鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパン《ミサ曲 ロ短調》 札幌公演

『鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン』の演奏会をKitaraで初めて聴いたのが2006年12月であった。(*森麻季のほかに3人の外国人ソリストが加わって曲目は「モーツァルト:レクイエム」など。当時のプログラムでチェロの鈴木秀美は当たり前と思ったが、鈴木優人(オルガン)の名は当時は知らなかった。)
2回目の札幌公演は2007年12月で「ヘンデル:メサイア全曲」。古楽に重点も置くKitara 主催のプログラムでは〈2008年ライプツィヒ聖トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団、2010年ドレスデン聖十架合唱団&ドレスデン・フィルハーモニ管弦楽団による「マタイ受難曲」も忘れ難い。
鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンは世界ツアーとアルバム録音で日本が世界に誇る音楽集団であるが、度々Kitaraに登場してくれるのは嬉しい。毎回聴いているわけではないが久しぶりに未知の曲を聴いてみることにした。

未知と思ったが2011年12月に〈オランダ・バッハ教会合唱団&管弦楽団〉による「バッハ:ミサ曲 ロ短調」を聴いた記録が出てきた。当時のプログラムを読み返しても思い出が蘇ってこない。5年ぶりに耳にする音楽で何かの繋がりが見えてくることを期待した。

2016年11月15日(火) 開演19:00  札幌コンサートホールKitara大ホール

J.S.バッハ:ミサ曲 ロ短調 BWV232

指揮/ 鈴木雅明(Masaaki Suzuki)
ソプラノ/ 朴 瑛実(Terumi Boku)、ジョアン・ラン(Joanne Lunn)
アルト/ ダミアン・ギョン(Damien Guillon)   *カウンターテナー
テナー/ 櫻田 亮(Makoto Sakurada)
バス/ ドミニク・ヴェルナー(Dominik Worner)
合唱・管弦楽/ バッハ・コレギウム・ジャパン(Bach Collegium Japan)

鈴木雅明は1990年にバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の創立以来、バッハ演奏の日本における第一人者。BCJを率いて欧米の主要ホールや音楽祭に定期的に出演し、古楽演奏では世界的な指揮者として名高い。2013年には〈Kitaraのニューイヤー〉で札響を指揮してモダン・オーケストラとも共演。
BCJコンサートマスターの若松夏美(Natsumi Wakamatsu)をはじめメンバーの多くは10年前と変わっていない。メンバーは約50名。本日の出演者はソリストを含めたコーラスは25名、オーケストラ25名。(*オルガンは鈴木優人で、彼は作曲・指揮・ピアノなど多岐にわたる分野で活躍している卓越した音楽家。)

ソリストの中で櫻田は昨年札響とも共演。イタリアの古楽アンサンブルや国内外のモダン・オーケストラなどと多数共演し、オペラの舞台でも活躍中。2016年4月BCJヨーロッパ公演でソリストを務めた。
ドミニク・ヴェルナーは2002年ライプツィヒ国際バッハ・コンクールで優勝し、BCJとは2005年から国内外で共演を重ね、札幌公演には毎回参加している。

BCJはバッハの約200曲もの教会カンタータ(ルター派プロテスタントの礼拝で演奏される大規模な声楽曲)の全曲演奏&録音で世界の注目を浴びた。バッハの「マタイ受難曲」も大傑作として知られる。ミサ曲はラテン語で歌われるカトリック教会の礼拝音楽である。「ミサ曲 ロ短調」は後半生の長期にわたって書き続けて完成させたバッハ唯一のミサ曲で彼の集大成の作品とされる。

曲は4部構成、全27曲。第1部が12曲、ミサ(キリエ、グロリア)で約1時間。第2~4部が15曲で約55分。
5部合唱で始まるコーラスの美しさに魅せられた。独唱・二重唱も入るが、独唱+ヴァイオリン独奏、二重唱+フラウト・トラヴェルソなどの組み合わせがあって非常に面白くて前半の1時間はアッという間に過ぎた。
ソロを歌った4人の歌手はいずれも素晴らしい歌声で聴きごたえがあった。特に聴く機会の珍しいカウンターテナーの声には興味をそそられた。(*1998年、スラヴァのカウンターテナーや2004年、岡本知高のソプラニスタの歌声でのオペラのアリアを想起した。)

今回の古楽器で「コルノ・ダ・カッチャ」というホルンに似た楽器の名は初めて耳にした。バス独唱、2本のファゴットとともに目立って使用されたので判った。モダン楽器とはかなり違う響きの演奏が展開されて、古楽器演奏によるバロック音楽で独特な雰囲気を醸し出すコンサートを堪能した。一番印象的だったのは合唱の素晴らしさで、ハーモニーの美しさは群を抜いていると思った。やはりプロ歌手は違うと実感した。

後半部分が終了したのが21時15分。予め終演時間が知らされていたが、演奏終了後の聴衆の反応も凄かった。“新鮮な”曲を耳にした客席を埋めた人々の満足度がお互いに伝わってきた。地味な演目のコンサートではあったが、1階は満席で1200名ぐらいの客入りだったのではないだろうか。
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バロック音楽の諸相〈カンタータと協奏曲 オーボエ・金子亜未を迎えて〉

前札響オーボエ首席奏者、金子亜未がKitaraのステージに帰ってくる事を知って《バロック・コレギウム・サッポロ》が主催するコンサートを聴いてみることにした。
金子亜末(Ami Kaneko)は2012年7月~2016年3月まで札幌交響楽団首席オーボエ奏者を務め札響のレヴェルアップに貢献。現在は新日本フィルハーモニー交響楽団首席オーボエ奏者。札響演奏活動以外に札幌市内の他のコンサート会場でも積極的な活動を展開。「モーツァルト:オーボエ四重奏曲、オーボエ協奏曲」を聴く機会もあった。最も印象に残っているのが〈井関楽器のスタインウェイスタジオ〉でのミニ・コンサートで、リサイタルとして個人的なエピソードも聞けて楽しかった。
2012年第10回国際オーボエコンクール軽井沢で第2位を獲得し、第11回の日本人女性奏者優勝にも繋がる活躍で日本の音楽界にも刺激を与えたと思う。現在の札響オーボエ首席も女性である。

2016年10月6日(木) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

指揮・ヴァイオリン独奏/ 長岡 聡季(Satoki Nagaoka)
オーボエ独奏/ 金子 亜末
独唱/ 芳野 直美、岩村 悠子、斎藤 詩音、粟野 伶惟
合唱・合奏/ バロック・コレギウム・サッポロ

〈プログラム〉
 J.S.バッハ:カンタータ第39番「飢えたる者に汝のパンを分け与えよ」BWV39
        ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 ニ短調 BWV1060R
 J.マルチェッロ:オーボエ協奏曲 ニ短調
 J.S.バッハ:カンタータ第140番「目覚めよと、われらに呼ばわる物見らの声」BWV140 

バッハ(1685-1750)は1723年にライプツィヒの聖トマス教会音楽監督を亡くなるまで務めた。福音書の内容に応じたカンタータが作曲されて教会で上演された。第39番は①コラール②レチタティ-ヴォ(バス)③アリア(アルト)④アリア(バス)⑤アリア(ソプラノ)⑥レチタティ-ヴォ(アルト)⑦コラール。
指揮を務めた長岡聡季は東京藝術大学、同大学院修士課程を経て室内楽科博士後期課程修了。横浜シンフォニエッタの理事およびコンサートマスターを務め、2015年韓国公演にも参加。昨年から北海道にも拠点も持って幅広く活動している。現在、北海道教育大学岩見沢校特任准教授。
長年に亘る合唱指揮者の経験がうかがえるオーケストラ(約20名)と合唱(約20名)を纏め上げる大きな指揮ぶりが目立った。

通奏低音が伴奏となる独唱陣の声は充分にホールに響き渡っていた。チェンバロの響きがバロック音楽の特徴を一層引き立てていた。

ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲は3楽章構成。初めて耳にする曲かと思っていたら、第1楽章から聴き慣れたメロディが流れて心地よかった。10分程度の曲はバッハの魅力あふれる曲として楽しめた。バッハの曲を通してオーボエが木管楽器として一番古い楽器であることを再認識した。

マルチェッロ(1669-1747)はあまり親しみのない名だが、バッハと同時代のイタリア・ヴェネツィアの作曲家。金子亜未のプログラム・ノートによると多くのヴェネツィアの作曲家によるオーボエの名曲が残されているそうである。この曲はマルチェッロの代表的な作品だが、バッハが多くのイタリアの作曲家の曲を編曲したうちの1曲でチェンバロ協奏曲BWV974として知られている。第2楽章が映画「ヴェニスの愛」で挿入されて有名になったそうである。
管楽器は弦楽器に比して長い演奏は難しいようである。今回のバロック音楽の協奏曲はそれぞれ10分程度で短かった。

カンタータはそれぞれ30分程度の曲で「第140番」も7曲構成。①コラール②レチタティーヴォ(テノール)③二重唱アリア(ソプラノ/バス)④コラール(テノール)⑤レチタティーヴォ(バス)⑥二重唱アリア(ソプラノ/バス)⑦コラール。第1曲でソプラノによるコラール旋律が歌われた。第3・6曲ではアルトが歌っていたようだった。花嫁と花婿の二重唱が入る「愛」に溢れたカンタータ。

アンコール曲は「バッハ:コラールBWV147」。美しい旋律が有名でオルガン用にも編曲されて聴く機会が多い。歌詞を違えて“心と口と行ないと生命もて”と“主よ、人の喜びよ”がある。

カンタータを好んで聴くことはないが久しぶりに長い曲を聴いた。今日は金子ファン、バロック音楽愛好者や道教育大の学生・関係者も集まったのか小ホールは満席に近い客の入りで盛況であった。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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