佐藤美枝子 & 堀内康雄 Joint Recital

7月はPMFのコンサートが沢山あり、札幌コンサートホール主催のプログラムも加わって忙しいスケジュールになっている。チラシで上記のコンサート開催を知って聴き逃せないという想いが強く、キャンセルのコンサートが出たこともあって思い切ってチケットを購入した。7月は13回Kitaraに通う予定。

佐藤美枝子は1998年、第11回チャイコフスキー国際音楽コンクール声楽部門で日本人初の第1位を受賞。03年9月、Kitaraで開かれたソプラノ・リサイタルに出かけた。
丁度10年前のことで、当時のプログラムを見ると團伊玖磨、山田耕筰の日本の歌のほかに、ロッシーニ、ヴェルデイ、ドニゼッティなどの歌劇のアリアが歌われている。ヘンデルの「懐かしい木陰で」はいろんな歌手の歌で聴いたことあるので懐かしい。彼女の歌声が響いてくるほどの印象は残っていない。
日本の歌手では90年代から《佐藤しのぶ》の歌声は4・5回聴いていることもあり、その歌のイメージが湧いてくる。《中丸三千繪》も3回ほど聴いている。やはりオペラ歌手は華やかな雰囲気も求められるので、歌声と共に彼女のステージに期待したい。

堀内康雄はKitaraのステージには、イヴェントの折のソリストとして度々登場している。Kitaraがオープンした頃、北海道出身の歌手と共にバリトン歌手として客演した時の彼の歌声に惹きつけられた。その時から一度リサイタルで聴いてみたいと思っていた。慶応大学卒業後、ミラノ・ヴェルディ音楽院へ留学して音楽の道に進み、トゥ―ルーズ国際声楽コンクールほか数々の国際コンクールで優勝。海外で活躍していたが2年ほど前に武蔵野音楽大学教授に就任して日本を活動の本拠地にした。

二人ともに海外でのオペラ出演も多く、国内では藤原歌劇団団員として活躍している様子は想像できた。今回は武蔵野音楽大学同窓会道央支部主催のコンサートで幸いに彼らのリサイタルを聴くチャンスに恵まれた。堀内康雄は今年の初めモーツァルトの「皇帝ティートの慈悲」で主役をこなしたはずである。

本日のプログラム:
 
 佐藤 美枝子(ソプラノ)、 堀内 康雄(バリトン)、 三ッ石 潤司(ピアノ)

[第1部]
 平井康三郎:≪日本の笛≫より 「祭りもどり」、「親船小船」
 畑中良輔:まるめろ                      (Br)

 山田耕筰:赤とんぼ、 小林秀雄:落葉松            (S)
 グルック:ああ、私の優しい熱情が、 ヴェルディ:孤独な部屋で (Br)
  
 チェスティ:私の偶像のまわりにある人よ、  ドナウディ:ああ愛する人の (S)
 トスティ:君なんかもう                    (Br)
[第2部]
 ドニゼッティ:オペラ≪シャモニーのリンダ≫より 「おお、この魂の輝きよ」 (S)
 ドニゼッティ:オペラ≪愛の妙薬≫より 「愛らしいパリスのように」(Br)
 ベッリーニ:オペラ≪夢遊病の女≫より「ああ、信じられないわ」  (S)
 ヴェルディ:オペラ≪椿姫≫より「プロヴァンスの海と陸」     (Br)
 ヴェルディ:オペラ≪椿姫≫より「天使のように清らかな娘が」   (S, Br)

彼らは大ホールの3階まで届くほどの声量を持ち合わせている。第1部は声量は十分すぎるぐらいであったが、堀内の声に力が入り過ぎているのか、勢いのある歌詞の為か、抒情味が足りないような感じがした。日本の歌や歌曲は言葉が特に大事なので、伝え方や聴き方が難しいこともあって、いまひとつ心に響かないものがあった。

ところが第2部に入ると、オペラのアリアなので聴かせどころがたっぷりで、バリトンの歌声も声量に加えて極上のつややかさが伴って素晴らしい響き。歌うごとに乗ってきた感じ。堂々としていて貫禄充分。海外での活躍ぶりが判る歌唱力と演技力。
ソプラノは声質が何種類かに分けられるが、いくつかの歌では《佐藤しのぶ》と同じような声質を持っているように感じた。勿論、いろいろな声の出し方が出来るので、コロラトゥラとしても相当な声が出ていて、普通の人では出せない範囲まで伸びやかに声が出るのは流石であった。彼女は華やかさも持ち合わせていた。

本日の圧巻は何と言っても「椿姫」。第2幕、第5場。ここで歌われるジェルモンとヴィォレッタの二重唱はオペラ全体の中でも聴きどころでもあり、その後の展開の重要な場面。息子と別れてくれと頼むジェルモン。心からアルフレードを愛していると告げ、ヴィオレッタは拒むが最終的には受け入れる。実際のオペラの場面が17分ほど演じられたが、迫力に満ちたオペラの情景であった。

1人だけのリサイタルでは味わえない感動。日本を代表するバリトンとソプラノのジョイント・リサイタルを聴きに来た甲斐があった。実はこれと全く同じ場面が昨年のPMFのマリス・ペーターゼン(S)とロベルト・セルヴィーレ(Br)のデュオ・リサイタル(ピアノ:ファビオ・ルイジ)でも演じられて感動したのである。今日のプログラムには具体的な内容が載っていなかったので、二重唱が入るとは思っていても歌の展開が判っていなかった。それだけに予想もしない展開と海外で身に着けた彼らの熱演が聴く者の心を揺さぶった。交互に1曲ずつ歌うやり方は単調に陥りがちである。プログラム最後の演目に満員の聴衆全員が満足感を覚えたと思う。

当日券を売り出していたので、客入りは大したことがないのかと思ったら、指定席(453席)では売り出さない予備の席まで用意しなければならないほどの状態。小ホールには今迄120回は来ていると思うが、ステージ横2階の予備席が使用されたのを見たのは2回目で珍しいことである。(予備席は20席ある。)指定席で売り出す場合は多分こんな事はなく、自由席でチケットを売り出した時に予備の席を使うのかなと思った。全席完売でも、予備の席は売り出さないのを不思議に思っていたが、どうやら自由席の際に満席になった場合に予備席を使用するのかも知れない。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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