佐藤卓史デビュー十周年記念 リサイタルツアー2013

ベートーヴェン4大ピアノ・ソナタを弾く
 「悲愴」「ワルトシュタイン」「月光」「熱情」

佐藤卓史(さとう・たかし)は1983年秋田市生まれ。東京芸大附属高3年の時(01年)に第70回日本音楽コンクール第1位。数々の国際コンクールで上位入賞。07年シューベルト国際コンクール優勝と特別賞。東京藝術大学を首席で卒業後、ドイツ・ハノーファー音楽演劇大学に学び、同大学を修了後はウィ―ン国立音楽芸術大学に在籍して研鑚を重ねた。その間にも多くの国際コンクールに挑戦し、数々の受賞を通して日本を代表する若手ピアニストとして活躍している。12年第8回浜松国際コンクール第3位ならびに室内楽賞。ソロ、室内楽、協奏曲など幅広い分野での評価が確立している実力派ピアニスト。

03年のリサイタルデビューから10年。7年にわたるヨーロッパ留学を終えての全国ツァー。本人のブログによると、01年の日本音コン本選での演奏以来ずっと避けてきた曲目。今回あえてこの作品を取り上げるのは、この12年間の足跡を確かめる「チェックポイント」にする狙いのようである。

ベートーヴェン(1770-1827)のソナタ全32曲は作曲年代によって前期・中期・後期に分けられている。10曲ほどに俗称がついているが、作曲家自身がタイトルをつけたのは《悲愴》と《告別》の2曲だけとなっている。

4大ソナタと称せられる第8番「悲愴」は前期、第14番「月光」、第21番「ワルトシュタイン」、第23番「熱情」は中期に分類される。リサイタルで演奏されるベートーヴェンのソナタで最も人気の高い名曲である。これらのソナタのCDはそれぞれ各10人ほどのピアニスト(シュナーベル、バックハウス、ホロヴィッツ、グールド、ゲルバー、ポリーニ、ハイドシェクなど)のものを長年に亘って聴いているので素人の自分にもメロディが身体に染み着いている。Kitaraでのリサイタルでも3大or4大ソナタと銘打っての演奏会も結構あった。この数年でもブーニン、オピッツ、外山啓介、及川浩治などの演奏会は直ぐ思い浮かぶ。

佐藤卓史は5・6年前にその名を知ってから注目してきて、Kitaraでのコンサートを待ち望んでいた。今回はデビュー10周年記念ということで全国16都市での日本ツアー。ツアーの最中に〈ペーター・レーゼルと佐藤卓史による連弾とトーク〉というイヴェントが東京で行われる。ピアノの世界的巨匠との共演が企画されるぐらいだから、佐藤の実力のほどがうかがえる。活動拠点を日本に移したとのことで、今後の日本でのコンサートが定期的になることを期待している。

ベーゼンドルファーを使用してのベートーヴェンの演奏会はとても新鮮で強烈な印象が残った。ピアニストが小ホールのステージでピアノの鍵盤を弾いたときに直ぐ、いつものスタインウエイとは違う音がホールに響いた。聴き慣れた曲を最高の席から鑑賞できた。ピアニストの手の動きを含めて感情まで読み取れたような気がした。明晰な解釈に基づく曲の展開、音色の多彩さに感嘆。技巧に裏打ちされた堂々たる見事な演奏。重厚さの中に華やかさもあった。

Kitaraにもベーゼンドルファーのピアノは用意されているが、今回はヤマハの会社がベーゼンドルファーの楽器を持ち込んだ様子。アンドラ―シュ・シフがKitaraから依頼されて選定したべーゼンドルファーを97年12月Kitaraでの演奏会で弾いて以来、実際に自分自身が著名なピアニストのリサイタルをベーゼンドルファーで聴く機会はめったに無かった。07年10月にイエルク・デームスとのピアノ・デュオの折に使ったパウル・パドゥラ・スコダの楽器は鮮明に記憶している。ウィ―ン出身のピアニストはBOSENDORFERに特別なこだわりがあるようだ。それだけに今日の演奏会は印象深かった。
一般にピアノの鍵盤は88あるがベーゼンドルファーのインペリアルは97の鍵盤を有する。黒鍵だけが左側に並んでオルガンのような低音域が出せ、響きがより豊かになるそうである。

佐藤卓史は実力派ピアニストとしてヨーロッパでの活躍も顕著であるが、日本での知名度がそれほど高くないこともあって今晩の聴衆は多くなかったが、今後の日本での活動が増えると着実に高い評価の得れるピアニストである。
アンコールに[ベートーヴェンの《アンダンテ・ファヴォリ》]。聴いたことが有るような無いような曲。一瞬シューベルトの曲かなと思った。佐藤は演奏終了後に挨拶をしたが、その声量の素晴らしさに驚いた。テノール歌手にもなれそうな魅力ある声。ウイーンでベートーヴェンの曲をベーゼンドルファーで録音した様子も語った。最後に有名な《エリーゼのために》を弾いた。

極めて知的で、真面目な感じのする人物。FC2でブログを書いていることに数ヶ月前に気付いた。ただ、今回のプログラム解説はチョット専門家向け過ぎると感じた。一般の音楽愛好家を対象にくだけた内容にして、読み易いようにした方が良いというのが率直な感想。

佐藤卓史ソロアルバムで「ショパン:ピアノ・ソナタ全3曲」が発売されていた。第1番は持っていなかったので早速買ってサインを貰った。知性的で好印象を受けた。ファンになりそうである。

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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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