北海道交響楽団 第72回演奏会

,北海道交響楽団(Hokkaido Symphony Orchestra) The 72nd Concert
 
 2013年2回目の北海道交響楽団の演奏会が2月に続いて、今回は札幌市教育文化会館大ホールを会場にして本日6月1日(土)開催された。演奏曲目が珍しく普段聴く機会が余りない曲目だっだので、会場が最近のコンサートでは行くことがめったに無くなった教文会館ではあったが足を運んだ。
 
 指揮・音楽監督(Conductor・Music Director):川越 守(Mamoru Kawagoe)

PROGRAM
 チャイコフスキー:幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
 ラロ:チェロ協奏曲(チェロ独奏:津留崎 直樹(Naoki Tsurusaki)
 チャイコフスキー:交響曲第1番 ト短調 「冬の日の幻想」
   
このオーケストラとしてはチャイコフスキーの定番である第4番から第6番までは何度か演奏経験があるので新しい曲に取り組んだものと推察できる。プロでもチャイコフスキーのチクルスと言っても実際のプログラムを展開するのに限界がある。ゲルギエフがマリインスキー歌劇場管弦楽団と2007年11月にKitaraでチャイコフスキーの交響曲第2番「小ロシア」を演奏したことがあった。私もその時に第1番~第3番、幻想曲「フランチェスカ・デ・リミニ」のCDを早速買って聴いてみる気になったのである。プロでもアマでも、そういう意味では音楽の啓発活動に深く関わっていると常日頃から考えている。

≪フランチェスカ・ダ・リミニ≫はダンテの「神曲」の「地獄篇」の中のフランチェスカの悲劇。第1部「地獄の描写」、第2部「フランチェスカとパオロの悲劇」、第3部も「地獄の描写」。架空の世界の話とばかりとは言えない話が音楽的に忠実に表現される。
クラリネットを初めとする木管楽器、ホルンやトランペットなどの金管楽器、シンバルやティンパニの打楽器、弦楽器群のすべての特徴がうまく表現されていた。難しい演目だと思うが、後半が特に盛り上がって印象的な演奏になったと感じた。

第41回演奏会(2001年9月)で津留崎直樹のドヴォルザークの「チェロ協奏曲」を聴いていたので、彼の演奏を聴くのは2回目になる。ラロのヴァイオリン協奏曲とも言える「スペイン交響曲」は余りにも有名であるが、「チェロ協奏曲」を耳にするのは初めてかもしれない。
スペイン風の独特のリズムと情熱的な旋律は異国情緒たっぷり。チェロ特有の侘しい、憂いの漂うメロディは何とも言えない心地よい響き。スペインの陽気な明るい雰囲気も伝わる曲。チェロという楽器の特徴が生かされた曲は美しい。

津留崎直樹は1953年北海道滝川市生まれ。東京芸術大学在学中にフランス政府給費留学生として渡仏。パリ国立高等音楽院卒業。 2012年、それまで30年あまり在籍したリヨン国立オペラ座を退団。現在は東京とリヨンを拠点にソロ、室内楽、指揮者として活動している。

アンコール曲はガスパール・カサド:無伴奏チェロ組曲Ⅱから「サルダナ」

ロシアの自然を描いたチャイコフスキーの交響曲第1番。第1楽章は「冬の旅の夢」と題され、フルートとファゴットによるロシア民謡風の主題が感傷的。第2楽章は「陰気な土地。霧の土地。」と題され、この楽章でも北の自然の厳しさがロシア民謡風の主題で歌われる、オーボエ、フルートが美しい旋律を奏でる。第3楽章のスケルツォの中間部ではヴァイオリンとチェロがチャイコフスキー特有のワルツ風の旋律を歌う。第4楽章は序奏は悲しげにロシア民謡風。主部は明るく若さに満ち溢れる華やかなロシアの祝祭。全楽器のリズミカルな演奏の後でヴィオラとファゴットの演奏。やがて華やかなクライマックスへを移り力強いフィナーレ。
弦楽器も木管・金管も打楽器すべてオーケストラとしてバランスのとれた演奏。アマチュア・オーケストラとして一流の演奏だったと思った。音楽の専門的観点からは判断できないが素晴らしい演奏であった。

* 曲の終了5分ほど前から異変が起こった。慌てた2人の楽団員の動き。指揮者に異常が発生し様子であった。演奏が最後まで何とか無事に終わって盛大な拍手が起きようとした瞬間、指揮者に団員が駆け寄り、身体を支えて退場。川越先生が退院後の間もなくの出演で疲労困憊の状態に陥ったとのこと。

アンコール曲にチャイコフスキーの≪くるみ割り人形≫から〈トレパーク〉を演奏して、楽団員は何とか最後まで予定通りに演奏会を終えたが、心の中はかなり動揺していたはずである。聴衆の大部分も指揮者のその後の容体を心配したと思う。楽団の代表もそれなりの対応をしたが、最後に観客に「本日のご来場ありがとうございました。」の一言があれば、われわれも道響の演奏に対して盛大な拍手を送って演奏会を締めることができたのにと少々心残りであった。最後の締めが大切で、オーケストラも称賛に値する演奏だったのである。何はともあれ、指揮者の川越先生の一日も早い回復を祈りたい。北大交響楽団の演奏を50年前から聴かせてもらっている北海道の偉大な指揮者・教育者に寄せる想いは多くの道民が共有していると信じます。(それにしても、曲の終わりまで指揮台を離れなかった川越先生の精神力には感服のほかない。)



 
  
 
 
  
 
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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