バーゼル歌劇場がおくる モーツァルト5大オペラ 夢のガラ・コンサート

〈Kitaraワールドオーケストラ&オペラシリーズ〉

当初、≪スイス・バーゼル歌劇場 初来日記念ガラ・コンサート~カルメラ・レミージョのモーツァルト~≫が予定されていたが、レミージョが出演できなくなったためにプログラムが変更を余儀なくされた。彼女は2001年5月のチョン・ミョンフン指揮ローマ・サンタチェチ―リア国立アカデミー管弦楽団との共演でKitara初登場の予定になっていたが、その時に次いで2度目のキャンセルで残念である。レミージョを目当てにチケットを購入したので、キャンセルしようかと思ったが気持ちを入れ替えて聴くことにした。

スイス・バーゼル歌劇場はモーツァルトの「フィガロの結婚」の日本上演で初来日であったらしい。先月末に愛知、富山、東京、滋賀で4公演を終えた後、札幌でのガラ・コンサート。

≪モーツァルト 5大オペラ 夢のガラ・コンサート≫と題した新しいプログラムもそれなりの魅力がある。

出演:ソプラノ/ジャクリーン・ワグナー、マヤ・ボーグ、ローレンス・ギロ
   メゾ・ソプラノ/フランツィスカ・ゴットヴァルト
   バリトン/エフゲニー・アレクシエフ、 クリストファー・ボルダック
   指揮/ジュリア―ノ・ベッタ  管弦楽/バーゼル・シンフォニエッタ

曲目:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」より 序曲
                     ご婦人方はよく浮気をする;
                     風よ、穏やかであれ; 他2曲。
   歌劇「魔笛」より    愛の喜びは霧と消え; 
                 パパゲーナ!~パ、パ、パ; 他1曲。
   歌劇「ドン・ジョバンニ」より 序曲
                  恋人よ私を不親切な女と思わないで;
                  酒でみんなが酔いつぶれるまで「シャンパンの歌」;他3曲。
   歌劇「皇帝ティートの慈悲」より 序曲
                  私は行く、だが愛しい人よ; 他2曲。
   歌劇「フィガロの結婚」より 序曲
                  愛の神よ、安らぎを与えたまえ;
                  恋とはどんなものかしら; スザンナ、出てきなさい;
                  早くおいで、恋人よ;
                  そよ風に寄せて「手紙のニ重唱」; 
                  もう飛ぶまいぞ、この蝶々; 他3曲。

オペラは1600年頃にイタリアのフィレンツェで生まれた。モーツァルト(1756~1791)は、11歳で劇音楽を作り始めたが、オペラ作曲の技は3度のイタリア旅行(1769、70、71年)によって手に入れたようである。モーツァルトはイタリアに学び、イタリア・オペラを書いて、イタリアで受け入れられた。しかし、72年以後はイタリアを訪れることはなかった。

「フィガロの結婚」は1786年、「ドン・ジョバンニ」は1787年、「魔笛」(原語はドイツ語)は1791年の作曲で、いわゆる≪モーツァルトの3大オペラ≫と称せられている。今回はこの3つのほかに、「コジ・ファン・トゥッテ」(1790年)、彼の最後のオペラ作品「皇帝ティートの慈悲」(1791年)を加えて《5大オペラ》としてのガラ・コンサート。
バーゼル歌劇場が札幌のために特別に用意してくれたスペシャル・プログラム。モーツアルトの名作オペラに登場する人物たちが歌うアリアとアンサンブル。

幸いこれらのオペラはすべて観たことがあり、聴き慣れたアリアや序曲のメロディを親しみを持って聴くことができた。6人のソリストたちが、モーツァルトの聴きどころを24曲も歌ってくれて、それぞれのオペラの場面を思い浮かべながら聴けたのはめったに無い機会で心から楽しめた。特に「皇帝ティートの慈悲」は今年の1月にMETビューイングで観たばかりなので、より親しめた。このオペラは最近、日本人のキャストで上演されていることもあり、普及して行くのではないか。序曲も単独で「フィガロの結婚」に次ぐ演奏会での曲目になっても良いくらいの親しめる曲である。

ヨーロッパの歌手は粒ぞろいで、歌唱力は勿論、演技力が優れていて、歌を通しての表現が優れている。同じソプラノ、バリトンであっても、それぞれの個性が出ていて声の幅が違う。若手ソプラノのワグナーは美声と共に役柄によってがらりと変える表現力は抜群であった(特に伯爵夫人の役)。ケルビーノ、セストなどの男役をメゾ・ソプラノが演ずるのは何の違和感もない。(ゴットヴァルトはヴェテランの領域に達しているかも)。スザンナ役のボーグの機智に富んだ温かみのある歌唱・演技が印象に残った。6人のソリスト全員がそれぞれの魅力を持ち合わせている。
今回はオペラを《声楽》の分野で演ずるのに多少の苦労があったと思うが、衣装や小道具で工夫を凝らしたり、舞台での演技力でカバーして、それなりのオペラの場面作りをしていたのは流石であった。

正味2時間、休憩時間をはさんで2時間半の公演。終了後、指揮者が日本人のホルン奏者を通訳にして挨拶をした。バーゼル歌劇場は6月18日に来日してから2週間、今日の札幌が最後の公演。無事終了とあって感謝の言葉。アンコールに、最後の曲目であった≪フィガロの結婚の第4幕フィナーレより 「妻よ、許してくれ」≫を再びソリスト全員で歌って終った。それほどの客入りではなかったが、聴衆は普段とは違った趣向の本日のプログラムに満足した様子で終了後も拍手がしばらく鳴り止まなかった。出演者は何度もステージに登場して、観客の拍手に応え日本での最後の公演終了に別れを惜しんでいる様子がうかがえて良かった。

2013年はヴェルディ、ワーグナーの記念年であるが、モーツアルトのオペラ・プログラムをこのように楽しめたのは期待以上であった。



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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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