札幌交響楽団第564回定期演奏会(11月)

定期演奏会は昼公演を聴いているが、今月は8日(金)夜公演に振替えた。ルイサダの出演を楽しみにしていた。

指揮/マックス・ポンマー(Max Pommer)
ピアノ/ジャン=マルク・ルイサダ(Jean-Marc Luisada)

〈演奏曲目〉
 新実徳英(Tokuhide Niimi):風水~弦楽、打楽器とチェレスタのために
 モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 ニ短調K.466
 シューマン:交響曲第2番 ハ長調

マックス・ポンマーは1936年ライプツィヒ生まれのドイツの指揮者。ライプツィヒ音楽院と大学でピアノ、指揮、音楽学を学び、さらにカラヤンにも教えを受けた。78年にゲバントハウス管メンバーと共に新バッハ合奏団を設立しバロック音楽、特にバッハの声楽曲を演奏して名を広めた。ライプツイヒ放送響首席指揮者(87~91)を務め、ドイツを中心に数多くの楽団に客演。00年にオランダ・シンフォニアの初代定期客演指揮者に就任し、バッハ「マタイ受難曲」をコンセルトへボウで演奏。
現代音楽の録音活動も行い、新実作品はドイツでも紹介するほど彼のレパートリーになっている様子。今回の来日公演は札幌の他に山形交響楽団の定期演奏会が予定されている。

ルイサダは1958年チュニジア生まれのフランスのピアニスト。パリで音楽教育を受け、10代の初めにイギリスのメニューイン音楽院に学び、74年パリ国立高等音楽院に入学。ピアノ部門一等賞および室内楽部門一等賞を獲得して卒業。81年からパウル・パドゥラ=スコダに師事。85年に2度目の挑戦でショパン国際コンクール5位に入賞して一躍有名になった。(優勝はブーニン、小山実稚恵が4位)。その後の演奏や録音などでのユニークな活動で多彩な音楽性が注目され、来日公演も毎年のように行われている人気のあるピアニスト。
札響との共演は88年6月、93年11月の定期演奏会。私は89年11月、教育文化会館大ホールでピアノ特別演奏会を聴いた。当時のプログラムによるとブラームス、ショパン、シューマンなど19世紀ロマン派の作曲家の小品が演奏された。札響とは20年ぶり3回目の共演。Kitaraには初登場。

新実徳英は1947年生まれの現代日本を代表する作曲家だそうであるが、今回初めてその名を聞いた。外国の指揮者が彼の作品を演奏して紹介していて札響初演となる。自分が無知なのがおかしいのだろうが、日本の音楽界は如何なっているのかと疑問に思った。新実は東大工学部卒業後、東京芸大に学び同大学院修了。歌劇、交響曲、合唱曲など数多くの作品を作曲。
バルトークが1936年に作曲した「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」というCDを持っているので、新実の作品に親しみを覚えた。ステージ後方の多くの打楽器が見えなかったのは残念だったが、その多彩な音は弦楽器の特殊な演奏法と相まって面白かった。

1曲目が終わって打楽器の片付けとピアノの搬入など舞台つくりが始まった。いつもと違ってステージの段差を作るのに電動セリが作動。電動セリがコンサートの合間に作動する様子を初めて見た観客が多かったようだった。(私自身はボランティア活動で見たことが数回ある。)

いよいよルイサダの登場。待ち続けて20年。昔とあまり変わらぬ姿だったが、楽譜を持ってステージに出てきたのには少々ビックリ。背の高いルイサダの後から、譜めくりすと(多分、彼の娘(?))も現れた。今迄3回聴いたうちで楽譜を見ながら弾いていた記憶がなかったが、協奏曲の場合は楽譜を見ながら弾く習慣だったのかも知れない。

モーツァルトの曲の調性は大部分が長調である。ピアノ協奏曲で短調は20番と24番だけである。長調は明るい雰囲気の明快な曲が特徴である。先月の定期と名曲シリーズのエリシュカの曲目「ベートーヴェン第6番」、「ブラームス第3番」が両方ともヘ長調であることに気付いた。ヘ長調は田園的、自然的、明快な曲。普段、調性を意識することはめったに無いが今回はたまたま意識した。
モーツァルトは1785年の予約演奏会で従来の明るい耳あたりの良い音楽と違う、暗くて悲しい感情を表現する作品を演奏した。娯楽音楽的な要素の強い協奏曲に初めて短調を持ち込んだ作品。この20番以降27番までの作品が特に彼の協奏曲でも演奏される機会が断然多い。

オーケストラは協奏曲の演奏でも珍しいほどの小編成でソリストの要望かと思った。ピアノが浮き立つ効果があってルイサダの魅力が存分に発揮されていて結果的にはとても満足した。ドラマティックな第1・第3楽章の間に美しい緩徐楽章も入るが、中間部で表情が変わって深刻になる。緊張感みなぎる旋律を堂々たる演奏で余裕綽々の表情。今はピアノの巨匠と言えるルイサダの演奏を堪能した。ただ、予想外のアシスタント(ガムらしきものを噛みながらの譜めくり)の行動は少々気になった。

シューマン第2番はPMFでバーンスタインが指導した曲で、その後もPMFでは演奏されたことがあったが、札響の演奏歴は3回とは意外に少ないと思った。シューマンの交響曲はピアノ曲と比べて演奏機会が少ないかも知れない。第1・2・4楽章はハ長調で、第2楽章のスケルツォでシューマンらしい旋律も聴けたが、何と言っても第3楽章のハ短調のアダージョが注目された。美しいが憂いが漂うエレージ風の緩徐楽章。少々短調に着目して聴いたきらいがあるかもしれない。

ポンマーの指揮は派手さはないが落ち着いた丁寧な指揮ぶりであった。ルイサダは現在ではブーニンより世界では人気のピアニストだと思うが、今回の演奏会では指揮者・ソリストの名をあまり知らず、日本の現代音楽家の作品も含めて、プログラムに魅力を感じなかったせいか客席があまり埋まらなかった。やはり満席状態でないとコンサートに熱気がなく盛り上がりに欠ける気がする。私自身は、ルイサダを聴けたのに満足したが、近いうちに彼のリサイタルを是非聴いてみたい。とにかく魅力的なピアニストである。

 
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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