札響夏の特別演奏会 ザ・プリンシパルズ~札響管楽器首席奏者たち~

Sapporo Symphony Orchestra The Pricipals
 ~札幌管楽器首席奏者たちとボレロの祭典~

[指揮] 尾高忠明  [管弦楽] 札幌交響楽団
 
[独奏] 札幌交響楽団首席奏者たち
  [フルート] 高橋 聖純  [クラリネット] 三瓶 佳紀 
  [オーボエ] 金子 亜未  [トロンボーン] 山下 友輔

曲目
  尾高尚忠:フルート協奏曲
  モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
  グレンダール:トロンボーン協奏曲
  モーツアルト:オーボエ協奏曲 ハ長調 K.271k
  ラヴェル:ボレロ

数年前から札響のコンサート・マスターやヴィオラ・チェロの各首席奏者たちが札響定期演奏会でソリストを務めるのが珍しくなくなっているのは、札響楽団員のレヴェルが高くなっている事を示している。
今回、札響管楽器首席奏者たちがソリストとして札響特別演奏会の舞台に登場することは極めて喜ばしい。彼らの演奏技術や音楽性が高まっている証で、お互いに切磋琢磨していく上でこの上ないプログラムである。期待して彼らの演奏会に臨んだ。
 
尾高尚忠(おたか ひさただ)は札響音楽監督の父君(1911~51)。戦前から戦後にかけての日本のオーケストラ界で指導的役割を果たした作曲家・指揮者。現在、優れた作曲活動に対して《尾高賞》が設立されている。2009年6月、Kitaraで開催された〈第10回現代日本オーケストラ名曲の夕べ〉で尾高忠明札響音楽監督指揮の下で≪尾高尚忠:交響曲第1番≫が演奏された(管弦楽:札響を中心とするオールジャパン・シンフォニーオーケストラ)。 
フルート首席奏者の高橋聖純はモーツァルトの協奏曲の方が得意であったかも知れないが、指揮者と繋がりのある協奏曲を演奏する機会を与えられたのは、技量を高く評価されてのことではないかと思った(勝手な推量ですが、、、)。
この曲は現代曲とは言っても、美しい旋律も繰り返し現れて躍動感に満ちている曲で親しみやすい。プロだから当然かもしれないが、暗譜で吹くのだから大変な練習時間を要したと思われる。高橋聖純はフルートの美しい音色を素晴らしいテクニックで響かせ、その繊細で且つ堂々たる演奏ぶりは頼もしさを漂わせた。指揮者も父親の曲の演奏に感慨深いものがあったに違いない。

モーツァルトのクラリネット協奏曲はクラリネットの傑作として親しまれている。彼の死のわずか2ヶ月前に作曲された。クラリネットの持つ陰影に富んだ音色が限りなく美しい広がりのあるメロディを作り上げている。澄みきった天空に安らぎが広がっていくさまが感じ取れる。簡潔であるが明るく天国的な気分に満たされる。聴いていて気持ちが晴れやかになる曲。
三瓶佳紀はこの曲の演奏経験も豊富な様子で、曲の持つ良さが充分に伝わってきた。Kitara大ホールでソリストとして演奏する気分は最高だろうと思った。

トロンボーン曲のCDは1枚も持っていなくて、グレンダールの名も初めて聴く名前である。吹奏楽でトロンボーンの演奏を聴いたことがあっても、クラシック音楽のコンサートでトロンボーン協奏曲を聴いたのは初めて。力強いリズムだけでなく抒情性もあるメロディもあって面白い曲だった。
山下友輔はこの楽器の持つ楽しさを身体から発散させる魅力を持ち合わせている音楽家。

「オーボエ協奏曲 ハ長調」は《フルート協奏曲 第2番 ニ長調》に書き換えられ、フルート曲として演奏されることが多い。そのためにメロディはクラシック・ファンには親しまれている名曲である。原曲はオーボエ曲であるが調性が違うので、別な曲と勘違いされやすい。ケッヒエルの番号も違うので、一見すると間違えやすいが曲を聴くと直ぐ同じメロディと判る。
金子亜未は2012年の第10回国際オーボエ・コンクール・軽井沢で日本人最高位の第2位となり、一躍脚光を浴びた注目の若手オーボエ奏者(90年生まれ)。落ち着いた演奏で高音木管楽器から生み出される美しい音色を駆使して幅のある音色をホールに響かせた。第1楽章からかなり長いカデンッァを見事に披露した。独奏ソロの見せ所は今後は経験と共に尚一層聴く者の心奥深くに響かせることになるだろう。とにかく将来の逸材であることを聴衆に知らしめる演奏であった。聴衆の心を揺り動かす演奏に一段と拍手も長く続いた。

協奏曲集の最後は、管楽器奏者たちのソロが次々にリレーされて、複数楽器の組み合わせの演奏もあってクライマックスへ向かう様々な楽器の大合奏。弦楽器は控えめに、管楽器に主に焦点を合わせた演奏で少し趣の変わった「ボレロ」。フィナーレでは打楽器、弦楽器、管楽器がフルに活躍する大団円。≪ボレロの祭典≫の名がピッタリの終曲。

尾高音楽監督がソリスト4人をひとりずつステージに呼んでのインタビュー。マエストロの人柄がにじみ出るソリストたちとりとのやり取り。札響を市民に親しんでもらう気持ちも良く表された微笑ましい場面であった。
今日のコンサートを通して、大平コンサート・マスターを初め札響の全楽団員がソリストたちを心から支える演奏とその応援ぶりに心も和むのを覚えた。

今回のような演奏会の試みや様々な活動を通して、若い世代の人々が札響のコンサートにもっと足を運び、札響定期会員が増えることを長い目で見守りたいと思う。



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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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