マリア・マグダレナ・カチョル フェアウェルオルガンリサイタル

  マグダレナ・カチョルは1年間の任期を終えて来週には帰国するが、第15代札幌コンサートホール専属オルガニストとしての最後のコンサートが開かれた。在任中、彼女はKitaraで40公演を行い、サントリーホールや東京芸術劇場などにも招かれてコンサートを開催した。札幌市内の小・中学校を訪問してアウトリーチ活動にも積極的に参加した。その他、札幌交響楽団と共演する機会も何度かあった。

PROGRAM
レゾン:第5旋法のオッフェルトリウム「パリ人の王に栄えあれ」
ヴィヴァルディ/J.S.バッハ編曲:協奏曲 ニ短調BWV596
ヴィドール:オルガン交響曲第8番 ロ短調 作品42-4より 第3楽章 アレグロ
リスト/カチョル編曲:「詩的で宗教的な調べ」より葬送、1849年10月
エスケシュ:「復活のいけにえに」による5つのヴェルセット
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リスト:バッハの名による前奏曲とフーガ
ショパン:ノクターン第2番 作品9-2
アラン:組曲より スケルツォ JA70
コシュロー:シャルル・ラケの主題によるボレロ(パーカッション/藤原貴子、谷野健太郎)
ベートーヴェン:笛時計のための5曲より アダージョWoO 33
ベートーヴェン/カチョル編曲:交響曲第5番 ハ短調「運命」作品67より
                           第4楽章 アレグロ
 
レゾン(1650~1719)」やエスケシュ(1965~)の名は初めて聞く。
マグダレナは感受性が豊かであるが、8月に入って帰国が近づくにつれ感情が揺れ動くことが多いようだ。心なしか集中力に欠け、不安定な感じが素人目にも見て取れた。自ら編曲してCDにも収録したリストの曲はタイトルの通り、死者を弔うに相応しく、全体に重々しく暗い感じの曲。オルガンの響きが一層葬送の雰囲気を醸し出した。教会のオルガニストを務めているエスケシュの曲は彼が20年ほど前に作曲したと言われ、現在もローマ・カトリック教会の典礼で歌われているらしい。

後半のリストの後に予定していたヴィエルヌの幻想的小品集を変更して、ショパンの名曲を弾いた。ポーランドゆかりの作曲家の曲が入っていないことに急遽気付いて曲目を変更した。通訳を通して、この1年の演奏活動を振り返って語った。
コシュロー(1924~84)は去る2月のコンサートでも取り上げた作曲家であるが、彼はパリのノートルダム大聖堂のオルガニストを務め、世界的に評価が高い演奏家だったそうである。74年にノートルダム大聖堂で録音された即興演奏を息子のジャン=マルクが書き起こしたものをオルガンとパーカッションで演奏。10分余りの魅力的で変化に富んだ曲であった。この曲目は聴衆への“サプライズ”として彼女が用意したプログラムで盛り上がったのではないか。

ベートーヴェンのオルガン曲は自動演奏のオルガン用に作曲され、2月に開かれたオルガン・ウインターコンサートで4手編曲版でモニカ・メルツォーヴァと共演した曲。懐かしかったが4手版の方が迫力があった。
本日の圧巻は何と言っても、最後のベートーヴェンの有名な作品のオルガン編曲版。彼女はこの作品を演奏しようと思った切っ掛けは、Kitaraのオルガンが生み出す大きくて、美しい音色だったと言っている。オーケストラのような楽器の持つ迫力が彼女にベートーヴェンの「運命」を編曲して実際に演奏してみようと思わせたのである。忙しい演奏活動の合間を縫っての編曲の作業は大変だったと容易に想像がつく。素晴らしい演奏であった。勿論、プロの編曲家ではないので、スムーズな流れではない箇所もあったが充分に楽しめた。

今日の演奏会で気になったのは、私の真後ろの座席に座った年輩と思われる男性(顔は見なかったが、、、)が、後半のショパンの曲以降、1曲終わるごとに“ブラボ”と叫んでいたことであった。引っ込みがつかなくて何度も“ブラボ”と声を発したようだったが、叫んだ後の呼吸が苦しそうであった。こんな歓声を上げた人は、初めてであった。感動したのは判るが、最後は義務的に叫んでいるように思えた。人それぞれの感情の表現があっても良いが、不自然な感じがした。

マグダレナ・カチョルは最後に通訳を通して別れの挨拶をした。Kitaraの何人かの職員の名前を上げて長々と感謝の言葉を述べていたが、演奏会ではチョット場違いではないかと思ったのが正直な感想。間もなく札幌を離れることで、いろいろな感情がこみあげてきて万感胸に迫るものがあった様子。日本を去り難い様子が見てとれ聴衆の中には感動した人も多かったと思う。彼女の心境を推し量ることはできたが、日本語で“アリガトウ”や“サヨナラ”の言葉を発しなかったのは極めて残念ではあった。
アンコールに応えて30秒ほどの短いポーランドの曲を弾いて、Kitaraのオルガンに“Thank you so much.”と話しかけ、1年間親しんだオルガンに最後の別れを告げた。

彼女は帰国して直ぐヨーロッパ数カ国での演奏会の日程も入っているように聞いているが、今後一層の演奏活動の活躍を期待している。






  
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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