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ウィ-ン室内管弦楽団『アイネ・クライネ・ナハトムジ―ク』&『ます』

札幌コンサートホール開館20周年記念に「ウィ-ン室内管弦楽団」の演奏会が2日間に亘って繰り広げられる。第1日はウィ-ン室内管メンバーによるモーニングコンサートとアフタヌーンコンサート。第2日はウィ-ン室内管・コンチェルトの競演。
本日の《アフタヌーンコンサート》と明日の《コンチェルトの競演》を聴くことにしていた。

ウィ-ン室内管弦楽団がKitaraのステージに初めて登場したのが1998年で当時の指揮者はエルンスト・コヴァチッチ(*共演はフルートの工藤重典とハープの安楽真理子)、2度目は3年前でシュテファン・ブラダーが率いてピアニスト牛田智大が共演.。今回が3度目となる。前2回は大ホールで開催されたが、今回は第1日が小ホール、第2日が大ホール。

2017年9月30日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

〈出演〉シュテファン・ヴラダー&ウィ-ン室内管メンバー5名
〈Program〉
 モーツァルト:セレナード 第13番 ト長調 「アイネ・クライネ・ナハトムジ―ク」K.525
 シューベル、ト:五重奏曲 イ長調 「ます」D667 
.
セレナードは小夜曲(さよきょく)とも呼ばれ、「第13番」はモーツァルトの作品の中でも最も有名で親しまれている曲。セレナードはセレナーデ、セレナータとの呼称もあり、狭い意味では元々「夕べに男が恋人の窓の下で奏でる甘美な曲」のこと。ドヴォルザークやチャイコフスキーの弦楽セレナードもよく知られている。
「アイネ・クライネ・ナハトムジ―ク」はドイツ語で“小さな夜の音楽”を意味する。この語はモーツァルトの曲の代名詞と言えるほど人々に知られている。今まで弦楽合奏曲としてI MUSICI(イ・ムジチ合奏団)での演奏を通して親しんできた。今年のPMFウィ-ン演奏会で弦楽五重奏曲(ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1、コントラバス1)として聴いて新鮮な印象を受けたばかりであった。

曲は伸びやかで自由闊達な雰囲気が横溢して実に爽やかこの上ない。

シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」は未完成交響曲と同じように若い時から耳にしてきた曲(*と言っても、曲のタイトルと一部のメロディでだけである)。全曲はブレンデル&クリーヴランド弦楽四重奏団の演奏を通して親しんだ。

「ます」(The Trout)は全曲に明るさと爽やかさがあふれ出ている名曲。この曲も人々に親しまれている美しいメロディがあちこちに散りばめられている。
楽器編成に特徴があってピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。通常のピアノ五重奏と異なってヴァイオリンが1本だけで、コントラバスが加わる。曲はまるでピアノ連弾のようで、ピアノと弦楽が対話しているようであった。ピアノが旋律を奏で、弦楽器が応じているようにも思えた。弦楽に低音域のコントラバスが入ることでピアノと好対照をなしていた。生演奏を観ることで、ただ聴くだけでは気づかないことが明らかになって一層楽しく聴けた。

曲は5楽章編成。第4楽章は弦楽器のみの演奏でシューベルトの歌曲《ます》の主題が奏でられた後に5つの変奏が続いた。各楽器の持ち味が生き生きと伝わる変奏が入った。最後の変奏がオリジナルのピアノ伴奏のように思えた。終楽章は活気にあふれたフィナーレ。
オーストリアの地方の美しい情景を思い浮かべながらシューベルトが書き上げた作品は伸びやかで明るく実に爽やかであった。

演奏終了後に客席を埋めた聴衆は拍手大喝采。馴染みの美しい調べで心が豊かになる午後のひと時。休憩なしの1時間の演奏会も偶には良いと思った。
心地よい気分に浸ったコンサートの後は、人混みを避けて陽ざしがさす公園の中を遠回りして帰路に就いた。木々の色も変わる美しい自然を味わいながらプロムナードを楽しんだ。コンサートと同時に豊かな自然に身をゆだねる瞬間もそう容易に手に入るものではないと嬉しくなった。
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エフゲニ・ボジャノフ ピアノ・リサイタル

ポジャノフの名を初めて耳にしたのは2010年ショパン国際ピアノコンクールの時だった。特異な才能と派手なパフォーマンスで聴衆を魅了して、審査員のアルゲリッチも思わず拍手を贈るハプニングもあって話題を集めたピアニスト。結果的には第4位に終って、彼は授賞式を欠席し、ガラコンサートにも参加しなかった。
1995年第13回ショパン国際ピアノコンクールから5年ごとに札幌で入賞者ガラコンサートが開催されている。2011年1月の入賞者ガラコンサートには第1~3位までの4名が出演したが、ボジャノフは参加しなかった。

Evgeni Bozhanovは1984年ブルガリア出身で数々のコンクールに出場して入賞している。彼のピアニズムは聴衆を興奮の渦に巻き込むもので審査員の意見が割れるらしい。2011年8月にはワルシャワの音楽祭に招かれ、ショパンのピアノ協奏曲を演奏して、リサイタルでは「リスト:メフィスト・ワルツ」を弾いた。同年秋には佐渡裕指揮ベルリン・ドイツ響の日本ツアーのソリストとして12公演に同行して、Kitaraの最終公演で「モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番」を演奏した。

12年の日本ツアーではリサイタルを開催。札幌では新しいヤマハのピアノを持ち込み(*多分ヤマハ札幌支店の協力)、ショパン(舟歌、ソナタ第3番)、シューベルト、ドビュッシー、スクリャービン、リスト(メフィスト・ワルツ第1番)を弾いて、大ホールに集まった聴衆を喜ばせた。(*この時はピアノ学習の子どもたちを含めた親子連れが目立って、コンクールの時にYAMAHAを利用していたポジャノフの期待に応えたのだと思った)。

5年ぶりのKitaraのステージであったが、今回は小ホールの響きの良さもピアニスト自身、味わったのではないだろうか。

2017年9月28日(木) 19:00開演  札幌コンサートホール小ホール
〈Program〉
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 op.27-2「月光」
           ピアノ・ソナタ 第18番 変ホ長調 op.31-3「狩」
 ラヴェル:ラ・ヴァルス
 シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D.960

プログラムは予定された曲目でボジャノフ自らの簡潔な解説が載っていたので、演奏前に読んでバッグに閉まった。「月光」は何十回も耳にしていて親しみのある曲だが、ピアニストが弾き始めたメロディが違った。予定以外の曲を弾いているのかと思った。しばらく時間が経ってから、「第18番」を演奏しているのではないかっと思った。
実は「第18番」は10年以上前にシュナーベルのベートーヴェン・ソナタ全集の中で一度サラッと耳にしたことはあったが全く記憶になかった。コンサートでも聴いた記憶は無い。前日にSPレコードの録音をCDにした曲を耳にしていたので、その曲の感じから演奏の途中でやっと気が付いた。「狩」は明るい曲想で喜びと幸せに満ちた曲だった。
指を縦にしての打鍵がかなり目立って、この曲の特徴なのかと思ったりした。曲名がハッキリしない曖昧な感じで20分程度が過ぎて集中力が保てなかった。

2曲目の暗い序奏が始まる「月光」の独特なメロディでホット安心して落ち着いた気分になれた。1曲目と対照的な音楽の世界が展開された。フィナーレが素晴らしかった。やはり、この曲は心に染みる度合いが違う。演奏法では曲調が違うので、手や指の動きも前曲とはかなり異なっていた。

前半最後の「ラ・ヴァルス」は管弦楽曲としての演奏機会が多くて、ピアノ曲として聴いた記憶がなかった。ラヴェルはオーケストラ版やピアノ版が数多くあるが、この曲のピアノ版はCDでも所有していなかった。
ラヴェルの見事なオーケストレーションによる「管弦楽のための舞踏詩」に慣れていたが、ピアノソロでの「ラ・ヴァルス」は興味津々! 非常にリズミカルな響きで、実際に踊れる曲ではないがウィ-ン舞踏会のワルツの主題が美しく、バレーに合うような雰囲気が出ていた。ボジャノフは得意の高度な技巧を発揮して実に魅力的な演奏となった。

2・3曲目は続けて演奏されたが、演奏終了後のブラヴォーの声がひと際大きく、期待していたピアニストの演奏に客席も満足の様子であった。

前半終了後の休憩時間にプログラムの演奏順変更のアナウンスがあった。演奏会の開始前に放送すべき録音を失念して事後に流した。お詫びの言葉もなく非常に残念なことであった。客への影響は多大なものがあることを主催者は自覚してほしい。
7年前にスロヴァキア管弦楽団の演奏会でドヴォルジャークの「第9番」の予定演目が突然「第8番」の演奏になってしまったことがあった。その折は、コンサートマスターと事務局の打ち合わせで行き違いがあったらしく、事後の対処は一応適切であった。
一個人の不注意が多くの客に与える影響を改めて認識てほしいものである。

シューベルトの「第21番」は繰り返して言及するまでもないくらいブログに書いてきた。人間の喜びと悲しみが音楽で表現されている。ボジャノフは“シューベルトは長調で悲しみや憂鬱、抑制を表現し、逆に短調で戯れや喜びを表現できる偉大な作曲家”と言っている。前半3曲とは違った趣のあるシューベルトの大曲をそれぞれの個性を持ったピアニストを通して何回も耳にできる機会があるのは嬉しい。

アンコール曲が1曲あったが曲名は不明。盛大な拍手が続いたが、数曲弾くのは体力的にも難しそうな印象を受けた。ただ、前回もそうだったが派手な印象はなく、どちらかといえは非常に個性的で控えめではあった。内なる強さは秘めている印象も受けた。曲ごとに演奏技法を変えて非常に個性豊かな演奏をするピアニストの印象を深くした。

プログラムによると、今回の日本ツアーは大阪、東京、名古屋、鎌倉と続く。

※後記:札幌コンサートホールKitaraの情報によると、ボジャノフのアンコール曲は「ラフマニノフ:サロン小品集 作品10-3「舟歌」。偶々、昨日、クラシック・ソムリエ検定ゴールドクラス過去問題に次のことが書かれているのに気付いたので、ここに書き記しておく。ヴィルヘルム・バックハウスは最後の演奏会の途中で気分が悪くなって中断した曲の作品名が「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第18番」。第3楽章で中断して、その1週間後に亡くなったそうである。(9月30日)
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札響第603回定期演奏会~スッペ&グルダ&ブルックナー(下野&宮田)

指揮者、下野竜也によるユニークな「ウィ-ン・プログラム」。ウィ-ンの音楽でありながら、本流から少し外れたプログラムに却って興味を抱いた。3曲ともに今までにコンサートで聴いたことがない珍しい曲。定期演奏会の選曲として意外ではあるが、個人的には大歓迎であった。下野は15年8月定期に次いでの札響登場。

2017年9月23日(土) 14:00開演 札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/下野 竜也(Tatsuya Shimono)    チェロ/ 宮田 大(Dai Miyata)
ウィ-ンに音楽は踊る
 〈Program〉
  スッペ:喜歌劇「ウィ-ンの朝・昼・晩」序曲
  グルダ:チェロと吹奏楽のための協奏曲
  ブルックナー:交響曲第1番 ハ短調(ウィ-ン版)

スッペ(1819-95)はヨハン・シュトラウス2世と並んでウィ-ン・オペレッタの全盛時代を築いた作曲家。「スペードの女王」、「軽騎兵」などが代表作。
「ウィ-ンの朝・昼・晩」序曲は名高い序曲の一つだそうで、札響演奏歴が8回あって思っていたより人気曲のようだった。定期では初めての演奏曲。壮麗なイントロに続いて軽快なリズミカルな調べが展開され、独奏チェロの活躍があってメロディが目まぐるしく変わってクライマックスを迎える10分程度の楽しい曲。初めて聴く人が多かったと思うが、朝・昼・晩の雰囲気が楽しく表現されていて面白く聴けた。

1曲目が終って、2曲目のステージの準備にかかる合間を利用して、指揮者のトークが入った。4月から広島響の音楽総監督に就任した下野竜也は現代曲や珍しい作品を積極的に紹介する指揮者としても知られる。グルダの紹介とブルックナーの曲の鑑賞の仕方を語った。

グルダ(1930-2000)はウィ-ン出身のピアニスト。バドゥラ=スコダ、デムスと共にウィ-ンの三羽烏と呼ばれた(*スコダとデムスは07年Kitaraに来演)が、グルダは大ピアニストとしての世界的名声を得て突出した存在だった(*グルダ&ウィ-ン・フィル演奏のベートーヴェンの協奏曲のCDが手元にある)。
50年代後半よりグルダはジャズ演奏や作曲、即興演奏も行うなど“異端児”的な方向へ進んだ。同時にベートーヴェンのソナタ全集を2度録音するなどクラシック音楽と共存を図り、新たな音楽芸術を志向したという評価もある。

「チェロと吹奏楽のための協奏曲」は1981年ウィ-ンで作曲された、ウィットに富んだ30分ほどの親しみやすい曲。5曲編成。第1曲「序曲」はリズミカルで活気に満ちた曲。チェロの超絶技巧が目立った。第2曲「牧歌」は管楽器に乗った独奏チェロの旋律が印象的。第3曲は「カデンツァ」でチェロの名技が披露された。第4曲「メヌエット」はフルートとギターの対話も入る幻想的な調べ。第5曲「終曲」は行進曲風でジャズの要素が取り入れられている胸が弾む音楽。

クラシック音楽では珍しくマイクが付けられ、スピーカーもステージの4か所に備えられての演奏。作曲家指定の演奏形態と予め指揮者の説明があった。楽器編成は独奏チェロと管楽器12、打楽器、ギター、コントラバス2(クラシック用とジャズ用が各1)。
最初からオーケストラの音量、特にチェロの響きが強烈で3階の奥まで届いたと思われるサウンド。この種の音楽を好む人には心も躍るような響きだったのではなかろうか。普段は聴き慣れていなくてもKitaraで偶にこんな響きを耳にするのも悪くはないと思った。しかも、音の強弱に変化もあっての珍しい音楽は興味津々であった。
普段のクラシック音楽演奏とは趣の異なる曲が展開され、終曲ではジャズ風の演奏に合わせて帽子をかぶったり、ハチマキをしたりして服装にも工夫が凝らされていた。札響初演。

ソリストのアンコール曲は「バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番より “ブーレ”」。
宮田は4年前に下野指揮読響と共演してのドヴォコンの名演奏が生々しいが、いろんな曲に挑戦している姿が凛々しくて頼もしくもあった。昨年6月のリサイタルも素晴らしかったので、毎年のように聴きたいチェリストである。

ブルックナー(1824-96)の曲は一般のクラシック音楽ファンには好まれていないが、フルトヴェングラー、カラヤン以降の偉大な指揮者たちは好んで指揮していたようである。ブルックナーの名が分かって第4番、第7番を聴き始めたのが1999年のことで、まだ20年も経っていない。第1~9番まで手元にそろったのが2001年、4番を除く第1~5番は購入した時に一度耳にしただけである。
「第1番」はインバル指揮フランクフルト放送響のCD(リンツ版)を今回のコンサートに備えて2回耳にしておいた。それほど敬遠するような曲では無いと感じた。
最近は生演奏で集中して鑑賞していると、オルガンやコラールの響きも感じられ重厚な曲を味わえるようにはなってきていた。昨夜は指揮者のアドヴァイスで“森の中に入った”状況を思い浮かべながら聴いた。やはり聴く回数を増やすとどんな曲もそれなりに少しづつ親しみが湧いてくる。札響初演。

下野竜也は朝比奈隆の下で力をつけ、01年ブサンソン国際コンクール優勝後は06年読響初代正指揮者、13-17年3月まで読響首席客演指揮者を務め、現在は広島響総音楽監督のほか、京都市響首席客演指揮者、京都市芸大教授も務める。まだ40代の俊英指揮者で国際舞台でも活躍しているが、日本の指揮界の牽牛者としての役割も期待されている人材である。今後一層の活躍を期待したい。

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Kitara開館20周年 ダネル弦楽四重奏団

〈Kitara弦楽四重奏シリーズ〉

札幌コンサートホールKitaraは1997年7月の開館以来、さまざまな自主企画のコンサートを行ってきている。《弦楽四重奏シリーズ》も重要な企画の一つである。
海外のストリング・カルテットでチェコのプラジャーク・カルテットとベルギーのダネル・カルテットは比較的定期的に来札している弦楽四重奏団である。
ダネル弦楽四重奏団(Quatuor Danel)は2005年に札幌コンサートホールの招聘による初来日を果し、その後、06、07、09、11、13年に続いて今回は4年ぶりのKitara公演になった。Kitaraでは2夜連続公演も多く、今回は『ベートーヴェン カルテットの真髄』と銘打ってオール・ベートーヴェン・プログラムで開かれた。第一夜が〈ラズモフスキー全曲〉、第二夜〈後期の傑作3曲〉。

2017年9月22日(金) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール
〈Program〉
 弦楽四重奏曲 第7番 へ長調 「ラズモフスキー第1番」 作品59-1
 弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 「ラズモフスキー第2番」 作品59-2
 弦楽四重奏曲 第9番 ハ長調 「ラズモフスキー第3番」 作品59-3

ベートーヴェン中期の弦楽四重奏曲のラズモフスキー3曲はハイドンやモーツァルトからの影響を完全に脱した曲作りとされている。すべての要素がベートーヴェン固有の特徴を持つ曲となり、演奏技巧もより高いものが必要とされるようである。
作品59の3曲は当時のウィ-ン駐在のロシア大使、ラズモフスキー伯爵の依頼で作曲された。彼は政治面より芸術文化面で大きな役割を果たした人物で、伯爵邸で弦楽四重奏演奏会が開かれていたことも容易に想像できる。

他のジャンルと比べて弦楽四重奏曲の良さがまだ充分にわかっていないが、この3曲はベートーヴェンの弦楽四重奏曲では親しんでいる方である。カルテットの演奏会でも聴く機会が多い。演奏会の曲目になるたびにスメタナ四重奏団やアルバン・ベルク四重奏団のCDでサラッと耳にしているので慣れ親しんだメロディもある。

「59-1」は規模が雄大で重厚な感じ。弦楽器の演奏だが管楽器などの他の楽器に似た響きも聴き取れる。第4楽章にロシア民謡も入って楽しいフィナーレ。
「59-2」は「第1番」と違って内省的な曲調。第1楽章が何となく暗い雰囲気だが、第3楽章にロシア民謡が使われていて伯爵への心遣いが感じ取れる。終楽章はギャロップ風で軽快なフィナーレ。
「59-3」は3曲中で最も明るい作品。英雄的で堂々とした音楽。第2楽章は暗い雰囲気もあったが情緒が豊かに感じられた。チェロのピッチカートが印象的であった。第3楽章がメヌエット。第4楽章は充実してエネルギッシュな楽章となり輝かしいフィナーレ。前2曲との違いも出ていて、よりシンフォニックな印象を受けた。

今日の演奏では4つの楽器の対話が見事に生き生きと表現されている様が見て取れた。第1ヴァイオリンのダネルのリーダーシップが際立ち、4人の奏者のハーモニーを導き出していると思った。チェロが低音域とピッチカート奏法で魅力を一段と放っていた。地味に思える弦楽四重奏曲の素晴らしさがタップリ味わえた演奏会となった。

今までに無いような拍手大喝采に包まれて演奏が終了したのが9時10分。熱演でアンコール曲は無いかもと思っていたら大声援に応えて2曲の弦楽四重奏曲(*作品18から?)の一部が演奏されるサービスがあった(*アンコール曲名は確かではない)。ある種の感動に包まれた瞬間! Kitara招聘のカルテットならではの特別な配慮を感じたが、聴衆の感動が演奏家に伝わったのだと思った。終了時間が9時半になっていたが、ホワイエはサイン会に並ぶ人で賑わい心地よい雰囲気が漂っていた。

※8月末から前回のダネル弦楽四重奏団演奏会のブログ(13年9月)へのアクセスが多いので不思議に思っていた。その理由が分かった気がした。今回は札幌大谷大学と札幌コンサートホール連携事業で26日にはダネル弦楽四重奏団を迎えて大谷大学で公開講座も開かれることを知った。加えて、前回ブログで「ラヴェル事件」について触れたので興味を持った人がいてアクセス数が急増したのかもしれないと思った。
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東京都交響楽団 札幌特別公演(大野和士指揮)

都響(To・Kyo)として親しまれる東京都交響楽団が創立40周年記念に北海道公演を始めたのが2005年9月。その後、2年に1度の札幌特別公演が続いている。指揮者が05年 金聖響、07年&09年 小泉和裕、11年 レオシュ・スワロフスキー 13年 小林研一郎、15年 下野竜也で、今年は都響音楽監督・大野和士のKitara初登場。

大野和士(Kazushi Ono)は1960年、東京都生まれで日本を代表する世界的指揮者のひとり。87年トスカニーニ国際指揮者コンクールに優勝。クロアチアのザグレブ・フィル音楽監督(90-96)、都響指揮者(90-92)、東京フィル常任指揮者(92-99)、バーデン州立劇場音楽総監督(96-2002)、ベルギー王立歌劇場(モネ劇場)音楽監督(02-08)、フランス国立リヨン歌劇場常任指揮者(08-17)を歴任。15年より都響音楽監督に就任。
これまでミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場など欧米の一流の数多の歌劇場に客演、コンサートでもヨーロッパの主要オーケストラに客演して世界的に評価を高めている。ブリュッセル在住。
現在はバルセロナ響音楽監督、東京フィル桂冠指揮者。18年9月に新国立劇場オペラ部門芸術監督に就任予定。

92年に東京フィルを率いて北海道公演札幌特別演奏会を行ったが、今回はそれ以来25年ぶりとなった。

2017年9月18日(月・祝) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈Program〉
 ワーグナー:歌劇『ローエングリン』第3幕への前奏曲
 シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47(ヴァイオリン独奏/パク・へユン)
 サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 op.78 《オルガン付》(オルガン独奏/室住素子)

ドイツ中世の伝説を基にしたオペラの主人公であるローエングリンは聖杯を守護する騎士。ローエングリンと王女エルザの婚礼が行われる第3幕の前奏曲なので、明るく力強い音楽。ワーグナーの管弦楽作品の中でも演奏機会の多い人気曲。騎士を象徴するホルンを中心にオーケストラ全体が高らかに主題を奏で、高揚した雰囲気に包まれる華やかな堂々とした曲。コンサートの幕開けに相応しい曲であった。

パク・へユン(Hyeyoon Park)は1992年、ソウル生まれの韓国人ヴァイオリニスト。09年ミュンヘン国際音楽コンクールで史上最年少優勝。欧米各地で活躍し、N響、読響、東響、名フィルとも共演。
シベリウスのヴァイオリン協奏曲は4大ヴァイオリン協奏曲に次いで人気が高く、演奏機会も多い。北欧の美しくも厳しい自然を背景に生きる人間や動物の姿を思い浮かべながら聴いてみた。ヴァイオリン独奏と管弦楽が緊張感を漂わせながらスケールの大きな音楽を展開した。ヴァイオリンのカデンツァの深みのある演奏が印象的だった。北欧的な寂しさがあるのが他のヴァイオリン協奏曲と違う感じがして、この曲の特徴かと思った。

北海道にも台風が上陸して人々にも様々な影響を及ぼした。交通機関にも影響が出てコンサート会場に来れなかった人もいたようである。それでも8割以上の客席が埋まっていたのではないだろうか。演奏終了後には満足の意の歓声も上がって、アンコール曲に珍しい曲が演奏された。アンコール曲は「エルガー:性格的練習曲集 op.24より No.5」(*メロディも曲のタイトルも全く知らなかった)。」

室住素子(Motoko Murozumi)は室蘭出身のオルガニスト。東京大学文学部文学部美学芸術科を経て、東京藝術大学音楽学部器楽科(オルガン専攻)卒業、同大学大学院修士課程修了。1989-97年、水戸芸術館音楽部門主任学芸員を務める。都響、新日本フィル、N響など共演多数。昨年9月札響定期で「レ―ガ―:序奏とパッサカリア」を弾いた。

サン=サーンスは5曲の交響曲を作曲した。コンサートで演奏される人気の交響曲は「第3番」。他の交響曲のCDを1・2度は耳にしているがメロディは全く覚えていない。オルガン付の交響曲も演奏会の曲目になるたびに予めCDで聴いている程度である。
「オルガン付」は交響曲という枠の中でオルガンを独奏楽器として用いたユニークな作品。“楽器の王様”と言われるオルガンの持つ音響的な奥行きの深さを利用したオーケストレーションが素晴らしい。今までコンサートで何度か聴いてきたこの曲の醍醐味を今回は一番よく味わえたように思った。その要因の一つは座席である。今回は2階CB2列13番で、ホールの真正面。最近はオーケストラ曲は可能な限り、好んでこの辺りの座席から鑑賞している。Kitaraはどの座席からでも良い音を楽しめるとはいえ、やはり座席の違いで鑑賞の感激度に影響がある。
オーケストラの中でのオルガンの響きも楽しめたほかに、この曲にピアノ連弾が入っているのも今回はじめて分った。聴くだけでなく観ることで演奏者の姿が視界に入る。何回か聴いているとメロディも親しんでくるようになる。今までは漠然と聞いていたが、今回は循環形式が用いられていて主題が繰り返されることにも気が付いた。基本的な音楽の知識が不足しているのは自覚しているのだが、音楽の構造が分かると一層楽しくなるだろうと思った。

オペラもコンサートも指揮する機会が多い海外での経験が伝わってくる大野の指揮ぶり。言葉では具体的に表現できないが、音楽全体に何か柔らかさが伝わってくる感じがした。昨夜の「クラシック音楽館」でレジェンドがテーマでカラヤンのN響初共演が話題になっていた。カラヤンはN響の演奏が縦になっているのに驚いて、全員に後ろを向いて演奏するように指示したそうである。結果的にカラヤンによると演奏が良くなったそうである。池辺晋一郎のこの昔話を聞いて何となく分った気がした。

とにかく演奏終了後の拍手大喝采はオーケストラの演奏に対してのものではあったが、聴衆の称賛は指揮者に向けられていたようであった。アンコール曲は「ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 第1集 第1番」。
マエストロ大野には来年オープンする札幌文化芸術劇場への関わりも同時に期待したいものである。

※都響ガイドを通して3月末に直接に購入していたチケットの受け取りに行列ができていて入場まで20分以上掛かった。行列に並ぶ高校生と偶々会話が弾んだ。都響のホルン首席奏者から指導を受けるキャンプに参加して美幌から札幌に来ていて、今日の演奏会を聴きに来た。5時にはキャンプが行われている時計台に戻るという。都響ホルン首席奏者が旭川出身で私の教え子だと話したら私の名をメモしていた。明るい前向きな高校生と知り合って楽しい時間が過ごせた。

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バッティスト―ニ北海道初登場(札響&木下美穂子)

2018年10月札幌文化劇場こけら落とし公演「アイーダ」に先立って、今や世界でカリスマ的に活躍中の若手指揮者アンドレア・バッティスト―ニが札幌文化劇場プレイべントとして札響&木下美穂子と共にKitaraのコンサートに出演した。
 
Battistoni は1987年生まれのイタリアの指揮者。2013年よりフェリーチェ歌劇場の首席客演指揮者に就任。2015年より東京フィルの首席客演指揮者を務めて16年から首席指揮者に就任。ヨーロッパの著名な歌劇場と共に世界的に優れたオーケストラとも共演してセンセーションを巻き起こしている。日本でも「ナブッコ」、「トゥ-ランドット」などのオペラをはじめピアニスト反田恭平などとの共演で話題沸騰中。
木下美穂子(Mihoko Kinoshita)は日本を代表するソプラノ歌手のひとり。2001年に日本音楽コンクール第1位、その後は世界の数々の声楽コンクールで第1位や上位入賞で受賞歴多数。NHKニューイヤー・オペラコンサートなどを通して活躍の様子は目にしている。

2017年9月15日(金) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈Program〉
 ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」序曲
 プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より “私のお父さん”
         歌劇「修道女アンジェリカ」より “母もなしに”
         交響的前奏曲
         歌劇「トスカ」より “歌に生き、恋に生き”
         歌劇「蝶々夫人」より “ある晴れた日に”
 ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
 レスピーギ:交響詩「ローマの松」

関係者からチケットの売れ行きが芳しくない話が耳に入っていたが、当日の会場は9割以上の客が入って満席を思わせるほどで熱気が漂うほどの雰囲気であった。
前半のプログラムはバッティストーニが得意とするヴェルデイのオペラの序曲を挟んで、同じイタリア・オペラの大作曲家プッチーニの有名な4つの歌劇からアリアが各1曲歌われた。

上演される歌劇より「序曲」が親しまれて演奏機会の多い曲で開幕を飾ったが、バッティストーニはダイナミックな指揮ぶりで聴衆の心を一気に掴んだ。オーケストラを自身のタクトで自由自在に操って会場を湧かせた。

木下美穂子は来年10月の「アイーダ」でタイトルロールを歌う予定のソプラノ歌手。深紅のドレスに身を包んだ長身でステージ映えのする木下は第一声から素晴らしい歌声を披露し、アリア「私のお父さん」を表現力豊かに歌い上げた。歌唱後にブラヴォーの声が掛かるほどの美声で鮮やかな印象を残した。他の3曲と比べると馴染み度が薄い「修道女アンジェリカ」からのアリアも国内外で活躍している歌手ならではの歌唱で、感情も込められていた見事な演唱であった。

「交響的前奏曲」の知識は全くなかったが、バッティストーニが好んで取り上げるという抒情性豊かな曲。プッチーニのミラノ音楽院の卒業作品だそうである。

「トスカ」、「蝶々夫人」は最も有名なアリアを含むオペラで、実演や映画などで親しまれている。誰もが耳にしたことのある2曲の「アリア」はやはり身近に楽しめた。期待以上の歌唱で聴衆を魅了した木下が来年の札幌文化芸術劇場のこけら落とし公演で歌う姿が待ち遠しくなった。歌唱終了後の拍手大喝采は何回もカーテンコールが続いて聴衆の満足度が表れていた。

プログラム後半はオーケストラ作品でイタリアの作曲家レスピーギの代表作《ローマ三部作》から「ローマの松」。第1作「ローマの噴水」、第2作「ローマの松」、第3作「ローマの祭り」で3曲中、「ローマの松」が最も芸術的とされて演奏機会も多い。札響でも節目となる祝いの際に演奏されてきた。
《ローマの松》は4楽章構成。第1楽章「ボルゲーゼ荘の松」、公園で子どもたちが遊ぶ姿が描かれ華麗で絢爛たるオーケストレーションがアッという間に終わる。第2楽章「カタコンベ近くの松」、地下墓場から聞こえてくる聖歌の合唱を幻想的に描いた(*楽屋裏からトランペットの響き)。第3楽章「ジャニコロの松」、満月に照らされた南国の静かな夜の描写。第4楽章「アッピア街道の松」、古代ローマの軍隊が夜明けに行進する壮麗な幻想的な場面(*オルガンも加わり、2階の左右からバンダのトランペット各2本、2階中央から2本のトロンボーン、計6本の金管楽器の壮麗で壮大な響きが奏でられた極めて印象的なフィナーレ)。

バッティストーニは楽団員を掌握してオーケストラから思い通りに音を引き出しているように見えた。タクトを大きく使い、腕の動きも最大限に使って表情豊かにダイナミックな指揮ぶりを展開した。非常に個性的でカリスマ性を発揮した姿に強烈な印象を受けた。来年の札幌文化劇場のこけら落とし公演がますます楽しみになるイヴェントであった。

満席に近い聴衆の拍手大喝采だけでなく札響メンバー全員の称賛を受けて、アンコール曲に《ウィリアム・テル「序曲」より“スイス軍の行進”》。
アンコール曲が終っても鳴りやまぬ拍手に、今回のプレイベントの成功と来年のこけら落とし公演に向けての聴衆の期待度の高まりを感じ取った。帰りのホワイエでCDを購入してサイン会に並ぶ人の列ができていた。18年10月7日・8日の2日間公演も成功することは間違いなさそうである。楽しい気分に浸って家路に着けるのは有難いことである。


 
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成田達輝ヴァイオリン・コンサート(ピアノ/萩原麻未)

成田達輝(Tatsuki  Narita)は2010年ロン=ティボー国際コンクール第2位、12年エリーザベト国際コンクール第2位で一躍脚光を浴びた若手のヴァイオリニスト。12年から彼の演奏会出演も回を重ね、今回の大ホールでのコンサートは5回目となる。前回は昨年1月インキネン指揮プラハ響によるニューイヤーコンサートだった。オーケストラとの共演ばかりを聴いていた。
共演の萩原麻末(Mami Hagiwara)は2010年ジュネーヴ国際コンクールで日本人初の優勝を果たしたピアニスト。13年2月の札響定期(*指揮/セーゲルスタム)に登場してグリーグのピアノ協奏曲を弾いた。二人ともパリ音楽院で学んでいるが、音楽的に相性が良いのか、13年以降デュオを組んでのコンサートが目立つ。
今回は成田が札幌出身の演奏家で、主催が〈札幌友の会〉ということで実質的なデュオ・リサイタルが成田の知名度を生かしての大ホールでのコンサート。チラシも無かったが、Kitara Newsでコンサート開催を知って2ヶ月前にチケットを購入していた。ピアノが萩原というのは後で判明して、コンサートの期待度が一層高まっていた。

2017年9月11日(月) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈Program〉
 クロール:バンジョーとフィドル
 アルベニス:タンゴ
 イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番「バラード」
 ラヴェル:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第2番、 ツィガーヌ
 ドヴォルザーク:ソナチネ ト長調 Op.100
 ブラームス:ハンガリー舞曲集より 第1番、第2番、第5番、第6番
 サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン 
 
ピアノ伴奏者はKitara Newsの8・9月の予定表で判明し、予定曲目は3曲のみ示されていた。曲目は出演者に全面的に任されていて、ラヴェルのソナタだけが同じで、コンサート当日は結果的に魅力あるプうログラムを知ることとなった。プログラムに解説がついていて未知の曲は参考になった。

クロールは20世紀のアメリカのヴァイオリニスト・作曲家。聞いたことのある曲のタイトル。彼はクライスラーに師事したということで、メロディはロマンティックで楽しい曲であった。

スペインの作曲家アルベニスは多くのピアノ曲を作っていて、この曲は組曲「スペイン」の第2曲で、のちにクライスラーがヴァイオリン用に編曲して人気が出たそうである。アルゼンチン・タンゴとは違う、ハバネラ風のタンゴ。

各3分程度の2曲の演奏後、成田がマイクを握って挨拶。プログラムにプロフィールの紹介が無かったので、彼は自己紹介で、札幌生まれで、3歳からヴァイオリンを始め、小学3年生からHBCジュニアオーケストラに加入してKitaraの大リハーサル室に通い、素晴らしい音響を持つ大ホールのステージに9年間連続して立てた喜びを語った。その後、フランスで学びコンクールや音楽祭で弾いた演奏曲目にまつわる思い出深いを話をして、その曲の演奏に入ることになった。その前にピアニストが謙虚に言葉少なに自己紹介を行った。(*この時点で聴衆の大部分ははピアニストが大物だということを知らなかったと思う。)

配布されたブログラムに載っていなかった「イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番“バラード”を追加して演奏(*8分強)。パガニーニ以来のヴァイオリンの名手・イザイの無伴奏ヴァイオリンソナタは6曲あって難曲とされている。20世紀のヴァイオリン奏法の開拓者としても知られる。

一端ステージを下がっていたピアニストが再びと登場すると、“麻未さん”を“2010年ジュネーヴ国際コンクールで日本人初の優勝者”と紹介した時に会場から“そんな実績のあるピアノ伴奏者”と知ってビックリした反応があった。ラヴェル以降の演奏を聴いて彼女の実力のほどに納得がいったはずである。
(※萩原は8月に秋山指揮広島響と「ベートーヴェン第1番」、兵庫芸術文化センター管と「ラベル:ト長調」、軽井沢大賀ホールでリサイタル、山田和樹指揮東京混声合唱団特別演奏会のピアノ伴奏と忙しいスケジュールをこなしているから驚きである。)

ラヴェルのヴァイオリン・ソナタは1曲だけと思い込んでいた。今回、「「ソナタ第2番」となっていて一瞬アレッと思った。「ト長調」でミンツとブロンフマンのCDに入っていて番号が付いていなかった。以前の演奏会で一度聴いた覚えがある。
3楽章構成。第2楽章が「ブルース」、第3楽章が「常動曲」。4年も要して書かれた曲。ジャズの雰囲気のある曲で、ラヴェル得意の楽器の独特の表現が際立ってピアノとヴァイオリンの作り出す音が現代音楽風に響いた。ピアノとヴァイオリンが相いれない楽器のようで演奏され、当時としては異端のリズムのような感じがした。時代を先取りした曲作りで、結果として生き生きとした音楽となった。第3楽章は超絶技巧が要求されるような場面が多かった。ピアノ、ヴァイオリン共に演奏が難しいように思えた。相性の合う2人ならではの息の合った演奏だった。聴き慣れると面白い曲かと思った。

「ツィガーヌ」はハンガリーのジプシーの音楽で、ラヴェルの傑作として演奏機会の多い曲。聴衆を惹きつけるヴィルトオジテイの見せ所。
前半が終ると嵐のような拍手大喝采。いつも明るい成田のステージでの振る舞いは演奏とともに客を楽しませる。プログラミングは地元の人々を楽しませようと選曲に工夫を凝らした様子が窺がえた。

ドヴォルザークの「ソナチネ」(小さなソナタの意)は我が子の音楽教育のための曲と言われる。4楽章構成。アメリカ時代のドヴォルザークの特徴が出ている旋律美に溢れ、優しさに満ちた曲。20分余りの曲で初めて聴いた気がした。

ブラームスとサラサーテの曲は誰もが耳にしている馴染みのメロディ。「ハンガリー舞曲」21曲の中で特に親しまれている4曲が続けて弾かれた。コンサートのアンコール・ピースとしてピアノ曲・管弦楽曲として「第5番」が最も有名。一気に引き抜ける成田達輝の若いエネルギーは凄いと改めて感心!

パガニーニ以降の伝説のヴァイオリニストで超絶技巧をふんだんに取り入れたサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」。曲のタイトル通り、ハンガリーのジプシー音楽の濃厚な香りが漂う曲で聴く者を魅了する。
成田と萩原は若さあふれる演奏で最後まで聴衆の心を掴んで音楽の楽しさを共有した。
アンコール曲は初めの2曲は成田独奏で《パガニーニ:「24のカプリース」から 第1番 と 第9番》、3曲目は萩原も加わって「ポンセ:エストレリータ」。

※昨年に続く「札幌友の会」主催の大人の音楽会。子どもの音楽会も開催されているのではないだろうか。実は昭和50年代に旭川に在住の頃、妻が「旭川友の会」で10年ほど活動していた。その頃の旭川の指導者の息子さんが辻井伸行を育てたピアニスト川上昌裕。彼は辻井のために曲を録音して指導に当たった話を今回思い出した。辻井の指導は横山幸雄につなげたが、当時の様子を書物にしたようで知っている人も多いかもしれない。35年~40年前くらいの旭川での友の会での母と子の活動を久しぶりに思い出して書いてみた。
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札響名曲シリーズ2017-18 Vol.2 グリーグ&シベリウス(尾高&田部)

【森の響フレンドコンサート】
 新伝説のフィンランディア

2017年9月9日(土)  14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
 
指揮/ 尾高 忠明    ピアノ/ 田部 京子
管弦楽/ 札幌交響楽団

〈Program〉
 グリ―ク:ホルベルク組曲(ホルベアの時代から) op.40
       ピアノ協奏曲 イ短調 op.16
 シベリウス:「カレリア」組曲 op.11
         交響詩「トゥオネラの白鳥」 op.22-2
         交響詩「フィンランディア」 op.26

北欧の人気作曲家の音楽。尾高&札響は2009、2010年にグリーグ&シベリウスの管弦楽曲を各1枚リリースしている。北欧音楽を日本最北のオーケストラが録音して好評を得ているらしい。本日のピアニストは北海道出身で日本を代表する演奏家の一人、田部京子。人気の高い札響名曲シリーズが行われた今日はほぼ満席状態で盛り上がった。

ノルウエー出身のグリーグは同じベルゲン生まれの戯曲作家ホルムベルク(1684-1754)の作品に曲を付けた。ベルゲン市が主催するホルムベルクの生誕200年祭に協力したとされる。彼はカンタータとピアノ組曲を書いた。後にピアノ曲を弦楽合奏版に書き換えて「ホルベルク組曲」となった。(*ホルベルクの名は当時の宗主国デンマークに渡って活躍したので、デンマーク読みで“ホルベア”と表記されることもある。)
古い時代のスタイルで書かれたバロック様式の音楽で5曲から成る。①前奏曲 ②サラバンド ③ガヴォットとミュゼット ④アリア⑤リゴードン。タイトルから曲の印象が浮かぶが、ノルウェーの民俗音楽の香りもあってロマン派らしい曲作りも感じられた。札響の弦楽合奏の響きは安定していて実に美しく味わいがある。

グリ―クのピアノ協奏曲は人気が高くて演奏会でも度々弾かれる。田部京子のピアノを聴くのは今回が6回目。10年夏の札響特別演奏会で会員が選んだ三大ピアノ協奏曲(チャイコフスキー第1番、ラフマニノフ第2番、グリ-グ)から田部が「グリ-グ」を演奏した当時のコンサートの様子は鮮明に脳裏に浮かぶ。
ノルウェー民謡風の旋律が醸し出す北欧的な抒情味あふれる曲は魅力に満ちていた。グリーグの幸福感が躍動感を伴って田部のピアノから伝わってきた。第1楽章のカデンツァは華麗で輝きを放っていた。第2楽章はロマンティックな緩徐楽章で各楽器の織りなす色彩感も見事だった。第3楽章はピアノとオーケストラが華やかに掛け合いながらダイナミックなフィナーレへ。

7年前の時は第1曲目のラフマニノフが聴衆の心を圧倒して、その後の集中度を保つのが困難なほどであったと記憶している。名演奏家がそれなりに演奏しても3曲通して聴衆が集中力を維持するのは難しいことを別の機会にも経験した。田部のグリーグは第2曲目だった。1番人気のチャイコフスキーもラフマニノフの影響を明らかに受けていた。
今回の演奏会の焦点を田部の演奏に当てていた聴衆が多かったと思う。人々の期待に応えた田部の演奏は凄かった。2階3列正面からオーケストラ全体が目に入ってピアニストの手の動きが良く見えて、私自身は夢幻的な世界に誘いこまれたように曲に没入した。とにかく素晴らしい演奏であった。圧倒的な演奏の結果ではあるが、やはり会場が満席状態の時はコンサートは一段と盛り上がる。
演奏終了後の拍手大喝采はしばらく鳴りやまなかったが時間が押していることもあってかアンコール曲は披露されなかった。

尾高はフィンランドに赴いて当地のオーケストラと何度も共演を重ねている上、札響とのシベリウス交響曲ツィクルスを完成してCDもリリースしている。3曲共に名曲であるが、「フィンランディア」を除いては札響の演奏会で聴くのは珍しい。

シベリウスはロシアと隣接するカレリア地方を訪れて民族意識に目覚め、カレリア歴史劇のための音楽を書いた。のちに声楽入りの7曲から3曲を選んで組曲に編んだ。①間奏曲 ②バラード ③行進曲風に。第3曲のメロディが特に親しまれていて耳にする心地よい音楽。
*カレリア地方は第2次世界大戦後にソヴィエト連邦の領土となり、現在はロシア領である。

シベリウスは《カレワラによる4つの伝説曲》(レミンカイネン組曲)を書いたが、その第2曲が「トゥオネラの白鳥」。トゥオネラ川に浮かぶ白鳥の情景が描かれている。演奏時間が8分程度の美しい曲。

「フィンランディア」はフィンランドの音楽的象徴として国歌より名高い曲のようである。ロシアの支配下にあってフィンランド国民を鼓舞する音楽として知られ、現在も演奏機会が多い。人間を勇気づける曲で何回耳にしても力強い魅力的な曲。

尾高&札響のコンビで作り上げる北欧ものは素晴らしい。アンコールに馴染みの弦楽合奏曲「シベリウス:アンダンテ・フェスティーボ」。札響名誉音楽監督とオーケストラの信頼関係が作り上げる北欧の音楽は心深くに届く。



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大平由美子ピアノ・リサイタル

大平由美子のピアノ・リサイタルを聴いたのは2010年に続いて2度目ではないかと思う。その間に札響チェロ首席奏者石川祐支とのデュオ・リサイタルは2度ほど聴いてブログに書いたことはある。
彼女は東京藝術大学卒業後はドイツに渡り、ベルリン芸術大学卒業。ベルリン芸術大学で講師を務めながら、20年もヨーロッパ各地で多岐にわたる演奏活動を続けて2008年に帰国。現在は札幌在住で新たな室内楽活動の幅も広げている。

2017年9月8日(金) 7:00PM開演  札幌コンサートホールKitara小ホール
〈Program〉
 J.S.バッハ(ペトリ編):「狩のカンタータ」BWV208より“羊は安らかに草を食み”
 J.S.バッハ(ケンプ編):コラール前奏曲「来たれ、異教徒の救い主よ」BWV659
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 Op.109
ショパン:舟歌 嬰ホ長調  Op.60
シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D960(遺作)

バッハの2曲のタイトルは知っていて2・3回聴いたことはあったが、編曲で聴くと印象が違った。好みの問題だろうが、原曲の方が味わいがあると感じた。ピアニストのプログラム・ノートでの解説は参考になった。“羊は安らかに草を食み”は領民を羊、領主を羊飼いに例えたクリスティアンの善政を讃える歌だという。コラール前奏曲とは教会の礼拝で歌われる讃美歌の導入として演奏されるオルガン曲。

ベートーヴェンの「第30番」は冷静に彼自身の心に問いかけた内省的な曲として知られる。落ち着いた美しいソナタで、特に第3楽章が印象的だった。主題と6つの変奏から成り、最後に主題が奏でられて閉じられた。非常に味わい深い曲として聴けた。

ショパン唯一の「舟歌」はメンデルゾーンが書いた数曲のヴェニスのゴンドラの歌とは異なる趣のあるメロディアスな曲。ただ単なる情景描写ではなく、水の流れが激しくなる描写などではショパンの内面をも表現しているように感じられた。この曲はショパン晩年の傑作として演奏機会も多く親しまれている。曲の素晴らしさにはいつも心を奪われる。前半最後の曲で心地よさに身をゆだねた。

今日の演奏曲目で一番期待していたのがシューベルトの最後のソナタ。5年前にラドゥ・ルプーの演奏でこの曲に魅せられ、3年前には田部、今年の春は小山の演奏で曲の素晴らしさに惹かれた。歌曲王として認識はしていたがシューベルトのピアノ曲の良さが分るようになってまだ数年である。死の2ヶ月前に書いたとは思えない歌心のある見事な魅力あふれるピアノ曲。豊かな詩情だけでなく、孤独感や移り行く心情などが綴られた音楽が気高く、美しく聴く者の心に響き渡った。
大平は7年前のリサイタルで「第19番」を弾いていた。繊細で深みのある落ち着いた演奏ぶりには強い印象を受けていた。今回は彼女の集大成として演奏するのだろうかと予想していた。「第21番」は期待通りの演奏で会場を埋めた聴衆の喝采を浴びた。

ピアニストは40分強の大曲を暗譜で弾くのは大変だったと率直に語った。10年前のKitaraでのリサイタルの後に自宅で手を骨折してベルリンに復帰するのを断念して札幌に留まることになった経緯は初めて知った。結果的に、素晴らしい音響を持つKitaraで演奏する機会が増えたことで現在の喜びに繋がったようで、今後も札幌での演奏を続けていく心構えを力強く話した。
彼女のような経験豊かな実力のある演奏家が地元で活躍してくれることは嬉しいことである。

アンコールに「シューベルト:楽興の時 第3番」と「シューマン:トロイメライ」。帰りのホワイエはサイン会に並ぶ多くの人々でコンサートの余韻が漂っていた。

※Kitaraボランティアは80数名の会員がいてダイレクトメールの発送作業以外の活動も行っているが、編集部は月1回“Symphonia”を発行してKitara Club会員にも配布している。大平由美子さんは10年前から5・6年に亘って編集部の依頼で《ベルリン通信》、《ベルリンの思い出》のタイトルで寄稿していた。今回のコンサートの前に手元に保管してある“Symphonia”に寄せた10回ほどの寄稿文を読み返してみた。「カラヤン チケット争奪戦」や「ベルリンの壁の崩壊」など当時のベルリンの情報を楽しく読んだ記憶が蘇った。1990年前後のベルリンの音楽事情の一端を知れて面白かったが、記憶に残っていない記事も改めて再読できて良かった。学生時代は彼女はシューマンのソナタを得意としていて、歌曲は当時の世界の最高峰の歌手フィッシヤー=ディスカウに習い、彼やシュワルツコップのマスタークラスに出て身近に特別なレッスンを受けていたことも知った。
彼女のコンサートを聴き続ける上でもモティヴェーションが高まる情報であった。

 
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ふきのとうホール 秋のフェスティバル2017〈プラハへの旅〉 スークピアノ四重奏団&中嶋彰子/バノハ弦楽四重奏団

六花亭札幌本店に《ふきのとうホール》が開館して3年目を迎えている。この素敵な小ホールがオープンした7月には7つのコンサートを聴いた。今、思えばよく7回も聴きに出かけたものである。昨年8月には夏のフェスティバルが3日間開催され、第2日にシューベルトの室内楽を楽しんだ。今年は開催月が9月で秋のフェスティバルとなった。札幌も朝晩は涼しくなって、すっかり秋に入っている。3日間のうちソプラノ歌手中嶋彰子とスークピアノ四重奏団の演奏会を選んだ。

実はヨゼフ・スーク(*ドヴォルザークの曾孫)&堤剛&ダン・タイソンによる〈トリオの夕べ」の演奏会を89年7月、当時の札幌市民会館で聴いた。スーク・トリオのCDで「チャイコフスキー:偉大な芸術家の思い出に」はこのピアノ三重奏団を通して親しんだ。歌手の中嶋の歌はライヴでは一度しか聴いていなかったのでこの機会に是非と思った。

2017年9月2日(土) 16:00開演 ふきのとうホール
〈Program〉
 J.スーク:ピアノ四重奏曲 第1番 イ短調 op.1 (ヨゼフ・スークピアノ四重奏団)
 ドヴォルザーク:ジプシーの歌 op.55 (ソプラノ:中嶋彰子、ピアノ:V.マーハ)
           歌劇「ルサルカ」 op.114より “月に寄せる歌”
 ドヴォルザーク:弦楽六重奏曲 イ長調 op.48
                    (バノハ弦楽四重奏団+スークピアノ四重奏団)

世界的なヴァイオリン奏者だったヨゼフ・スーク(1929-2011)の父Josef Suk(1874-1935)はチェコの作曲家・ヴァイオリニスト。彼はドヴォルザークの孫にあたる。このピアノ四重奏曲はプラハ音楽院でドヴォルザークに学んでいた10代の頃に書かれたそうである。ドヴォルザークやブラームスの影響が感じられるロマン派の情熱的で美しい作品。
作曲家のヨゼフ・スークからその名を取ったピアノ・カルテットは2014年に結成された若手のQuartet。若さに溢れた瑞々しい曲として感じられた。ピアノが加わると音が響き渡り力強さが増す。

中島彰子(Akiko Nakajima)は今月9月号の音楽の友誌の“People”でも紹介されているが、彼女は日本人初となるウィ-ン私立音楽・芸術大学教授に就任。忙しい演奏活動と教育活動を精力的に両立させている様子が分る。8月・9月は日本各地での活動も入ってタイトなスケジュールをこなしている。
歌唱の前にドヴォルザークについての印象をピアニストに確認しながらトークを始めた。ドヴォルザークは汽車の音が好きだったということで「ユモレスク」のメロディを日本人の妻を持つマーハに弾いてもらっていた。彼女は日本語を6ヶ月間勉強して今回の来日に備えたと語った時に聴衆は一瞬驚いた反応を示した。普段の生活でドイツ語や英語ばかりを使っていると、日本語のリスニングに不自由は無くてもスピーキングが思うようにならないからではないかと思った。
3人、集まればチェコ人、ハンガリー人、オーストリア人という話も興味深かった。ジプシーは誇りが高く、ロマンティックで力強い生き方をしているようである。ジプシーの民俗音楽を耳にして歌曲に綴った歌曲集「ジプシーの歌」は7曲から成る。第4曲の「わが母の教え給えし歌」はヴァイオリン曲をはじめ色々な楽器に編曲されて親しまれている馴染みの曲。この曲は涙を誘うメロディであるが、他の曲は全てジプシーの力強く生きる姿が明るく描かれている。プログラムに曲の訳詞が添えられていたので第4曲の日本語訳を参考に書いておく。
 “私の年老いた母が歌を、歌を教えてくれたとき
  不思議なことにいつも、いつも涙を浮かべてた
  そして今、この日に焼けた頬にも涙が落ちる
  私がジプシーの子供たちに遊びや歌を教える時には!”

中嶋が“宝石箱のようなホール”と印象を語った会場に第一声が響き渡った時の歌声は何とも素晴らしくて適当な言葉が見つからないほどであった。彼女の声量は厚みと艶があってKitara小ホールの半分くらいの客席(221席)のどの席でも直接音と反射音が相まって高音も中低音もよく響いた。さすが世界的なソプラノ歌手の歌声は未だ健在で、今までに耳にした日本人歌手でも凄く印象に残る歌声であった。歌詞を参考にして聴けたので、感情も十分に込められているのが分かった。

歌劇《ルサルカ》は3年前のMETビューィングでルネ・フレミングが歌ったアリア「月に寄せる歌」の絶唱が眼前に浮かぶほどの名場面を思い出した。ステージで1曲だけ抒情的な歌唱で感情移入をしながら熱唱した直後の聴衆の盛大な拍手にも全員の感動の様子が伝わっていた。拍手喝采はしばらく鳴りやまなかった。

休憩後の弦楽六重奏曲の演奏は初めて聞くカルテットの名だがチェコの誇る名門だそうである。スークピアノ四重奏団のヴィオラとチェロ奏者が加わったアンサンブル。若手2人とヴェテラン4人の弦楽器の織りなす繊細な音色が自由自在に変化する様にも魅せられた。第3楽章のスラヴ舞曲が激しい曲想となって特に印象に残った。溌溂としたエネルギーが溢れる音楽のあとの終楽章は再び優しい調べでフィナーレ。
35分ほどの演奏でアンコール曲はないかもと思ったが、アンコールに第3楽章の一部を再び演奏してくれた。

2015年7月1ヶ月に亘って行われた《ふきのとうオープニング・フェスティバル》での演奏の一部が抜粋され3枚の記念CDとなった。2016年のニューイヤーコンサート「モーツァルトの愉しみ」(出演/カルテット・アルパ&阪田知樹)と2016年8月夏のフェスティバル「ヴィヴァルディの奇跡」(曲目/「四季」、出演/日下紗矢子&神戸市室内合奏団)の3種類のライヴ・録音のCDを今までのチケット6枚と交換して手に入って嬉しかった。



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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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