宮崎陽江 ヴァイオリン協奏曲の夕べ

宮崎陽江というヴァイオリニストの名前はコンサートのチラシで何度か目にしていた。2007年から毎年Kitaraでリサイタルを開いているようである。11年、12月の「宮崎陽江ヴァイオリンの夕べ」に出かけてみる気になった。サン=サーンスの「ヴァイオリン・ソナタ第1番&第2番」の曲目に惹かれたのである。今までのヴァイオリニストのリサイタルで聴く機会のない曲だったので、チケットを購入した。小ホールでの開催で自由席だったが、行ってみると満席状態だった。札幌と繋がりのあるソリストなのかなと思ったほどであった。その演奏にも満足したことを覚えている。

今回のコンサートは、「宮崎陽江ヴァイオリン協奏曲の夕べ」というタイトルで小ホールでの開催ながら、矢崎彦太郎指揮札幌交響楽団と共演。

宮崎陽江(Yoe Miyazaki)はニューヨーク洲生まれ。幼少期をパリで過ごし、3歳よりヴァイオリンを始める。桐朋学園大学卒業後、奨学金で米国タングルウッド音楽祭に参加。97年、ジュネーヴ高等音楽院卒業。
これまでにヨーロッパ各地での演奏会、音楽祭に多数出演。スイスと日本を拠点として音楽活動を行っている。日本では札幌と東京でリサイタルを定期的に開催している。

矢崎彦太郎は1947年生まれ。東京藝術大学卒業。ブザンソン国際指揮者コンクールなどに入賞し、79年よりパリを拠点に指揮活動。イギリス、フランス、スイスの名門オーケストラに客演。これまでに東京交響楽団指揮者、ドイツやフランス等のオーケストラの指揮者を務め、02年以降東京シテイ・フィルの首席客演指揮者。04~09年、バンコク交響楽団音楽監督・首席指揮者。その他、アジアのオーケストラの指揮者を兼任。パリ在住。
彼の指揮するコンサートを聴くのは91、99、00、03年の札響との共演に続いて5回目である。

≪プログラム≫
 モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
        ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調K.219 「トルコ風」
 パガニーニ:イ・パルピティOp.13(ロッシーニの歌劇『タンクレディ』のアリア
                    「こんなに胸騒ぎが」による序奏と主題と変奏曲)
 フォーレ:組曲「マスクとベルガマスク」Op.112
      ヴァイオリン協奏曲 ニ短調Op.14

モーツァルトの序曲で幕をあげた。50名程度の編成とはいえ、小ホールでオーケストラの演奏を聴き慣れていないせいか、最初はうまく溶け込めなかった。

「第5番」はモーツァルトの5曲のヴァイオリン協奏曲の中で最も有名で親しまれている。第1楽章は力強くて堂々たる音楽。第2楽章はノクターンのような調べ。第3楽章は優美な旋律とトリオでのトルコ風の音楽の対比が印象的。トルコの軍楽隊のリズムがこの曲を際立たせている。40名弱のオーケストラをバックに宮崎陽江は最初は固い感があったが、次第にヴァイオリンの音を巧みにホールに響かせた。

後半のプログラムは3曲とも多分初めて聴いた曲。
パガニーニはヴァイオリンの技巧を最大限に発揮させ、オペラのアリアをヴァイオリンが歌う様は正に圧巻。宮崎はこの曲を弾き込んで得意にしているようで、技巧を駆使した見事な演奏。ヴァイオリン+オーケストラ版では日本初演だそう。

フランスの作曲家フォーレ(1845~1924)が1919年、モナコ大公の依頼で作曲したバレー音楽「マスクとベルガマスク」からの組曲。今夜は管弦楽曲化した〈序曲〉、〈メヌエット〉、〈ガヴォット〉、〈パストラル〉の4曲を演奏。抒情的な作品で知られるフォーレの曲がパリの風景を連想させながら、矢崎は踊るような仕種で身体全体をしなやかに使って、優美に、幻想的に躍動感あふれる指揮ぶりであった。

フォーレの協奏曲はこの「ヴァイオリン協奏曲」だけらしい。第1楽章のみの未完成のまま残された作品だが、単一楽章だが初めて聴いても盛り上がる部分があり、それなりにまとまった曲として聴ける。

宮崎陽江はヨーロッパでの活動で日本のコンサートではあまり演奏されないヴァイオリンの作品を弾く機会があって、それらの珍しい曲を日本で紹介しているのかなと感じた。今日は演奏を重ねるごとに、彼女のつやのある響きが伝わってくる印象を受けた。

アンコールに「タイスの瞑想曲」を弾いたが、札響との共演による演奏は一昨日の≪前橋汀子≫のピアノとの共演とはかなり違った感じの演奏が展開されて興味深かった。ピアノ版とオーケストラ版はCDではさほど違いが判らないが、実演でとその違いの大きさに意外な感じを受けた。

「2014年宮崎陽江ヴァイオリン協奏曲の夕べ」のチラシによると、来年の10月に東京オペラシテイとKitara大ホールでのコンサートが予定されている。日本公演に先立ってスロヴァキアでスワロフスキー指揮スロヴァキア・フィルとの共演も決まっている。満を持して活動の幅を大きく広げていくようである。

本日も満席状態のコンサートで、彼女の公演を祝う大きな花束が小ホールの入口に飾られていた。帰りに一人づつ見事なバラ一輪をお土産にもらうお客さんたちの列。みな嬉しそうな表情。
コンサートが終ってから、時計台ボランティアの仲間3人に声を掛けられ、帰りの道すがら交流が出来たのも、貴重なお土産になった。彼らは「札幌国際プラザ外国語ボランティアネットワーク」という組織の役員をしていて、偶に会うぐらいの関係だが、このような機会に音楽の話で意気投合して話し合えるのも得難い収穫。いつもより良い気分で家路についた。

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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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