PMFホストシティ・オーケストラ札幌交響楽団演奏会(2013)

PMF札響コンサートPMF Host City Orchestra-Sapporo Symphony Orchestra Concert (July 17)

指揮:準・メルクル
管弦楽:札幌交響楽団

準・メルクル(Jun Markl)は1959年、ミュンヘン生まれ。父がドイツ人、母が日本人。93年、ウイーン国立歌劇場で「トスカ」を指揮。99年、メトロポリタン歌劇場で「イル・トロヴァトーレ」を指揮。2000年ウイーン国立歌劇場日本公演に登場。歌劇場音楽監督・芸術監督の経験を積んで、フランスのリヨン国立管弦楽団の音楽監督に就任(05~11年)。ミュンヘン・フィル、パリ管、ボストン響、シカゴ響などに客演。日本のN響とは定期公演で客演が多く、水戸室内管との共演も度々ある。13年4月、日本の国立音楽大学の教授に就任して後進音楽家の教育にも並々ならぬ関心を示す。
PMF参加は3回目。05年にはN響演奏会でベルリオーズの「幻想交響曲」を指揮、08年にはPMFオーケストラ演奏会でメシアンの「トゥランガリラ交響曲」で話題を呼んだ。

演奏曲目:
  
 ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲 第1番(チェロ:ヴィルヘルム・プレーガル)
 ブラームス:交響曲 第1番

ヴィルへルム・プレーガル(Wilhelm Pflegerl)はオーストリア出身の新星のチェリスト。04年にPMFアカデミー生として参加し、今回は教授陣としての参加。「PMFウィ―ン弦楽四重奏演奏会」などでのチェロ奏者としての活躍は見事であった。今晩はソリストとして活動。

ショスタコーヴィチ(1906~75)は2曲のチェロ協奏曲はロストロポ―ヴィチのために作曲した。第1番は1959年に作曲され、同年10月にロストロポーヴィチが初演を行なった。前衛的で斬新な感じでありながらも、全体に軽快な印象を受ける。しかしながら、彼の戦後の作品には次のような共通の特徴がある。ソ連という当時の政治体制の中で、体制を支持する姿勢を装いながら、表面的な楽しさの裏に人々の不満や苦悩をそれとなく描いている。
第1楽章の冒頭は何処となく、おどけた感じ。第2楽章は悲しげなメランコリックな表情。第3楽章は長大なカデンツァ。プレーガルの技巧が光る。第4楽章には第1楽章の第1主題が反復されて、この曲の諧謔的な印象づけが深まる。ホルンの聴かせどころが多く、ソロ・ホルンが奏でる旋律が非常に印象的であった。チェレスタがこの曲で使われるのも興味深かった。ショスタコーヴィチの曲に対する距離感がかなり縮まったような気がする。

「ブラームスの第1番」を札響は昨年《夏の特別演奏会》で小林研一郎指揮で演奏しており、12月の定期でもアレクサンダー・シェリー指揮で演奏した。指揮者の指示は違っても慣れた曲なので札響にとって得意の曲になっているかも知れない。この曲は〈ベートーヴェンの第7番〉と共に聴衆のお気に入りの交響曲のようだ。
 今日のプログラムは当初、特別首席指揮者を予定されていたイルジー・コウトが選曲したと思うが、準・メルクルは忙しいスケジュールを調整して代役をこなした。今回は指揮者の様子がよく見てとれるP席の正面から鑑賞した。メルクルは極めて丁寧で上品な指揮ぶり。

ブラームス(1833~97)が「交響曲第1番」を完成させるのに長い時間を要したことはよく知られている。1862年に第1楽章の初稿は完成していた。その後、中断して全楽章が完成したのが76年。
第1楽章はティンパニの連打を伴う印象的な序奏は「ベートーヴェンの第5番」を想起させる。ドラマティックな曲の展開で交響曲としての面白さに引き込まれる。第2楽章は緩徐楽章、第3楽章は間奏曲のような感じで、ブラームスの誠実な人間性が読み取れる気がする。それぞれ美しい旋律が魅力的であるが、いよいよ私が好きな第4楽章に入る。最終楽章では第1楽章と同じような序奏部は長大で、疑念を捨て去り希望に燃える姿が歌われる。ホルンの響きがこだまして「歓喜の音楽」が奏でられる。「ベートーヴェンの第9番」を想起した。苦悩を通してから得た歓喜の表現。第4楽章でやっと登場した金管楽器。3本のトロンボーンが輝きを添えた。
何度も聴いている曲ではあるが、このような聴き方をしたのは初めてかも知れない。金管奏者の楽譜が見える席で、最終楽章まで彼らの出番がないのに今迄気付いていなかった。そういう意味でもいろいろな座席から聴くと違った角度から曲を鑑賞できる面白さを味わった。

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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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