PMF-GALAコンサート(指揮:準・メルクル、ヴァイオリン独奏:レーピン) 2013

PMF-GALA CONCERT
 
PMF-GALAコンサートは2012年から最終日のピクニックコンサートの前日にKitara大ホールを会場にして第Ⅰ部、第Ⅱ部に分けての開催となった。第Ⅱ部がそれまで開催されてきた「PMFオーケストラ演奏会」となる。今年は昨年と同じスタイルでの開催。

第Ⅰ部
 司会:天羽明恵(ソプラノ)
 準・メルクル(指揮)、 ワディム・レーピン(ヴァイオリン)、 小山実稚恵(ピアノ)、
 ダニエル・マツカワ(指揮)、カナディアン・ブラス、 新国立劇場オペラ研修所修了生、
 PMFオーケストラ・メンバー、 PMF-GALA合唱団

《演奏曲目》
  シャイト:音楽の諧謔 第Ⅰ部ー第21番 戦いのガイヤルド
  J.S.バッハ(ロム編):フーガ ト短調 BWV578 「小フーガ」 
  ガーシュイン(ヘンダーソン編):必ずしもそうじゃないぜ
  リムスキー=コルサコフ(ライデノー編):
   歌劇「皇帝サルタンの物語」から「くまんばちの飛行」 (演奏:カナディアン・ブラス)

  チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォ(レーピン(vn), 小山(p))
  べりオ:「フォーク・ソングズ」から (天羽(S),マツカワ,PMFオーケストラ・メンバー)
  リスト:「巡礼の年 第2年 イタリア」から第7曲「ダンテを読んで」(小山(p))

  ヘンデル:楽劇「エジプトのジュリアス・シーザー」から クレオパトラのアリア(吉田和夏)
  モーツァルト:歌劇「魔笛」から 夜の女王のアリア(倉本絵里)
  マスネ:歌劇「エロディア―ド」から サロメのアリア(立川清子)
  プッチーニ:歌劇「つばめ」から マグダのアリア(柴田紗貴子)              
   *ソプラノ歌手4名は新国立劇場オペラ研修所の修了生、準・メルクル指揮PMFオーケストラ
  
  ホルスト(田中カレン編):PMF賛歌~ジュピター~
   準・メルクル指揮PMFオーケストラ、天羽明恵、上記4名のオペラ研修所修了生、
   PMF-GALA合唱団(北海道札幌旭丘高等学校合唱部)

ガラ・コンサートの最初のプログラムは「カナディアン・ブラス」。この金管五重奏団は40年以上にわたって世界中でファンが多いスーパー・ブラス・クインテットとして知られているらしい。25日の演奏会は特に中学生・高校生の吹奏楽部の生徒を含めたブラス・ファンで賑わったようである。ステージではスニーカーを履いて演奏。(動きながら演奏するのに靴音を立てないためとのこと)

ヴァイオリンの巨匠レーピンと日本を代表するピアニスト小山実稚恵の共演はガラ・コンサートならではの豪華なコラボレーション。小山実稚恵は99年、01年のPMFプログラムでN響との共演以来PMFには3回目の参加。Kitara小ホールで06年から12年間にわたる全24回のリサイタルシリーズを毎年2回開催している。

天羽明恵はソプラノ歌手として活躍しているが、昨年のガラ・コンサートでは司会も担当して本業の歌以外でも優れた才能を発揮した。

4人の新人オペラ歌手のプログラムもガラ・コンサートの魅力。オペラ研修所は音楽大学卒業資格が入所条件で4人とも大学院修了後に入所した。3年間の課程を今年修了して、海外でのオペラ歌手を目指していると夢に燃えていた。

PMF賛歌~ジュピター~のプログラムは昨年から始まったが、とても良い試み。音楽祭に参加した聴衆を含む全員が心を一つにして歌うのが素晴らしい企画。今年は全日本合唱コンクールで文部科学大臣賞を受賞した北海道旭丘高等学校合唱部と聴衆が共に歌うことになったのも嬉しい。《ホルスト作曲の組曲「惑星」より》の格調の高い音楽を希望と喜びを込めてみんなで一緒に歌い上げるなんて何と素晴らしいことか!(休憩時間中にホアイエに天羽明恵の指導で札幌市長を始め多くの人が集って予め練習した。)

第Ⅱ部
 PMFオーケストラ演奏会(プログラムC

 ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調(ヴァイオリン独奏:ワディム・レーピン)
 ベルリオーズ:幻想交響曲
 
ワディム・レーピン(Vadim Repin)は1971年ノヴォシビルスク生まれ。樫本大進と同じザハール・ブロン門下で兄弟のように育った世界の逸材。弟弟子のヴェンゲーロフもロシアのノヴォシビルスク(札幌の姉妹都市)出身で彼らは10代の頃からヴァイオリン界では有名な存在。レーピンは弱冠11歳でヴィエニャフスキ国際コンクール全部門で金賞。14歳で東京デビュー。17歳で、エリーザべト王妃国際コンクールに史上最年少で優勝。オイストラフの時代以来のロシアの星として世界の名門オーケストラと共演を重ねている。
レーピンは85年から度々来日公演を行っているが、Kitaraにはこれまで3回登場している。最初は99年6月、フェドセーエフ指揮チャイコフスキー・モスクワ放送交響楽団と共演。チャイコフスキーの協奏曲を弾いた。(この時の日本ツアーのソリストに小山実稚恵の名前があった。お互いに会う機会があったかも知れないと思った。)2回目の06年11月はリサイタルで、今日の午後第1部で弾いたチャイコフスキーの「ワルツ・スケルツォ」の他にブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番、ショーソンの詩曲、ワックスマンのカルメン幻想曲などを演奏した。 その折に買ったCDにサインを貰った。精悍な顔つきで頑固そうな外面とは大違いで、演奏後にサインをしてくれた時はとても優しい人だと強い印象を受けた。その時のサインが下記の画像。09年にはクラウス・ペーター・フロール指揮マレーシア・フィルハーモニー管弦楽団との共演でブラームスの協奏曲を演奏した。欧米各地の著名音楽祭に招かれているが、今回のPMF初出演は喜ばしい限り。
   
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ブルッフ(1838~1920)はドイツの作曲家。彼の作品で最高傑作として頻繁に演奏される曲の1つがこの「ヴァイオリン協奏曲第1番」。1867年に完成して、当時の大ヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムに献呈された。独奏ヴァイオリンがカデンツァのように甘美な旋律を奏でて始まる楽章は、切れ目なしに第2楽章に続き、美しい旋律に満ち溢れたロマンティックで瞑想的な世界が広がる。第3楽章は生き生きとして、華やかなクライマックスが繰り広げられるフィナーレ。
4大ヴァイオリン協奏曲の次に位置づけられる曲をレーピンは繊細で優美に魅力的な演奏を行なった。年齢を重ねて、気品が出てオーラを発している様子はさすがヴァイオリン界の巨匠と言えよう。

ベルリオーズ(1803~69)はフランスの作曲家で、彼の代表作が「幻想交響曲」。PMFでは08年にもファビオ・ルイジが演奏曲目に選んだ。昨年11月のゲルギエフ指揮のマリインスキー歌劇場管の演奏曲にもなってブログで書いた。最近は聴く機会が多くなって、すっかり馴染みの曲になった。
ベルリオーズが、ある女性への恋に破れてアヘンで服毒自殺を図るが死ねずに、奇妙な幻想を見るという自分自身の体験を作品にした。
第1楽章「夢・情熱」。ベルリオーズが夢の中で描いた恋人の理想像。ヴァイオリンとフルートで表される。第2楽章「舞踏会」。交響曲にワルツが使われた初めての曲、華やかな舞踏会で芸術家は恋人に出会う。第3楽章「野の風景」。田園にやってきた主人公の青年は夕暮時2人の羊飼いが笛を吹き合っているのを聞いた。イングリッシュ・ホルンとオーボエの二重唱と田園の風景が彼の心を和ませ、恋人の面影が心に浮かぶ。笛の応答が無くなると最後には孤独感に襲われる。第4楽章「断頭台への行進」。彼は夢の中で恋人を殺してしまった。そして死刑を宣告され、断頭台へと向かう。死の直前に恋人のイメージがよぎるが、行列の荒々しい気分に消されてしまう。第5楽章「悪魔の祝日の夜の夢」。彼の葬儀に集まった魔女たちの宴。恋人も現れるが、今度は醜い姿となっている。やがて、弔いの鐘が鳴り響き、魔女の踊りも狂乱化して壮絶なクライマックスとなる。

今回とても印象的だったのは、第3楽章のイングリッシュ・ホルンとオーボエの応答の演奏。片方の奏者を探してみたがステ―ジ上にいなくてなかなか見つからなかった。第3楽章のハイライトであったが、教授の信頼の厚いアカデミー生が演奏を担ったのだろう。演奏終了後、舞台に出てきて拍手喝采を浴びていたが、面白い演出であった。鐘の音も下手のドアーを開けて、舞台裏からの演奏であったが、他の演奏会でも鐘が舞台裏から鳴ることは経験していたので驚きはなかった。

今日がPMF2013のKitara公演の最終回。午後3時開演で休憩をはさんで終了が7時半。明日、芸術の森でのピクニック・コンサートで札幌ではPMF2013も幕を閉じる。私は、昨年は芸術の森のコンサートに2回足を運んだが、今年は芝生の上で楽しむ機会を持たなかった。Kitataの会場だけのコンサートで済ませたが、9回も楽しんだ。今迄のPMF鑑賞は年5回ほど、昨年が7回、今年の9回は最多だったが、来年からは減ることになるだろう。いずれにしても安い料金で多くのコンサートを楽しませてもらった。PMF2013の開催に関わった関係者に心から感謝したい。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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