ミッシャ・マイスキー チェロ・リサイタル2013

ミッシャ・マイスキー(MISCHA MAISKY)は1948年、旧ソ連、ラトヴィア共和国のリガ生まれ。レニングラード音楽院に入学、モスクワ音楽院でロストロポーヴィチに師事。旧ソ連全土でコンサート活動。反体制的人物とみなされて獄中に繋がれ、2年余り演奏活動が出来なくなり強制労働を余儀なくされた。72年11月、出国許可が下りてアメリカに渡り、ピアティゴルスキーに師事。伝説のチェロの巨匠二人に師事した唯一のチェリスト。73年、イスラエルに移住。カサド国際チェロコンクールで優勝。ピッツバーグ交響楽団との共演でカーネギーホール・デビュー。
75年以降、アメリカ及びヨーロッパのトップ・オーケストラとの共演や室内楽の超一流演奏家との共演を続けている。初来日は86年、以降毎年のように来日して公演を行なっている。ベルギー在住。

Kitaraでの初登場は開館した翌年98年5月、マリス・ヤンソンス指揮ピッツバーグ交響楽団の演奏会。ソリストとして≪シューマン:チェロ協奏曲≫を弾いた。

2度目のKitaraは02年10月、リサイタルで≪ベートーヴェン:「魔笛」の主題による7つの変奏曲≫、≪シューベルト:アルぺジオーネ・ソナタ≫、≪メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ第2番≫、など。
待望のリサイタルで彼の弾くチェロの魅力に心を揺さぶられて、直ぐベートーヴェンのソナタや当日の演奏曲目のCDを購入して聴いたのを思い出す。この時のピアニストがセルジオ・ティエンポで、同年発売されていたメンデルゾーンのソナタが入ったマイスキーの輸入盤を一足早く手に入れていたことに当日買ったプログラムを後で読んで気付いた。他愛もない話だが輸入盤が日本盤より千円以上も安かったのが今でも不思議に思っている。

3度目に聴いたのは、来日25周年を記念しての11年10月のコンサートであった。〈ミッシャ・マイスキー チェロ・コンサート〉として娘さんのリリーと共演した。グラナドス、アルベニス、ファリャ、カサドの曲をピアニストがチェロと対等に渡り合っていたのが印象に残っている。ヴァイオリニストの息子さんが急遽出演できなくて、父がバッハの無伴奏チェロ組曲第1番を演奏した。

〈本日のプログラム〉
 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番 ハ長調 BWV.1009
 シューマン:5つの民謡風の小品集 Op.102
 シューベルト:アルぺジオーネ・ソナタ イ短調 D.821
 ドビュッシー:チェロとピアノのためのソナタ

マイスキーは15年前と変わらぬ姿でステージに登場。衣装も独特なもの。音楽に対する姿勢も一貫して変わってない印象。前回はプログラム変更で「バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番」を弾いたが、今回は第1番と並び最もよく演奏される第3番。CDで聴くカザルスやヨーヨー・マとは違った個性的な演奏。チェロの魅力が存分に生かされた音色が朗々とホールに響き渡る様にウットリ。まるで楽器で歌を奏でているようである。ロマン派の作品であるかのような感じを受ける演奏がミッシャ・マイスキーの特徴かも知れない。

シューマンの民謡風のメロディは変化に富んで面白かった。第4曲と第5曲のピアノとチェロのやり取りは迫力があった。ピアノは前回と同じくミッシャの娘、リリー・マイスキー(Lily Maisky)。有名なヨーロッパの音楽祭などにも参加し、ソロ・室内楽の両方で活躍している様子。

後半の「アルぺジオーネ・ソナタ」は去る3月のピリス&メネセスのコンサートで聴いた。その経験があって今回は鑑賞の仕方が向上したように思った。チェロより音域の高いアルぺジオーネの特徴が判っていたので、低音域の楽器とは違う聴き方が出来た。もちろん、マイスキーの演奏に魅せられたと言っても良い。正直に言って、アルぺジオーネという楽器よりチェロの楽器の持つ美しさの方が断然好きである。

ドビュッシーの「チェロ・ソナタ」は耳にしたことが無かったと思うが、ピアノ曲から想像できる彼独特の変化に富んだメロディ。フランス風のエスプリが巧みに表現されていた。ピッチカート奏法などの幅広い奏法も印象的であった。「ピアノとチェロのためのソナタ」という題名が相応しい曲。

万雷の拍手に応えてアンコール曲を5曲も演奏してくれた。
 ①スペイン民謡/カザルス編曲:鳥の歌
 ②シチェドリン:アルべニア風のスタイル
 ③リヒァルト・シュトラウス:朝に
 ④ファリャ:火祭りの踊り
 ⑤ブラームス:ヒバリの歌

1曲は弾いてくれると期待していたが、ブラボーの掛け声などの歓声が高くなり、一段と大きな拍手に応えて次々と曲を披露。観客の反応に疲れも忘れて心も高揚したのか凄いサービス。楽しみながらの情熱的な演奏が素晴らしい。演奏終了後、サイン会に並ぶ人の長い列が続いていた。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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