METライブビューイング2013-14 第1作《エフゲニー・オネーギン》
2013-14シーズンのメトロポリタン・オペラがニューヨークで幕を開けた。恒例のMET Live Viewingは昨シーズンは全10作のうち5作品を鑑賞した。今シーズンも半分ぐらいは鑑賞したいと思っている。
今シーズンの第1作は チャイコフスキー《エフゲニー・オネーギン》
歌劇「エフゲニー・オネーギン」は1996年のPMFオーケストラ演奏会(演奏会形式)で外国人歌手を招いて上演されて聴いたのだが、残念ながらオペラのストーリーを全く覚えていない。そんな訳で今回は見逃さないで観ようと思った。
アンナ・ネトレプコ主演、ワレリー・ゲルギエフ指揮とあって鑑賞意欲もいやが上にも高まった。
ネトレプコは3シーズン連続の第1作出演だそうである。昨シーズンは「愛の妙薬」でコケティシュな役を演じて、それなりに満足したが、今年はヒロイン役の歌唱・演技ともに一層の魅力を放って大満足。公爵夫人としての振る舞いは見事な演技力。さすが世界のプリマドンナ・ネトレプコは他の一流歌手と一味違うところを見せてくれた。
ロシアのプーシキンの有名な韻文小説「エフゲニー・オネーギン」をオペラ化した作品。題名がロシアのあらゆる読書階級に知れ渡っていたことと、チャイコフスキーの甘美なメロディに溢れた音楽と相まって人気の歌劇となったようである。「スペードの女王」とともにチャイコフスキーの歌劇として最も有名な作品となっている。
タチヤーナとオリガの姉妹とオネーギン、レンスキーをめぐる恋愛模様を描いた『愛のすれ違い』の悲劇。
空想的で内気な夢見るヒロインのタチヤーナの想いがほとばしる〈手紙の場〉、タチヤーナとオネーギンの美しい二重唱、ピョートル・ペチャワが演じるレンスキー役のテノールの心の底に染み入るような〈悲しみのアリア〉が特に印象に残った。冷血な教養のある厭世的遊蕩児オネーギンを演じるマリウシュ・クヴィエチェンの演技と歌唱力も堂々たるもの。二人のテノール歌手はポーランド出身のようであった。向こう見ずで明るいオリガ役のオクサナ・ヴォルコヴァも好演。公爵役のバリトンの惚れ惚れとする歌声にも感動。
ロシア語上演で時代は19世紀後半の新演出。舞台はロシアの田舎とペテルブルグ。別荘の庭園を望む部屋、冬の田園風景、ペテルブルグの豪華な宮殿(?)での舞踏会場面などの舞台転換が素晴らしかった。
それにしてもメトロポリタン歌劇場の舞台・舞台裏の広さにはいつも感嘆する。休憩時間中での舞台裏の仕事を見るのも興味深い。
ゲルギエフ指揮のメトロポリタン歌劇場管弦楽団はドラマティックな場面を含めて全体的に優美で、感傷的過ぎない音作りで美しい旋律を奏でた。舞踏会でのポロネーズ、エコセーズの曲はオーケストラの軽快な音楽で何となく気分が高揚した。
カーテンコールで最後にゲルギエフが舞台に上がる時にネトレプコが駆け寄る姿は彼女が20歳の時からゲルギエフに見い出されて育てられたことを思い起こさせた。ゲルギエフはレーピンやキーシンを始めロシアの若手ソリストを伴っての海外公演など、ロシアの優れた若い音楽家を世界に紹介してきた。彼がネトレプコを世界のソプラノ歌手に育て上げた話は特に広く知れ渡っている。
*“Evgeny Onegin” が英語名かと思っていたら、タイトルが“Eugene Onegin”となっていた。発音すると「ユージ―ン・オネーギン」になるのだろう。
今シーズンの第1作は チャイコフスキー《エフゲニー・オネーギン》
歌劇「エフゲニー・オネーギン」は1996年のPMFオーケストラ演奏会(演奏会形式)で外国人歌手を招いて上演されて聴いたのだが、残念ながらオペラのストーリーを全く覚えていない。そんな訳で今回は見逃さないで観ようと思った。
アンナ・ネトレプコ主演、ワレリー・ゲルギエフ指揮とあって鑑賞意欲もいやが上にも高まった。
ネトレプコは3シーズン連続の第1作出演だそうである。昨シーズンは「愛の妙薬」でコケティシュな役を演じて、それなりに満足したが、今年はヒロイン役の歌唱・演技ともに一層の魅力を放って大満足。公爵夫人としての振る舞いは見事な演技力。さすが世界のプリマドンナ・ネトレプコは他の一流歌手と一味違うところを見せてくれた。
ロシアのプーシキンの有名な韻文小説「エフゲニー・オネーギン」をオペラ化した作品。題名がロシアのあらゆる読書階級に知れ渡っていたことと、チャイコフスキーの甘美なメロディに溢れた音楽と相まって人気の歌劇となったようである。「スペードの女王」とともにチャイコフスキーの歌劇として最も有名な作品となっている。
タチヤーナとオリガの姉妹とオネーギン、レンスキーをめぐる恋愛模様を描いた『愛のすれ違い』の悲劇。
空想的で内気な夢見るヒロインのタチヤーナの想いがほとばしる〈手紙の場〉、タチヤーナとオネーギンの美しい二重唱、ピョートル・ペチャワが演じるレンスキー役のテノールの心の底に染み入るような〈悲しみのアリア〉が特に印象に残った。冷血な教養のある厭世的遊蕩児オネーギンを演じるマリウシュ・クヴィエチェンの演技と歌唱力も堂々たるもの。二人のテノール歌手はポーランド出身のようであった。向こう見ずで明るいオリガ役のオクサナ・ヴォルコヴァも好演。公爵役のバリトンの惚れ惚れとする歌声にも感動。
ロシア語上演で時代は19世紀後半の新演出。舞台はロシアの田舎とペテルブルグ。別荘の庭園を望む部屋、冬の田園風景、ペテルブルグの豪華な宮殿(?)での舞踏会場面などの舞台転換が素晴らしかった。
それにしてもメトロポリタン歌劇場の舞台・舞台裏の広さにはいつも感嘆する。休憩時間中での舞台裏の仕事を見るのも興味深い。
ゲルギエフ指揮のメトロポリタン歌劇場管弦楽団はドラマティックな場面を含めて全体的に優美で、感傷的過ぎない音作りで美しい旋律を奏でた。舞踏会でのポロネーズ、エコセーズの曲はオーケストラの軽快な音楽で何となく気分が高揚した。
カーテンコールで最後にゲルギエフが舞台に上がる時にネトレプコが駆け寄る姿は彼女が20歳の時からゲルギエフに見い出されて育てられたことを思い起こさせた。ゲルギエフはレーピンやキーシンを始めロシアの若手ソリストを伴っての海外公演など、ロシアの優れた若い音楽家を世界に紹介してきた。彼がネトレプコを世界のソプラノ歌手に育て上げた話は特に広く知れ渡っている。
*“Evgeny Onegin” が英語名かと思っていたら、タイトルが“Eugene Onegin”となっていた。発音すると「ユージ―ン・オネーギン」になるのだろう。
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