内田光子ピアノリサイタル

〈Kitara ワールドソリストシリーズ〉

やっと念願が叶って内田光子のソロリサイタルが聴けた。

彼女がKitaraに初登場したのは2001年12月5日であった。「内田光子 室内楽の夕べ」というタイトルでコンサートが開かれた。モーツァルトの「ピアノ協奏曲第12番イ長調K414」を(ピアノ五重奏版)でアメリカのブレンターノ弦楽四重奏団と共演。シェ―ンベルクの「月に憑かれたピエロ」がフルート、クラリネット奏者と歌手を加えて演奏された。
シェ―ンベルクの曲は殆どその良さが解らなくて残念だった。今でも現代作曲家の中でシェーンベルクの曲は理解が難しいと思い込む状態が続いている。当時の曲目だけは忘れないで覚えているから不思議である。ザルツブルク音楽祭におけるライブ演奏がDVD化され、内田の名盤となっているようである。

2度目は2010年11月10日の≪内田光子(ピアノ&指揮)クリーヴランド管弦楽団≫の公演。私の最近25年間のコンサートでTop Tenに入る素晴らしいコンサートであった。
[オール・モーツァルト・プログラム]
ディヴェルティメント 二長調K136
ピアノ協奏曲第20番 ニ短調K466
ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調K595

内田の弾き振りはP席の真正面というこの上ない座席から存分に楽しめた。オーラを放つ内田のエレガントで知性と情感のバランスがとれた指揮ぶりは堂々としていた。ピアノ演奏と共に50名程度の室内楽的オーケストラを完全に掌握していると思った。コンチェルトを2曲も聴け、予想を超えた見事なコンサートに心を揺さぶられた。アメリカの本拠地クリーヴランドでの成果を見た思いがした。

本日の曲目
 モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第12番 ヘ長調 K.332
        アダージョ ロ短調 K.540
 シューマン:ピアノ・ソナタ 第2番 ト短調 作品22
 シューベルト:ピアノ・ソナタ 第18番 ト長調 作品18 

ほぼ満席で埋まったKitara大ホールの聴衆が内田ワールドに引き込まれた。モーツァルト、シューマン、シューベルトのそれぞれの抒情的な美しい旋律がホールを包んだ。日本の聴衆は鑑賞態度が優れていると言われる。本日のコンサートでピアニストの奏でる音を聴き逃すまいとするオーディエンスの集中力は見事だと思った。彼女のソロ演奏を心待ちにして集中力が高まっていたことは間違いない。静と動の対比が巧みに表現される演奏技術も人々を惹きつけたことは言うまでもない。とにかく最初から最後まで聴衆は内田光子の奏でる音楽に心地よく浸ったのである。

内田光子は1948年熱海生まれ。世界的アーティストとして世界各地でリサイタルはもちろん、欧米のメジャー・オーケストラとの共演、室内楽など多彩な活動をしている。クリーヴランド管弦楽団のアーティスト・イン・レジデンスとしてモーツァルトの協奏曲の弾き振りの活躍は名高い。リチャード・グードと共にマールボロ音楽祭の音楽監督も務めている。
一時モーツアルト弾きとして名を成し、シューベルト弾きとしても注目された。
今晩はアンコールに「バッハのフランス組曲第5番《サラバンド》」を弾いた。バッハ、ベートーヴェン、シューマン、ショパン、ドビュッシーの他に現代作曲家、特にシェ―ンベルクは得意にしていて、レパートリーは広い。今日の選曲は自分も含めて聴衆の好みに合ったものだと思った。

後記:私のブログを読んでくださる方から、一部の聴衆の鑑賞態度についてコメントが寄せられた。私も演奏中に物を落とす音は聞こえたが、それほどひどい状態とは認識していませんでした。満席状態の時に楽章間で拍手が起こったりする際には少々気になることはありましたが、今回のコンサートでは私自身ピアニストの演奏に集中するあまり、周囲の状況に神経質にはなっていなかったのかも知れません。演奏者が下手後方を振り向いた動作に何があったのかと気にはなっていました。個人的な印象を綴っていますので、客観性に欠ける記述があることは承知の上です。

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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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