ユンディ・リの来日公演中止


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 2000年の第14回ショパン国際ピアノコンクールに優勝して世界中で話題を集めて華やかなデビューを飾ったユンディ・リの来日公演が中止になった。尖閣諸島問題で中国政府から日本訪問の中止要請を受けたらしい。日本にはユンディ自ら希望の公式ファンクラブが5・6年前に東京に発足して全国に広がり、来日公演の折に交流イベントが毎回のように企画されているようである。

 ユンディ・リが初めて札幌にきたのが2001年4月、札幌メディアパーク・スピカで公演が行われた。当時は会場がKitaraでないことに不満があったが前年11月のガラ・コンサートに出演できなくて、Kitaraの会場を予約できなかったのだと思う。結果的にはテレビカメラを駆使していろんな角度からピアニストの表情や手の動きなどを見ることができたのでいつもと違った音楽鑑賞が楽しめたのは事実である。この時にコンクールで彼が演奏した曲のCDをすぐ買い求めた。

 2002年8月Kitara初登場。客席は満席。圧倒的な存在感でショパンとリストを弾いた。演奏会終了後のホワイエはCDを買い求めてサインを貰う客の長い列とユンディ・リ(木村拓哉に似た甘い顔)をカメラに収めようとする人々で辺りは少々騒然としていた状況が今でも目に浮かぶ。それぐらいユンディ・リの人気は凄かった。

 その後、彼はショパンとリストを集中的に勉強して、2006年にショパンとリストの「ピアノ協奏曲第1番」で真価を発揮したと音楽評論家の間で評価が高まった。記事中の写真はYundi LiがCDやプログラムに中国語で「李雲廸(由にシンニュウ)」とサインを入れていることがあるので載せてみました。

 3回目の来札はKitara10周年記念コンサートシリーズとして2007年9月にロリーン・マゼール指揮トスカニーニ交響楽団とプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番を演奏した。プロコフィエフの曲で有名なのは3番なのだが、2007年7月にベルリン・フィルハーモニーで小澤征爾指揮ベルリン・フィルとの共演でこの2番でベルリン・フィル・デビューを果たして成功を収めていた。
 当日の札幌のコンサートでもサインを求める列が余りにも長くて、私は後で小澤とユンディの輸入盤CDを店で購入した。そのうちユンディのCDに中国語の直筆のサインをもらい、彼と一言二言でも言葉を交わしたいと思っている。

 4回目の札幌公演はSTV創立50周年記念として2008年1月にあった。今度はリサイタルでショパンやリストのほかにムソルグスキーの「展覧会の絵」が演奏された。繊細で真面目な性格のユンディは焦らずにコツコツと勉強を積み重ねてレパートリーを徐々に増やしている様子が感じ取れた。

 5回目の2009年12月はワレリー・ゲルギエフ指揮マリンスキー劇場管弦楽団と共演でチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」でした。これはKitara が大好きでロンドン交響楽団やマリンスキー劇場管弦楽団と何回も来札公演を行っているゲルギエフが、チャイコフスキー・チクルスと称して2日連続で交響曲4・5・6番とピアノ協奏曲を組み合わせた結果、前々回の意欲的な挑戦的な選曲と違って定番の演奏曲となりました。

 6回目はユンディ・リ ピアノ・リサイタル2010として2010年4月にオール・ショパン・プログラムで開催された。主催会社のチケット販売方法に問題があり、特別先行発売があって最も高いチケットの価格にも関わらず、割り当ての席は演奏者の後姿が見える席で、普段の演奏会なら一番安い席に相当するか、聴衆が少ない時には販売しない席であった。かなり多くの人々が主催会社に抗議の電話をかけたようであった。私自身も納得がいかずに会社の事業部長に40分近くも電話で抗議した。

 コンサートの宣伝のチラシに演奏曲目の案内もなく、当日のプログラムも渡されずに聴衆の中には最後まで曲目も解らずに聴いていた人々が少なからずいたようである。私自身は音楽雑誌を通してプログラムは承知して出かけた。会場でプログラムを購入したが、予定のプログラムと内容が一部変更になっていたが、これは問題ではなかった。
 コンサート会場で当日のプログラムが全く知らせられずに実施された演奏会は後にも先にもこの時だけである。幸いなことにコンサート前日には動揺する気持ちを完全に切り替えてユンディの奏でる繊細で緻密なメロディに集中できて、ノクターンやソナタ第2番を堪能してホールを後にした。

 ユンディの世界に浸る7回目のコンサートが9月26日だったのだが、公演中止となったのは残念至極である。ベートーヴェンの3大ソナタは是非聴いてみたかった。政治と経済の分離はよく叫ばれるが、文化がその巻き添えになるのは堪らない。ユンディも20代の最後と30代の初めを迎える節目の時に一番残念に思っているに違いない。本人の意思でなく国家の介入で文化交流の機会が失われるのは誰しも望むところではない。こういう微妙な時にこそ文化交流を進めるチャンスなのだ。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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