札幌交響楽団第569回定期演奏会(2014年5月)

北海道が生んだ偉大な作曲家の伊福部昭の100歳の誕生日-5月31日ーを記念してのコンサート

2014年5月31日(土) 14:00開演  札幌コンサートホール大ホール

指揮/高関 健,  ヴァイオリン独奏/加藤 知子、   管弦楽/札幌交響楽団

         ~伊福部昭 生誕100年記念
日本狂詩曲 (Japanese Rhapsody)(1935)
ヴァイオリン協奏曲第2番 (Concerto No.2 for Violin and Orchestra)(1978)
土俗的三連画 (Triptique Aborigene)(1937)
シンフォニア・タプカーラ (Sinfonia Tapkaara)(1954, revised 1979)

伊福部 昭 Akira Ifukube(1914-2006)は釧路生まれ。札幌第二中学(現・札幌西高校)、北海道帝国大学農学部を卒業し、北海道庁厚岸森林事務所林務官を経て、戦後は作曲活動に入った。東京音楽学校(現・東京芸大)講師を務めながら、多彩な分野に亘って名曲を生み出した。映画「ゴジラ」を始め数々の映画音楽の作曲家としても名高い。
09年1月札響定期で横山幸雄が彼の作品《ピアノと管弦楽のための「リトミカ・オスティナータ」》を演奏した。

彼はシンプルなモチーフを執拗な反復を用いて、リズムを重視する技法が特徴のようである。前回の横山のピアノ演奏だけでは良く解らなかったが、今回の4作品を通して伊福部の意図した音楽の一部が解ったような気がした。

「日本狂詩曲」は日本よりも欧米で高く評価され、シベリウスが絶賛し、ラヴェルも楽譜を購入したと言う話があるらしい。ヴィオラ独奏が奏でる哀調帯びたメロディに始まる曲は印象的であった。打楽器が多用されて、日本音楽独特の雰囲気が醸し出される。3管編成で打楽器奏者9名の活躍が頼もしかった。管弦楽器より打楽器をより重視した曲を意図した明確な作品。打楽器奏者は思う存分に楽器を鳴らせる祭りの雰囲気を楽しんだのではないだろうか。

「ヴァイオリン協奏曲第2番」は何処となく幽玄なヴァイオリン独奏で始まり、土着民のエネルギー溢れる生き様が活力ある技法で表現された。独奏ヴァイオリンの幅のある生気溢れる表現はオーケストラの力強い雄大な表情に拮抗して見事であった。今演奏会が札響初演。
加藤知子(Tomoko Kato)は1957年、東京生まれの実力派ヴァイオリニスト。76年、桐朋学園大学入学。78年、日本音楽コンクール第1位。80年、タングルウッド音楽祭、アスペン音楽祭、マールボロ音楽祭に出演し、ルドルフ・ゼルキンの指導を受ける。81年から2年間、ジュリアード音楽院でドロシー・ディレイに師事。82年、チャイコフスキー国際コンクールで第2位に入賞後、国際的に活躍。

私が初めて聴いた加藤のコンサートは92年札幌市教育文化会館大ホールで〈加藤知子&小山実稚恵デュオ・リサイタル〉。93年旧北海道厚生年金会館で〈読売日響、小林研一郎と共演〉。その時以来、今回は20数年ぶりで3回目になる。ただイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全6曲は彼女のCDを所有していて.偶々耳にする。
今日の彼女の演奏はさすが経験に裏打ちされたアーテイストならではの演奏であったと思う感を深くした。

前作「日本狂詩曲」の大編成とは対照的な14人の独奏者から成る14人編成の室内オーケストラ。第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス各1の弦5名、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット各1の木管4名、トランペット、ホルン各1の金管2名、テインパニー1名、ピアノ1名。(金管が多分もう1名)
民族の特性が各楽器の特徴を通して繊細に表現され、明らかにアイヌの旋律が現れ、日本民謡の楽想が巧みに取り入れられて優れた曲と言える。
首席奏者ぞろいの編成で、まとまりも迫力もあって、個人的には最高レヴェルの演奏に思えて、曲の内容も面白かった。子供も楽しめそうな曲で、自分たちで演奏したくなる曲。

「シンフォニア・タプカーラ」は彼の晩年の大作。伊福部は教育者としても多くの教え子の中から芥川也寸志、黛敏郎、矢代昭雄、松村禎三等多くの作曲家を育て上げた。
曲目解説によると、「タプカーラ」とは「立って踊る」と言う意味で、両足を踏み鳴らすアイヌの野趣に富んだ踊りのことだそうである。
この曲で伊福部はそのリズムを活用して、アイヌの人々への共感を表したと言う。全曲は3楽章構成で彼の音楽の集大成になっているかも知れない。ハープ、フルートによる心温まる静謐な音楽を始め、抒情的なメロディも奏でられるが、打楽器が大活躍して活力に満ちた力強い音楽で終わる。

今日の4曲を合わせて聴くと「伊福部昭」の目指した音楽の一端が判った気がした。聴き終わるまでこんな気持ちになるとは予想していなかった。現代曲で漠然とした感じの音楽かと想像していたのが楽しい愉快な気持ちにさえなったのである。
















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札幌フィルハーモニー管弦楽団 第51回定期演奏会

22日、23日と二日続けてコンサートを聴く予定になっていたので、今日の演奏会は予定には入れていなかった。Kitaraボランティア仲間で札幌フィルのチェロ奏者から公演の案内があり、ボストン交響楽団のヴィオラ奏者の客演にも惹かれて聴いてみることにした。
昨年5月の第49回定期演奏会以来1年ぶりの札幌フィルの演奏会。指揮は昨年と同じ松浦修(Osamu Matsuura)。


2014年5月25日(日) 13:30開演  札幌コンサートホール Kitara大ホール

指揮/ 松浦 修    ヴィオラ独奏/ マイケル・ザレツキー(Michael Zaretsky)

〈プログラム〉
 ムソルグスキー(リムスキー=コルサコフ編): 交響詩「禿山の一夜」
 シュターミッツ: ヴィオラ協奏曲ニ長調
 ブルッフ: ヴィオラと管弦楽のためのロマンス
 ムソルグスキー(ラヴェル編): 組曲「展覧会の絵」

この「禿山の一夜」は未完成に終わった《歌劇「ソロチンスクの市」》の間奏曲「若者の夢」という曲。ピアノスケッチという形でしか残っていなかったらしいが、ロシア5人組の1人で後輩のリムスキー・コルサコフによって交響詩として完成された。この曲を久し振りで耳にしたが、思ったいたより激しい曲でなくて、クラリネットやフルートが美しいメロディを奏でていた。金管楽器も頑張っていた。

シュターミッツ(1745-1801)の名前だけは聞いたことがあったが、ドイツのチェコ系作曲家だという。ハイドンやモーツァルトはヴィオラ協奏曲を書かなかったらしい。古典派のヴィオラ協奏曲の中で最も有名なのがシュターミッツの「二長調」だそうである。
ヴィオラは地味であるが、繊細で綺麗な音色でヴァイオリンにない響きが独特な魅力を生み出していた。第1、第2楽章でのカデンツァは聴きごたえがあった。特に第2楽章の何となく暗い抒情的な雰囲気の演奏はさすが一流のソリストの証明。
管楽器はクラリネット2本、ホルン2本。弦楽器の中でも、ヴィオラが中心的な役割を果しているような感じも受けた。

ブルッフ(1838-1920)はドイツの作曲家で、「ヴァイオリン協奏曲第1番」と「スコットランド幻想曲」が親しまれている。彼の作品はその旋律の美しさやロマンティックな響きが魅力である。ヴィオラの澄み切った音色に魅了された。

ヴィオラが中心の作品は多くない。バシュメットの公演を2回聴いて凄いと思っていたくらい。、ソリストの作品が少ないのが残念である。ヴィオリスト個人のCDはバシュメットと今井信子のものしか持っていない。

ザレツキーは旧ソヴィエト連邦出身。モスクワ放送交響楽団、イスラエルのエルサレム放送交響楽団のヴィオラ奏者を経て、1972年からボストン交響楽団のメンバー。ソリスト活動、オーケストラとの共演の他にボストン大学で後進の指導にもあたっている。レコーディングも多数ある。
1989年12月、ボストン交響楽団は小澤征爾の下で来札して旧北海道厚生年金会館で北海道公演を行った。その折にザレツキーも団員として来札していたかも知れない。ボストン響日本ツアーの際には個人的に来道しているとのことで、今年も5月の日本ツアーが終って札幌フィルとの客演に繋がったようである。

オーケストラもアマチュアながら世界の一流ヴィオリストを支える演奏を展開できたように思った。国内外の指揮者やソリストと共演を重ねることでオーケストラとして向上していると確信する。

ソリストのアンコール曲は「バッハの無伴奏チェロ組曲第3番」より。

ムソルグスキー(1839-81)は19世紀ロシア国民音楽を推進した個性的な作曲家。「展覧会の絵」は友人ハルトマンの遺作展にインスピレーションを得て1874年にピアノ組曲として書かれた。彼は絵と題材に彼自身の感じた幻想やドラマ性を音楽で表現した。この曲が有名になったのは1922年にラヴェルが管弦楽用に編曲して大成功を収めた後である。
今迄に多くの音楽家が管弦楽用に編曲している。 アシュケナージは自分自身がオーケストレーションをして、ピアノ曲と管弦楽曲の両方をセットで録音しているのは大変興味深い。

管楽器が活躍する場面が断然多い曲。特にトランペットの華やかなソロが印象的。30名もの管楽器奏者が乱れなく演奏するのはアマチュアとして大変だったと思う。少々思うようにいかなかったところがあったようだが全体的に素晴らしかった。聴衆も喜んでいたが、演奏者が満足をして音楽を通して人生に喜びを感ずるとすれば、これに越したものはないのではないかと思う。仲間と共に音楽を作る喜びは素晴らしい。羨ましい限りである。

オーケストラのアンコール曲はホアイエの出口に表示されていなかったが、《フェラーリ:マドンナの宝石ー間奏曲》だと思いました。違ったらゴメンナサイ。
:追記:アンコール曲は《マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲》だったかもしれません。これらの曲はCDは所有せずにニ十数年前にカセットでウォークマンを利用して聴いていたので混同しがちなのです。チョット確認のためにカセット聴いてみましたが1日経つとメロディの区別がつかなくなりました。

*ボストン交響楽団には忘れられない思い出があるのです。1960年、シャルル・ミュンシュ指揮で旧札幌市民会館でコンサートが行われました。その頃、学生でレコード・プレーヤーやラジオでクラシック音楽に夢中になっていた私は是非とも聴きたいと思って5000円を用意して当日券を手に入れようと会館前から大通りに続く長い列に並んでいました。残念ながら列の途中でチケットは売り切れてしまいました。(翌年、就職した時の月給が15000円であった時代の事です。)
それ以来ボストン響への想いは強いものになりました。ボストン交響楽団は1881年創立のアメリカで3番目に古い楽団である。歴代の指揮者の影響もあり、五大交響楽団と呼ばれるアメリカのオーケストラの中でもヨーロッパ的な楽団と言われている。世界三大コンサートホールの一つと称される「シンフォニー・ホール」(1900年オープン)が本拠地で、小沢征爾が1973-2003)が音楽監督を務めていたことでも知られている。
個人的には1966-67年のロータリー財団奨学生としてフロリダ州立大学の大学院課程で1年間の学びを終えて帰国の折にボストンを訪れた。ボストンはヨーロッパの古い都市と変わらなく、街並みそのものが歴史遺産と言えるところだった。
タングルウッド音楽祭が行われることも日本では良く知られている。
 

 

小山実稚恵 「音の旅」第17回 2014年 春

12年間・24回リサイタルシリーズ2006~2017

~舞曲の園~  イメージ〈藍紫〉:秘密・ひそかに、しかし激しく

第17回 2014年 5月23日(金) 19:00開演 札幌コンサートホール Kitara 小ホール
 〈プログラム〉
 ドビュッシー: レントより遅く(ワルツ)、 マズルカ
 シューマン: ダヴィッド同盟舞曲集(18の性格的小品)
 ショパン: ワルツ 第7番、第8番、 マズルカ 第45番、第37番
 シマノフスキ: 20のマズルカより 第1番、第11番、第4番
 リスト: 4つの忘れられたワルツより 第1番、 
      「村の居酒屋での踊り」メフィスト・ワルツ第1番
 
今回の「音の旅」のテーマは≪舞曲≫、テーマカラーは《藍紫》。
ステージに毎回飾られる花束もテーマカラーを織り込んだ花。何となく淡い感じの花。ピアニストも藍紫のドレスに身を包んで登場。昨年の「音の旅」を振り返った後に、いつものように今日の演奏曲目についてトーク。毎回感じる事であるが、彼女の誠実さと謙虚さが話しぶりにも伝わってくる。

ドビュッシーの2曲とも余り耳にしない曲。ワルツでありながら、「レントより遅く」はピンとこないと思っていた。ウィットに富んだタイトルということか。マズルカにはスラヴ民族音楽の雰囲気が出ていた。

シューマンの曲を積極的に聴くようになったのは彼の生誕200年の2010年。「ダヴィッド同盟舞曲集」全18曲の演奏をコンサートで聴くのは初めてである。数年前にこの曲集が入ったCDを買って聴くことがあるが、曲の良さが未だ解らない。シューマンの中にある2つの対極的な性格が曲に反映されている。生の演奏を聴いていると舞曲集なので曲の面白さがそれとなく伝わってくる感じはする。
約40分もの長さの曲を聴くのは集中力がいる。具体的な内容を音楽的にも理解していればもっと楽しんで聴けるのかも知れない。

後半はショパンの聴き慣れた曲ばかりで親しみが一層湧いた。「ワルツ」といってもショパンは演奏鑑賞用として作曲した。「第7番」は演奏会で取り上げられる機会の多い曲。「第8番」は小山が一番好きなワルツだそうである。2曲とも格調の高い、魅力に溢れたワルツで聴き慣れたメロディであるが、何度聴いても美しい。
「マズルカ」は「ポロネーズ」と同じくポーランドの民族舞踊である。ショパンは60曲もマズルカを作曲しているが、祖国の民族音楽を洗練された曲として後世に伝えた偉大な作曲家であると改めて実感する。

シマノフスキはポーランド人としてショパン以後、初めて世界的にポーランドの音楽を高めた作曲家であるが、この数年ツィメルマンやアンデルシェフスキなどがコンサートで紹介している。今夜初めて耳にする曲は新鮮であった。

「忘れられたワルツ 第1番」はリストが70歳の時の小品。最近はリストの小品のCDを集めることが多くなって、この小品もミシェル・ダルベルトが弾くピアノ曲を所有している。ショパンのワルツを思わせるメロディもあって、軽妙洒脱で親しみ易い作品。

「メフィスト・ワルツ第1番」はアシュケナージの40年前の録音で、かなり聴き込んでいる。ひと月ほど前のコンサートでピアノ連弾で物語の背景を伴っての演奏を聴いていた。「村の居酒屋での踊り」のピアノ独奏用は、生演奏を聴く機会はそう多くはないが、今夜の小山の演奏は圧巻。鍵盤の上の手の動きには魅せられてしまった。観る楽しみ、聴く楽しみの両方を味わえた。リストならではの作品。
今日ではこのようなテクニックが備わったピアニストが沢山いるのだろうが、リストの時代ではピアノそのものがこのような演奏に耐えれなかったのが容易に想像できる。モーツァルトの時代では考えられないような作曲が可能になったピアノの進化に改めて想いを馳せる。作曲家とピアノ製作者の闘いを通して、ベートーヴェンの晩年の頃には今日のようなピアノが出来上がった。スタインウェイピアノが音楽に果たした役割は誠に偉大であったことを、今夜のようなリストの超絶技巧の曲を聴く時に思いを致すのである。
盛り上がった演奏に終了後、アンコールの声があちこちから上がった。

アンコール曲は4曲で、すべてショパンの曲。
マズルカ op.7-1,   ワルツ第10番、 子犬のワルツ、 華麗なる大円舞曲。








パスカル・ロジェ ピアノリサイタル

〈Kitaraワールドソリストシリーズ〉

2014年5月22日(木) 19:00開演 札幌コンサートホール Kitara 小ホール

〈プログラム〉
 ドビュッシー: ベルガマスク組曲
 ラヴェル: ソナティナ
 プーランク: ナゼールの夜会
 サティ: グノシエンヌ 第3番、第5番 
 ドビュッシー: 前奏曲集 第1集より
           (帆、 野を渡る風、 亜麻色の髪の乙女、 さえぎられたセレナ―ド、
            沈める寺、吟遊詩人)
        : 2つのアラベスク、  喜びの島

パスカル・ロジェ(Pascal Roge)は1951年、パリ生まれ。62年、11歳でオーケストラと共演、同年パリ高等音楽院に入学。67年、ジョルジュ・エネスコ国際コンクール入賞。69年、ロンドンとパリで正式デビュー。71年、ロン・ティボー国際コンクールに優勝して国際的な活動を始めた。75年のラヴェル生誕100年には世界各国でラヴェル・リサイタルを行った。世界の主要なオーケストラと共演して、リサイタルでも世界を駆け巡る。77年初来日以来たびたび日本を訪れているが、今回がKitara初登場。

ドビュッシー(1862-1918)の《ベルガマス組曲》はヴェルレーヌの詩にインスピレーションを得てピアノで表現したとされる。「前奏曲」、「メヌエット」、「月の光」、「パスピエ」の4曲から成る。「月の光」は彼のピアノ曲の中でも最も有名な曲。月の光輝く様子が美しく描写された。

ラヴェル(1875-1937)の「ソナティネ」は他のピアノ曲と比べて演奏機会が多くないのか、コンサートで聴くのは初めのような気がする。1905年に作曲された3楽章から成る古典的な指向の作品。

プーランク(1899-1963)は20世紀前半に活躍した〈フランス6人組の一人〉ぐらいの知識しかなかった。最近プーランクを得意とするガブリエル・タッキーノのCDを購入していたので、「ナゼルの夜会」は作品名だけは記憶にあった。一度、耳にしたのだが、余り覚えていなかった。1936年の作品。曲は前奏曲と8つの変奏曲、カデンツァとフィナーレから成る。変奏曲には機智に富んだタイトルが付いていて夜会の思い出が多彩に描かれていた。

50分余りの演奏を一気に弾き終えた。 コンサートの始めに“演奏者の希望で拍手は前半と後半のプログラムの終了時にしてください”とのアナウンスが予めなされていた。前半終了時まで満席状態の客席から咳1つない状況でコンサートが静かに進行した。前半終了後に万雷の拍手を受け、ピアニストも思い通りに集中した演奏ができて満足げに見えた。

サティ(1866-1925)の曲で「ジムノぺディ」だけは20年以上も前から親しんでいるが、他の作品や作曲家本人のことは詳しく知らないままだった。ラヴェルとほぼ同時代の作曲家と気付いて驚いた。まさか彼が、ドビュッシーやラヴェルの先駆者とは知らず、むしろ現代音楽の先駆者と誤解していた。「グノシエンヌ」は初めて聴いたが、「ジムノぺディ」に雰囲気が似ていると思った。

ドビュッシーの「前奏曲集 第1集」全12曲より6曲。「亜麻色の髪の乙女」は最も有名で親しまれている曲の一つ。スコットランドの乙女の肖像が静かで表情豊かに演奏された。このような耳慣れた曲を聴くと心も一段と癒された気分になる。曲の前後に拍手も含めて、雑音がなく集中できて余韻を楽しめるのも素晴らしい。
「沈める寺」は人々の不信仰のために海中に沈んだ大寺院が晴れた朝にその姿を現すと言う伝説による作品。24曲からなる前奏曲集の中で最も長い曲でスケールの大きな作品。

ドビュッシーの《2つのアラベスク》は彼の初期のピアノ作品。「アラベスク」とは「アラビア風」とか「唐草模様」という意味。この作品も親しまれていて耳にすることが多い。
「喜びの島」はフランスの画家の「シテール島への船出」にインスピレーションを得て1904年に作曲された。高度な技巧が必要な曲で、舞曲のリズムなどを用いてスケールの大きな楽想で華やかな曲に仕上がっている。

ドビュッシーに始まりドビュッシーで締めるプログラミング。フランス音楽の粋を見事に披露。心が浮き立つ楽しい気分に浸れるコンサートは久しぶりである。

今夜はパスカル・ロジェの音楽を聴きに来た聴衆が殆ど全員と思えるくらいコンサートへの集中力が高かったと思う。
鳴り止まぬ拍手に応えてアンコール曲も予定より1曲増えて3曲になった感じ。
〈アンコール曲〉 プーランク:15の即興曲より第15番 「エディットピアフをたたえて」
           サティ:3つのジムノぺディより第1番、 グノシエンヌ第2番

地下鉄駅へ向かう中島公園の中を歩いていると、「フランス音楽を聴いたら何だか幸せな気分になった」という若い男女の話し声が聞こえた。コンサートの帰り道で、偶にこんな感想を聞くと人との一体感が感じられて嬉しくなるものである。











         



サー・ネヴィル・マリナー (90歳の現役指揮者)のN響出演

サー・ネヴィル・マリナー(Sir Neville Marriner)が5月11日(日)に続いて、前夜(5月18日)のNHKのEテレ《クラシック音楽館》に登場した。NHK交響楽団とは5回目の共演となった5・11の放映(2月14日のN響定期公演)は間もなく90歳を迎える世界的な指揮者ということもあって話題を呼んだ。
演奏曲目はドヴォルジャークの交響曲第7番と第8番。「第7番」は2009年にラドミル・エリシュカが札幌交響楽団の定期演奏会で紹介してくれた曲で、今では親しんで聴くようになった馴染みの交響曲。マリナーはインタビューで「第7番」は超絶技巧の曲で、ドヴォルジャークの「第8番」「第9番」の礎となった曲と評価していた。インタビューで「N響は素晴らしいオーケストラで、楽団員は一瞬指揮棒を止めると、各奏者が自由に豊かな音楽性を発揮する」という印象を述べていた。

5月18日放映(2月19日のN響定期)はオール・モーツァルト・プログラム。「交響曲第35番」、「ピアノ協奏曲第22番」、「交響曲第39番」の3曲。ピアノ独奏はティル・フェルナー。彼の若々しくフレッシュで軽やかな演奏に胸が躍った。11月3日にKitara のステージに初登場するフェルナーが待ち遠しい。

マエストロがKitaraのステージに初登場したのが、2007年10月の札響定期演奏会。「ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲」と「メンデルスゾーンの交響曲第3番」を指揮した。世界的に有名な指揮者の札幌登場に胸が躍った。オーケストラやソリストの主体性を生かした指揮ぶりで自己主張が強くない印象を受けていた。

あれから約7年経って、現在は90歳になっている。世界最高齢の現役の指揮者だと思う。とても90歳とは思えない堂々として安定感のある指揮ぶりに感動。

ネヴィル・マリナーは1924年、イングランド生まれ。ロンドン交響楽団のヴァイオリン奏者などを務めて、ピエール・モントゥーに師事して指揮活動を始めた。1959年には、ロンドンの代表的なオーケストラ奏者を集めて、「アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ」(通称、アカデミー室内管弦楽団)を結成。バロック音楽の斬新な解釈で注目を浴びた。この室内楽団は世界中で活躍して2002年、ペラィアが首席客演指揮者でKitaraにも来演している。
マリナーはミネソタ管弦楽団の音楽監督(1979-86)、シュトゥットガルト放送響の首席指揮者(1986-89)も務めた。ウィ―ン・フィルを始め世界各地のオーケストラに客演。

2週続けてマリナーの元気な姿を拝見したが、モーツァルトの曲は特に得意な印象を受ける。モーツァルト交響曲全集、モーツァルト・ピアノ協奏曲全集をアカデミー室内管と録音している。ムロ―ヴァ等、同管との共演のCDも手元に数点ある。CDを通して彼の名を知ったくらい録音数が多い。

90歳を超えて世界を周るのは大変な体力がいると思うが、まだまだ世界での活躍が期待される名匠である。


札響名曲シリーズ2014-2015 vol.1 戦争と平和を

札響 森の響[うた]フレンドコンサート

年5回の札響名曲シリーズ2014-2015の第1回目のコンサートが久しぶりの雨模様の中、札幌コンサートホールKitara大ホールで開かれた。

昨日の午前中はKitaraボランティアとしてダイレクト・メール活動に従事した後、午後6時試合開始の日本ハム対ロッテの野球観戦のため札幌ドームに出かけた。野球は大好きだが、球場での応援風景が個人的には楽しめずに、むしろ煩わしくなってしまって、近年はテレビ観戦で済ますようになっていた。昨年はサッカー観戦で訪れたが、2年ぶりの札幌ドームでの野球観戦。今回は応援団や観客の応援の仕方が気にならなくて適度な好ましいものに感じられた。 試合も初回から日本ハム・ファイターズのペースで進み、満塁ホームランもあって楽しく観戦できた。ロッテの応援団の応援の仕方はかなり以前からの印象であるが規律が取れていて、いつも感心する。今回は特に男性合唱団を思わせる統一した応援が強く印象に残った。試合は一方的で11対1で日本ハムが大勝した。

本日の午前中は昨日に続いてKitaraでダイレクト・メール活動。正午からKitaraレストランでボランティア交流会。その後、午後2時開演のコンサートに臨んだ。

指揮/佐藤 俊太郎、  ピアノ/伊藤 恵、   管弦楽/札幌交響楽団

〈プログラム〉
 ショスタコーヴィチ:祝典序曲 op.96
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op.73 「皇帝」
 ベートーヴェン:戦争交響曲 「ウェリントンの勝利」 op.91
 チャイコフスキー:序曲 「1812年」 op.49

ショスタコーヴィチ(1906-75)の生誕100年に当たる2006年にCDをかなり購入して彼の曲に親しんでみようとした。彼が1927年の第1回ショパン国際ピアノコンクールに出場し、本選を前に棄権して作曲家の道を選ぶことにした記述を読んだことがあった。予選で敗退したと書いている評論家もいて事実は確かでない。ショスタコーヴィチは私にとって06年以降、交響曲だけでなく、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲、弦楽四重奏曲などでもコンサートで聴く機会の多い作曲家になっている。

この「祝典序曲」は知らないと思っていたら、収録されているCDが手元にあった。1917年11月6日の「ロシア革命記念日」の祝典のために作曲された。初演は54年のロシア革命37年記念演奏会。この曲は今ではブラスバンド用に編曲されて人気作品になっているようである。ショスタコーヴィチ特有の難しい作品とは違って、平易な旋律が用いられて親しみが持て鑑賞しやすい曲である。

ベートーヴェン(1770-1827)はナポレオンの持つ英雄的イメージを「交響曲第3番」や「ピアノ協奏曲第5番」に表現したのかも知れない。このピアノ協奏曲はベートーヴェンの全5曲のうちで最も有名で、先月のコンサートでも演奏された。
伊藤恵は日本を代表するピアニストの一人で、昨年はNew Kitaraホール・カルテットと共演。札響とは08年に続いての共演。絢爛豪華な曲で聴衆を魅了。アンコール曲に《シューマン:「子供の情景」より「トロイメライ」》。

「ウェリントンの勝利」という曲は知らなかった。1812年、ナポレオンのロシア侵攻が敗北に終り、13年6月、ウェリントン侯爵率いるイギリス軍が勝利したことで作曲を依頼されたらしい。自動演奏装置によるオルガン曲を聴いたことがあるが、その類のオーケストラ曲と思われる。イギリス軍とフランス軍を表す軍楽隊をそれぞれ舞台裏の下手、上手に配置して戦闘の様子が描かれたが、この曲の良さが理解できなかった。表面的に興味深そうに見えても、音楽的に単調でベートーヴェン作曲の重みが感じられなかった。極めて珍しいことに演奏終了後に拍手する気分になれなかった。

チャイコフスキー(1840-93)がナポレオン軍のロシアからの敗走を描いた《序曲「1812年」》は好みの管弦楽曲である。何度聴いても心地良く輝かしい旋律に気分も高揚する。戦いの悲惨さがなく、祭典の性格を持っているので、むしろ爽快で勇壮さが感じられる曲。チェロとヴィオラの祈りで始まり、曲の最後でも祈りの後、ロシア国歌が大砲の響きとともに歌われて勝利を祝う場面も祭典曲として盛り上がる。演奏終了後にブラヴォーの声が上がった。

指揮の佐藤俊太郎は1972年、仙台生まれ。93年、英国王立音楽院でヴァイオリンを学び、自らオーケストラを結成して指揮活動を行う。96年、イギリス室内管弦楽団を指揮、同室内管の准指揮者となり、ズッカーマン、デュメイ、ケネディなど著名なソリストと共演。2000年、フィンランドのクオピオ交響楽団の首席客演指揮者、その後、首席指揮者に就任。これまでに英国、フィンランドの他、国内の主要オーケストラに客演。
札響の地方公演などでの指揮活動が多い。私自身が彼の指揮を見るのは98年、08年に続いて今回が3度目。日本人としては背が高く見栄えがする指揮者。大きな指揮ぶりで、若々しさを感じさせる。

オーケストラのアンコール曲は「シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ」。北海道の風景を連想させ、透明感のある北欧音楽の響きが心に沁みわたるようであった。本日のプログラムである「戦争をテーマにした音楽」に少々違和感を感じ取ったが、「平和」を求める結びに繋がるアンコール曲になった。(このシベリウスの曲は尾高忠明指揮札幌交響楽団のCDに収録されている。)
 佐藤俊太郎は03年、英国王立音楽院とエリザベス女王から王立音楽院会員の称号を授与されているので英国での評価は高いようである。ロンドン・フィル、フィルハーモニア管、フィンランド放送響などに客演しており、経歴から判断すると尾高音楽監督との共通点が多いように思う。今後、札響を始め国内外での活動が増えると予想される指揮者である。










ゴールデンウイークの音楽祭 Kitara“あ・ら・かると” 2014

5月3日~5日の3日間に3歳以上の小さな子ども楽しめるミニコンサート、親子や家族で気軽に楽しめるコンサートなど9つの演奏会が開催された。期間中にオルガン演奏体験、触って実際に音を出してみる楽器博物館、オリジナル楽器の制作などの子どもが積極的に参加できるイヴェントも開かれた。休日ならではの催しが午前から夕方まで開かれて、札幌コンサートホールKitaraは普段では味わえない御祭りの雰囲気に包まれた。

今年は3つのコンサートを聴いた。

5月3日(土・祝) 15:00開演 Kitara 大ホール

もっとオーケストラ
〈プログラム〉  ベートーヴェン:交響曲第1番~第9番より第1楽章
  出演  指揮/大植英次  管弦楽/札幌交響楽団

ベートーヴェンの全交響曲の第1楽章だけの演奏は大変ユニークな試みである。子どもたちに、もっとオーケストラに親しんでもらおうと考えたアイディアであろうか。勿論、大人も対象に入れているであろう。世界で活躍している情熱のマエストロ大植英次は昨年の“あ・ら・かると”に続いての登場である。昨年は思いのほか聴衆が少なくて(約5割)残念であったが、今年も札幌に登場してくれたとは嬉しい限りである。幸いなことに、今年は9割以上の聴衆が客席を埋めた。

ステージの前方中央にピアノが置かれていてチョット不思議な感じがした。結果的には交響曲第1番と第2番で指揮者が弾き振りをしたのである。当時、ベートーヴェンはハープシコード、今で言うフォルテ・ピアノを使って2曲を作ったらしい。大植は早口で語りながら相も変らぬエネルギーに満ち溢れた姿で、コンサートを展開した。(マイクのせいか、自分の耳が悪いのか、話の内容がはっきりと解らない箇所が多かったのが残念だったが、、、)
第3番以降はピアノを使わず、ハイドンやモーツァルトの影響を脱してベートーヴェン独特の曲を作り上げたことは良く知られている。ベートーヴェンの交響曲にピアノが部分的にでも使われていたことは全く知らなかった。

ステージでコントラバス奏者が中央の最後列に並んでいた楽器配置が目を引いた。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが対抗配置、第1の横にチェロ、ヴィオラが第2の横、ティンパニが上手。とにかく、コントラバスが最後部一列に並んだ配置は初めて見た。オーケストラのサウンドにどのような影響を及ぼしたのかは判らなかった。

ベートーヴェンのドラマティックな人生をたどる交響曲の第1楽章だけの演奏会は斬新なプログラムではあったが、何となく充実感が湧かなかった。今度は保守的ではあっても本格的なプログラムで大植英次指揮のコンサートを聴いてみたい。


5月4日(日・祝) 13:00~13:45 Kitara 小ホール

45分のミニコンサート ピアノ&バリトン
〈プログラム〉 ドビュッシー:《ベルガマスク組曲》より「月の光」
         シューマン(リスト編曲):献呈
         ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」、  他   ピアノ/山本真平
         
         ジョルダーニ:カロ・ミオ・ベン、 中田喜直:みみずく、 湯山昭:電話
         コルンコルド:歌劇《死の都》より「ピエロの唄」
         ビゼー:歌劇《カルメン》より「闘牛士の歌」、 他  バリトン/下司貴大
                     
今日の出演者とは彼らのPMF参加が切っ掛けで2012年にFacebookで友達になった。フェイスブックでは数人としかやり取りをしなかったがその折の2人である。私は12年9月頃からブログを中心にしてから、FBはしなくなった。彼らの活躍の様子は耳にしている。去る2月にも下司君のバリトンコンサートを聴いて感動したばかり。
山本君は2011、12年のPMFピアニスト。当時、PMF教授陣のピアノ伴奏も担当した実力派。ドビュッシーの心にしみる曲、ショパンの華やかで力強い「英雄」を見事に弾きわけた。ピアノを習っている人は特に印象に残って親しみを感じたであろう。曲ごとに簡潔明瞭でよどみない解説も良かった。今日は久しぶりに彼の活躍の姿を見れて懐かしかった。(彼とは直接に会ったことは無い。)

下司君は2月、中田喜直記念コンクールで大賞を受賞している。その時のコンクールでピアノ伴奏をして伴奏賞を受賞したのが本日のピアノ伴奏者であった鎌倉亮太。素人が聴いても中田喜直作曲「みみずく」はピアノ作品としても難曲と判る。コンクール直後におけるミニコンサートでも素晴らしい歌声を満喫したが、KItara小ホールでの音響はやはり違う。彼自身もこの3ヶ月で益々声に磨きをかけ、経験を積み重ねている。道内期待のバリトンの逸材が伸びやかで艶のある歌声をKitara小ホールに響かせた。
               
札幌出身の若い演奏家が活躍できる場が増えるのは好ましい。特に、何かの繋がりがあって応援できるアーティストがいるのは嬉しい。今後も彼らの活躍を祈りたい。


5月5日(月・祝) 16:00開演 Kitara 小ホール

室内楽コンサート 
安永徹&市野あゆみ 室内楽シリーズ第4回 ~札響メンバーとともに
〈プログラム〉
 ブラームス:ピアノ三重奏曲 第1番 ロ長調 作品8(1891年改訂版)
        (ピアノ/市野あゆみ、ヴァイオリン/安永徹、チェロ/石川祐支)
 ミヨー:“世界の創造” ピアノ五重奏版
      (ピアノ/市野、 ヴァイオリン/安永、伊藤亮太郎、 ヴィオラ/廣狩亮、
       コントラバス/飯田啓典)
 
 ワインガルトナー:ピアノ六重奏曲 ホ短調 作品33
             (ピアノ/市野、ヴァイオリン/安永、伊藤、ヴィオラ/廣狩、
              チェロ/石川、コントラバス/飯田)

札幌コンサートホールで2011年から開催してきた安永徹と市野あゆみ、札幌交響楽団メンバーによる室内楽シリーズが遂に最終章を迎えた。安永徹は77年にベルリン・フィルに入団、83-09年まで同楽団の第1コンサート・マスターを務めて厚い人望でも知られた。結果的に同じ日本人の樫本大進が後を継いだ。旭川にも居を構えて、北海道の音楽レヴェルの向上に果たした功績は大である。

チャイコフスキーのピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の想い出」はCDを持っていて偶々聴くが、ブラームス(1833-97)のピアノ三重奏曲は聴いたことがない。この「第1番」は1854年に作曲されたが、晩年の90年に大規模改訂を行った。ブラームス自身がピアノを弾いて初演をしているだけあって、ピアノの活躍が目立つ作品。石川のチェロが奏でる美音が素晴らしかった。彼の楽器から紡がれる旋律にいつも感動する。とても美しい作品だと思った。

ミヨー(1892-1974)はフランスの作曲家で、彼の名は聞いたことがあるだけで、曲を聴くのは初めてかも知れない。アメリカ滞在中にジャズ音楽に影響を受けた彼はこの作品を1922年に書いた。翌年、パリのシャンゼリゼ劇場で初演された。原作は小編成のオーケストラのために書かれた全5楽章から成る作品であるが、後にピアノと弦楽四重奏用に編曲された。フランス特有の色彩感のある音楽にジャズの特色が生かされていて、とても面白かった。この曲でもピアノの市野の活躍が光っていた。

ワインガルトナー(1863-1942)は聞いたことがある名だと思っていたら、マーラーの後継者としてウィ―ン宮廷歌劇場の指揮者を務めていた人物であった。現在のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の人気を築いた指揮者でもある。20世紀初頭までは作曲家が同時に演奏家でもあるのは当たり前の状況であった。
1906年に作曲された「ピアノ六重奏曲」は珍しい楽器編成。6人の奏者が各楽器の特色を生かしたシンフォニックな響きで色彩豊かな曲になっていた。
この曲が始まったのが5時20分過ぎで、曲に対する集中力が残念ながら失われかけていた。3日間の音楽鑑賞の開演時間が違い過ぎて身体が付いていかなかったようである。居眠りするような状態にはならなかったが、結果的に何となく耳を傾けていた感じになってしまった。

最後に安永と市野が〈室内楽シリーズ〉の終了にあたって挨拶。
アンコール曲は 《シューマン:子供のための12の4手用曲集から「夕べの歌」》(ピアノ連弾曲であるが、上のパートをヴァイオリンが演奏)。

札響のメンバーにとっても、この室内楽シリーズは何事にも変え難い素晴らしい経験になったと思う。一応、シリーズとして一区切りとなったが、今後もKitara主催でこのような室内楽コンサートが継続されることを期待している。









                         




プロフィール

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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