札幌交響楽団第563回定期演奏会(10月)

指揮:ラドミル・エリシュカ(札響首席客演指揮者)

〈本日のプログラム〉
 
ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲 ロ短調 (チェロ:石川祐支)
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調


エリシュカは先週の《札響特別演奏会》に続いての出演で、定期演奏会は4月に続いて今シーズン2回目の登場。4年前から札響首席チェロ奏者の石川祐支に『“ロ短調”をいつか一緒に演奏しよう』と言っていて、今回ようやく実現。

石川は東京交響楽団首席奏者を務めていたが、札響にゲスト首席として出演する機会があり、05年4月から札響首席奏者に就任。Kitaraボランティアの機関紙の編集委員のインタビューに本人は『札響に客演の折に“この楽団に入りたいな”と思っていたところに勧誘されて、二つ返事で快諾した』と答えている。
札響ではソリストとして、これまで07年2月の定期演奏会でショスタコ-ヴィチの協奏曲第1番、09年3月の定期演奏会でR.シュトラウスの「ドン・キホーテ」を演奏。今回、満を持してエリシュカの期待に応えることとなった。『ドヴォルジャークの協奏曲はこれまでに何度も演奏したことがあるが、今回が一番練習している気がする』と意気込みを語っていた。

聴衆の期待も大であったが、オーケストラ、ソリスト、オーディエンスが一体となった素晴らしい演奏会となった。私はチェロ協奏曲ではドボルジャークが一番の気に入りで、デュ・プレ、ロストロポーヴィチ、ヨー・ヨー・マ、カザルスなどのチェリストのCDも7・8枚は持っている。Kitaraでミッシャ・マイスキーやペレーニ等の生演奏を聴いたことがあるが、会場全体で三者一体となった今回のような演奏会は極めて稀である。演奏家と聴衆が一緒に音楽を作り出すことを実感できた貴重な機会となった。

演奏終了後、エリシュカはごく自然体でソリストに頬を寄せて祝福し、大平コンマスの手にキスをする仕草に会場から笑いも起こった。札響に親しまれている外国人指揮者ならではの振る舞い。
石川はアンコールに応えて「J.S.バッハの無伴奏組曲第6番から第4曲サラバンド」を弾いた。

ブラームスの交響曲は演奏される機会が多い。何と言っても最も印象に残っているのは、09年10月、ジョナサン・ノット指揮バンベルク交響楽団の2日連続公演、〈ブラームス交響曲全曲演奏会〉である。管楽器の素晴らしい響きが特に印象に残っている。

エリシュカがブラームスの交響曲を指揮するのは初めてで、どのように演奏するのか予想できなかった。ブラームスの第3番はベートーヴェンの第5番に例えられることがある。初演時の指揮者ハンス・リヒターがこの曲を「ブラームスの英雄交響曲」と呼んだ。この曲には悲劇的要素もないし、勝利の叫びのような凱歌もない。ブラームス特有の重々しさや複雑な要素もなく、実に明快で、力強く、美しい旋律が歌曲のように謳われる。第3楽章はロマンティックな楽章。
エリシュカが「第3番」を選曲した理由が良く解った。管楽器がそれなりの演奏をしたが、弦楽器の響きが優れていると思った。ドボルジャークの交響曲との繋がりを感じ取った気がした。座席にもよるが、P席で聴いていた時の印象との違いかなとも思った。勿論、エリシュカを過剰に意識した所為かも知れない。
ブラームスがドヴォルザークの音楽を高く評価して、「スラヴ舞曲集」の作曲に繋がったことは、先週のブログでも書いた。ドヴォルジャークもブラームスの葬儀(1897年4月)にも参列して、彼の追悼演奏会で自分自身のチェロ協奏曲を指揮したと言われている。
こんなわけで、ブラームスとドヴォルジャークの関係がこれほど深いものがあったのかと改めて気付いた次第である。

エリシュカにとって今シーズンの札響での共演は今回が最後であったが、各パートの首席・副首席奏者と握手を交わしてオーケストラ団員とステージ上での暫しの別れ。最後に、今月末に定年で退団するホルン奏者を称える場面にも登場。人間味あふれる対応に聴衆からも一段と大きな拍手。

今月21、22の両日、大阪フィルの定期演奏会でドヴォルジャークの交響詩《野鳩》、交響曲第9番などを演奏する予定になっている。多分Kitaraには2014年4月に帰ってくる。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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