札響 夏の特別演奏会 2014 (尾高&小曽根)

尾高忠明 & 小曽根真 ---協奏曲の夜ーーー

指揮/尾高 忠明     管弦楽/札幌交響楽団
ピアノ/小曽根 真

モーツァルト: ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 K.271 「ジュノーム」
プロコフィエフ: ピアノ協奏曲第3番  ハ長調 op.26

小曽根真(Makoto Ozone)は1961年、神戸生まれのジャズ・ピアニスト。83年、ボストンのバークリー音楽大学のジャズ作曲・編曲科を首席で卒業。同年、カーネギーホールでリサイタルを開き、米CBSと日本人初の専属契約を結んで世界デビュー。03年以降、ゲイリー・バートンとのデュオ活動が今も続いている。03年、バークリー音楽大学より名誉博士号を授与された。近年はクラシックにも取り組んでいる。
08年のPMFオーケストラ演奏会“ハッピー・バースディ!バーンスタイン生誕90年~ガラ・コンサート”に出演。バーンスタイン作曲の《交響曲第2番「不安の時代」》を尾高忠明指揮で演奏。この曲の演奏中に携帯電話の音が客席から響いたが、小曽根はその音を即興演奏に取り込んで曲を弾き続けた話は今や有名なエピソードとして知られている。
国内外の主要オーケストラと共演してクラシック界でも活躍。2014年2月にはニューヨーク・フィルのアジアツアーで初の日本人ジャズピアニストとしてソリストを務めた。平成25年度文部科学大臣賞受賞。国立音楽大学教授。

札響とは何回か共演を重ねているが、11年6月の定期において尾高忠明指揮で「ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番」を演奏。(*この時のトランペット奏者にナカリャコフが予定されていたが変更になった。昨日ナカリャコフはKitaraのステージに上がっていた。偶然とは言え、ピアニストとトランぺッターとの擦れ違いは不思議な現象。)

モーツァルト(1756-91)のピアノ協奏曲は第20番~第27番が有名であるが、「第9番」は演奏会では聴いたことがなかった。田部京子のCDは所有していて聴くことはある。彼の初期の作品群のひとつ第9番は71年に作られ、献呈者のフランス人の名をとって「ジュノーム」の愛称がある。
第1楽章がオーケストラで始まるや否や独奏ピアノが登場するのは当時では珍しい。明るい曲がアレグロで展開される。第2楽章はゆったりとして荘重な趣きが感じられた。第3楽章のプレストとメヌエットの対比が印象的。華やかな雰囲気に包まれ、カデンツァも魅力的。鍵盤奏者であるジュノームに触発されて新たに取り組んだ作品と言われる。

小曽根が初めて尾高&札響と演奏した2003年の曲が「ジュノーム」だったが、“緊張して夢中で終わってしまった”と語っていた。今夜の演奏は当時から10年も経ち、クラシックの経験も積み重ねて、楽しんで余裕のある演奏が出来たようであった。小曽根は“マエストロ尾高のお蔭でクラシックの世界に入ることになった”と言う。
オーケストラの楽器編成は管楽器はオーボエ2本、ホルン2本と弦5部。聴衆の盛大な拍手に応える中で、ピアノの響板を下ろしてオーケストラの奏者の顔が見えるように配慮する心遣いは普段のコンサートでの場を踏んだピアニストの姿を見た思いがした。

休憩前のプログラムに小曽根のプレゼント曲として「MO'S NAP」が演奏された。クラリネットとピアノのための弦楽合奏曲(クラリネット独奏は札響首席の三瓶佳紀)。

プロコフィエフ(1891-1953)はピアノ協奏曲を5曲作曲したが、「第3番」が最も有名である。また、難曲としても知られる。エル・バシャとアシュケナージのCD全集はあるが、演奏会では20002年のPMFでアルゲリッチの演奏を聴いた記憶しかない。

「ピアノ協奏曲第3番」はロシア革命の翌年1918年の亡命以前に着手され、亡命中の21年に完成された。ピアノの名手であったプロコフィエフに相応しく、ピアノの技巧がふんだんに駆使されている。21年、シカゴでプロコフィエフ自身の演奏でシカゴで初演。翌22年から20世紀のクラシックとして広く受け入れられた。第1楽章の序奏ではロシアの哀愁漂うメロディをクラリネットが奏でる。ピアノが物凄いテンポで若々しい情熱を歌い上げる。第2楽章は牧歌的な主題と5つの変奏とコーダ。現代的な澄み切った清楚さが感じ取れた。第3楽章はピアノの不協和音の嵐の中、フィナーレへと向かう。終結部が何と言っても迫力があって最も印象的。最終楽章にもプロコフィエフの独特のリズム感、現代感覚が溢れているように思った。ロシア亡命の途中で日本に滞在した折に聞き覚えたのか、「越後獅子」のようなメロディが現れているのも面白い。新古典主義や民族主義などいろいろな要素が混じって、何となく調和している事で人気の作品になっているのかも知れない。

小曽根の超絶技巧の演奏は素晴らしかった。鍵盤の上を走る指の動きは正にジャズで培った能力を遺憾なく発揮していた。クラッシックの演奏家でも簡単には演奏できそうにもない難曲を見事に弾き切った。もはやジャズピアニストという範疇を越えた音楽作り。立派なクラシック音楽の演奏家と言えよう。
演奏終了後の聴衆の反応はクラシックの普通の演奏会の万雷の拍手と歓声とは一味違っていた。客席は満席状態ではなかったが、小曽根のコンサートを楽しみにしてきた人々の感動がホールを包んだような感じがした。曲のフィナーレが感動的で聴く者や観る者の胸を打つ心に響くものであった。とにかく、小曽根が挑んだ新しい試みは成功裏に終った。

マエストロ尾高も最後の札響音楽監督のシーズンでいろいろなお土産を用意周到に準備してきたことを今日の演奏会を通しても感じた次第である。

ソリストのアンコール曲は「オスカー・ピーターソン:自由への讃歌」。
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PMF特別コンサートⅡ~withナカリャコフ~ 2014

25回アニバーサリープログラム
PMF Special Concert Ⅱ

2014年7月27日(日) 14:00開演  札幌コンサートホール Kitara 大ホール

〈出演〉
 ガエタノ・デスピノーザ(指揮)、 
 セルゲイ・ナカリャコフ(トランペット、フリューゲルホルン)
 PMFオーケストラ

Gaetano d'Espinosaはイタリア生まれ。03-08年まで、ドレスデン国立歌劇場のコンサートマスターを務めた。08年以降はファビオ・ルイジとの出会いが切っ掛けで指揮者に転向。PMF2010で芸術監督ルイジのもとミュージカルアシスタントとして参加。以降、ローマ・サンタ・チェチ―リア管などを指揮。現在ミラノ・ヴェルディ響首席客演指揮者。

セルゲイ・ナカリャコフ(Sergei Nakariakov)は1977年、ロシア生まれ。91年、ザルツブルク音楽祭でデビュー。15歳でCDデビュー。95年に初来日してから毎年のように来日。98年、NHK連続テレビ小説「天うらら」のテーマ曲を演奏して大きな話題を呼んだ。98年秋の日本ツアーでKitaraに登場して、トランペット・リサイタルを開いた。当時、日本のメディアは“トランペットの貴公子”として取り上げた。彼は「トランペット界のパガニーニ」と称され、ヴァイオリンやチェロのために書かれた協奏曲のアレンジを演奏し、世界有数のソロ・トランペット奏者として活躍。
02年にはフランクフルト放送交響楽団との共演でKitaraに再登場。05年にはNHK大河ドラマ「義経」の紀行テーマを演奏。
11年6月の札響の定期公演への出演は東日本大震災の影響でキャンセルとなったが、今回は12年ぶりのKitara登場。

〈プログラム〉
 武満 徹:弦楽のためのレクイエム
 ヴィットマン:トランペット協奏曲(セルゲイ・ナカリャコフ献呈/日本初演)
 モーツァルト:ホルン協奏曲 第4番 変ホ長調 K.495
 ベートーヴェン:交響曲 第4番 変ロ長調 作品60

武満徹(1930-96)は、その作品が海外で頻繁に演奏される日本の代表的な作曲家。“Requiem for Strings”は1957年、東京交響楽団の委嘱で作曲された。55年に早逝した早坂文雄を偲んで作られたと言われる。(札響の8月定期は早坂の生誕100年記念演奏会として開催。) 59年に来日したストラヴィンスキーが絶賛した作品としても知られる武満の出世作。
33名による弦楽合奏。

ヴィットマン(Jorg Widmann)は1973年生まれのドイツの作曲家・クラリネット奏者。ナカリャコフの超絶技巧と循環呼吸を念頭に作曲され、06年ミュンヘン室内管と初演、07年にはピエロフラーヴェク指揮BBC響と共演。以後、各地のオーケストラとの共演が重ねられ、今回は日本初演。
独奏トランペットの他は弦楽器19、管楽器6、打楽器1の楽器編成。
ナカリャコフでなければ吹けないような奏法で演奏された。曲の内容より、循環呼吸による連続して吹き続ける超絶技巧に圧倒された感じ。弦楽器奏者のピッツィカート奏法が多く目立ち、いろいろな珍しい打楽器が使用された。ティンパニ奏者の奏法が見ていて華々しくて面白かった。
およそ15分程度の曲が終ると万雷の拍手と歓声が沸きあがった。

モーツァルト(1756-91)はホルン協奏曲を4曲書いた。第4番は1786年にロイトケープのために作曲。彼をからかう為に黒インクだけでなく、青、緑、赤インクを使って楽譜を書いたそうである。当時のホルンにはバルブが付いてなかった。楽器編成が独奏楽器、オーボエ2、ホルン2、弦5部33。曲はモーツァルトに特徴的な明るくて、おおらかな曲調。独奏楽器がフリューゲルホルンなので一層、音の響きが澄み切ったように聴こえた。曲が歌のようにも感じられて楽しめた。

ナカリャコフ目当てで今日のコンサートに足を運んだ人が多かったと思う。若い聴衆が断然多くて、吹奏楽関連の学生も多く目についた。3年前の札響出演を楽しみにしていた人にはやっと念願が叶ったのではないか。また、15年ほど前のテレビ放送で親しんだ曲を思い出した人も沢山いたのではないかと思ったリした。私自身、今日のコンサートの前に、その頃に購入したナカリャコフのCD、“ミラクル・トランペット・ベスト”や“NO LIMIT”を聴いて、懐かしい思いをした。

ベートーヴェン(1770-1827)の「第4番」は昨年のパーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマ―フィル、ブレーメンの演奏が鮮明に焼き付いている。室内管弦楽団の楽器編成。フルート、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2.、トランペット2、ティンパニ、弦5部33で計45名。RA席からステ―ジ全体が見渡せたので、関心があって楽器編成を確かめた。
PMFオーケストラは二つ編成され、今日は旭川組(プログラムB)と札幌組(特別コンサート)に分かれて演奏を行なった。
フルートと弦楽器で始まった第1楽章は活気に満ち溢れ、生き生きとした音楽が繰り広げられた。第2楽章では美しい歌も流れた。第3楽章のメヌエットは牧歌的で明るい。第4楽章のフィナーレも快活で心地良い気分に浸った。
指揮者もイタリア出身とあってか軽やかな指揮ぶりがこの曲の印象をより明るいものにしていた。
 
若い奏者のエネルギーが伝わってくるようなコンサートが続いて何となく嬉しい。

PMF2014ではベートーヴェン交響曲が3曲もプログラムに載った。第9番は過去にも2回は演奏されているが、第4番、第7番は初めてのような気がする。PMFのプログラムとして今年のベートーヴェンの交響曲はアカデミー生にとっても古典派の良い勉強になったのではないかと思った。聴く者にとっても大オーケストラ用の作品だけに偏らないプログラムは好ましい。




PMFオーケストラ演奏会(プログラムB) 2014

2014年7月25日(金) 15:00開演 札幌コンサートホール Kitara 大ホール

〈プログラム〉
 ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 作品92
 シベリウス:交響曲 第2番 二長調 作品43

〈出演〉
 ジョン・ネルソン(指揮)、 PMFアメリカ、  PMFオーケストラ

John Nelson は1941年、コスタリカ生まれのアメリカ人。ジュリアード音楽院で学ぶ。73年、ベルリオーズの《トロイア人》を指揮してメトロポリタン歌劇場にデビュー。インディアナポリス響(76-87)、セントルイス・オペラ(85-88)の音楽監督、リヨン歌劇場の首席客演指揮者などを歴任。パリ室内管の音楽監督(98-08)。アメリカの五大オーケストラを始め、ヨーロッパの一流オーケストラを指揮。04年にはパリ室内管と来日。マゼールの代役としてPMF初参加。

PMFアメリカの教授陣(14名)のうち初参加のクラリネット奏者以外は全員2013年に続いての参加。

2013年は「第7番」初演から200年の記念年であった。Kitaraを訪れた海外オーケストラでベートーヴェンの第7番を演奏して印象に残ったオーケストラが二つあった。サロネン指揮フィルハーモニア管とマゼール指揮ミュンヘン・フィルであった。指揮者の魅力によるところが大であったが、昨年の演奏の様子が今でも目に浮かぶ。二人の指揮者の特徴は違っても、音楽に気持ちを投入できて聴いていて物凄い感動を覚えた。

今日のプログラムもマゼールが用意したものであるが、ネルソンはアカデミー生だけのオーケストラから若々しいリズム感のあるハーモニーの美しい力感溢れる演奏を見事に作り出していた。メリハリのある若々しい指揮ぶりは聴衆からもブラボーの声が上がり拍手喝采で盛り上がった。アカデミー生によるこれだけの感動的な演奏を聴けたのはとても良かった。
アカデミー生からも指揮者に普段とは違った意味合いを持つ拍手がおくられる姿も見ていて気持ちよかった。

2管編成で管楽器13、打楽器1、弦楽器50(?).。2階前列のほぼ中央の座席からはステージ全体が良く見える。上記の演奏会では弦楽器群しか見えなかったり、指揮者の様子が良く観察出来たり、座席によって鑑賞の細かい印象度は違うのは止むを得ない。2管編成でもベートーヴェンの第1番や第2番とは段違いの印象を受けるのは作曲の妙なのか(?)とふと思った。また同じ第7番でも楽器編成を変えて演奏している場合もあるのだろうと思った。

休憩後のプログラムにはPMFアメリカの教授陣が入って、オーケストラは3管編成。管楽器27、打楽器3、弦楽器50(?)。管楽器のメインはアカアデミー生で教授はセカンド担当に見えた。アカデミー生のレヴェルが高いからだろう。コンマスはデイヴィッド・チャン(メトロポリタン歌劇場管)が務めた。前半の曲と同様にホルンの楽器配置が上手なのが意外であった。今迄に余り見たことのない配置であったが、指揮者の意向だったのではないか。聴く方には全く違和感はなかった。

この交響曲「第2番」はシベリウス(1865-1965)の7曲の交響曲の中で一番親しまれている。2015年がシベリウスの生誕150年に当たるのも、今日の選曲の一因かも知れない。1901年にシベリウスは家族と一緒にイタリアへ旅行したが、その旅が明るい曲作りのきっかけとなった。当時のフィンランド人のロシアからの独立を求める民族意識を掻き立てる雰囲気を持った作品とも言える。
第1楽章は力感に富んで心地よい響きを奏でる。第2楽章は低音域楽器で始まるほの暗い楽章。フィンランド人の内面を幻想風に描写しているようにも思える。第3楽章はスケルツォで牧歌的雰囲気が漂う曲調。切れ目なく第4楽章へ。堂々とした主題と哀愁を帯びた主題が歌われて管楽器が高らかな賛歌で圧巻のフィナーレ。
前半の曲とは違って、何となく北欧の空気を醸し出せたように思った。

ジョン・ネルソンはアメリカの大都市のメージャー・オーケストラやヨーロッパの一流オーケストラを指揮した経歴を持つ経験豊富な指揮者。急遽、PMFオーケストラを指揮することになって精神的重圧もあったであろうが、その重圧を跳ね除けて堂々とその実力ぶりを発揮した。日本での知名度は余り高くないと思うが、演奏終了後に聴衆が指揮者に贈る拍手は温かかった。アカデミー生からの拍手も普段とは違う温かさを感じ取れた。指揮者も満足感を味わったのではないか。実際の年齢より若さを感じさせる指揮者。今後、これをきっかけに日本でも活躍が期待される。

今日と同じプログラムで明日はKitaraで夜公演、明後日は旭川で昼公演が予定されている。

映画「パガニーニ」主演のディヴィット・ギャレット

今日は午前中に時計台のボランティア活動をした後、映画「パガニーニ」を鑑賞してきた。年間80回程度はコンサートに通っているが映画も年30-40本は観る。クラシック音楽に関連のある映画は見逃さない。ここ5・6年ではベートーヴェン、ラフマニノフ、グレン・グールド、クララ・シューマン、マーラーなど。昨年、鑑賞した「カルテット」、「24年目の弦楽四重奏」は興味深くて、良い映画であった。
これらの音楽映画は札幌では市民出資による市民映画館「シアターキノ」で上映されることが多い。今月はPMFが開催されていて忙しくて、映画から遠ざかっていた。19日からTheater KINOで「パガニーニ」の上映が始まったことを知って早速鑑賞してみる気になった。

この映画で主演している俳優がヴァイオリニストのデイヴィッド・ギャレットであることは以前に新聞記事で読んでいた。実はギャレットは2003年にフィンランド・ラハティ交響楽団のソリストでKitaraに出演していた。その時の指揮者は先日PMFオーケストラ演奏会で指揮者を務めたオスモ・ヴァンスカであった。ギャレットが札幌で演奏した曲目は「シベリウスのヴァイオリン協奏曲」。

David Garrettは1981年ドイツ生まれ。10歳でアルブレヒト指揮ハンブルク・フィルと共演し、14歳でドイツ・グラモフォンと契約。17歳でメータ指揮ミュンヘン・フィルと共演。2009年にCD「ロック・プレリュード」が全米クラシカル・クロスオーヴァー・アルバムチャートで9週連続1位、40週以上のトップ10を記録。現在もロックとクラシックをクロスオーヴァーさせて人気を誇っていると言う。モデルもこなすクラシック界のベッカムとしても知られているそうである。

映画の原題は“The Devil's Violinist”で主演・制作総指揮・音楽がギャレット。“悪魔のヴァイオリニスト”と呼ばれた伝説の音楽家、ニコロ・パガニーニのドラマティックな生涯が描かれた。

パガニーニ(1782-1840)は19世紀の前半、天才の名をほしいままにしたイタリアのヴァイオリニスト・作曲家。ヨーロッパ各国を周っての演奏は大評判を呼んでいた。当時では他のヴァイオリニストが出来そうにもない奏法を身に着けていた。
彼の作曲では《ヴァイオリン協奏曲第1番、第2番》、《24のカプリ―ス》の曲目ぐらいしか知っていなかった。ブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲」、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」などのピアノ曲を通してパガニーニの偉大さを知っているぐらいであった。
彼の作品は1~79まであるが、出版されたのは1~5までらしい。協奏曲の弦楽パートは部外者に見せたくなかったと言われる。彼の超人的な技術が一層神秘的になったのだろう。
パガニーニの音楽における偉大さは承知していても、彼の人生については殆ど知らなかった。今回の映画を通して初めて判ったことが多い。彼は賭博と恋愛におぼれて破天荒な一生を送った様子が描かれた。亡くなった時に教会での埋葬を拒否された。(映画での言及はなかったが、5年後に教会で葬られ、1926年に生地のジェノヴァの墓地に移されたそうである。)

映画の原題が気になったが、「悪魔に魂を売り渡して手に入れた」と恐れられた超絶技巧の演奏法、派手な女性関係やギャンブルなどが普通の音楽家の人生と異なっていてヨーロッパでは特に“悪魔的存在”だったのかもしれない。日本ではパガニーニと「悪魔」は結び付かない。今や音楽界の革命児となったギャレットが、10年前とは違った容姿で、スクリーンに登場して熱演した。“21世紀のパガニーニ”が名器ストラディヴァリウスで奏でる本格的音楽映画と宣伝されている。(*パガニーニ愛用の楽器は音楽愛好家から贈られたグァルネリ・デル・ジェス。遺言でジェノヴァ市に寄贈。)

客席100名の小ホールも満席状態で、音楽ファンが連日詰めかけている様子であった。
シアターキノは1992年に日本一小さな映画館(29席)として開館した時から通っている。98年に狸小路6丁目のピルに2つのスクリーン(63席と100席)を持つ市民映画館として移転した。映画館が次々と消えていった時代に、現在も良質の映画を上演し続けている。

*ベルリオーズの「イタリアのハロルド」の作曲の動機はパガニーニの依頼によるものであった。パガニーニは「幻想交響曲」の演奏会で感激し、自分が所有するヴィオラのストラデイヴァリのためにベルリオーズに「ヴィオラと管弦楽のための協奏曲」の作曲を依頼した。作曲の進行状況を見に来たパガニーニは最初のスケッチが気に入らずに、この話はご破算となった。その後、ベルリオーズは「独奏ヴィオラを伴った交響曲」としてこの曲を完成させた。
ベルリオーズに関するブログでパガニーニとの関係を書いた記憶があったので、改めて記した。

PMFステージオペラin Kitara 「ナクソス島のアリアドネ」

~25回記念アニバーサリープログラム~
PMFステージオペラ in Kitara 「ナクソス島のアリアドネ」
                         (全2幕・ドイツ語上演、字幕付き)
R.シュトラウス生誕150年記念

このオペラ」は7月18日(金)夜公演でも同じ出演者で上演された。

2014年7月20日(日) 14:00開演  札幌コンサートホール Kitara大ホール

R. Strauss:“Ariadne auf Naxos”
〈出演〉 
沼尻竜典(指揮) 
ヨズア・バルチュ(執事長)、駒田敏章(音楽教師)、塩崎めぐみ(作曲家)、水口聡(テノール歌手:バッカス)、伊藤達人(士官)、日浦眞矩(舞踏教師)、大塚博章(かつら師)、清水那由太(従僕)、天羽明恵(ツェルビネッタ)、大村博美(プリマドンナ:アリアドネ)、村松恒矢(ハルレキン)、澤武紀行(ブリゲッラ)、九嶋香奈枝(ナヤーデ)、林よう子(ドゥリアーデ)、今野沙知恵(エコー)
PMFウィーン、安楽真理子(ハープ)、野間春美(ピアノ)、佐久間晃子(チェレスタ)、オクタヴィアン・ソニエ(ハルモニウム)
PMFオーケストラ

沼尻竜典(Ryusuke Numajiri)は1964年、東京生まれ。桐朋学園大学、ベルリン芸術大学で学び、90年ブザンソン国際指揮者コンクールに優勝。新星日本交響楽団正指揮者(93-98)、東京フィル正指揮者(99-03)、名古屋フィル常任指揮者(03-06)、日本フィル正指揮者(03-08)を歴任。07年から、びわ湖ホール芸術監督として同ホールでのオペラ・シリーズでの活躍が顕著な指揮者。98年にロンドン響を指揮して海外デビュー。以来、国内外で多くのオーケストラと共演。05年にケルン歌劇場、07年にバイエルン州立歌劇場などにデビュー。
04年、読売日響の札幌公演以来のKitara 出演。10年ぶりとは思えない程、その活躍ぶりを身近に感じていた。

リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)は多くの交響詩を書いたことで知られている。「ドン・ファン」、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、「ツァラトゥストラはかく語りき」、「ドン・キホーテ」、「英雄の生涯」など。「家庭交響曲」「アルプス交響曲」も交響詩的な作品であり、コンサートで聴く機会もある。彼は指揮者としての活動も顕著で、ウィ―ン国立歌劇場の指揮者も務めた(1919-24)。歌曲の作品も数多く残している。
ドイツ・オーストリア系の作曲家としてはワーグナーとともにモーツァルト以来の偉大なオペラ作曲家である。「サロメ」、「ばらの騎士」などが良く知られた作品で実に多くの舞台作品を手がけている。私自身は彼のオペラ作品は観たことが無い。

今回のオペラもタイトルを聞いたことがあるくらいでストーリも全然知らない。
プログラムの解説には次のように書かれている。《18世紀のウィ―ンで、ある大富豪が、「宴会の余興に喜劇芝居と悲劇オペラを同時に上演せよ」と執事に命じる。彼の気まぐれに作曲家は憤慨、歌手勢も顔色を変えるが、洒落気の強い演劇人は乗り気になり、「捨てられた王女アリアドネ」の筋立てに、コメディアンが堂々と絡むことに、、、。》
オペラのあらすじも詳しく知らずに鑑賞することになった。

第1幕(約40分)のプロローグで執事長役のドイツ語からドイツ・オペラの雰囲気が感じ取れた。持ち込まれた難題に悩む音楽教師や作曲家、プリマドンナ、踊り子たちのドタバタぶりが描かれた。作曲家役の塩崎めぐみの歌唱力が光った。(第1幕40分)
第2幕(約80分)の舞台は《ナクソス島の洞窟の入り口》。ギリシャ悲劇のヒロインの王女役アリアドネが夫に取り残された孤島で悲しみの日々を送っている。ツェルビネッタと踊り子たちが彼女を慰めるが効果がない。天羽明恵が「偉大なる王女様」のアリアを堂々と歌い上げた。超絶的コロラトゥ-ラとリリックな声とともに確かな演技力が観客を魅了した。
若い神バッカスが島に来たことを告げられ、アリアドネは死の使いが現れた思い込む。バッカスのお蔭で死への渇望が消え、生きる喜びに目覚めて、二人は結ばれる。
水口聡はウィ―ン国立音楽大学を首席で卒業。1988年ミラノ国際コンクールに優勝し、欧州各地の歌劇場で活躍。現在もウィ―ン在住。聴いて酔いしれるほどの圧倒的な歌唱がホールを包んだ。大村博美もヨーロッパ諸国で数々の国際オペラコンクールに入賞した実績を感じさせ、容姿も含めて気品のある役柄を見事に演じた。荘重なアリアだったので観客の大拍手を得る場面にはならなかったのが残念であった。
今回の演目は北海道初演だが東京などでは歌手陣も経験を積んでいる様子がうかがえた。

オーケストラは37名の小編成ではあったが、鍵盤楽器、打楽器、ハープなどが多用されて多彩な音色を出していた。オーケストラは伴奏に終るだけでなく音楽を響かせている印象を受けた。R.シュトラウスの巧みな作曲のせいなのかも知れないと思った。
彼の交響詩の良さが少しづつ解りかけてきた段階なので、オペラ作品は鑑賞を積み重ねないと理解は難しいだろう。とにかく今日は素晴らしい歌声を聴けて良かった。
 
PMFも前半が終わって一区切り、PMFウィ―ンの出演するコンサートも今日が最後であった。キュッヒルさんを始め弦楽器の教授陣に感謝したい。お疲れ様でした。また来年を楽しみにしています。

ハープの安楽真理子さん、今日大健闘した天羽さんは8月3日の最終日までPMF後半のプログラムが目白押しです。私も後半4つのコンサートを聴く予定である。

PMFオーケストラ演奏会(プログラム A)  2014

2014年7月19日(土) 14:00開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール
 
〈出演〉ドミンゴ・インドヤン(指揮)、  べプソド・アブドゥライモフ(ピアノ) 
     PMFオーケストラ、 PMFミュンヘン、PMFベルリン

ドミンゴ・インドヤン(Domingo Hindoyan)はべネズエラ出身の指揮者。エル・システマでヴァイオリンを学び、ジュネーヴ高等音楽院指揮科修士課程を首席で修了。03年と04年のPMFにアカデミー生として参加。03年のPMFでハイティンクの指揮ぶりに魅せられて後に指揮に転向。数々の国際指揮者コンクールに入賞。ロンドン・フィル、スイス・ロマンド管、フィルハーモニア管などと共演。日本の新日本フィルとも共演を重ねている。13年からベルリン国立歌劇場でバレンボイムの第1アシスタントを務めている。

べフゾド・アブドゥライモフ(Behzod Abduraimov)は1990年、ウズべキスタン生まれ。09年、ロンドン国際ピアノコンクールに優勝。4日後、代役でデュトワ指揮ロイヤル・フィルと共演。同年、アシュケナージ指揮シドニー響とアジアツァーのソリストに抜擢された。12年、東京交響楽団と共演。14年5月、デュトワ指揮ボストン響のアジアツアーに参加。6月には彩の国さいたま芸術劇場でリサイタルを開いたばかりで、日本で話題のピアニストの一人。

〈プログラム〉
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23
 シューマン:交響曲 第2番 ハ長調 作品61

予定のプログラムの前に、ロリン・マゼールの死を悼む曲の演奏と黙とうが行われた。
追悼曲 [バーバー:弦楽のためのアダージョ]

チャイコフスキーが作曲した3曲のピアノ協奏曲の中で断然よく知られていて、古今東西の協奏曲の中でも最も人気が高い作品のひとつ。70年代からLPレコードで聴き続け、今はCDを十数枚持っていて聴き比べをするほどの魅了的なピアノ曲。コンサートで聴いた回数は数知れない。
作品発表当時のエピソードは余りにも有名である。ハンス・フォン・ビューローのピアノ独奏で初演から大成功を収めた。
壮麗で堂々たる第1楽章の序奏が聴く者の心を鷲掴みにする。続いてウクライナ民謡に基づく美しい主題。若いピアニストの長大なカデンツァにも魅了された。
20分も要する第1楽章が終ると客席から拍手が起こったのは少々残念だった。第2楽章のフルートが歌い始める旋律が美しい。(先日もこのフルート奏者は見事なメロディを響かせた)。オーボエとチェロの音色も心地よく響いた。第3楽章は輝かしい活気に満ちたフィナーレ。チャイコフスキーのメロディ・メーカーとしての優れた調べをオーケストラとともにピアノが絢爛豪華に彩った。
オーケストラは2管編成でアカデミー生のみの出演。

ソリストのアンコール曲は「チャイコフスキー:ノクターン 作品19-4」。華やかな「協奏曲」とは違って、曲名の通りに静かな夜に染み渡るような調べ。

シューマンの「第2番」は1990年のPMFでバーンスタインが指揮した作品として知られている.。2009年の20回記念でも「PMFアニバーサリー・オーケストラ」として世界中からアカデミー修了生が集まって、この記念すべきシューマンの交響曲第2番が演奏された。指揮はPMF91/93-98芸術監督を務めたエッシェンバッハであった。この時にライブ録音されて贈呈されたCDが手元にある。今朝ほどコンサートに出かける前に聴いてみたが、演奏の素晴らしさを感じ取った。エッシェンバッハは2000年にハンブルク北ドイツ放送響の札幌公演の時も「シューマンの第2番」を演奏しているので、彼の得意な曲なのかもしれない。
第1回PMFオーケストラ以来のプログラムになったのは、人数の問題もあったのではないかと推測した。3管編成で約80名による演奏。同時期に《オペラ「ナクソス島のアリアドネ」》の上演もある。こちらは約40人編成のオーケストラ。つまりアカデミー生は2つに分けられる。教授陣もオペラはPMFウィーンが担当して、シューマン第2番はPMFミュンヘンとPMFベルリンの担当になったと思われる。

曲はハ長調だが、明るい曲調ではなく、苦悩の陰も漂う。激しい緊迫感もあって、どこかシューマンの後半の人生が描かれているような感じがした。第3楽章のアダージョ・エクスプレッシーヴォが印象的な緩徐楽章。主題は美しいが痛みを秘めた想いで響く。幻想的な雰囲気もある。この曲は長年の親友メンデルスゾーンの指揮でライプツィヒのゲヴァントハウスで初演された。
バーンスタインは体調の良くない状況で第3楽章を集中的に指導していたと聞いている。第4楽章はダイナミックに展開して輝かしい響きになった。苦悩や病気を克服した彼の人生との関連を重ね合わせて聴いた。重厚な作品だと思った。今朝CDで耳にした演奏の印象が強烈であったせいか、今日の生演奏に物凄く感動したというほどではなかった。
PMFミュンヘン4名の木管教授陣、PMFベルリン3名の金管教授陣とティンパニ奏者(ライナー・ゼーガス)が曲を引き締めていた役割は大きいと思った。
溌剌とした指揮ぶりのインドヤンも好印象を残した。

明日は同じプログラムによる苫小牧公演が予定されている。PMF前半の教授陣の最後のプログラムとなる。



PMFウィ―ン弦楽四重奏演奏会 2014

2014年7月16日(水) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara 小ホール
 
出演:PMFウィ―ン(ライナー・キュッヒル、ダニエル・フロシャウアー、
          ハンス・ペーター・オクセンホーファー、 ヴィルヘルム・プレーガー)
    
PMFウイーン弦楽四重奏演奏会は以前はKitara大ホールで夜に開催されてきたが、昨年は小ホールでウイーク・デーの昼間に開催された。大ホールの座席数2008に対し、小ホールの座席数は453。今年は同じプログラムの公演が19日の土曜日の夕方にも行われることになった。
メンバーは昨年と同じ。 キュッヒルはPMFアカデミーには7回目の参加。うち1回はソリスト、3回はカルテットとしても出演。フロシャウワー(ヴァイオリン)とプレーガ‐(チェロ)は二人とも若手で2回目の参加。オクセンホーファー(ヴィオラ)はウィ―ン・フィルを定年で退団したが12回目の参加。

〈プログラム〉
 ハイドン:弦楽四重奏曲 第74番 ト短調 作品74-3 「騎士」
 チャイコフスキー:弦楽四重奏曲 第1番 二長調 作品11
 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第9番 ハ長調 作品59-3 「ラズモフスキー第3番」

ハイドン(1732-1809)は“交響曲の父”と呼ばれるが、弦楽四重奏曲も80曲以上作っている。「ひばり」,「皇帝」など愛称が付いている数曲は何となく聴いて判るが、大部分は聴いても記憶に残らない。1793年に作曲された「騎士」は多分初めて耳にする。ハイドンの曲は長調が多いので明るく爽やかな印象を受ける。この曲の調性はト短調ではあっても、曲は全体的に軽快でフィナーレは駆け抜ける感じがした。

チャイコフスキー(1840-93)が書いた4曲の弦楽四重奏曲の中で1871年に作曲された「第1番」が有名である。第2楽章の《アンダンテ・カンタービレ》でウクライナ民謡に基づく美しい旋律がホールを埋めた聴衆を魅了した。キュッヒルが主旋律を奏でて他の奏者が後を追うようにいろいろ変化して曲が歌うように展開された。先月のプラジャーク四重奏団の演奏会でも聴いたばかりだが、何度聴いても親しみが持てて心地よい響き。
ポピュラーな曲を演奏曲目にしたことに少々意外性を感じた。

ベートーヴェン(1770-1827)の全16曲の弦楽四重奏曲の中で中期の作品に当たるラズモフスキー3曲。1806年に作曲され作曲委嘱者のロシアのラズモフスキー伯爵の名が付けられた。
「第3番」は3曲の中で最も明るい曲として親しまれている。生き生きとして朗らかな第1楽章。暗い気分でありながら情緒のある第2楽章。ベートーヴェンの曲では珍しいことに第3楽章はスケルツォでなくメヌエット。切れ目なく第4楽章へ続いた。人生の喜びが高らかに歌われる充実した最終楽章は聴いていて気分も高揚した。圧倒的なフィナーレが素晴らしかった。

昨年は2階バルコニーの座席から聴いたが、今年は1階5列のど真ん中。ステージ全体に目を置いているつもりが、自然とキュッヒルのヴァイオリンに目が行き、彼の楽器から生み出される美音に魅了された。先日「第九」の演奏で130名編成のオーケストラに対しても放つたオーラを、今日も感じ取った。何と並み外れたアーティスト! 4人の奏者で作り上げたベートーヴェンの音楽の素晴らしさはやはり曲の重みが違う感じがした。ベートーヴェンの偉大さを改めて感じ取った次第である。
2年前に東京クヮルテットがKitara大ホールで最後の演奏会の曲目に選んだ曲だったことを思い出した。「ラズモフスキー第3番」は弦楽四重奏曲の中でも名曲として位置づけられる理由が解った気がした。

ライナー・キュッヒルは1950年8月生まれで、来年は定年を迎える。来年は出演してくれるだろうがその後は分からない。PMFにとって欠かせない存在なので定年後もしばらくPMFのために活躍してほしい。彼はソリストになろうと思ったことは無いと言う。「室内楽やオーケストラで仲間と一緒に音楽を作ることがより大きな喜びを見い出せる」とインタビューで語っていたことがある。演奏中は顔の表情を崩さないが、公演に先立って中島公園を奥様と歩いていた昨年の柔らかな顔の表情との違いに今日は特に気付いた。今日はステージの近くから見たのでいつもより強烈な印象を受けたのかも知れない。

アンコール曲は《モーツァルト:弦楽四重奏曲 変ロ長調 「狩」より第4楽章》。

***PMF2013のコンサートは9回聴いて,その都度ブログに書いたが、どういう訳か2ヶ月ぐらい遅れでGoogleやyahooに載せられた。その後、日本だけでなく、世界中からアクセスがあるなかで特に目立ったのが、「PMFウィ―ン弦楽四重奏演奏会」。オーストリアからドイツ語、英語、日本語でアクセスがある現象は「ウィ―ン」と「キュッヒル」の名によるものと思われる。PMF2014のコンサートは既に4つ聴いて、あと6つ残っている。今年のブログは書き終わって数日後には掲載されているようである。

PMFオーケストラ演奏会(指揮:オスモ・ヴァンスカ)〈Sプログラム〉 2014

2014年7月13日(日) 14:00開演  札幌コンサートホール Kitara大ホール

出演:オスモ・ヴァンスカ(指揮)、 PMFオーケストラ、 PMFヨーロッパ、
    大村博美(S)、塩崎めぐみ(Ms)、水口聡(T)、大塚博章(Bs) 
    PMF合唱団(北海道大学合唱団、札幌旭丘高等学校合唱部、
            札幌山の手高等学校合唱部)
〈プログラム〉
 ベートーヴェン:「エグモント」序曲 作品84
           交響曲 第9番 ニ短調 作品125 「合唱付き」

2012年まではPMFオーケストラの演奏会は音楽祭期間中に3種類のプログラムで開催されていた。プログラム A、B、Cの他に、昨年から最初のプログラムとして〈プログラム S〉が追加された。

Kitaraのステージに3度目の登場となったオスモ・ヴァンスカの簡単なプロフィールは昨日のブログに書いた。前2回はフィンランドのオーケストラを率いてシベリウスがプログラムの中心であった。今回はミネソタ管弦楽団と録音して話題となったベートーヴェンの曲が選ばれた。

「エグモント」序曲はベートーヴェンの最も人気のある作品の一つであるだけでなく、序曲の模範的な先駆けとなった曲として位置づけられている。1809年にウィーン宮廷劇場から依頼を受けて作曲した作品。ドイツの文豪ゲーテが書いた、スペインからの独立を求めて闘うオランダの指導者エグモントが主人公の悲劇の物語。当時ナポレオンの支配下にあって苦しんでいたウィ―ンで関心の高かった自由の尊さにベートーヴェンが共鳴して曲作りをしたとされる。

上記の記述はベートーヴェン序曲集のCDに書かれていた英文を参考にして翻訳した。曲の中で不安、悲しみ、穏やかな感情が交錯する場面、英雄を讃える勝利の叫び、自由の素晴らしさが表現されていると感じた。演奏する者も、聴く者も感動できる名曲と言えるのではないか。

昨日、芸術の森の野外ステージで聴いたときも良かったが、大ホールで落ち着いて聴けて、曲の良さをじっくり味わえた気がした。昨日は椅子席前方からの鑑賞で弦楽器奏者以外は見えなかったが、今日は管楽器・打楽器奏者も視野に入って演奏の様子を見れたのが良かった。フルート、オーボエ奏者の活躍が目に付いた。ピッコロの演奏も興味深かった。(管弦楽はアカデミー生だけの演奏で行われた。)

「第九」の曲について今更言及するまでもない。日本では年末に聴く機会が圧倒的に多い曲だが、欧米では重要なイヴェントで演奏されるそうである。今年はPMF25周年を迎える年なので、PMFオーケストラの演奏曲目として選曲されたのは良かったのではないか。
日本の代表的な歌手陣をそろえ、合唱団も約170名の編成で、オーケストラが4管編成による「第九」。PMFウィ―ン、PMFミュンヘンの教授陣も加わっての演奏は物凄く迫力があった。(*PMFベルリンは函館での別公演のため不在)。ライナー・キュッヒルがコンサート・マスターを務めた。オスモ・ヴァンスカの指揮は指揮台に楽譜を置いての落ち着いた丁寧な指揮ぶりであった。昨日同様に今や名匠、巨匠とも言われるような雰囲気を漂わせる風格のある指揮者と言えるのではないか。

ベートーヴェンの「合唱」は数えきれないくらい聴いているが、4管編制での迫力のある今日の演奏はダイナミックで素晴らしかった。演奏会終了後、会場に居合わせたボランティア仲間とホールで暫し演奏会の感想を話し、ホールの出口で別のボランティア仲間と出会って地下鉄札幌駅までPMFの話題で会話を楽しんだ。音楽を通して交流を深めれる喜びは変え難い楽しみである。

***帰宅するや否や、17時から管理組合の理事会。理事長として、来月の通常総会のため議案審議。予定の1時間半がすぐ過ぎた。18時半から、管理組合役員新体制の打ち合わせで新組織つくり。何とか円満に事が運んで30分ほどで終了。来月末まで辛抱が続く。楽しんで仕事ができるのならいいが、ストレスがたまる。後期高齢者で、130世帯ほどのマンションの理事長を務めるのは大変である。あと1ヶ月程でその任を終える。私にとってコンサート鑑賞がストレス解消にもなっている。今週はKItaraでのボランティア活動が2日続く。時計台のボランティア活動の予定も今月はまだ2日残っている。自分の好きな活動は苦にならない。今月のコンサートの予定が6回あるのが楽しみではある。
寝る前の独り言。さすが疲れた。ブログを書くとあっという間に11時過ぎになる。

PMF2014オープニング・セレモニー&コンサート

25回記念 PMF2014  レナード・バーンスタイン像 除幕式

記念すべき25回目となるPMF2014の開幕に先立って、中島公園内にPMF創設者を称えるため建立されたレナード・バーンスタイン像除幕式が行われた。

日時:2014年7月12日(土) 午前11時
場所:中島公園内(札幌コンサートホールKitara正面エントランスを臨む所)

〈式次第〉 ファンファーレ、 主催者挨拶、 来賓挨拶、 除幕、 ファンファーレ
       立像製作者挨拶(東京藝術大学学長 宮田亮平)
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PMF Opening Ceremony & Concert

2014年7月12日(土) 13:00開演 札幌芸術の森・野外ステージ

司会:九嶋香奈枝(二期会)、 ニコラス・エイカーズ(PMF 組織委員会)

〈演奏曲目〉
 立原 勇:次世代のファンファーレ
 バーンスタイン:ウエストサイド・ストーリー・メドレー
〈出演〉
 指揮:杉木峯夫(東京藝術大学名誉教授、元札幌交響楽団トランペット奏者)
 250人のトランぺッター

札幌トランペット協会の協力で実現した壮大なプログラム。札幌交響楽団トランペット奏者やアカデミー生も出演。遠くは千葉から参加した9歳の少女と父親もいた。中高校生も含めた250名が僅か2日間の練習で作り上げた成果は驚嘆に値する。札幌市長が合唱が得意なのは承知していたが、ステ―ジの一番前で堂々とトランペットを吹く様子にはビックリ。その才能の豊かさに敬服。

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 PMF組織委員会理事長 挨拶/ 開会宣言
 グランドパートナーズ代表 挨拶、 文化庁 挨拶
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ステージ準備の合間に〈平岸小学校マーチングバンド演奏〉のプログラムが挿入されたが、赤と白の鮮やかな衣装を身にまとっての行進を交えながらの見事な演奏は観客を惹きつけた。同時に約5000名の人々が駆け付けた会場が可愛い子どもたちの姿と動作を目にして和やかな雰囲気に包まれた。若い外国人グループからの熱狂的な応援も良かった。十数年前の開会式で鼓笛隊の演奏が行われていたことを思うと、小学生の音楽の進歩は驚異的である。

〈演奏曲目〉
 バーンスタイン:「キャンディード」序曲
 グノー:歌劇「ロメオとジュリエット」から“私は夢に生きたい”
 ベートーヴェン:「エグモント」序曲 作品84
〈出演〉
 オスモ・ヴァンスカ(指揮)、九嶋香奈枝(ソプラノ)、PMFオーケストラ

オスモ・ヴァンスカ(Osmo Vanska)は1953年、フィンランド生まれ。シベリウス音楽院でクラリネットと指揮法を学び、82年にブザンソン国際指揮者コンクールで日本の松尾葉子と優勝を分け合い、フィンランド・ラハティ交響楽団の首席指揮者に抜擢された。その後、アイスランド響、BBCスコティッシュ管の首席指揮者に就任。03年にアメリカのミネソタ管の音楽監督に就任(*大植英次の後任)。同管とのベートーヴェン交響曲全集の録音で世界的に高い評価を受けた。
ヴァンスカはラハティ響を率いて2度Kitaraのステージに登場。03年は「オール・シベリウス・プログラム」、06年もシベリウスの「交響曲第5番」や「交響詩・タピオラ」の演奏でフィンランドの巨匠のイメージが鮮明に焼き付いている。

ヴァンスカは年齢を重ねてオーラが漂うほどの雰囲気を漂わせて登場。躍動感あふれる指揮ぶりでオーケストラから力強い響きを引き出していた。「エグモント」序曲の演奏は一段と輝いていたが明日のKitara での響きが楽しみである。
九嶋は見事な司会進行を務めていたが、東京藝術大学卒で新国立劇場オペラ研修所修了だけあって、本職の歌唱力も素晴らしかった。05年にヨーロッパ・デビューも飾っていると言う。

PMFヨーロッパ教授陣は今回はウィーン・フィル、ミュンヘン・フィル、ベルリン・フィルの奏者たち。今回のアカデミー生は28の国と地域から122名が参加。

〈ベルリン・フィル・ブラスアンサンブルの演奏曲目〉
 
 ヘンデル(ワーグマン編):ヘンデルの作品による組曲

ヘンデル作曲の作品を3曲選んで組曲として演奏した。1曲終わるごとに拍手があったが、余り間をおかずに続けて演奏された。曲目の解説もなかったので、組曲の途中で2回も拍手が起きたのは止むを得なかった。10日のKitara大ホールでの緊迫感と集中力が聴く方の立場から少し途切れてしまったのが残念。ただ、大ホールと違った空間の響きで、音楽が自然の中に吸い込まれていく様子を楽しんだ。

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レナード・バーンスタイン・オフィス代表 挨拶
東京藝術大学学長 挨拶

PMF創設者バーンスタインに感謝をこめて立像を制作した東京藝術大学の宮田亮平学長が芸術家らしい心のこもった独特な挨拶を行なった。彼自身、芸術の森に来た数千人の聴衆を前に感極まった様子も見られた。午前中の除幕式は100名ほどの関係者や音楽ファンが集まっての式典であった。自分の言葉が多数の音楽ファンに素晴らしい通訳を通して伝わって一層感激した様子にうかがえた。学長の任にありながら第一線で彫刻家としての仕事を成し遂げられたことにも敬意を表したい。
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〈演奏曲目〉
J.シュトラウスⅡ:ワルツ「春の声」 作品410(演奏/PMFヨーロッパ)

コンサートの最後を飾ったのがウイーン・フィル弦楽器奏者5名、ミュンヘン・フィル木管楽器奏者4名、ベルリン・フィル・ホルン奏者1名とアカデミー・ホルン奏者1名による「春の声」。
札幌芸術の森に響き渡る音に何とも言えない幸福感を味わった。コンサート・マスターのキュッヒル率いる演奏は名状しがたい美しさ。アカデミー生は緊張して演奏に臨んだだろうが彼にとって一生忘れえない人生の宝になったのではないかと想像する。
演奏終了後、椅子席の聴衆は全員総立ちでスタンディング・オヴェィション。日本では習慣の違いで、外国と違って頻繁に見られる光景ではない。世界に名高いkitaraのホールでも味わえないような素晴らしい瞬間を味わえただけでも、5年ぶりに開会式に来た甲斐があった。

ベルリン・フィルハーモニー・ブラス・アンサンブル演奏会

~PMFオープニング・プレコンサート~
Berlin Philharmonic Brass Ensemble Concert

2014年7月10日(水) 19:00開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール

出演者:ベルリン・フィルハーモニー・ブラス・アンサンブル
      タマ―シュ・ヴェレンツェイ、フロリアン・ビヒラー、ギヨーム・ジェル、
      マルティン・クレッツアー、ゲオルグ・ヒルザー(以上トランペット)
      サラ・ウィリス(ホルン)
      クリストハルト・ゲスリング、オラフ・オット、イェスパー・ブスク・ソレンセン、
      トーマス・ライエンデッカー、シュテファン・シュルツ(以上トロンボーン)
      アレクサンダー・フォン・プットカマー(テュ―バ)
〈演奏曲目〉
 ヘンデル(ワーグマン編):ヘンデルの作品による組曲
   《王宮の花火の音楽》から「歓喜」、他2曲
 J.S.バッハ:3つのコラール前奏曲
 ダウランド(オット編):歌曲集(4つのトロンボーンのために)
 ビゼー(ハーベイ編):カルメン組曲
 ゴフ・リチャーズ:高貴なる葡萄酒を讃えて 
 ヤコブ・ゲーゼ(ビシャル編):タンゴ・ジェラシー
 グレン・ミラー(オット編):グレン・ミラー物語

12人のメンバーを代表して唯一の女性であるホルン奏者(Sarah Willis)が日本語で挨拶した。「自分の日本語が上達したことを仲間に知らせるのに大きな拍手をしてください。」と話して聴衆の大拍手を浴び、煽り立てる動作で会場の雰囲気を盛り上げてコンサートが始まった。

ヘンデルの曲が始まるや否やハーモニーの美しさに魅せられた。弦楽合奏は聴く機会がよくあるが、金管楽器だけの合奏は余り聴く機会を持たないので余計に心に響いた。原曲でも耳にすることは多くない。「王宮の花火の音楽」だけはCDで予め聴いておいたが、華やかな音楽で特に親しみを感じた。
バッハの《コラール前奏曲》のうち、「あなたがそばにいたら」はメロディを聴いたことがあると思った。
12人による合奏はとにかく見事の一語に尽きる。このアンサンブルはタマ―シュ・ヴェレンツェィ(Tamas Valenczei)がコンマスの役割を果しているようにみえた。アカデミー教授として、この数年ベルリン・フィルから参加を続けているのは彼だけである。(今回はべルリン・フィルからアカデミー教授は4名)

現代の金管楽器のための曲は全く解らないが、トロンボーンの名手たちの演奏ぶりは見ていて興味深い。息継ぎが大変だろうと思う。体力的にも連続しての演奏はきついのではないかと案じた。

《カルメン組曲》はいろいろな楽器で演奏されて広く親しまれている。今回の演奏で、メロディは聴いていても、曲名がハッキリ判ったのは「ハバネラ」だけ。「アラゴネーズ」、「アルカラの竜騎兵」、「衛兵の交代」、「ジプシーの踊り」と全部で5曲が演奏された。メロディが流れるとオペラの場面が浮かんできて音楽に感情移入が出来て楽しめた。

後半のプログラムで作曲家名を知っているのはグレン・ミラーだけであった。一昔前に流行ったメロディが流れて何十年ぶりに聴きほれた。 

5・6名で構成される小編成のブラス・アンサンブルは聴いたことがあるが、12名からなる世界一流のアンサンブルを聴けたのは大変良かった。PMFオープニング・プレコンサートとしての今回の企画は期待以上であった。素晴らしいブラス・アンサンブルが堪能できて幸せな気分になった。ベルリン・フィルは04年にKitaraに初登場したが、個々のメンバーは様々な機会にKitaraのステージに上がっている。

3階とP席は売り出されなかったが、1300名ほどの聴衆が普段のコンサートとは違って熱狂的な反応を示していた。ブラスのコンサートは中学生・高校生の姿が一段と目立ち人気度が高い。

ホルン奏者のサラ・ウィリスが司会役を務め、最後に英語で“Where are the PMF guys?” と言ってアカデミー生の居場所を確かめて、多分彼らのためもあってアンコール曲に「ショスタコーヴィチ:ワルツ」を選んだのだろうと思った。この曲がショスタコーヴィチの曲かと思うくらい綺麗で印象的であった。彼は多種多様な曲を作っているのが改めて分かった。

拍手、歓声が鳴りやまずにアンコールの2曲目が「パウル・リンケ:ベルリンの風」。耳慣れた楽しい曲で、聴衆も手拍子をしながら楽しんだ。コンマスも司会役も最後に口笛も吹くような曲。客席からも口笛が起こるほどであった。
万雷の拍手喝采に応えて、“The last one”と言って「ヘイゼル:組曲「3匹の猫」より“ミスター・ジェイムス”」。
 
北海道にも台風8号や梅雨前線の影響で天候が心配される中、ホールのホアイエはいつもより立ち止まる中高生のグループで混雑していたが、聴衆はみな満足の様子で小雨の降る中を家路に着いた。

尺八とマリンバ 藤原道三 X SINSKE 「オペラ」

~尺八とマリンバによる世界最小のオーケストラ~

2年前の7月31日にKitara小ホールで〈尺八の藤原道三とマリンバのSINSKEによる「ボレロ」2012〉というタイトルのコンサートを聴いてとても楽しかった。 邦楽と洋楽の珍しい楽器のコラボレーションの発想がユニークで音楽の広がりを感じた。
ラヴェルの「ボレロ」が“世界最小編成のオーケストラ”で演奏されたのは圧巻であった。マリンバによる山田耕筰「この道」、滝廉太郎「荒城の月」などの演奏、尺八によるヴィヴァルディの「春」、ムソルグスキーの「展覧会の絵」より等の演奏はとても興味深かった。聴き慣れた曲が独特な響きを持つ楽器で演奏された様子を懐かしく思い出す。

札幌では7月にパシフィック・ミュージック・フェスティヴァルがありコンサート鑑賞のスケジュールがぎっしりであるが、2年ぶりにこのデュオのコンサートを聴いてみた。

2014年7月4日(金) 19:00開演  札幌コンサートホール Kitara小ホール

〈プログラム〉
 ラヴェル:ボレロ
 モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
         歌劇「魔笛」よりパパゲーノのアリア『私は鳥刺し』
         歌劇「魔笛」より『夜の女王のアリア』
 マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より 間奏曲 
 ビゼー:歌劇「カルメン」より 『ハバネラ』など5曲
 グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」より 序曲
 プッチーニ:歌劇「トゥランドット」より『誰も寝てはならぬ』
 ガ―シュイン:歌劇「ポーギーとべス」より『サマータイム』
 中田喜直:夏の思い出
 藤原道三:「幻舞 Danza fantastica」 Live version
 SINSKE:Baciami Ancoraー最後のキスをー、  月夜浮遊
 バーンスタイン:「ウエストサイドストーリー」より 『マリア』など3曲
 藤原道三 X SINSKE: 組曲「風神X雷神」 2014 Live version

藤原道三(Dozan Fujiwara)は1972年、東京生まれの尺八演奏家・作曲家。東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業後、97年、同大学院音楽研究科修了。大学時代にはオーケストラと共演を行うなど様々な音楽活動を行い、様々な邦楽器で研鑚を積んだ。07年、古川展生(チェロ)、妹尾武(ピアノ)と組んでユニット古武道を結成。尺八の新境地を開く音楽活動として注目を浴びた。12年からマリンバ奏者SINSKEと全国ツアーを開始。13年、東京藝術大学非常勤講師。

SINSKE(シンスケ)は?年、東京生まれのマリンバ奏者・作曲家。桐朋学園大学音楽楽部打楽器科を首席で卒業。ベルギー政府特別奨学金を得て渡欧。ブリュッセル、アントワープ両王立音楽院打楽器科を首席で卒業。ベルギーのコンクールで優勝後、多数の国際的コンクールに上位入賞。その後、欧米でソロ活動を続けた。ヤマハは世界に一台のMIDIマリンバ「EMP」(Electric Mallet Percussion )をSINSKEのために開発。03年に帰国してソロデビュー。ポップスからクラシックまで幅広い音楽作りで活躍している。

今日は1997年7月4日にKitara がオープンしてから17年目に入る“Kitaraのバースディ”とあって、大ホールではオルガンのコンサート。小ホールのコンサートと時間が重なってエントランスホールは大賑わい。広いエントランスホールも行列を作るほどの混雑ぶり。尺八とマリンバのデュオは今年も大人気で小ホールはほぼ満員の入り。
 
一昨年のテーマ「ボレロ」からスタート。今年のテーマは《オペラ》。
ワインレッドの豪華な衣装に身を包んで登場。オーケストラには無い楽器で管弦楽用の曲の演奏が始まった。

モーツァルト、ビゼー、プッチーニのオペラは海外の歌劇場による札幌公演でも聴いたことのある馴染みのメロディがふんだんに出てくる。尺八とマリンバだけで演奏可能とは予想もできない音楽づくり。どんな演奏になるのか興味津々でリラックスして聴けた。二つの楽器から生み出される鮮やかなメロディと演奏技法に改めて感服した。

藤原道三はテレビ出演などでも活躍して話術も経験を積んでいるようで、曲の紹介をしながらSINSKEtと対話して巧みにコンサートを進めた。後半のプログラムは前半と違ってジャズ風、歌曲もの、現代のポップス的な雰囲気の作品。

後半の曲「サマータイム」を聴いた時に、ガ―シュイン生誕100年記念祭世界ツアーで97年4月に旧北海道厚生年金会館で上演された「ポーギーとべス」の情景がふと浮かび上がった。このオペラと聴き慣れた名曲「サマータイム」が繋がっているのにやっと気づいた。アメリカの名曲「ウエストサイドストーリー」も今日は違った雰囲気で楽しめた。

今回のテーマ《オペラ》に沿って、二人の作曲家がそれぞれ作曲したのが偶然オペラの発祥国イタリアをイメージした曲になったようである。曲名にもイタリア語がついた作品が現代風な曲となって演奏された。コンサートの最後を飾る曲は昨年のツアーのテーマ曲だそう。初めて聴いたがなかなかの大曲。

アンコール曲/ マスネ:歌劇「タイス」より『タイスの瞑想曲』

5月から全国ツアーを開始して、毎年札幌が最後の演奏会場になっている様子。帰りのホアイエは彼らのアルバムを買ってサインを求める人々が列をなして並んでいた。個性的な音楽性と格好良い容姿も固定したファンが増えてきている要素なのだろうと思った。
プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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