千住真理子&スーク室内オーケストラ

千住真理子は全日本学生音楽コンクール小学生の部全国1位。NHK交響楽団と共演し12歳でデビュー。日本音楽コンクールに最年少15歳で優勝。パガニーニ国際コンクールで最年少で入賞して当時日本中の話題を集めた。慶応義塾大学卒業後、今は亡き巨匠シノーポリに認められて、87年ロンドン、88年ローマ・デビューを飾った。その後、国内外の音楽活動のほか多彩な活動で注目を浴びた。
Kitaraには01年プラハ交響楽団との共演で初登場して、メンデルスゾーンの協奏曲を熱演。翌年は日本フィルと共演で来札した折はヴァイオリンの小品名曲集。20代の頃、スランプに陥っていた時期があったようだが、02年秋、ストラデイヴァリウス「デュランテイ」との運命的な出会いが彼女の転機となったと言われている。その後の演奏活動はより活発になり、プラハ響、ハンガリー国立フィル、ベルリン室内管、スーク室内オーケストラの日本ツアーのソリストとしても活躍を続けている。

05年にはベルリン室内管弦楽団とKitaraで共演。バッハの協奏曲などを演奏。昨年2月のワルシャワ国立フィルとの共演による「チャイコフスキーの協奏曲」の演奏では、久しぶりに千住の演奏に接して懐かしかった。今年1月にも、プラハ響のソリストとして「メンデルスゾーンの協奏曲」を華やかに演奏。

〈本日のプログラム〉
 グリーグ:ホルベルク組曲
 バッハ:アリオーソ
 カッチーニ:アヴェ・マリア
 ヘンデル:歌劇「リナルド」より“私を泣かせてください”
 クライスラー:愛の喜び
 バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043
 チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 op.48

たまたま所有しているCDの解説によれば、ノルウエーの作家・ホルベルク(1684-1754)の時代の音楽をグリーグ(1843-1907)がバロック様式でロマン派音楽らしい抒情味あふれる組曲に仕上げた。前奏曲、サラバンド、ガヴォット、エア、リゴドンの5曲から成る。
スーク室内オーケストラは弦楽器(第1ヴァイオリン4、第2ヴァイオリン3、ヴィオラ2、チェロ2、コントラバス1)+チェンバロ(バッハの協奏曲のみ)の小編成。

「アリオーソ」から「愛の喜び」までのヴァイオリン小品集を千住真理子がオーケストラと共に演奏。彼女の話によると、オーケストラと相談してクリスマス・シーズンに相応しい静かで、ゆったりとした曲ばかり選曲。彼女が持つ清楚さが全身から伝わる清潔感が溢れる清らかで美しい旋律がホール全体に広がった。昨日2日の朝日新聞夕刊の文化欄で千住真理子に関する音楽の記事が載っていた。彼女の亡き母への想いが伝わる記事だったが、今回の全国ツアーが《亡き母に捧げるコンサート》のような印象を受けた。
クライスラーの曲の演奏後の拍手喝采の大きさは良く知られた名曲の素晴らしい演奏と千住真理子ファンの多さを物語っていた。聴衆の感動が収まるのにしばらく時間がかかるほどであった。

前半最後のバッハの協奏曲はコンサート・マスター、マルティン・コスと共演。二つの独奏ヴァイオリンによる音の織りなす調べの美しさはこの上もない。

アンコール曲はパッヘルベル:カノン。馴染みの曲ではあったが、作曲家の名に親しんでいなかった。演奏形態も珍しくヴァイオリン3、チェロ1、コントラバス1だった。以前カセットで良く聴いていたことが判った。調べてみたら、原題は「三つのヴァイオリンと通俗低音のためのカノンとジーグ」。バッハ一家とも親交が深くて、バッハ自身にも音楽的影響を与えたらしい。

千住は前半だけのステージだったが、演奏の合間に巧みなトークも入って、話も簡潔・明瞭でヴァイオリン演奏と共に彼女の人間味も表れていて良かった。

後半のプログラム「弦楽セレナード」はチャイコフスキーが西欧のバロック音楽や古典派音楽を弦楽器によって表現した作品。ロシア風の哀愁、西欧風の優美さや華やかさが伴い、ドラマティックに曲が展開された。
アンコールに応えて〈ドヴォルザーク:ユモレスク〉。

12月に入って最初のコンサートであったが、心に静かに染み入る音楽に浸ることができて心地よい一夜であった。
 



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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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