札響名曲シリーズ2013~2014 vol.2 ヴェルディ VS ブリテン

ヴェルディ200年 VS ブリテン100年 

今年1月12日に開かれた札幌交響楽団のニューイヤー・パーティで今回のコンサートのプログラミングはある程度予想できていた。2013年がワーグナー、ヴェルディの生誕200年・ブリテンの生誕100年に当たるので、当日のプログラムにその予兆があったからである。

今回のコンサートは札響名曲シリーズで指揮は尾高忠明、ソリストは若手チェリスト横坂源。宮田大と共に将来を嘱望されるチェリストのKitara初登場である。期待して聴いてみることにした。

横坂 源は1986年生まれ。99年、13歳で東京交響楽団とサン=サーンスのチェロ協奏曲を共演。02年チェロの登竜門である全日本ビバホール・チェロコンクールに史上最年少の15歳で第1位受賞を初め、コンクールでの受賞歴多数。05年出光音楽賞受賞。10年、ミュンヘン国際音楽コンクール・チェロ部門で第2位受賞。これまでにN響、日本フィル、読売日響、バイエルン放送響などの主要オーケストラと共演。室内楽にも出演して幅広い活動を展開している。

プログラム: 
 ブリテン:シンプル・シンフォニー
 ハイドン:チェロ協奏曲第1番(チェロ独奏:横坂源)
 ヴェルディ:オペラ序曲・前奏曲集~「ナブッコ」序曲、「シチリア島の夕べの祈り」序曲、
                  「椿姫」第1幕への前奏曲、「ルイザ・ミラー」序曲、
                  「運命の力」序曲

ベンジャミン・ブリテン(Benjamin Britten)は20世紀イギリスを代表する作曲家。「青少年のための管弦楽入門」が最も有名な作品である。08年9月、札響定期の演奏会形式で公演した尾高忠明指揮による歌劇「ピーター・グライムズ」は稀に観る名演であった。今年の9月の定期では「戦争レクイエム」がマエストロの下で上演予定である。
ブリテンがまだ10代の頃にしたためたピアノ曲や歌曲を20歳の時にまとめたのが「シンプル・シンフォニー」。弦楽オーケストラのための4楽章から成る楽曲。カントリー風でイギリスの雰囲気が漂う曲。第2楽章で全弦楽器がピッツィカート奏法で演奏するのが興味深い。6分余り指が痛くならないかと心配するくらいである。曲想が若々しく純真な美しさがある。リズミカルな曲が印象的。哀愁が漂う感傷的な旋律もある。
ヨーロッパ大陸の音楽とは一味違って英国の雰囲気が出ている感じ。イギリスの作品が得意なマエストロ尾高の指揮ぶりが冴えた。いつもより力強い印象をうけたが、演奏終了後の彼の表情に満足した様子が見て取れた。

ハイドンが250年前に作った曲が200年経って楽譜が見つかって、1962年の〈プラハの春〉音楽祭で歴史的な蘇演が行われたという。横坂は協奏曲演奏の経験が豊富とあってチェロの高度な技巧が必要とされる曲を殆ど休むことなく力強く豊かな音色をホールに心地よく響かせた。ミッシャ・マイスキー演奏のCDをしばしば聴いてメロディに親しんでいるので楽しく聴けた。弦楽器奏者が40名に対して木管・金管楽器奏者が各2名で出番も少なく意外であった。弦楽曲のようで、CDだけ聴いていては判断できないと改めて感じた。

アンコール曲はカザルス/カタロニア民謡:鳥の歌  *チェロ・アンサンブル用編曲(文屋治実)
横坂が弾き始めた瞬間、無伴奏の曲かと思ったら札響の6名のチェリストのアンサンブルが入った。「鳥の歌」は何度も聴いているが、いつもと違った角度からこの名曲を楽しめた。チェロの響きは実に美しい。このような札響チェリストとのコラボレーションは素晴らしい。若いチェリスト横坂にとっても実りある公演になったと確信する。

ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi)はイタリア・オペラの大御所で26作のオペラを遺している。私が実演で観たのは「椿姫」、「リゴレット」、「アイーダ」ぐらいだが、序曲は偶々聴くが本日の演奏曲の「ルイザ・ミラー」序曲は何度か聴いていてもメロディを覚えていない。日本ではコンサートは欧米に追い付いても、歌劇は比べようもないのが残念である。それでも今年はヴェルディやワーグナーに触れる機会の多い年である。2000年にミラノ・スカラ座の内部を観光で見ただけだが、お土産になったスカラ座の額を眺めながらムーティ指揮のスカラ座フィルのCDを多く聴いて少しでもヴェルディの世界に浸るのが関の山である。東京では9月にミラノ・スカラ座の公演があるようだが、今日はオーケストラの序曲・前奏曲集で歌劇の物語の筋はともかく、壮大なヴェルディの音楽の一端に触れれた。

尾高忠明指揮の札響演奏会をP席で聴いたのは今回が初めてである。マエストロは指揮台で余り派手な大袈裟な動きはなく常に安定した落ち着いた的確な指揮ぶりが定評であるが、今日のブリテンはメリハリがはっきりして機敏な指揮ぶりで今迄より動きの多い力が入った印象を受けた。P席の真正面から見ていて、顔の表情、手や腕の動きが後姿からでは見れない指揮ぶりを見れてとても良かった。巨匠という名に相応しい存在感を肌で感じ取るには今日の座席は自分にとって良かった。札響定期ではいつも同じ座席であるが、私はコンサート毎にいろいろな座席から鑑賞することを原則にしている。

アンコール曲に生誕150年のマスカーニ作曲の「カヴァレリア・ルスティカーナ」を演奏した。

6月に入って札幌も暖かい日が続き、ここ数日は好天でやっと夏が訪れた感じ。Kitaraの行き帰りに通る中島公園の美しさは格別である。今日、土曜日の午後は晴天で25度を越える心地よい日和。緑を映す水面ではボート遊びに興じる若者の姿。通り沿いの緑の木々の間のあちこちに咲いている黄色やオレンジ色のつつじの花。紫色のライラックや藤棚の藤の花。その花の見事さに思わず立ち止まってシャッターを押す人の姿。
自然環境に恵まれた場所に立地するKitaraの素晴らしさをコンサートの行き帰りに満喫できる特別な午後となった。




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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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