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三浦文彰ヴァイオリン・リサイタル(ピアノ:イタマール・ゴラン)

三浦文彰は2009年ドイツ・ハノーファー国際コンクールにおいて16歳で優勝して一躍脚光を浴び、一昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」のメインテーマ演奏で全国的に知名度を上げた。Kitaraのステージには2012年以来、4回目の登場。前回の出演は広上指揮札響との共演で〈Kitaraのニューイヤー2017〉。今回のリサイタルは2016年5月以来で2回目の開催。

2018年3月6日(火) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

〈出演〉 ヴァイオリン/ 三浦 文彰(Fumiaki Miura)、 ピアノ/ イタマール・ゴラン(Itamar Golan)
〈Program〉
 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第30番 ニ長調 K.306
 R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 Op.18
 バルトーク:ルーマニア舞曲
 福田恵子:「赤とんぼ」の主題による小ファンタジー
 ブラームス(ヨアヒム編):ハンガリー舞曲第5番 
 チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォ ハ長調 Op.34,、  感傷的なワルツ Op.51-6
 サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調 Op.28

ピアノのイタマール・ゴランは1970年リトアニア生まれ。室内楽活動が顕著であるが、ベルリン・フィル、ウィ-ン・フィルとも共演する実力者。Kitaraでも2006年レーピン、09年竹澤恭子と共演。レーピンのリサイタルの折にはゴランのサインも貰った。1994年からパリ高等音楽院教授を務める。

半年前に予定されていたプログラムは小品集が多めだったが、ソナタが前半2曲入り、結果的に重量感のあるプログラムになって良かった。後半の小品も予定されたものは2曲だけだったが、在り来たりの名曲でなくて新鮮味が期待できるプログラミング。

モーツァルトは10代まではピアノを主とするヴァイオリン・ソナタを書いていたが、22歳の頃からはピアノとヴァイオリンが対等の作品を書いた。K.301、,K.304などは演奏の機会が多くてメロディにも馴染んでいる方である。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタは番号に慣れていないので「第30番」は演奏会では初めて聴くような感じがした。ケッヘル番号で判断すると所有のCDの棚にはあるなとは思った。「第30番」は以前の2楽章構成と違って、急・緩・急の3楽章制で曲の変化が際立って面白い。30分弱を要する長めのソナタもピアノとヴァイオリンの対話が興味深くて面白く聴けた。

R.シュトラウス唯一のヴァイオリン・ソナタはここ数年で演奏される機会が多くて楽しんで聴いている。ピアノ、ヴァイオリンともに高度な演奏テクニックが展開されるスケールの大きな作品。曲は急・緩・急の伝統的な3楽章構成。2人の丁々発止のドラマティックな演奏で凄く盛り上がった。自分でもこんなに気分が高揚してR.シュトラウスの曲を聴けたのは初めてと思うくらいの感激度だった。
演奏終了後の聴衆の盛り上がりも一段と凄かった。早くからチケット完売で期待されていた演奏会だったが、聴衆の感動の様子がホールに広がった。演奏家同士もお互いに健闘を称え、2階バルコニーの客にも反応する姿も非常に良かった。

世界のピアニストと共演する三浦の物おじしない堂々たる演奏も頼もしいが、イタマール・ゴランのピアノを身近で聴いて今回ほど彼のピアニズムに魅了されたことはなかった。前回まではゴランの演奏は大ホールで聴いていて、ヴァイオリニストに目が集中し過ぎていたのかも知れない。室内楽での彼の偉大さを知った。今回はデュオ・コンサートと呼ぶにふさわしい前半のプログラムであった。

後半はヴァイオリンを中心にした小品6曲。後半の初めに三浦がプログラムの変更について説明したが、彼の人間性があらわれる
話しぶりで客の好感度を増した。

手渡されたプログラムにバルトークの小品が追加された。「ルーマニアン・ダンス」と紹介されたが、「ルーマニア民俗舞曲」6曲中の1曲と思われた。聴いたことのあるメロディが流れた。

福田の作品は三浦文彰委嘱作品。山田耕筰作曲の「赤とんぼ」を主題にして福田はヴァイオリン・ソロ曲を作っていた。三浦の委嘱を受けてピアノとのデュオの作品にしたという。抒情的で幻想風の小品。

「ハンガリー舞曲第5番」はピアノ曲、管弦楽曲として最も親しまれていて言及するまでもない。ここではヴァイオリンとピアノ用編曲版。ヨアヒムは19世紀後半を代表する名ヴァイオリニストで、ブラームスのヴァイオリン協奏曲の初演者として知られる。

チャイコフスキーのヴァイオリンの小品は「ワルツ・スケルツォ」、「メロディ」などが有名である。タイトルが示す通りで、ワルツの優雅さとスケルツォの軽快さを備えた小品。「感傷的なワルツ」は本来はピアノ曲だが、現在ではヴァイオリンやチェロで演奏されることが多いようである。

サン=サーンスがピアノの名手サラサーテのために書いた曲で、小品と言うより中品と言える。アンダンテの序奏と気まぐれなロンドから成る。ジプシー風の音楽に始まり、ヴァイオリンの超絶技巧が使われる華麗な音楽でプログラムが終了した。

後半にも盛大な拍手があったが、前半2曲のソナタの聴きごたえに比べると、感動的と言えるほどでもなかった。名曲では新鮮さが必ずしも味わえないが、演奏家の技巧は楽しめる。今回のハイライトは何と言っても前半のソナタ。心に残る素晴らしい演奏会であった。
アンコール曲は2曲。①クライスラー:中国の太鼓  ②チャイコフスキー:メロディ。

今回のコンサートでは演奏以外にヴァイオリニストの性格の一端が覗けて興味深かった。年齢は20歳は違うが、まるで同輩のようでお互いに目指す音楽性が共通しているのだろうと思った。
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川井郁子コンサートツアー2018 LUNA~千年の恋がたり~

川井郁子の名は10年以上前に耳にしていたが、彼女のコンサートは普通のヴァイオリンコンサートとは少々違うもので今迄に聴く機会を持たなかった。川井はクラシックからジャズ、クロスオーヴァーまで幅広いジャンルで活躍する一流のヴァイオリニスト。国内外の主要オーケストラとの共演のほかに、自ら作曲した曲を含むデビュー・アルバムをリリースして話題を集め、カーネギーホールやパリ・オペラ座公演も行っている。クラシック音楽ではファジル・サイ、ホセ・カレーラスとも共演、仲道郁代、遠藤真理、森麻季などと室内楽を展開している。
一度は聴いてみようと思って今回の公演を聴くことにした。

2018年2月18日(日) 1:30PM 開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

出演はヴァイオリニスト、ピアノ・キ-ボード奏者、尺八・琵琶奏者、和太鼓奏者の4名。
プログラムは2部構成。
 〔第一部〕
  ロドリーゴ(川井郁子編):恋のアランフェス~レッド・ヴァイオリン~
  川井郁子:流浪の女、 赤い月
  モンティ:チャールダーシュ
  作者不詳:さくら
 〔第二部〕「源氏がたり」 (林 真理子著作より) *演出:川井郁子・吉井盛悟
  川井郁子:時の彼方に、 宵待の月、 風のあとに
  川井郁子:夕顔 ~「源氏物語」より~
  チャイコフスキー(川井郁子編):ホワイト・レジェンド『復活』~白鳥の湖より~

エントランスで渡されたプログラムは広告が多くて、演奏曲目が載っていないのに戸惑った。主催者が作成した紙に曲目が書かれていてホッと一安心。
ギターのヴィルトオーゾの有名な曲の聴き慣れた旋律で始まった。最初の曲はヴァイオリン、ピアノ、和楽器、和太鼓を使用した編曲もの。川井が目指した和楽器と洋楽器のコラボレーションとなる曲作りの方向性が伝わった。
2曲目以降はピアノの代わりにキーボード、日本の楽器は尺八・琵琶・笛・和太鼓などが用いられた。シルクロードを通ってジプシーの音楽やオリエンタルな雰囲気も広がる曲が続いた。ヴァイオリン曲として演奏される機会の多い「チャールダーシュ」はいつもと違う楽器構成で興味深かった。予定の演奏家が来札できなくて曲目変更があり、日本古謡「さくら」が演奏された。現代的な洋風の音楽に編曲されて粋な感じがした。
ヴァイオリニストが前半最後の曲「赤い月」の演奏前にマイクを持った。携帯電話について触れ、後半の曲の説明をした。聴き取れいないことが多くて、携帯の音源に注意の連絡かと思っていた。ところが、隣席の女性が携帯をいじり始め、前方の十数名が携帯やスマホで写真を一斉に撮り始める姿が目に入った。フラッシュも光った。主催者のプログラムにはもちろん写真撮影厳禁と書かれている。撮影許可の話があったのかと判断せざるを得ない状況だった。前代未聞の状況に驚いて、いささか動揺した。

後半は川井が平安時代を思わせる着物姿で語りも交えて、ヴァイオリンを演奏した。琵琶が入って独特の幻想的な源氏物語の世界が描かれた。川井の才能の豊かさを感じさせるステージであった。
アンコール曲は「ソーラン節」で北海道公演を盛り上げた。自分にとって必ずしも好みのコンサートではなかったが、いろいろなコンサートがあってよいと思った。
ジャンルを超えた活躍でファンの心を掴んでいる様子は帰りのホワイエに彼女のサインを待つ人々の長い列にも表れていた。




 

西本幸弘ヴァイオリンリサイタルシリーズ 札幌公演

11月は海外から一流の演奏家が立て続けに来札して充実した演奏会が続いた。グルベローヴァ、プロムシュテットのような全盛期を過ぎた歌手、指揮者の栄光は今も輝いている。コンサートの感想への世界の読者の反応に驚きを禁じ得ない。特にグルベローヴァのファンは世界中で組織を作って彼女の活動の様子を様々な言語に翻訳して関係者に伝えている様子が窺がえる。私のブログを英語に翻訳する仕事をしている人もいるようである。今までもドイツ語、フランス語などの翻訳記事でアクセスしている人は結構いた。今回は一時的な現象だろうが、スロヴァキア語、チェコ語、ドイツ語(ドイツ、スイス)、フランス語、スペイン語、デンマーク語などの言語を通して10ヵ国もの人々のアクセスがあったのは初めてである。彼女のコンサートからひと月近くになるが, gruberova.comから毎日のようにアクセスが続いている。彼女の人気の凄さに驚いている。

前回のコンサートから1週間も空いた。11月最後の日に札幌出身のヴァイオリニストで、仙台フィルのコンマスを務めている西本幸弘のコンサートを聴いてみることにした。

2017年11月30日(木) 19:00開演  札幌コンサートホール大ホール
Yukio Nishimoto VIOLINable Discovery vol.4
(ピアノ/ 大伏 啓太)

〈Program〉
 ヘンデル:ヴァイオリンソナタ 第4番 ニ長調 op.1-13 HWV371
 クライスラー:クープランの様式による才たけた貴婦人
 サラサーテ:ミ二ヨンのガヴォット op.16
 サン=サーンス:サラバンドとリゴードン op.93
 ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ 第4番 イ短調 op.23
 フォーレ:初見視奏曲
 フォーレ:ヴァイオリンソナタ 第1番 イ長調 op.13
 
“Violinable Discovery”という言葉にはヴァイオリンの“可能性”を追い求めながら、様々な“発見”をするコンサートの意図が込められているようである。
西本は東京芸大卒業後、英国の音楽院に学んで多くの褒賞を受賞。英国を拠点にして目覚ましい活躍を行い、2010年に帰国。2012年、仙台フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターに就任。多様な音楽活動に従事しながら、毎年恒例の札幌公演も今回で4回目となる。
プログラムが新鮮に思えた。べート―ヴェンのソナタ第4番だけはCDで数度耳にしているが、他の曲はたぶん初めてであった。

ヘンデルはバッハと同時代の作曲家だが、現代と違って当時はバッハよりヘンデルが大人気だったと言われている。バロック期の音楽は通奏低音がハープシコードだったと思うので、現代のピアノは何となくイメージが違った。しかし、ヴァイオリンには当時の雰囲気が出ている感じはした。

続く小品3曲はフランスの香りが漂う曲で始まった。サラサーテの曲は元々はフランスの作曲家・トマの《ミニヨン》というオペラの中に出てくる舞曲だという。サラサーテならではの超絶技巧のヴァイオリン曲になっていた。サラバンドとリゴードンは元々弦楽合奏のために書かれた作品で、タイトルはバッハの舞曲を用いた曲でも知られる。軽やかなリズムでドイツ音楽とは違う色彩感はあった。

ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの中では第5番と9番が有名で演奏会で聴く機会が多くて、「第4番」は珍しい。数日前に樫本&リフシッツと庄司&カシオ―リの2種類のCDで聴いてみたが、3楽章ともに馴染みの旋律のある曲になっているのに自分でも意外に思って嬉しくなった。
西本は10年計画でベートーヴェンのソナタ全10曲を演奏中らしい。今回は第4回で「第4番」ということで、順番に演奏している。最終回が第10番となるようである。
ベートーヴェンが初めて書いた短調のソナタはベートーヴェン独自の特徴が出ている曲作り。第1楽章と第3楽章が緊迫感のあるドラマティックな展開となり、第2楽章がスケルツォで心休まる緩徐楽章。ピアノとヴァイオリンが対等な役割で演奏されて充実した聴き方が出来た。海外での活躍ぶりが納得のいく説得力のある演奏をした西本の実力が見て取れた。
ピアノの大伏は前2回の川畠成道のリサイタルでもピアノ伴奏の実力のほどを示していたが、安定感が抜群であった。ベルリンフィルのクラリネット首席奏者フックスなど国内外の一流の演奏家と共演している様子からも伴奏者として高い評価を受けているのが判る。

後半はフォーレの作品。チェロで聴く「夢のあとに」や「エレジー」で親しまれている作曲家。彼の最大の作品は「レクイエム」らしい。ジャン=フィリップ・コラールのピアノ集のCDを所有しているが、ピアノ音楽を通して聴くフォーレの音楽は優しくて美しい。今回のヴァイオリン曲は新鮮な気持ちで耳を傾けた。
1曲目はタイトルからして耳慣れない「初見視奏曲」。パリ音楽院の教授をしていた時に学生試験用に書かれたという非常に短い曲。フォーレらしい優しい調べで、あっという間に終った。

「ヴァイオリンソナタ第1番」は4楽章構成。温かい柔らかなピアノの調べで始まり、情熱的なヴァイオリンの演奏が入って変化のある第1楽章。ピアノとヴァイオリンの呼吸が合う滑らかな第2楽章。スケルツォの第3楽章ではヴァイオリンの技巧が光った。第4楽章は優しさあふれるフィナーレとなるが、全体的にフォーレの音楽の特徴が出ていた。

※フォーレはラヴェルがパリ音楽院に在学していた頃、教授陣の評価が低かったラヴェルを支えた教授で、ラヴェル事件の後にパリ音楽院院長として活躍した人物としても知られている。彼の作品はラヴェルとは全く違う作風であるが、当時からラヴェルの才能を見抜いていたフォーレは偉大な作曲家でもあった。

西本は才能豊かでトークも得意のようで、クラシック音楽の垣根を越えて様々な活動に従事している様子。幅広い分野で活躍している若い音楽家の今後の期待は大である。また、いつか都合が付けば彼のリサイタルに足を運ぼうと思った。

アンコール曲は「バッハ(グノー編曲):アヴェ・マリア」。

服部百音 ヴァイオリン・リサイタル

服部百音という天才的ヴァイオリニストの名は彼女がティーンエイジャーになる前から耳にしていた。現今では4・5歳からピアノやヴァイオリンを始める子は珍しくなく、環境に恵まれて本人の才能・努力があればティーン・エイジャーで世界に羽ばたく演奏家も現れる時代である。ただピアノとヴァイオリンでは大人と互角に競える年齢に違いがあるようである。例えば、日本音楽コンクールのピアノ部門の最年少優勝者は高校生であるが、ヴァイオリン部門は中学生が快挙を成し遂げている。
服部の名が“もね”と呼ぶのに気づいたのは半年前のことで、それまでは“ももね”と覚えていた。11歳で世界デビューしていたことも、昨日のYouTubeの映像で知った。
日本の若手のヴァイオリニストの活躍が頼もしいと思う昨今であるが、今回のリサイタルは発表時から楽しみにしていた。プログラミングが魅力的で、難曲と思われる曲がずらりと並んで、聴いたこともない曲も数曲演奏されるのが愉しみを倍加させた。

服部百音(Mone Hattori)は1999年生まれで、8歳よりザハール・ブロンに師事(*ブロンはレーピン、樫本、ヴェンゲーロフなど世界的ヴァイオリニストを綺羅星のごとく育て上げている指導者)。09年ヴィエニャフスキ国際コンクールのジュニア部門で史上最年少優勝。13年ノヴォシビルスク国際ヴァイオリンコンクールでグランプリに輝き、15年にはアシュケナージ指揮EUユース管と共演し、16年にはマリインスキー劇場でも演奏、国内リサイタル・ツアーも行った。

2017年11月14日(火) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール
〈Program〉
 エルンスト:《夏の名残りのばら》による変奏曲
 プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ヘ短調 作品80
 エルンスト:シューベルトの《魔王》による大奇想曲 作品26
 ショーソン:詩曲 作品25
 マスネ:タイスの瞑想曲
 ジンバリスト:R=コルサコフの《金鶏》の主題による演奏会用幻想曲
 ラヴェル:ツィガーヌ

エルンストとジンバリストはヴァオリニストとして知っていたが、作曲家としての作品を聴くのは初めてだと思う。
エルンストはヤナーチェクと同じチェコ・モラヴィア地方のブルノ出身。神童としてウィーンでヴァイオリンを学ぶ。アイルランドの詩人、ムーアの詩による「夏の名残りのばら」は日本では「庭の千草」として知られている。いろいろな変奏で繰り返し馴染みのメロディも出てくるが、ピツィカートを使いながら演奏するテクニックは最高に難度の高いものに見えた。
曲は「無伴奏ヴァイオリンのための重音奏法の6つの練習曲」の中の第6曲。超絶技巧を駆使した曲に聴衆が魅了され、ブラヴォーの声が沸き起こった。

プロコフィエフが書いたヴァイオリン・ソナタ「第1番」は1938年に着手されたが、第二次世界大戦の混乱もあって再着手が1946年で、同年に完成してオイストラフ&オボーリンのコンビで初演され、スターリン賞を受賞した。
シゲティが弾くCDを所有していて、以前の演奏会の前にも聴いたことがあるが、今回は真っ白な状態でコンサートに臨むことにした。プロコフィエフらしい現代音楽の味がした。ヴァイオリンの持つ幅広い表現力が発揮され、ピアノのドラマティックな伴奏も力強く、ピアニストの実力も試される曲のように感じた。4楽章構成で演奏時間は30分ほどの聴き応えのある曲。

エルンストはパガニーニの影響を受け、彼の作品を上回るような超絶技巧が必要なヴァイオリン曲を次々と書いたといわれる。ゲーテの詩によるシューベルトのドラマティックなストーリーに沿ってヴァイオリン独奏用の作品に仕上げた。

ショーソンの「詩曲」は元々はヴァイオリンとオーケストラのための作品であるが、ふつうはピアノ伴奏で演奏される。演奏会で取り上げられる機会も多い。ツルゲーネフの小説「愛の勝利の歌」に基づく作品で、文学的要素がある。美しい調べをヴァイオリンが歌いまくる詩情に満ちた曲。

「タイスの瞑想曲」は30年ほど前に出勤の行き帰りにカーステレオで毎日のように聴いていた曲。珠玉の名曲集の小品には必ず組み込まれる曲で最も親しまれているヴァイオリン曲のひとつ。
マスネの歌劇「タイス」に出てくる間奏曲だが、単独の名曲として知っているだけで、オペラは観たことがない。

ジンバリストはロシア生まれのヴィルトゥオーゾで、後年アメリカに移住。来日公演も度々重ねた。リムスキー=コルサコフのオペラ《金鶏》はタイトルも今まで知らなかった。「演奏会用幻想曲」はオペラ音楽の編曲作品。今回のプログラムの解説を読んで寓話の内容も初めて知った。
ヴァイオリンとピアノのための演奏会用幻想曲は冒頭のファンファーレの部分から始まって、オペラのストーリーを追う形で音楽が進んだ。10分程度の曲だが、難曲と思える演奏技術をスピード感をもって軽々と弾きこなす力は何とも凄い。

最後の「ツィガーヌ」はヴァイオリン独奏部による情熱的な長い導入部があって無伴奏ヴァイオリン曲のよう。ハンガリーのロマ(ジプシー)のヴァイオリニストの即興演奏を思わせる部分。超絶技巧を要する作品でヴァイオリニストの力量や個性が表れる作品。後半にピアノも入る幻想的なパートも印象的だった。

聴衆からため息が出るような感動的な演奏が繰り広げられた。ピアノ伴奏を務めた三又瑛子(みまた あきこ)も好演。
アンコール曲は「イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 第4楽章」。

今回のリサイタルはヴァイオリニストが演奏したい曲を自ら選曲して開催されたように思えるが、私個人としては素晴らしいプログラミングに感謝したい。これほどワクワク感と満足感を覚えたヴァイオリン・リサイタルも珍しい。
服部百音は11月の国内公演を1日にN響コンサートでスタートして、井上道義指揮でチャイコフスキーの協奏曲を演奏。その後、リサイタル・ツアーを名古屋、大阪、札幌、東京で開催。来年以降の来札を期待したい。

~演奏活動55周年記念~前橋汀子アフタヌーン・コンサート

数年前までは日本のヴァイオリニストで諏訪内晶子を聴く機会が一番多かったが、前橋汀子が演奏50周年(2012年)の折に札幌でアフタヌーン・コンサートを始めてから毎年欠かさずに聴き続けている。彼女のコンサートは今回で18回目となった。
2005年に自主企画で始めた東京サントリーホールでの「アフタヌーン・コンサート」も今では各地に広がり、札幌では完全に定着した感がある。比較的に低料金で日曜の午後のひと時を気軽に楽しめる企画は成功しているのではないだろうか。
同じようなプログラムが続いて今回が6回目だが毎年1回の開催につい足を運んでしまう。

2017年10月29日(日) 1:30PM開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
 〈Program〉
  モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第24番 ハ長調 K.296
  フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
  ドヴォルザーク(クライスラー編):わが母の教え給いし歌、 スラヴ舞曲 Op.72-2
  ヴィエニャフスキ:モスクワの思い出
  ドビュッシー(ハイフェッツ編):美しき夕暮れ
  ショパン(サラサーテ編):ノクターン第2番
  ファリャ(クライスラー編):スペイン舞曲第1番
  モンテイ:チャールダーシュ
 
前半2曲のヴァイオリン・ソナタはヴァイオリンとピアノが対等に渡り合う曲で、ピアノの松本和将は毎回前橋汀子とコンビを組む相性の良いピアニスト。
2013年のコンサートでもこの「第24番」が取り上げられた。第25番(K.301)が取り上げられた年もあったが、私にとってはヴァイオリン・ソナタはケッヘル番号の方が馴染んでいる。昨日の午前中にCDで聴いてみると馴染みの曲だった。真心のこもった溌溂とした第1楽章。ロマンスに近くて牧歌的な第2楽章。第3楽章は生き生きとして軽快で輝かしい終曲。久しぶりに聴けて懐かしかった。

ベルギー生まれでフランスで活躍したオルガニスト兼作曲家のフランクはヴァイオリン・ソナタを1曲しか書いていないが、この曲は名曲で近年はコンサートで取り上げるヴァイオリニストが多い。
同じ主題が4楽章で繰り返される循環形式が全曲を支配する。フランクの理性と情熱が調和した曲。神秘的でロマンにあふれた主題が優雅で気品のある歌を奏でる。抒情的な旋律も魅力的で聴くたびに曲の良さが伝わってくる。

後半は珠玉の小品集。7曲中の5曲は歌曲やピアノ曲などがヴィルトオーゾのヴァイオリニストによる編曲版。今までのアフタヌーン・コンサートで演奏された名曲ばかり。比較的になじみの薄い曲は「美しき夕暮れ」だが、2012年にも演奏された曲。前橋が得意としている「モスクワの思い出」は彼女自身がロシアで学んだ若いころの思い出も重なっているのではと思う。
他のヴァイオリニストの演奏会で耳にすることが多い「チャールダーシュ」はそれぞれのヴァイオリニストが個性的に演奏していることが分る。
馴染みの名曲がヴァイオリン曲として流れると親しみを覚えるものではある。

アンコール曲を一気に4曲弾いてステージを終えたが、最後に譜めくりストを呼び寄せてアンコール曲としては長い「ツゴイネルワイゼン」を弾いて800人ほどの聴衆の大喝采を受けた。
アンコール曲は①ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女 ②エルガー:愛の挨拶 ③ブラームス:ハンガリー舞曲第1番 ④ブラームス:ハンガリー舞曲第5番 ⑤サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン。

マンネリ感が無いわけでもなかったが、今回はコンサートの行き帰りに通る中島公園の木々が秋色に染まる様子をじっくり観察した。今まで見たことが無いような美しい自然を連日満喫出来て公演内に立地するKitaraホールの良さの素晴らしさを味わった。10月の中旬には紅葉の見ごろを連日楽しめたが、10月下旬の何色にも色鮮やかに細かく変化している木の葉の濃淡の美しさにすっかり心を奪われた。中島公園の秋の美しさをしっかり目に焼き付けた。

成田達輝ヴァイオリン・コンサート(ピアノ/萩原麻未)

成田達輝(Tatsuki  Narita)は2010年ロン=ティボー国際コンクール第2位、12年エリーザベト国際コンクール第2位で一躍脚光を浴びた若手のヴァイオリニスト。12年から彼の演奏会出演も回を重ね、今回の大ホールでのコンサートは5回目となる。前回は昨年1月インキネン指揮プラハ響によるニューイヤーコンサートだった。オーケストラとの共演ばかりを聴いていた。
共演の萩原麻末(Mami Hagiwara)は2010年ジュネーヴ国際コンクールで日本人初の優勝を果たしたピアニスト。13年2月の札響定期(*指揮/セーゲルスタム)に登場してグリーグのピアノ協奏曲を弾いた。二人ともパリ音楽院で学んでいるが、音楽的に相性が良いのか、13年以降デュオを組んでのコンサートが目立つ。
今回は成田が札幌出身の演奏家で、主催が〈札幌友の会〉ということで実質的なデュオ・リサイタルが成田の知名度を生かしての大ホールでのコンサート。チラシも無かったが、Kitara Newsでコンサート開催を知って2ヶ月前にチケットを購入していた。ピアノが萩原というのは後で判明して、コンサートの期待度が一層高まっていた。

2017年9月11日(月) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
〈Program〉
 クロール:バンジョーとフィドル
 アルベニス:タンゴ
 イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番「バラード」
 ラヴェル:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第2番、 ツィガーヌ
 ドヴォルザーク:ソナチネ ト長調 Op.100
 ブラームス:ハンガリー舞曲集より 第1番、第2番、第5番、第6番
 サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン 
 
ピアノ伴奏者はKitara Newsの8・9月の予定表で判明し、予定曲目は3曲のみ示されていた。曲目は出演者に全面的に任されていて、ラヴェルのソナタだけが同じで、コンサート当日は結果的に魅力あるプうログラムを知ることとなった。プログラムに解説がついていて未知の曲は参考になった。

クロールは20世紀のアメリカのヴァイオリニスト・作曲家。聞いたことのある曲のタイトル。彼はクライスラーに師事したということで、メロディはロマンティックで楽しい曲であった。

スペインの作曲家アルベニスは多くのピアノ曲を作っていて、この曲は組曲「スペイン」の第2曲で、のちにクライスラーがヴァイオリン用に編曲して人気が出たそうである。アルゼンチン・タンゴとは違う、ハバネラ風のタンゴ。

各3分程度の2曲の演奏後、成田がマイクを握って挨拶。プログラムにプロフィールの紹介が無かったので、彼は自己紹介で、札幌生まれで、3歳からヴァイオリンを始め、小学3年生からHBCジュニアオーケストラに加入してKitaraの大リハーサル室に通い、素晴らしい音響を持つ大ホールのステージに9年間連続して立てた喜びを語った。その後、フランスで学びコンクールや音楽祭で弾いた演奏曲目にまつわる思い出深いを話をして、その曲の演奏に入ることになった。その前にピアニストが謙虚に言葉少なに自己紹介を行った。(*この時点で聴衆の大部分ははピアニストが大物だということを知らなかったと思う。)

配布されたブログラムに載っていなかった「イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番“バラード”を追加して演奏(*8分強)。パガニーニ以来のヴァイオリンの名手・イザイの無伴奏ヴァイオリンソナタは6曲あって難曲とされている。20世紀のヴァイオリン奏法の開拓者としても知られる。

一端ステージを下がっていたピアニストが再びと登場すると、“麻未さん”を“2010年ジュネーヴ国際コンクールで日本人初の優勝者”と紹介した時に会場から“そんな実績のあるピアノ伴奏者”と知ってビックリした反応があった。ラヴェル以降の演奏を聴いて彼女の実力のほどに納得がいったはずである。
(※萩原は8月に秋山指揮広島響と「ベートーヴェン第1番」、兵庫芸術文化センター管と「ラベル:ト長調」、軽井沢大賀ホールでリサイタル、山田和樹指揮東京混声合唱団特別演奏会のピアノ伴奏と忙しいスケジュールをこなしているから驚きである。)

ラヴェルのヴァイオリン・ソナタは1曲だけと思い込んでいた。今回、「「ソナタ第2番」となっていて一瞬アレッと思った。「ト長調」でミンツとブロンフマンのCDに入っていて番号が付いていなかった。以前の演奏会で一度聴いた覚えがある。
3楽章構成。第2楽章が「ブルース」、第3楽章が「常動曲」。4年も要して書かれた曲。ジャズの雰囲気のある曲で、ラヴェル得意の楽器の独特の表現が際立ってピアノとヴァイオリンの作り出す音が現代音楽風に響いた。ピアノとヴァイオリンが相いれない楽器のようで演奏され、当時としては異端のリズムのような感じがした。時代を先取りした曲作りで、結果として生き生きとした音楽となった。第3楽章は超絶技巧が要求されるような場面が多かった。ピアノ、ヴァイオリン共に演奏が難しいように思えた。相性の合う2人ならではの息の合った演奏だった。聴き慣れると面白い曲かと思った。

「ツィガーヌ」はハンガリーのジプシーの音楽で、ラヴェルの傑作として演奏機会の多い曲。聴衆を惹きつけるヴィルトオジテイの見せ所。
前半が終ると嵐のような拍手大喝采。いつも明るい成田のステージでの振る舞いは演奏とともに客を楽しませる。プログラミングは地元の人々を楽しませようと選曲に工夫を凝らした様子が窺がえた。

ドヴォルザークの「ソナチネ」(小さなソナタの意)は我が子の音楽教育のための曲と言われる。4楽章構成。アメリカ時代のドヴォルザークの特徴が出ている旋律美に溢れ、優しさに満ちた曲。20分余りの曲で初めて聴いた気がした。

ブラームスとサラサーテの曲は誰もが耳にしている馴染みのメロディ。「ハンガリー舞曲」21曲の中で特に親しまれている4曲が続けて弾かれた。コンサートのアンコール・ピースとしてピアノ曲・管弦楽曲として「第5番」が最も有名。一気に引き抜ける成田達輝の若いエネルギーは凄いと改めて感心!

パガニーニ以降の伝説のヴァイオリニストで超絶技巧をふんだんに取り入れたサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」。曲のタイトル通り、ハンガリーのジプシー音楽の濃厚な香りが漂う曲で聴く者を魅了する。
成田と萩原は若さあふれる演奏で最後まで聴衆の心を掴んで音楽の楽しさを共有した。
アンコール曲は初めの2曲は成田独奏で《パガニーニ:「24のカプリース」から 第1番 と 第9番》、3曲目は萩原も加わって「ポンセ:エストレリータ」。

※昨年に続く「札幌友の会」主催の大人の音楽会。子どもの音楽会も開催されているのではないだろうか。実は昭和50年代に旭川に在住の頃、妻が「旭川友の会」で10年ほど活動していた。その頃の旭川の指導者の息子さんが辻井伸行を育てたピアニスト川上昌裕。彼は辻井のために曲を録音して指導に当たった話を今回思い出した。辻井の指導は横山幸雄につなげたが、当時の様子を書物にしたようで知っている人も多いかもしれない。35年~40年前くらいの旭川での友の会での母と子の活動を久しぶりに思い出して書いてみた。

木野雅之 ヴァイオリンの魅力 Vol.8

木野雅之は日本フィルのコンサートマスターを務めていた20年以上前から札幌には毎年来ていたのだろうが、彼の師イヴリー・ギトリスの2回目のKitaraでのヴァイオリン・リサイタル(2007年)の折に、ギトリスのサポートで共演していたのが切っ掛けで木野のコンサートに通うようになった。(*1922年イスラエル生まれの世界的なヴァイオリニストのギトリスは毎年のように東京公演を開催)。木野のリサイタルは09年から聴き始めて、14年から連続して聴きに来ている。「木野雅之を聴く会」の主催でKitara公演も8月恒例の演奏会になっている。彼のプログラムは定番の曲が少なくて未知の曲が多いのが魅力である。

2017年8月16日(水) 7:00PM 開演 札幌コンサートホールKitara小ホール
〈Program〉
 ストラヴィンスキー(ドゥシュキン編曲):田園
 グラナドス:ヴァイオリン・ソナタ
 チャイコフスキー:懐かしい土地の思い出 OP.42
 シマノフスキー:ロマンス ニ長調 OP.23
 シベリウス:6つの小品 Op.79
  ヴュータン:ファンタジア・アパッショナータ Op.35

今回のプログラムで知っているのはチャイコフスキーの曲だけで、珍しい曲が多いのに興味を抱いた。
ストラヴィンスキー(1882-1971)が25歳の若い時に書いた歌曲が、その後ヴァイオリン奏者ドゥシュキンの協力を得て「ヴァイオリンとピアノのための曲」に編曲された。時代を反映して現代的な音作りで、3分程度の独特な曲で面白かった。

グラナドス(1867-1916)はスペインを代表する作曲家。昨年が没後100年、今年は生誕150年で演奏会で取り上げられる機会が増えているように思う。スペイン舞曲集などのピアノ曲を多く耳にする。このヴァイオリン曲はフランスの名ヴァイオリニストであるジャック・ティボーに献呈されたと言われ、フランス風の雰囲気を漂わせる曲に仕上がっていた。単一楽章のソナタだが、ピアノ(藤本史子)もなかなかの好演だった。第2楽章以降は未完に終わったらしいが、ヴァイオリンとピアノの掛け合う曲想は聴きごたえがあった。

チャイコフスキー(1840-93)の《懐かしい土地の思い出》は彼の支援者メック夫人の所有するウクライナを指すらしい。曲は「瞑想曲」、「スケルツォ」、「メロディ」の3曲から成る。第3曲「メロディ」はレーピンとMidori のCDで何度かその旋律に親しんでいる。第1曲「瞑想曲」は昔のスラヴ音楽の特徴が入った旋律でロシアの色彩がどことなくある感じがした。グラナドスがオーケストラ用に編曲したほど魅力的な調べ。第2曲は軽快なテンポでピッツイカートも入ってスケルツォらしいムード。第3曲は単独で演奏されることもある親しまれた「メロディ」。優美なメロディに溢れた組曲は実にチャイコフスキーらしい作品で心地よい気分に浸った。

シマノフスキー(1882-1937)はポーランド出身の作曲家として名前は知っていたが、作品は殆ど知らない。プログラムの解説によると、現ウクライナに領地を持つポーランド貴族の家庭で育った環境で、彼の作風は後期ドイツロマン派、印象主義の影響を受けたようである。「ロマンス」は流麗でロマンの香り漂う小品だった。

シべリウス(1865-1957) の管弦楽曲は親しんでいるが、ヴァイオリン曲は協奏曲しか聴いたことがない。シベリウスはベルリン・フィルのヴァイオリン奏者を目指して努力を積み重ねたが、試験の場では緊張して実力を発揮できずに作曲家になったという話はよく知られている。ヴァイオリン曲は協奏曲以外にはCDも持っていなくて小品を今までコンサートで聴く機会も全然なかったように思う。木野の話によると、シベリウスが作曲家の道を選んでくれたお陰で、彼は数多くのヴァイオリン曲を書き残してくれた。
「6つの小品」は50歳ころに書かれた作品。①思い出 ②メヌエットのテンポで ③特徴的なダンス ④セレナード ⑤田園風舞曲 ⑥子守唄。フィンランドの自然や情景に寄せるシベリウスの想いが美しく表現された小品集。
ヴァイオリンのヴィルトオーゾへの憧れもあってか技巧的にも工夫が凝らされヴァイオリンが活躍する場面が目立った曲作り。シベリウスの交響曲や管弦楽曲などにも共通する美しい調べが豊かで、それぞれのタイトルから連想できる雰囲気を感じ取りながら演奏を聴いた。

ヴュータン(1820-81)はベルギー生まれで幼くして演奏会デビューを果し、ヴィルトオーゾ・ヴァイオリニストとしてヨーロッパ各地で華々しく活躍。作曲家として彼の名を知ったのは15年ほど前のことで、韓国の世界的ヴァイオリニストのチョン・キョンファのCDを通してだった。ローレンス・フォスター(*97年N響札幌公演でKitara登場)指揮ロンドン響&Kyung・Whaの「ヴァイオリン協奏曲第5番」。昨日のコンサートに先立って単一楽章のこの曲を何年振りかで聴いてみた。
ヴュータンの作品はパリ音楽界だけでなく、ロシアやアメリカでも評価されたらしい。
「ファンタジア・アパッショナータ」(熱情的幻想曲)は1860年ころのロシア滞在中に書かれ、元は管弦楽とヴァイオリンのための作品。この解説を読んでヴァイオリン協奏曲第5番との繋がりも感じれた。3部から成る曲で“情熱的で華麗な”ヴァイオリン・ソナタ風の曲だった。躍動感に溢れ、ヴァイオリンのヴィルトオーゾらしい高度な技巧も散りばめられて、フィナーレがタランテラで魅力的な終曲となった。

小ホールの1階だけが使われ、客は200名強だった。小学生低学年の子どもとその母親たちの姿が目立った。元気な男の子は演奏前や休憩時間中にあちこち動き回っていたが、演奏中は静かにして集中力を高めて音楽を聴いていた。音楽教室に通ってヴァイオリンを習っている子供たちのようだった。コンサートだけでなく、支援者との交流の機会も設けている様子がうかがえた。
毎年一度の演奏会は真夏の大阪や熊本と比べて北海道の涼しさは一服の清涼剤になっている様子。演奏会のチラシで曲目解説が載っているので、最低限必要なトークを交えてのコンサートは個人的には聴きに来やすい。
耳にする機会の少ない珍しい曲ばかりだったこともあって、アンコール曲は「サラサーテ:チゴイネルワイゼン」。盛大な拍手に応えて、アンコールにもう1曲「パガニーニ:カンタービレ」。

千住真理子ヴァイオリン・リサイタル

千住真理子のヴァイオリン・リサイタルを聴いたのが彼女のデビュー35周年記念として開催された2010年だった。史上最年少の15歳で優勝した日本音楽コンクールで全国的な脚光を浴び、20世紀後半までに国際的な活動をしていた。2012年にストラディヴァリウス「デュランティ」を手にしてから彼女は一層積極的な活動を始めた。
12歳でN響デビュー、87年ロンドン、88年ローマ・デビューして、日本国内ではプラハ響、ベルリン室内管、スーク室内オーケストラ、ワルシャワ国立フィルなど海外オーケストラのソリストとしての活躍が比較的多かった。そのようなコンサートのタイトルが〈千住真理子&うんぬん〉と銘打たれるほど彼女の知名度は高い。4大ヴァイオリン協奏曲の他にリサイタルで弾かれる小品も含まれる演奏会もあったが、今回のリサイタルを聴くのは7年ぶりで2回目だった。

2017年6月23日(金) 7:00PM開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
 〈Program〉
  J.S.バッハ:アダージョ(無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番より)
  モーツァルト:アンダンテ・グラティオーソ~トルコ行進曲
  ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」
  ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
  ドヴォルザーク:我が母の教え給いし歌
  メンデルスゾーン(ハイフェッツ編):歌の翼に
  アイルランド民謡(クライスラー編):ロンドンデリーの歌
  岡野貞一(朝川朋之編):故郷
  サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン

コンサート活動以外にも、著書を出版したり、講演会やラジオのパーソナリティーを務めるなど知性的で多才ぶりを発揮して好感度大のヴァイオリニスト。彼女の言葉によると“憧れのKitara”でのリサイタルの演奏曲目はKitaraホールの素晴らしい響きを生かすように慎重に選んだようである。語り慣れた話し方で曲の解説などを織り交ぜながらコンサートを進めた。(*予備知識があるので彼女の話は大部分は理解できたが、マイクの使い方が良くなかったのか、1階6列正面席にもかかわらず耳のせいもあってか7割程度しか聴きとれなかったのは残念であった。)

バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番第1楽章のみの演奏は初めてかもしれない。「アダージョ」と言っても直ぐピンと来ていなかった。幻想的、即興的な調べでコンサートのスタートに相応しい壮麗な世界が広がって非常に良かった。

2曲目はピアノ曲として親しんでいるが、「アンダンテ・グラティオーソ」が第1・2楽章のどちらかが分からなかった。第3楽章は短くて有名なメロディ。ヴァイオリン曲として聴いたことがなく、第1楽章は長大で、どのように編曲してあるのかワクワクしていた。結果的には第1楽章の主題と6つの変奏のうち主題だけが取り上げられ、トルコ風な第3楽章がメインの編曲になっていた。演奏者自身か兄が編曲に関わっていたのかもしれない。トルコ軍楽隊の行進が超絶技巧を駆使した力強い音楽のリズム・パターンとなって繰り返し反復されて楽しい見事な演奏だった。
演奏終了後にブラヴォーの声が上がるほど聴衆を歓喜させた。

前半最後の曲がメインとなるヴァイオリン・ソナタ。ブラームスは「ヴァイオリン・ソナタ」を3曲しか遺していないが、3曲とも名曲で味わい深い。曲にタイトルが付く「第1番」はブラームス自身の歌曲「雨の歌」の主題をそのまま用いているための呼称。
穏やかに語りかけるように始まる美しいメロディ。ピアノとヴァイオリンの対話で愛情あふれる親密な雰囲気が生み出される。雨を背景にして様々な感情の動きも読み取れる。
この曲の演奏では樫本大進とリフシッツの名演が思い出される。デュオと違って千住に視点が偏りがちだが、ピアニストも好演だった。

ピアニストの丸山滋は東京藝大大学院修了後、ミュンヘン音楽大学に学ぶ。コンクールで歌曲伴奏特別賞を受賞するなど国際的経験を積む。97年国際歌曲コンクール(東京・大阪)で優秀伴奏者賞を受賞。2014年Kitaraで開いたリサイタルで札幌市民芸術祭大賞を受賞。現在、東京藝術大学非常勤講師。

プログラムの後半は珠玉の名曲小品集。千住は各曲の演奏前に解説を加えながら演奏した。
◎ブラームスがハンガリーの民族色の濃いジプシー音楽をピアノ連弾用に書いた作品が原曲。
◎ドヴォルザークの歌曲集「ジプシーの歌」の第4曲が原曲。4年前に母を亡くした千住が想いを込めて弾いた。
◎メンデルスゾーンがハイネの詩に曲をつけた歌曲が原曲。
◎ロンドンデリーとはアイルランドの州の名前。英国の北アイルランドでは事実上の国歌として扱われているという。「ロンドンデリーの歌」には様々な歌詞によって歌われているが、「ダニー・ボーイ」が最も有名である。

◎唱歌「故郷」は大正時代以降、日本の自然風景の象徴的な歌として親しまれているが、東日本大震災後は特にコンサートなどで歌われる機会が増えた。高野辰之作詞、岡野貞一作曲の唱歌は、他に「春が来た」、「春の小川」、「朧月夜」、「もみじ」などがある。昨日の演奏はクラシック風の編曲によるもので、千住が個人的に委嘱してヴァイオリン曲に編曲してもらったらしい。
◎プログラムの最後を飾るに相応しい技巧の限りを尽くした超絶技巧の連続の曲。名手サラサーテならではの名曲。「ツィゴイネルワイゼン」とはドイツ語で「ジプシーの歌」の意。情熱的で哀愁を帯びた第1部、甘美で抒情的な第2部、急速で技巧的、華麗な第3部から成る。
曲の途中で弱音器をつけ、また外す場面をヴァイオリニストが演奏前に解説で説明してくれた。今まで何回もこの曲を聴いているが、弱音器をつけた時の音が急に変わったので直ぐに反応できた。弱音器を落として華麗な第3部に入る様子を観察出来て非常に興味深かった。
演奏終了後に千名以上の客席を埋めた聴衆の大歓声は凄かった。

拍手大喝采に応えてのアンコール曲は3曲。①マスネ:タイスの瞑想曲 ②クライスラー:愛の喜び ③バッハ:G線上のアリア。
マイクなしだったが、地声の曲の紹介は全て聴きとれた。安らぎを感じる曲ばかりで名曲に浸った。
周囲で“素晴らしかった”と声を上げる女性があちこちで見られた。帰りのホワイエにはサインをもらう人の列が長くつながっていた。

天満敦子ソロ・ヴァイオリン・コンサート2017

昨年に続く珠玉の名曲を集めての天満敦子の無伴奏によるヴァイオリンのコンサート。ソリストとしてジャンルの枠にとらわれない演奏活動を続けている。
1992年のルーマニア訪問から話題を集め、「望郷のバラード」で一気にブレイク。彼女のコンサート・プログラム最後を飾る曲として長年続いた彼女の代名詞とも称された曲。近年は「ジュピター」で終わるプログラム編成。今回のプログラムの特徴は作曲家・和田薫が天満敦子に献呈した曲の演奏。

2017年4月2日(日) 1:30PM開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

〈プログラム〉
 J.S.バッハ:アダージョ(無伴奏ソナタ第1番より)、G線上のアリア
 フォーレ:夢のあとに、 シチリアーナ
 マスネ:タイスの瞑想曲
 ドヴォルザーク:ユーモレスク
 和田 薫:独奏ヴァイオリンのための譚歌より
        「琥珀」、「紅蓮」、「漆黒」、「萌黄」
 熊本県民謡:五木の子守唄、    山本正美:ねむの木の子守歌
 弘田龍太郎:叱られて、       菅野よう子:花は咲く
 ポルムべスク:望郷のバラ―ド
 ホルスト:ジュピター

コンサート前半の外国の作品6曲はクラシック音楽の名曲として親しまれているが、すべて無伴奏で暗譜による演奏。「ユーモレスク」は気恥ずかしくて演奏をためらっていたが、この曲を演奏した時に彼女の父が“やっと演奏してくれた”と語ったという曲。父への思いも込めての演奏だったようである。6曲の演奏終了後に2007年~10年に亘って和田薫から献呈された《独奏ヴァイオリンのための全5曲》より4曲が演奏された。天満の無伴奏のヴァイオリン演奏に感銘を受けた作曲家が書き上げた作品。
多彩な音色と技巧に彩られ、東洋的な詩情あふれる作品になっている。各曲に日本独自の色彩名が付いている。

後半のプログラム前半4曲は馴染みの曲。プログラム・ノートで初めて知り得たことが多々あった。「五木の子守唄」は赤ちゃんをあやすための子守唄ではなく、子守り奉公に出された娘の気持ちを歌った唄だそうである。
「ねむの木の子守歌」は皇后陛下美智子様が聖心女学院高等科在学中に作られた詩に、指揮者・作曲家だった故山本直純夫人の山本正美が清純な詩に感動して作曲して、1965年の秋篠宮様のご誕生を祝って皇后さまに献上したという話は初耳であった。
「叱られて」は久しぶりに耳にする懐かしいメロディ。郷愁を誘うメロディを持つ童謡を懐かしく思い出した。
「花は咲く」は東日本大震災の被害からの復興を応援するNHKによる支援プロジェクトのテーマソングとして広く知られている。

「望郷のバラード」はルーマニアの作曲家が祖国の独立運動に関わって投獄され、獄中で故郷を偲びつつ書いた作品。29歳の若さでこの世を去ったポルムべスクにスポットライトを当てることになった天満のヴァイオリン。心を揺さぶる旋律が、手にして30年目を迎えるストラディヴァリウスから紡がれ続ける。

ホルストが書いた《組曲「惑星」》の第4曲「木星」が最も親しまれている曲。この曲の第4主題に歌詞をつけた「ジュピター」は英国の愛国的賛歌として広く歌われているという。札幌の国際音楽祭PMFでは「ジュピター」(田中カレン編曲、井上頌一作詞)をPMF賛歌として聴衆全員が斉唱するのが恒例で人々に親しまれている。

2011年以降、天満は“日本のうた”を演奏曲目に入れ始めたようである。飾り気のない語り口と人々の心に染み入る演奏で人気を高めて、来年の札幌公演(4月8日)の予告もしていた。
1000人ほどの聴衆を集めたコンサートは盛会であった。彼女は“Kitaraで演奏会を開けて嬉しい”と今年も語った。アンコール曲は続けて2曲。①中田喜直:雪の降る街を ②岡野貞一:故郷(ふるさと)。

漆原啓子ヴァイオリンリサイタル

漆原啓子(Keiko Urushihara)は1963年、東京生まれ。81年第8回ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールに日本人初の最年少優勝。85年に3歳年下の妹、朝子と共に札響定期に出演してバッハの協奏曲を演奏。その後、札響とはたびたび協演。彼女の演奏を初めて聴いたのが札響定期では2度目となった93年5月。「サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番」を弾いた。彼女の演奏を聴くのは今回が24年ぶり。朝子の演奏は98年、08年と2回Kitaraで聴く機会があった。


2017年3月25日(土) 午後4時開演  六花亭札幌本店 ふきのとうホール

〈曲目〉
 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第33番 変ホ長調 K.481
 ドホナーニ:ヴァイオリン・ソナタ 嬰ハ短調 op.21
 コルンゴルト:から騒ぎ op.11
 R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 op.18

リヒャルト・シュトラウスの曲を除いてコンサートで取り上げられることの少ない演目が目を引いた。

モーツァルトの「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ」はピアノとヴァイオリンが対等とはいえ、古典派時代はやはりピアノが主旋律を奏でていた。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタはK.301、K304の作品には親しんでいる。この2曲は2楽章構成。「K.481」は彼の29歳の時の作。この曲は3楽章構成。ピアノが主導する明解な旋律で始まるモルト・アレグロの第1楽章とアダージョの第2楽章は対照的な趣。第3楽章はかなり簡素な主題と6つの変奏曲から成る。ピアノの響きがかなり勝っていた感じだった。

ドホナーニ(1877-1960)はバルトークやコダーイと同時代のハンガリーの作曲家。ピアノ作品を多く書いたようだが、ドイツ的重厚さ、ロマンティックな雰囲気、現代風のリズムも入った曲でヴァイオリンの技巧も凝らされて、比較的に面白く聴けた。

コルンゴルト(1897-1957)はチェコ出身の作曲家。1930年代前半までにクラシック音楽の分野で成功を収め、ユダヤ系のためアメリカに移住。アメリカ映画音楽の作曲も手掛けて、ジョン・ウィリアムズなどにも影響を与えたといわれる。
「から騒ぎ」はシェイクスピアの同名の喜劇のための付随音楽。管弦楽曲として書いたが、後に作曲家自身がヴァイオリンとピアノヴァージョンにした。
《から騒ぎ》から「4つの小品」。①花婿花嫁の部屋の中の女中 ②林檎とワイン ③庭園の情景 ④仮面舞踏会(*プログラムで4つののタイトルがドイツ語で書かれていたので辞書で調べて適当に翻訳してみた。)曲を聴いている最中は内容のイメージは浮かんでこなかったが音楽そのものは面白かった。ヴァイオリンとピアノの対話も音楽的に興味深かった。

音楽の多くのジャンルで多大な作品を残したリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が書いた唯一つのヴァイオリン・ソナタ。この曲は3年前に大谷康子のリサイタルで聴いて良い曲だと思った。華やかな演奏効果のある曲でヴァイオリンの高度な技術が発揮され、ヴァイオリンが主役となる漆原の面目躍如の演奏で満足した。演奏終了後にブラヴォーの声も上がった。

221席の小ホールは漆原を聴きに来たと思われる客で満席状態で盛り上がって良い演奏会になった。2014年録音の姉妹デュオCDが国内で話題を呼んだようだが、後進の指導のほかにソロ活動も期待したい。

ヤコブ・ロイシュナー(Yacob Leuschner)のピアニストとしての腕前も相当なもの。彼は1974年生まれでドイツ出身。89年からソリスト、室内楽奏者として世界中で幅広く活動を展開している。世界の主要ホールでの演奏経験も含め、08年からはケルン大学教授を務めながら、国内外で後進の指導に当たり目覚ましい活躍を収めているようである。

演奏終了後にステージに戻って最初に口を開いて日本語で挨拶したのがロイシュナー。これにはビックリ! 日本語もかなり流暢でアンコール曲に「モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ K.372」のほんの一部を演奏。一度ステージを下がって再登場した時には、漆原が挨拶したが残念ながら声が通らずに良く分らなかった。2曲目のアンコールは「ホ短調」と聞こえたが確かでない。5分ほどの心に響く演奏によるヴァイオリン曲。

演奏家が聴かせたい音楽を選曲してのコンサート。演奏家も聴衆の反応に満足した様子でもあり、私自身にとっては聴きごたえのある演奏会となって良かった。

※ポーランドで5年ごとに開催されるヴィニャエフスキ国際コンクールは4大ヴァイオリンコンクールの一つである。1935年に始まり、戦争で中断して第2回が52年、昨年が第15回コンクールとして開催された。1972年以降の大会で多くの日本人入賞者が毎回途切れなく続いているが、優勝者は漆原啓子だけである。昨年の大会でも2位、7位と日本人入賞者が出たが、世界から優勝の大本命と評判の服部百音(Mone Hattori)がセミファイナル(13名)にも進めずに二次予選で落選。専門家のi間やポーランド国内で大騒ぎとなったようである。審査で不正が行われたと悪評とのこと。本人の力の無さではなくて落とされてしまったらしい。ヴェンゲーロフが審査委員長でルールに則った審査が行われなかったと公然と後日談がSNSを通して広がっている。有名な世界的指導者ブロンもファイナル7名のうち少なくとも4名はファイナルに進む値のないヴァイオリニストと語っている。
スポーツと比べて文化で順位を決めるのは難しいが、委員長の独裁が幅を利かせる事態が2015年のチャイコフスキー・コンクールでもあったとされる。審査委員個々の判断に違いはあっても、ルールが無視される事態を審査委員長自らが引き起こすことを憂うる。
プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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