大谷康子 ヴァイオリン・リサイタル

2014年6月28日(土) 19:00開演  札幌コンサートホール Kitara小ホール

本日札響の昼公演のコンサートがあって、一日に2つのコンサートをスケジュールに入れることは珍しい。前日の夜に河村尚子のリサイタルの予定が入っていたので、札響の振り替えも出来なかった。土曜の夜開催の大谷康子のコンサートを聴くがどうか迷っていた。彼女のコンサートは一度聴いてみたいと思ったので思い切ってチケットを購入した。

後で、毎年6月の最終土曜日の夜に開催されている会合の案内状が届いたが、今年はパーテイを欠席して、日本を代表するヴァイオリニストの一人である大谷康子のリサイタルを初めて聴いてみることにした。

大谷康子(Yasuko Ohtani)は1955年、愛知県生まれ。東京藝術大学卒業、同大学院博士課程修了。72年、日本学生音楽コンクール第1位。76年、シェリング来日記念コンクール第2位。在学中からソロ活動を始め、81年に東京シティフィルハーモニック管弦楽団のコンサートマスターに就任。90年、ウィーン、ローマ、ケルン、ベルリンなどでリサイタルを開催。95年4月より東京交響楽団のコンサートマスターとなり、現在も同響のソロ・コンサートマスターとして活躍。東京音楽大学教授として後進の指導にもあたっている。

藤井一興(Kazuoki Fujii)は1955年、東京生まれ。東京藝術大学で安川加壽子に師事、3年在学時にフランス政府給費留学生として渡仏。パリ音楽院とエコール・ノルマル音楽院に学び、オリビエ・メシアン、イヴォンヌ・ロリオなどの教えを受けた。76年、オリヴィエ・メシアン国際ピアノ・コンクール第2位(1位なし)。77年にパリ・デビューを飾る一方で、数々のコンクールに挑戦し第1位の輝かしい成績を収め、主要な国際コンクールでは、81年のマリア・カナルス国際コンクールで第2位(1位なし)。近現代のフランス作品を軸に、世界各地でリサイタルを開催し、室内楽での活動の他に、フランスや日本での録音など幅広い活動を行っている。作曲家としても多くの作品が国際音楽祭などで演奏・録音されている。
Kitaraには08年、09年と2度出演。08年は〈メシアン生誕100年記念〉で野平一郎と共演して連弾曲と2台ピアノ曲を演奏。09年は〈Kitaraあ・ら・かると〉でピアノ小品を弾いてベーゼンドルファーとスタインウェイの弾き比べを行なった。両方の演奏会で強烈な印象を残した。

〈前半のプログラム〉
 クライスラー: 愛の喜び
 モーツァルト: ヴァイオリン・ソナタ第28番 ホ短調 K.304
 ベートーヴェン: ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 Op.24 「春」より第1楽章
 R.シュトラウス: ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 Op.18より第3楽章
 
ウイーンの薫り高いヴァイオリンの名曲からスタート。モーツァルトのソナタは彼の母が亡くなった年でもあったせいか、彼には珍しい短調の調性でメランコリーな曲。大谷はトークが得意そうで、早口で雄弁に語りながら演奏を展開した。ベートーヴェンの有名なソナタは第1楽章のみで物足りなかった。春の微風が漂う演奏技法の説明は興味深かったが、、、。R.シュトラウスのソナタは聴くのは初めてだったかもしれない。聴き慣れたヴァイオリン・ソナタとは異なる音の響きで高度なテクニックが必要な曲と解った。演奏が難解なようだが聴いていて面白かった。全楽章を聴いてみたい気がした。
前半のプログラムにソナタを入れて重みが出るかと予想したが、トークが多すぎて充実感が湧かない軽めのコンサートの感が拭えなかったのは残念であった。
トークも巧みで、聴衆を楽しませる雰囲気を作って、プログラムには無かったが前半の締めに「ブラームスのハンガリー舞曲第5番」を演奏。

〈後半のプログラム〉
 ドビュッシー: 月の光 (ピアノ・ソロ)
 中野稔: ロンド
  〈お楽しみコーナー〉
 アラール: 椿姫ファンタジー より “乾杯の歌”
 サラサーテ: ツィゴイネルワイゼン

ピアニストの藤井一興はパリ高等音楽院を作曲科、ピアノ伴奏科ともに1等賞で卒業したことでも知られている。ドビュッシーの名曲の演奏後、フランス人も日本人も月をめでる国民として知られていると話しながら、各地を訪ねてこの曲を好んで演奏している様子を語った。札響の元チェロ首席奏者の土田英順と北海道のいたるところを演奏して周ったと懐かしそうに話していた。本格的なピアニストとしても有名であるが、いろいろな場面で気軽に活躍しているようである。

大谷は日本各地の病院・福祉施設などで演奏を行なっているが、筋ジストロフィ―患者の作曲家・中野稔(1961- )に出会い、楽譜を託された作品を機会あるごとに演奏していると言う。

〈お楽しみコーナー〉でイタリアで演奏して大評判となった「外山雄三:“日本民謡による組曲”から第2楽章」、「“アナと雪の女王”の歌から」、映画音楽「慕情のテーマ」、「“アルゼンチンタンゴ”から」の4曲。
彼女は幅広い音楽活動を行なっている。クラシック音楽以外に色々な音楽に出会って人々に音楽を楽しんでもらうために演奏しているクラシック音楽の垣根を越えた活動の証のコーナー。

“乾杯の歌”は楽譜がなくて、彼女だけが演奏していると言う。凄い勢いで一気に弾きぬく、高い演奏技術が必要と思われる一分半余りの曲。

最後はヴァイオリンの名曲中の名曲。
後半のプログラムは気軽にしたためか作品番号など一切なしのプログラム。

アンコールに応えて、「モンティ:チャルダッシュ」をヴァイオリンを弾きながら1階の客席を周るサービスぶり。ピアノ伴奏も呼吸を合わせるのに簡単ではなかったと思われる。

最後の振る舞いなど普通の演奏家ではなかなか出来ないことを気軽に行えるのも才能かも知れない。彼女のトークや振る舞いに好感を持ってクラシック音楽に親しむ人々がきっと増えているに違いない。今晩のコンサートを楽しんだ人も多かったかもしれない。
ただステージで支援してくれている団体や会社の名前を挙げて感謝の気持ちを述べたり、過剰な宣伝活動のような言葉には場違いの感も抱いた。とにかく、トークが余りにも多すぎた印象を受けた。
人それぞれの楽しみ方があるので、コンサートの在り方も色々あって良い。Kitaraで本格的なヴァイオリン・リサイタルを期待していた一個人としては充分な満足感を味わえなかったというのが正直な感想である。
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札幌交響楽団第570回定期演奏会(2014年6月)

2014年6月28日(土) 14:00開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール

ヴェルディ: レクイエム

指揮/ 尾高忠明
独唱/ 安藤赴美子、 加納悦子、 吉田浩之、 福島明也
合唱/ 札響合唱団、札幌放送合唱団、ウィスティリア アンサンブル、
    どさんこコラリアーズ
合唱指揮/ 長内勲

「レクイエム」とはキリスト教において死者の追悼のために歌われる宗教音楽である。レクイエムの歌詞を読むと、葬儀に参加する人たちが最後の審判、神の怒りの日に死者が昇天するようにイエスに懇願する内容となっている。
私自身、宗教音楽には余り関心が高くなく、バッハの「マタイ受難曲」のテキストを見ながらコンサートを聴いたことがある程度である。モーツァルトの「レクイエム」も一度は聴いたことはある。ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」のCDも所有しているだけ。そんな程度で宗教音楽には親しんでいない。

今日は札響の定期のプログラムにあるので聴きに行ったが、期待度が大というわけではなかった。ところが、いざコンサートが始まって、スタートから140名の大合唱団がオーケストラと共に歌い始める場面にすぐさま惹きつけられた。予想していた音楽の展開とは全く違っていた。オペラを思わせる展開で85分間、終始4人のソリストたちの素晴らししい歌声と4つの合唱団の今迄とは一味もふた味も違う音楽作りを鑑賞できた。

新国立劇場オペラ芸術監督でもある尾高札響音楽監督は札響最後のシーズンに当って、満を持して日本最高のソリストたちを選んで今回の演奏会に臨んだ気構えを感じた。
札響の前回の演奏は03年で合唱団は一つだけであったようなので、今回は合唱の迫力が違ったと想像される。
聴衆の関心度も高く、いつもの定期公演よりも客が入っていたように思われた。終演後の歌手たちや合唱団への拍手も一段と長く続き、感動の度合いも大きいように思えた。もう一度聴いてみたいと思えるコンサートになった。

*音楽雑誌《音楽の友》アンケートでチョット心に引っかかっていることがありました。
「あなたが好きな声楽曲は?」のアンケートで有効回答数が約2400票のうち
「モーツァルトのレクイエム」580票で第1位、「ヴェルディのレクイエム」439票で第3位、「フォーレのレクイエム」334票で第4位。
私自身の心に浮かぶ「声楽曲」のイメージと余りに違うのでギャップを感じて、アンケートの回答者には合唱団所属の人が多かったのかなと思ったりしてました。声楽曲というとオペラの有名なアリア、イタリアのカンツォーネ、日本の歌曲などを思い浮かべるので、この雑誌の設問には違和感があったのです。
今日のコンサートを聴いてみて、人々の中には自分は歌わなくても「レクイエム」を好きな声楽曲と答える人もいるのだろうと思い少し納得しました。

河村尚子 ピアノ・リサイタル

KAWAI CONCERT 2014 (第2210回)
カワイコンサート 河村尚子 ピアノ・リサイタル
2014年6月27日(金) 18:30開演 札幌コンサートホール Kitara小ホール

河村尚子(Hisako Kawamura)は1981年、兵庫県生まれ。86年家族と共に渡独。98年よりハノーファー国立音楽芸術大学でクライネフに師事。同大学在学中の01年ヴィオッティ国際音楽コンクール第1位、06年ミュンヘン国際コンク―ル第2位、07年クララ・ハスキル・ピアノコンクール第1位で世界的に注目された。ドイツを拠点にヨーロッパ各地のオーケストラと共演。日本ではN響、読売響、東京フィルなどと共演を重ね、09年に紀尾井ホールで初の本格的リサイタルを開催。11年1月、札響定期演奏会で待望のKitara に初登場してブラームスのピアノ協奏曲第1番を演奏。同年NHK音楽祭でベルリン放送響(ヤノフスキ指揮)との共演で「皇帝」を演奏して高い評価を得た。N響(ノリントン指揮)、ロシア・ナショナル管(プレトニョフ指揮)との共演も重ね、昨年は読売響(テミルカーノフ指揮)、日フィル(ラザレフ指揮)など外国人指揮者との共演が多く、チェコ・フィルとのプラハ公演及び日本ツアーでもソリストとして活躍。

カワイコンサート2014が20都市で開催されるが、札幌で日本のトップ・ピアニストが出演することになったのは大変喜ばしい。カワイの最新のグランドピアノに出会ってピアニストとしての活動を再開したプレトニョフのニュースに喜んでいたが、ショパン国際ピアノコンクールの公式ピアノにも選定されているカワイのピアノが国際的にも注目を浴びることを望む。

〈本日のプログラム〉
 ショパン=リスト/ 「6つのポーランドの歌」より 
               「おとめの願い」S.480-1
               「私のいとしい人」S.480-5
 ショパン/ バラード第1番 ト短調 作品23
 ラフマニノフ/ コレルリの主題による変奏曲 作品42
 ムソルグスキー/ 組曲「展覧会の絵」

今日は6月7日以来3週間ぶりのコンサート。事前に3曲のCDを予め聴いて出かけた。
ショパンの歌曲集「17のポーランドの歌」作品74からリストが6曲を選んでピアノ曲に編曲。そのうち2曲が演奏された。初めて聴くが親しみ易いメロディであった。

ショパンの作り出したバラード4曲はあまりにも有名。第1番は美しい旋律で情感に溢れドラマティックな展開で最も親しまれている。演奏終了後に“ブラボー”の声が上がった。

ラフマニノフは1917年のロシア革命の年に故国を離れ、翌年アメリカに亡命した。「コレルリ(1653-1713)の主題による変奏曲」は1931年、休暇でフランスの別荘に滞在中に作曲したとされる亡命後の唯一のピアノ独奏曲。今日の午前にルガンスキー演奏のCDを久しぶりで聴いた。主題の提示後、20の変奏曲があり、最後にコーダで終わる。CDでは余り強い印象は受けなかったが、生演奏で聴くと曲が生き生きとして、曲の持つ良さが伝わってきた。
余り馴染みのない曲でも聴衆を惹きつける技量は並みではないと思った。

ムソルグスキーの「展覧会の絵」は最も親しまれている曲の一つで、ピアノ曲の生演奏でもしばしば聴いている。CDでキーシンによる「展覧会の絵」を聴いてみたら、他のピアニストの演奏とは明らかに違うことに気付いた。キーシン特有の落ち着いた演奏の雰囲気が感じ取れた。
今晩の河村の演奏ではプロムナードが曲の単なるつなぎではなかった。この名曲を彼女自身の感覚で咀嚼して演奏している感じで既成のピアニストとは一味違う演奏になっていると思った。とても新鮮な曲に聞こえた。演奏技術も素晴らしくて聴衆も大満足の様子であった。今迄はこの曲は大ホールで聴いていたが、小ホールで聴いたのは今回が初めてであった。ホールの違いも聴く印象に違いを及ぼしたかも知れない。

全体的に伸びやかで、透明感のある音色で一流ピアニストとして堂々たる演奏。曲の演奏の終わりに自然体で笑顔で挨拶できる姿も好印象。

アンコール曲は「ラフマニノフ:プレリュード 23-10 と 23-2」の2曲。

ショパンのバラードとリストの編曲ものが収録されたCDを購入してサインを貰った。「3年前の札響とのコンチェルトを聴きましたが、今日のリサイタルを楽しみにしていました。」と言ったら、「そう言ってもらえると嬉しいです。」と返事をしてくれた。ついでに(産み月が近いようだったので)「元気なお子さんを産んでください。」と言った時も「有難うございます。」と応じてくれ、誰に対しても丁寧な応対をしていて、このピアニストに対する好感度が上がった。

ホールの出口でコンサートの主催者「河合楽器製作所」の簡単なアンケート用紙を提出すると、立派な冊子とDVDが配られた。《カワイグランドピアノのあゆみ》が書かれていた。創立1927年。1985年「EX」が第11回ショパン国際ピアノコンクールの公式ピアノに認定されて、2000年のショパン国際コンクールで「EX]を使用したアルゼンチン出身のイングリッド・フリッターが第2位に入賞(第1位がユンディ・リ)。この年、フリッターはKitaraのガラ・コンサートに出演。2005年のショパン国際コンクールでは日本の関本昌平がKAWAIのピアノを使って第4位に入賞したのは知っていた。
新しく得た情報はブーニンが“Shigeru Kawai”を所有していることであった。ドイツの自宅にあるらしい。

今日のコンサートの使用ピアノは「カワイフルコンサートピアノSK-EX].。
アップライトピアノ、グランドピアノ、プレミアムグランドピアノなど各種のピアノがある。SKの記号はShigeru Kawai の頭文字から取ったものだろう。

カワイコンサートは1971年から始まり、これまでに2200回余りの公演を行ってきたと言う。多分、今までに参加したコンサートがあると思うが、今回ほど聴きたい思っていたピアニストのリサイタルを低料金で聴けたのは初めてのような気がする。彼女クラスのコンサートは倍の料金でも聴きに出かける。そんなわけで大変印象に残るコンサートになったことを嬉しく思う。

札響くらぶサロン

「札響くらぶサロン」はアカデミー活動として、札響創設当時からの名演奏といわれる定期演奏会などを振り返り当時の録音を聴いたりして、札響の音楽に詳しい音楽家のお話も聞きながらクラシック音楽ファンが語り合ったりする場です。
2012年12月から活動が始まって、年間4回開催が予定されています。私は14年1月に行われた第5回のサロンに初参加しました。第5回からサロンは札幌市教育文化会館4階研修室で開かれています。

第7回は竹津宜男さんのナビゲーターによる「札響くらぶサロン」。
2014年6月21日(土) 17:30~20:45

第1部は「札響定期アーカイブ協奏曲聴き比べ」
 チャイコフスキー: ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調
  第96回定期(1970年) ピアノ/松浦 豊明 
  第150回定期(1975年) ピアノ/アンドレ・ワッツ 

ワッツは69年の85回定期でラフマニノフの第3番を弾いていて、札響客演が2回目。46年生まれ。63年にバーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル定期にグールドの代役での出演で一躍有名になった。PMFには97年、09年に参加。デビュー当時は指の動きが速いのが特徴だったようだが、第1・第2楽章各3分程度の録音を聴くとテンポが遅め。

松浦豊明(1929-2011).は大阪に生まれ、東京音楽学校に進学したが47年に中退。58年第1回チャイコフスキー国際コンクール第7位入賞。その後、ベルリン国立音楽大学に入学。59年、ロン=ティボー国際コンクール第1位。日本人初の国際音楽コンクール優勝者。その後、帰国する69年までドイツを拠点にヨーロッパと日本で演奏活動。東京芸大教授に就任後は演奏活動の依頼が(文部省の許可が必要のため)簡単でなくなって誠に残念であったと竹津さんは語っていた。
竹津さんも今回のサロン計画で96回定期の松浦の演奏の素晴らしさに感動して、全部聴くことになった。会場の401号室は録音室で天井が高く音響も素晴らしくて、チャイコフスキーの名曲を堪能した。

第2部は「札響定期アーカイブ交響曲聴き比べ」
 ベートーヴェン: 交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」
  第60回定期(1967年) 指揮/荒谷正雄、  第79回定期(1968年) 指揮/渡辺暁雄
  第242回定期(1983年) 指揮/尾高忠明

札響の創立は1961年。設立当初は正団員が19名(プロ)で、他は準団員でアマチュア。
各楽器担当のセカンドは全員アマチュア。アマチュアといっても技量は優れていたそうである。演奏会に備えてのオーケストラ全体での練習量が絶対的に足りないために、当時は練習が思うようにいかなくて苦労したようである。
1968年から札響の楽団員全員が正団員となったという。
67年と68年の定期の演奏の録音を聴いて、その違いが素人にもハッキリと判った。同じオーケストラとは思えない響きであった。豊富な練習量で、演奏に余裕が生まれて好演に繋がったらしい。間の取り方が違うというナビゲーターのコメントがあった。

83年の尾高忠明指揮の「英雄」は名演だったということで、全曲を通して聴いた。札響によるベートーヴェンのチクルスを最近も聴いているが私自身では明確な区別はつかなかった。録音でも迫力があったことは確かだったし、金管楽器の響きが凄いかなという感じはした。80年代の札響は素晴らしくて、サントリーホールの音響を担当した永田音響の豊田氏も完成度に満足がいかなくて、札響のためにも最高のホールを目指してKitaraの音響設計に当たったと言う。
Kitaraがオープンしてからの札響は専門家の評判は必ずしも良くなかったらしい。札響の奏でる音とホールの音響がマッチしなかったのかなと推測してみた。当時は外国のオーケストラが評判を聞きつけてKitaraで公演することが多くて、私自身は札響定期会員をしばらく休んでいた。(95年~06年)(それでも年に数回は札響の公演は聴く機会はあった。) 07年から定期会員に戻ったが、オーケストラのレヴェルには結構満足している。

第3部は交流パーティ。クラシック音楽に詳しい人々と音楽談義に話が弾んだ。ビールの他に、会員が2010年のショパン国際ピアノコンクールの折にポーランドで購入したと言う「ポーランド・ウォッカ」の水割りを試飲してみたのも面白かった。竹津さんの「札響・PMF」にまつわるエピソードはいろいろ読み、話を聴く機会もあるが、今晩は直接身近に交流できて光栄であった。彼の話は実に面白い。彼は札響やPMFの生き字引である。まだまだ知りたいことが沢山ある。

★竹津宜男さんのプロフィール。
 1959年、広島大学教育学部音楽科卒業。61年、札幌交響楽団創立楽団員(ホルン奏者)。74年、札響事務局員、事務局長(81-88)。 PMF組織委員会オペレーティング・ディレクター(91-05)。12年、札幌芸術賞受賞。

*「札響くらぶ」は札幌交響楽団の応援団として、2016年には創立20周年を迎える札響公認の唯一のファンクラブ。会員数は約450名。年会費2500円(楽譜支援500円を含む)。札幌市内中学校吹奏楽部員への「定期演奏会招待事業」(送迎バス付き)などの活動も行っている。


ロリン・マゼールPMF2014来日公演不能

PMF2014が7月12日札幌で開幕する。首席指揮者に予定されていたロリン・マゼールが健康上の理由で来日できなくなったというメールを昨日の午後にPMF組織委員会から受け取った。かなりのショックである。ほぼ一日経って平常心を取り戻しつつある。

5月のマゼール指揮ボストン交響楽団の来日公演も指揮者がシャルル・デュトワに変更される情報を4月に得ていたので心配はしていた。

03年4月のKitaraでの公演以来、マゼールの魅力に惹かれている。昨年4月のミュンヘン・フィルの札幌公演の折には彼のプロフィール、Kitaraでのエピソードなどを、かなり長いブログに書き留めた。私の好きな指揮者の一人である。

今回は国際音楽祭パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)も25回目の記念の年に当たり大指揮者の登場を心待ちにしていた。マゼールの出演する3公演のチケットを購入していた。代役はジョン・ネルソン(1941年生まれのアメリカ人)と佐渡裕。

ドクター・ストップによる不参加という事態で止むを得ない。1930年生まれの84歳の高齢でもあり、今後の活動を考慮して無理をしないのが賢明であろう。マゼール自身が一番残念に思っているに違いない。療養を続けて、一日も早い回復を祈る。彼は、いつか再びKitaraのステージに立つことを信じている。

札響名曲シリーズ2014-2015 vol.2 千夜一夜の物語

札響森の響フレンドコンサート

2014年6月7日(土) 14:00開演  札幌コンサートホール Kitara大ホール

指揮/ 山下一史(Kazufumi Yamashita)    管弦楽/ 札幌交響楽団
チェロ/ ミハル・カニュカ(Michal Kanka)

〈プログラム〉
 グリンカ: 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
 チャイコフスキー: ロココ風の主題による変奏曲 (チェロ独奏/ミハル・カニュカ)
 リムスキー=コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」

山下一史は1961年生まれ。84年桐朋学園大学卒業後、ベルリン芸術大学で学び、85年からカラヤンのアシスタントとなる。86年、デンマークのニコライ・マルコ国際指揮者コンクールに優勝。スウェーデン・ヘルシンボリ響の首席客演指揮者、九州響常任指揮者を歴任。06年、仙台フィル指揮者に就任して、09年から12年まで同フィル正指揮者。09年にはサンクトペテルブルク響に客演。88年にN響にデビュー、89年と94年には札響と共演(当時は札響会員で、手元に彼の指揮の記録がある。この後も札響と共演を重ねていると思うが定期会員を休んでいた時期があるので不明)。 

グリンカ(1804-57)はロシア国民楽派の祖。いわゆる「五人組」やチャイコフスキーに影響を与えた。「ルスランとリュドミラ」は彼の代表作。悪魔に奪われたリュドミラを求婚者ルスランが救出するという民話に基づくオペラ。序曲は速いテンポで展開され活気に満ち溢れていて、アンコール曲などで演奏される機会も多い。

チャイコフスキー(1840-93)は早くから西欧の音楽に馴染んで、76年に「ロココ風の主題による変奏曲」を作曲した。ロココ風とはフランスのブルボン王朝の頃の家具や建築などに用いられた華やかな装飾のことだと言う。
この曲に親しんだのはロストロポーヴィチとハンナ・チャンのCDを通してであった。チャンは94年に11歳でロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで優勝し世界中の話題をさらった。03年にKitaraのステージに登場した時に、韓国のチェリストからCDにサインをしてもらった記憶が鮮烈に蘇る。12年4月、第14回チャイコフスキー国際コンクールの優勝者ガラコンサートの折にはチェロ部門第1位のナレク・アフナジャリャンがチェロ協奏曲に相当するこの曲を弾いた時のことも忘れられない。
華麗な旋律の主題と7つの変奏曲から成る。テーマが魅力的で歌心が豊かであり、とても親しみ易いメロディ。特にアンダンテ・ソステヌートの第3変奏は美しい旋律美でチャイコフスキーらしさを存分に味わえた。第5変奏にカデンツァが入って技巧が発揮された。(この曲の演奏で金管楽器はホルンのみで、打楽器は無し)

チェロ独奏のミハル・カニュカは1960年プラハ生まれ。プラハ音楽院に学ぶ。82年、チャイコフスキー国際コンクールで上位入賞。83年、プラハの春国際音楽コンクールで第1位。86年、ミュンヘン国際音楽コンクールで最高位(第1位なしの第2位)。ヨーロッパのトップ・オーケストラと共演を重ねており、世界各地でリサイタルを開催している。プラジャーク弦楽四重奏団としてKitaraにこれまで9回出演し、一昨日も小ホールに出演したばかりである。
ソリストとして違う魅力を披露した。演奏終了後、拍手が鳴りやまず、アンコール曲に「J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第4番より ジーク」を演奏。

リムスキー=コルサコフ(1844-1908)は「五人組」の一人で、ロシア国民楽派。多くの分野で作曲活動を行なったが、管弦楽曲に名作が多く、「シェエラザード」は最も有名な曲として知られている。シェエラザードは〈千夜一夜物語〉(=アラビアン・ナイト)で語り手を務めるヒロインの名前。アラビアン・ナイトから4つのエピソードを取り上げて、88年にこの曲を作った。
第1楽章“海とシンドバッドの船”、第2楽章“カランダール王子の物語”、第3楽章“若い王子と王女”、第4楽章“バグダッドの祭、海、青銅の騎士の立つ岩で難破、終曲”。
 
シェエラザードの優美な主題がヴァイオリン独奏とハープで提示される。二人の奏者が物語の語り手と聴き手のように、全4楽章に頻繁に現れて、巧みに描写される。絢爛豪華なオーケストレーションは実に見事で、聴く者の心を捉える。
大平コンマスの奏でるゆったりとした優美な旋律が時には感情がこもって早くなり、話の様子に説得力が出ていた。反応するハープもこの音楽の素晴らしさを際立たせていた。打楽器を含め各楽器群の華々しい演奏も良かった。(ホルンの音色が気になるところが少しあったが、、、)。指揮者はダイナミックで表情豊かな指揮ぶりでオーケストラから、エキゾチックな雰囲気に包まれた曲の魅力を存分に引き出していた。この曲は仙台フィルとCD制作を行っているというから、彼の得意とする曲なのだろう。
とにかく久し振りに聴くシェエラザードを楽しんだ。

オーケストラのアンコール曲は「ドヴォルジャーク: スラヴ舞曲 第10番 op.72-2」。


オルガンサマーナイトコンサート

2014年6月6日(金) 19:00開演  札幌コンサートホール Kitara大ホール

出演:オクタヴィアン・ソニエ(オルガン)、  中江早希(ソプラノ)

《プログラム》
  〈オルガン・ソロ〉
   高野智恵美(北海道作曲家協会会員): 響の試み(委嘱作品/初演)
   モーツァルト:アンダンテ ヘ長調 K.616
   ヴィエルヌ:「幻想的小品集」より 月の光 作品53-5、太陽への賛歌 作品53-3 
   ワーグナー(ルメア編曲):楽劇「ワルキューレ」より ワルキューレの騎行
 
  〈オルガンとソプラノ〉
   ヘンデル:歌劇「リナルド」HWV 7aより “私を泣かせてください”
   モーツァルト:モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」 K.165(158a)より“アレルヤ”
   フォーレ:「レクイエム」作品48より “ピエ・イエズ”  
   ヴィエルヌ:「アンジェラスの鐘」作品57      
   モーツァルト:歌劇「魔笛」K.620より “復讐の心は地獄のようにわが胸に燃え”

第16代札幌コンサートホール専属オルガニスト、オクタヴィアン・ソニエ(Octavian Saunier)は昨年10月のデビュー・リサイタル以後も積極的にコンサートの他に多方面で活動している。先月は東京、京都でもコンサートを開催している。

中江早希(Saki Nakae)は北海道教育大学岩見沢校卒業。東京藝術大学大学院修士課程修了後、現在は同大学院博士課程に在籍。藝大各種コンサートで、高関健、湯浅卓雄らと共演。オペラでも活躍。第14回日本モーツァルト音楽コンクール声楽部門第2位。第12回中田喜直記念コンクール大賞受賞。第25回ハイメス音楽コンクール声楽部門第1位。第11回東京音楽コンクール声楽部門第3位など輝かしい経歴を持つ北海道期待のソプラノ歌手。

オクタヴィアンのオルガンコンサートは久しぶりである。中江の評判も耳にして大ホールでオルガンとソプラノの協演に臨んだ。演奏曲で初めて聴くのは数曲のみ。
最初はオルガンの大音響にかき消されて大ホールのオルガン演奏台の傍で歌う声が明瞭に届かない感があった。
オルガン・ソロで印象に残ったのはヴィエルヌの「太陽への賛歌」。ヴィエルヌの「幻想的小品集」はフランス出身の歴代Kitara専属オルガニスト数人のCDにも収録されているので親しんでいると言える。「月の光」は優しく心地よい作品だが、同時に対照的な「太陽への賛歌」の明るい曲が聴けて良かった。オルガン曲で一番面白かったのが「ワルキューレの騎行」。この曲はオーケストラ曲として聴く機会があるが、ワルキューレたちが天空を駆ける様子が巧みに描かれている。壮大でドラマティックな情景を心に描きながら楽しく聴いた。

中江のソプラノで堪能した曲が最後の「夜の女王」のアリア。素晴らしい歌声で、高度な歌唱テクニックにも感動した。北海道の地元でも将来を嘱望される音楽家が育っているのは頼もしい限りである。

最後のオルガン曲と共に「終わりよければすべて良し」の印象のコンサートであった。
最後の二人の挨拶もとても良かった。特にオルガニストの日本語の挨拶が素晴らしかった。日本語の上達度は耳にしていたが、見事な日本語に感服。
アンコール曲は「ベルク:ナイティンゲール」。オルガン伴奏の音量が控えめで、結果的にソプラノの声が生かされていた。
帰りのホアイエで出会う人は若い世代の人がいつもより断然多くて、若い出演者の友人や知人が聴きに来ていたようだ。ワンコインで聴ける気軽さもあったのかも知れない。

プラジャーク弦楽四重奏団

〈Kitara弦楽四重奏団シリーズ〉

弦の国チェコの名門カルテットによる珠玉のカルテット名曲集

プラジャーク弦楽四重奏団はプラハ音楽院の学生によるメンバーで1972年に結成。74年のプラハ音楽院室内楽コンクールで第1位。75年、プラハの春音楽祭に出演して国際的なキャリアを踏み出した。78年、エヴィアン弦楽四重奏コンクール第1位。以後、世界の舞台で活躍を続けて、最も国際的に活躍するチェコの弦楽四重奏団のひとつになっている。
Kitaraの招聘事業で02年より度々来札してKitaraのステージに登場している。
私が初めて聴いたのが03年9月、「チェコ芸術週間」の折で《ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」》、「ドヴォルザークの弦楽四重奏曲第11番、第12番「アメリカ」》。

2014年6月5日(木) 19:00開演 札幌コンサートホール Kitara小ホール
 
〈出演〉 第1ヴァイオリン/パヴェル・ヒューラ、 第2ヴァイオリン/ヴラスティミル・ホレク
      ヴィオラ/ヨセフ・クルソニュ、 チェロ/ミハル・カニュカ
〈プログラム〉
 シューベルト: 弦楽四重奏曲 第13番 イ短調 「ロザムンデ」作品29 D.804
 ヤナーチェク: 弦楽四重奏曲 第2番 「内緒の手紙」
 チャイコフスキー: 弦楽四重奏曲 第1番 二長調 作品11

シューベルト(1797-1828)は、短い生涯の間に未完成の作品も含めると約30もの弦楽四重奏曲を作っている。1824年に作曲された「第13番」は完成された四重奏曲としては8年ぶりの作品で、彼の傑作とされている。叙情性が豊かで、旋律が美しい。第2楽章が劇音楽《ロザムンデ》の間奏曲から主題がとられたので、後に「ロザムンデ」の愛称が付けられた。この楽章は聴き慣れている。第3楽章のメヌエットは何処となく悲しげでメランコリック。第4楽章は舞曲風なリズムで情熱的なフィナーレ。ハイドンやモーツァルトの古典派の影響を脱したロマン的傾向が強い作品に仕上がっていると言われる。

ヤナーチェク(1854-1928)が亡くなる半年前に書き上げた作品。1917年、63歳の時に25歳の人妻に恋をして、10年もの間に600通以上の手紙を彼女に書き送ったとされる。英語の作品名“Intimate Letters”の日本語訳は適訳とは言えないように思う。彼女の家族も手紙を一緒に読んで、家族で交際をしていたからである。
ヤナーチェクの音楽はかなり変わっていて個性的である。他の作曲家と違うユニークな作品が多いので面白いとも言える。ボヘミア出身のスメタナやドヴォルジャークと違って、同じチェコでもモラヴィア出身のヤナーチェクの音楽は特異なのかもしれない。近年、管弦楽曲「シンフォニエッタ」や「タラス・ブーリバ」など彼の作品が注目されてきている。

チャイコフスキー(1840-93)は弦楽四重奏曲を4曲書いているが、1871年に作曲された「第1番」が最も親しまれている。第2楽章の《アンダンテ・カンタービレ》がこの曲を有名にしている。ウクライナ民謡による極めて美しい旋律が、変化を伴って何度も繰り返されて現れる。チャイコフスキーのメロディ・メーカーとしての素晴らしさが際立つ楽章。

プラジャーク四重奏団はさすが経験のあるチェコを代表するカルテット。3人の作曲家の特徴が判るような演奏を展開した。チェロ奏者は他の奏者より10歳くらい若い感じ。 名前で気付いたが明後日土曜日の札響名曲シリーズでソリストとして客演して、チャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」を演奏する。Kitaraと札響の連携の好例と言えよう。

弦楽四重奏曲は重みがあってもメロディを聴いて直ぐに判る曲は少ない気がする。今日の3曲のCDも所有して何度か耳にしているが、メロディが口をついて出てくるような楽章は珍しい。生演奏で真剣に耳を傾ける場面が多いように自分でも思うが、こんな親しげな楽章に出会うとホッとする。普段、もう少しリラックスして聴いた方がいいのかなとも感ずる。

弦楽四重奏曲は管弦楽曲、ピアノ曲、ヴァイオリン曲などとは一味違う充実感を得れるようになってきた。最近は小ホールでのコンサートの満足度が高い。

プログラムに記されていた2曲の演奏時間と自己所有のCDの演奏時間にそれぞれ6-8分の違いがあったのが気になった。実際の演奏時間はCDと同じであった。

アンコール曲はドヴォルジャークの曲が2曲演奏された。2曲ともピアノ独奏曲を弦楽四重奏曲に編曲したものが演奏された。ホワイエのボードに記されていた曲はヴィオラ奏者が案内した作品番号“Fifty-four”と違っていた。「ジプシーの歌 作品55より ワルツ」となっていた。帰宅して、調べてみたら「作品55は歌曲」なので間違いのようであった。作品54はピアノ独奏曲で、 「8つのワルツ」より 1曲が演奏されたようであった。
もう1曲は有名な「ユモレスク」。ピアノ独奏曲「8つのユモレスク」の第7曲が親しまれていて、クライスラ―編ヴァイオリン独奏曲になって聴くことも多い。正式な作品番号は101-7 変ト長調となっている。思わぬところで勉強しました。

シュテファン・ヴラダー指揮 ウィ―ン・カンマ―・オーケストラ with 牛田智大

2014年6月1日(日) 13:30開演  札幌コンサートホール Kitara 大ホール

Stefan Vladar Conducts Wiener Kammer Orchestra, Tomoharu Ushida, piano
〈プログラム〉
 モーツァルト: ディヴェルティメント 二長調 K.136
 ショパン: ピアノ協奏曲第2番 へ短調 Op.21
 モーツァルト: 交響曲第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」

1946年に創設されたウィ―ン・カンマ―・オーケストラは、2003-08まで芸術監督を務めたハインリヒ・シフのもとで国際的評価を得た。08年5月、シュテファン・ヴラダー(65年、ウィ―ン生まれ。85年、ベートーヴェン国際ピアノコンクール最年少優勝。)が芸術監督兼首席指揮者に就任して以来、世界ツアーを頻繁に行って国際的なオーケストラとして実績を積んでいる。ウィ―ン・コンツェルトハウスの多くのコンサートで演奏しており、世界の主要な音楽祭にも出演している。
*ハインリッヒ・シフ(Heinrich Schiff)は1951年生のオーストリア出身の世界的なチェリストで、指揮活動も行って、99年3月にウィ―ン放送交響楽団を率いてKitaraに登場した。

弦楽のためのこの「ディヴェルティメント」はモーツァルトが16歳の時に作曲した。伸びやかな主題で始まり、第2楽章は流麗なカンタービレ。第3楽章は溌剌として生気に満ちたフィナーレ。いつ聴いても若々しく晴れやかな気分になる。

牛田智大は1999年、福島県いわき市生まれ。父親の転勤に伴い、生後すぐ上海に移り6歳まで滞在。08年、8歳の時から5年連続でショパン国際ピアノコンクール in Asiaで1位受賞。09年、松浦修指揮東京ニューシティ管弦楽団と共演。12年2月、第16回浜松国際ピアノアカデミー・コンクールにて最年少1位受賞。同年7月、12歳で東京オペラシティコンサートホールにて東京でのデビュー・コンサート。各地でリサイタルを開催し、Kitaraには13年1月に登場して圧倒的な人気を博した。
昨年のリサイタルでは幼くて可愛いい表情からは想像できないような高度なテクニックを披露した。

《音楽の友》5月号のインタビュー記事で、今回のヨーロッパのオーケストラとの協演に関して興味深いことを述べていた。ショパンの「第2番」を弾き始めたのが東日本大震災の年で、いつも祖父母のことを思って弾いていたと言う。「第1番」より自分の感情移入がしやすく、デビューのきっかけにもなった曲なので彼にとっての原点ともいえる曲だそうである。「1番」には絶望的な感じがあるが、「2番」には叶うかもしれないと感じるところがあると述べていた。
本日の演奏会でも堂々とオーケストラと渡り合う姿は頼もしい限りであった。
背が伸びて162cmぐらいになって、手も少し大きくなったので左右ともに10度届くようになったというが、これからレパートリーもどんどん増えていくことであろう。自分のペースでゆっくり育っていってほしい。

「第41番」はモーツァルトの最後の交響曲。彼の交響曲の中でも最も壮大な曲。気迫に溢れた圧倒的な終楽章に相応しい愛称が彼の死後、この曲に付けられたとされる。この交響曲を一段と有名にして親しみのある楽曲にしているのではと思う。
ヴラダーは年齢的にも若くて、指揮ぶりも大きくて溌剌としていた。今回の日本ツアー6公演(福岡、札幌、函館、東京、新潟、大阪)のピアノは牛田、ほかの2公演(静岡、武蔵野)のピアノはヴラダー。
ヴラダーはソリスト、室内楽の共演者、指揮者という幅広い能力を誇り、高い評価を受けているとのことだが、今後益々の活躍が期待される。

ソリストのアンコール曲は「ニーノ・ロータ: ロミオとジュリエット」
オーケストラのアンコール曲は「プロコフィエフ: モンタギュー家とキャプレット家」








 
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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