PMFウィ―ン弦楽四重奏演奏会(2013.7.9)

PMFウィーン弦楽四重奏演奏会

PMFの創設者レナード・バーンスタインの遺志を継いで第2回のPMFからウイーン・フィルハーモニー管弦楽団首席奏者たちが教授陣に加わりPMFを支え始めた。1991年からウィ―ン・フィルのメンバーによる室内楽演奏会がスタートしたのである。

当時はオーケストラやソリストのコンサートを聴きに行っていたので、室内楽を聴くことは殆ど無かった。室内楽を初めて聴いたのが、98年の「PMFウィ―ン弦楽四重奏演奏会」だった。札幌コンサートホールKitaraが出来た翌年に大ホールで行われた。出演者は“The Vienna String Quartet ”(ウィーン弦楽四重奏団)のメンバー。ヴェルナー・ヒンク(vn)、フ―ベルト・クロイザマー(vn)、ハンス・ペーター・オクセンホーファー(va)、フリッツ・ドレシャル(vc)。彼らの室内楽は03年にも聴いた。

08年にはライナー・キュッヒル率いる“The Wiener Musikverein Quartett”(ウイーン・ムジークフェライン四重奏団)による「PMFウィーン弦楽四重奏演奏会」。このカルテットはPMFでは同じ名称になっているがウィーンでは別の団体である。メンバーはキュッヒル(vn)の他はエックハルト・ザイフェルト(vn)、ハインリッヒ・コル(va)、ゲルハルト・イーベラー(vc)。この弦楽四重奏団は“キュッヒル・カルテット”と呼ばれることもある。

PMFの室内楽では弦楽四重奏の他に、いろいろなアンサンブルの演奏会も開かれてきた。

今日のPMFヨロッパのメンバー:
 ライナー・キュッヒル(vn)、ダニエル・フロシャウアー(vn)、
 ハンス・ペーター・オクセンホーファー(va)、ヴィルヘルム・プレーガル(vc)。

キュッヒルは1950年生まれ。71年、21歳でウィ―ン国立歌劇場管弦楽団とウィ―ン・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターに就任。77年、ウィ―ン楽友協会弦楽四重奏団として知られるキュッヒル・カルテットを結成。PMFには93、96、02、05、08に続いて6回目の参加である。05年にはサッシャ・ゲッツェル指揮PMFオーケストラ演奏会でソリストとして「ベート-ヴェンのヴァイオリン協奏曲」を演奏した。
オクセンホーファーはPMFには96年以降11回目の参加。彼は1948年生まれで、来年は定年を迎えるので今年が最後になるかもしれない。他の2人はPMF初参加である。

本日の演奏曲目:
 ハイドン:弦楽四重奏曲 第30番 変ホ長調 作品33-2 Hob.Ⅲー38「冗談」
 モーツァルト:弦楽四重奏曲 第21番 二長調 K.575「プロイセン王第1番」、
        ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 K.478(ピアノ:沢木良子)
 ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第15番 変ホ短調 作品144

ハイドン、モーツァルトの時代は宮廷や貴族の屋敷で弦楽四重奏曲の演奏が行われていたと考えられる。
膨大な弦楽四重奏曲が作曲されているが、何となく明るくて澄みきった簡潔な曲が多いのが特徴のように思われる。余りに作品が多くて作品番号を入れないと区別できない程である。
キュッヒルがリードする室内楽の素晴らしさは最初から際立っていた。鳥肌が立つような演奏が始まった。今日のハイドンの第4楽章のフィナーレはユーモアがある曲調で、ジョークが感じ取れた。

モーツァルトの曲は優しい、柔らかな曲調で、第3楽章でのチェロのメロディの美しさが印象的であった。ピアノ四重奏曲は弦楽四重奏曲と雰囲気が変わって、四重奏曲の面白さを味わえた。
ピアニストの沢木良子が世界の一流奏者と渡り合える演奏は凄いと思った。(彼女は07~09の3年間PMFピアニストとして参加していたが、ソリストの伴奏者のイメージを持っていた。)

プログラム前半に3曲、休憩後にショスタコーヴィチの曲が演奏された。彼の弦楽四重奏曲は第3・8・11番の3曲が入っているCDを数回聴いていたが、現代曲でも思っていたほどの違和感はなく、今までの演奏会でも何となく聴いていた。ところが、今日の後半の曲が始まった途端に今までにない魔力に惹かれた。小ホールで聴く音の受け取り方とキュッヒルの魅力によるものなのか。不思議である。6つの楽章は、すべてアダージョで書かれ切れ間なく演奏された。第1楽章エレジー、第2楽章セレナード、第3楽章インテルメッツォ、第4楽章ノクターン、第5楽章 葬送行進曲、第6楽章エピローグ。〈ソ連の国家体制と苦闘した作曲家〉として注目して、彼の生誕100年の2006年から一時集中して聴いたことがあった。
今日の曲は各楽章に標題が書かれていることもあり、国家の個人に対する抑圧を受けながら人間性を守り抜く強さの必要性がカルテットの演奏を通して迫ってくる感じがした。前半の四重奏曲とは対照的なプログラミングに、鑑賞の切り替えが出来て深みのある演奏に感動した次第である。

アンコール曲は一転して明るい曲。
ハイドン:弦楽四重奏曲 第37番(?)ロ短調 作品33-1 Hob.Ⅲ―37 第1楽章。
(作品33の6曲は《ロシア大公に献呈》と書かれているので「ロシア四重奏曲」の名で呼ばれていると言う。今日の最初の演奏曲目が作品33-2 Hob.Ⅲー38だった。それ故、会場でボードに書かれていた「第37番」は変ではないかと思った。)

今日の演奏会はKitara小ホールが会場で午後2時から行なわれた。この種のコンサートがウィークディのアフタヌーンに開催されたのは珍しい。1階に空席が少しあったが2階席は満席状態であった。休憩時間中に男性用トイレが列を作って並ぶ状態は小ホールではあまり記憶にない。

昨年のPMF弦楽四重奏演奏会は「東京クヮルテット」の演奏会で盛り上がって忘れ難いものとなったが、今日の演奏会では≪室内楽≫の良さをじっくりと味わえてとても良かった。聴衆も心地よい気分でコンサート会場を後にしたようである。

追記:アンコールのハイドンの曲番は正しいようですね。信じられませんが、プログラムの番号の30番が間違いで「38番」が正しいように思われます。素人にとっては、どうでもよいことですが、音楽を専門にする人には正確であってほしい。(私は素人ですから、正確なところは解りませんが、、、)


 
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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