずの客の入りであった。高関指揮の場合は彼特有の楽器配置で、新鮮味もあった(コンサートマスターがいつもの人と違うので客演か新しいコンマスかと思った?)。普段オーケストラの演奏には使わない珍しい打楽器が頻繁に使用された曲の演奏も興味深かった。
ともかく、今年は指揮者の適度なトークも入って、歌手へのインタヴューもあり、プログラミングの良さもあって近年の「Kitaraのニューイヤー」では一番楽しかった。



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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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