METライブビューイング2016-17 第10作《R.シュトラウス:ばらの騎士》

216-17シーズン最後のMET作品《ばらの騎士》は見逃すまいと思っていた。ニューヨークのリンカンセンターの前に立ってカメラを回したのが1967年7月でメトロポリタン歌劇場(MET)が移転した年だった。内部には入れなかったが、METライヴビューイングの度に毎回目にするリンカンセンターの光景に50年前を懐かしく思い出して今回は特に感慨一入であった。

タイトルの「ばらの騎士」はウィーンの貴族が婚約の申し込みに際して立てる使者のことで、婚約の印として銀のバラの花を届けることからの呼称。
リヒャルト・シュトラウスのオペラはオーケストラの役割が伴奏にとどまることが多かった19世紀前半のイタリア・オペラでのものと違って、極めて複雑なものになっている。
物語の舞台はハプスブルク王朝時代の末期で第一世界大戦前のウィーン。台本はオーストリアの文豪、ホフマンスタール。R.シュトラウスが書いたオペラはモーツァルト風のオペラで、プロットは「フィガロの結婚」に似ている。新演出。ドイツ語上演。3幕。上映時間:4時間20分(休憩2回)。

【第1幕】ヴェルデンベルク侯爵夫人の寝室。 元帥夫人は夫の留守中に年下の愛人(17歳2ヶ月)であるオクタヴィアン伯爵と逢引きをした。翌朝、従兄のオックス男爵が貴族になったばかりの家の娘ゾフィーと婚約したので薔薇の騎士を務める青年を推薦してほしいと頼みに来た。オクタヴィアンは慌てて小間使いに女装し、男爵と顔を合わす。皆が帰ってから元帥夫人は憂鬱になる。

【第2幕】新興貴族ファーニナルの邸宅。 結納の日に薔薇の騎士が銀のバラを届けに来る。ゾフィは下品な振る舞いを続ける初老の男爵に幻滅し、オクタヴィアンに助けを求める。2人の間に恋が芽生える。オクタヴィアンがゾフィのために剣を抜いて男爵と争いになる騒動が起こる。その後、男爵は小間使いから来た逢引きの手紙を見て機嫌を直す。

【第3幕】娼婦の館。 密会の場所にやってきた男爵は小間使いを口説く。オクタヴィアンが男爵を懲らしめようと策略を用意していた。騒ぎが大きくなって、警官や軍人、ゾフィー、彼女の父や元帥夫人までやって来て、男爵は事の真相がわかる。元帥夫人はオクタヴィアンとゾフィの愛を知り、身を引く決意をして二人を祝福して去る。

元帥夫人役のルネ・フレミングはアメリカが生んだスター歌姫。91年のMETデビュー以来、同歌劇の看板プリマとして君臨。14年「ルサルカ」、15年「メリー・ウィドウ」を観た。膨大なレパートリーを誇り、リリック・ソプラノとして艶のある美しい歌声は衰えていないが、今回で元帥夫人役は最後にするようである。高貴で気品のある役は彼女のはまり役だった。

オクタヴィアン役のエリーナ・ガランチャはラトヴィア出身のメゾ・ソプラノ歌手としてソプラノのネトレプコと並び称される美貌と歌唱力を兼ね備えたスター歌手。14年「マスネ:ウェルテル」、15年「ドニゼッティ:ロベルト・デヴュリュー」で魅力的な歌手として記憶していた。ズボン役も風貌から全然違和感は無いが、オクタヴィアン役は丁度17年2ヶ月にもなる今回でピリオドを打つつもりのようである。

フレミングとガランチャの2大スターの組み合わせは大成功だと思った。オペラのタイトルと2大スター歌手の出演が魅力的で今回は観客が凄く多かった。

ゾフィ役のエリン・モーリーもリリック・ソプラノで高音が得意なようで初々しい個性的な演唱で堂々としていた。オックス男爵役のギュンター・グロイスペックはバスの低音で難しい役をこなすヴェテラン歌手のようであった。マシュ・ボレンザーニがイタリアの名歌手カルーソーのような素晴らしい歌声で登場したが、その後にMETビューィングの案内役を務めた。テノールのアリアを突然はさんでイタリアのオペラを揶揄するような場面となり、シュトラウスのイタリア・オペラに対する偏見のようなものが垣間見えた。

オーケストラは随所でシュトラウスらしい官能的で色彩的な音楽も入ったが、全体的にモーツァルトのような軽妙で透明な音楽で楽しめた。ウィーンナー・ワルツが流れる場面はウィーンの雰囲気が出て心地良く聴ける。指揮のセバスティアン・バイグレの名は知らなかったが、1961年ドイツ出身の指揮者で2000年にMETに登場し、07年にバイロイト音楽祭にデビューを果たしており、オペラ指揮者として名高いようである。今回の指揮ではセリフを伴う曲で歌手に合わせる演奏に気を配る場面が多くて大変なようであった。

アリアは無かったが、自分の想いを独自に歌う三重唱は光った。「ばらの騎士の三重唱」として知られるようで印象的な場面であった。自己所有のオペラ全集に収録されているR.シュトラウスのオペラは「ばらの騎士」(*1971年バーンスタイン指揮ウィー・フィルの録音)と「サロメ」。改めて「ばらの騎士」の注目の高さが分かった。

※オペラを鑑賞したのが昨日、今日の午前中は時計台のボランテイア活動。初めて活動に参加した若い女性と一緒だったが、インドネシアの家族や関西のご婦人グループに感謝され、それぞれカメラに収まって気持ちの良い半日を過ごした。明日・明後日とKitaraのボランティア活動が続く。結構、忙しいスケジュールを作っているが、これも身体が動けるから出来ることで、やり甲斐を感じながら活動を続けている。コンサート鑑賞も月末に4回ある。












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METライブビューイング2016-17 第8作《モーツァルト:イドメネオ》

モーツァルトの序曲集に《イドメネオ》が入っていて何度か「序曲」は聴いているが、メロディには親しんではいない。今までコンサートで演目になった記憶もない。オペラのタイトルを知ってはいてもストーリーは全く知らない。そんなわけで今回はこのオペラ鑑賞を予め日程に入れていた。

指揮/ ジェイムズ・レヴァイン   演出/ ジャン=ピエール・ポネル
出演/ マシュー・ポレンザーニ、 アリス・クート、 エルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー、 ネイディ-ン・シエラ

全3幕。舞台はトロイア戦争後のクレタ島。イタリア語上演。
クレタ王イドメネオの息子イダマンテは戦争に負けて囚われの身となっているトロイア王女イリアを密かに愛している。クレタに逃れているアルゴスの王女エレットラもイダマンテを愛している。
戦争からの帰路で海で嵐に巻き込まれたイドメネオは海神ネプチューンに助けてもらう代償として、帰還して最初に出会った人間を生贄にして差し出す約束をした。その人物が自分の息子だった。
イドメネオの家臣アルバーチェが王の遭難を告げ、人々は悲しみに沈む。
イダマンテはトロイアの捕虜たちに自由を与えると告げ、イリアに愛を告白する。捕虜の解放に反対するエレットラはイダマンテとイリアの2人を見て嫉妬と復讐の念に燃える。
アルバーチェは王から事の次第を聞いてイダマンテとエレットラを一緒にアルゴスに行かせて海神の鎮まりを待つ策を取る。王の命に従って船出しようとすると嵐が起こって怪獣が現れる。怪獣を退治しに赴くイダマンテ。自分を避ける父の想いが解らない息子。怪獣退治に成功して勝利の合唱の中を帰還したイダマンテはイドメネオの真意を知り、潔く死を決意する。イリアが身代わりを申し出る。海神の像が動いて、神の声で「イドメネオは退位して、イダマンテがイリアを王妃にして即位するように」告げる。人々の喜びの合唱で幕を閉じる。

歌手で名を知っていたのはイドメネオ役のポレンザーニのみ。5年前のMET《愛の妙薬》で聴いて印象に残っていた。悩める王を見事な演唱で表現したMETのスター的存在。
メゾソプラノのクートはズボン役を主に得意とする歌手だそうである。余り違和感は無かったが、主役のズボン役は今まで観たオペラでは無かった。慣れていないせいか女性の配役の方が良かった気はした。
イリア役のシエラは純真無垢な可愛らしい王女として歌唱力も演技も初々しい新進ソプラノ歌手。フロリダ出身だそうだが、今後の活躍が期待される。
エレットラ役のヒーヴァーはとても個性的で卓越した表現力でドラマティックな演唱を繰り広げ異彩を放っていた。
本日の上映は個々の歌手のアリアは良かったが場面の展開に変化がなくてやや盛り上がりに欠けた。

休憩2回を挟んで4時間半。正味200分の大作。指揮者レヴァインとオーケストラピットの映像が普段より多かった。40年以上にわたる音楽監督を昨年で退任したレヴァインに対する敬意を感じた。レヴァインもすっかり健康を回復した様子だった。今回の特別映像はいつもより興味深く、特にレヴァインの1988年当時の《ナクソス島のアリアドネ》上演に際してオーケストラや歌手の指導の様子が放映された。凄く印象に残って良かった。ジェシー・ノーマンとキャスリン・バトルの往年の大歌手の素晴らしい歌声が聴けて感動した。オペラ上演に向けてレヴァインがピアノを弾いて彼らと話し合いながら音楽つくりをしている姿は信じられないような光景で宝物の映像のように思った。




METライブビューイング2016-17第5作グノー《ロメオとジュリエット》

MET2011-12シーズンで上演された《ファウスト》(カウフマン主演)に次ぐグノー作品。前回は文豪ゲーテの作品のオペラ化。シェクスピア没後400年のシーズン中の本作のMET上演はタイムリーな企画だろう。原作は文学作品としてだけでなく演劇、映画などを通してストーリーを知らない人がいないくらい有名である。“Romeo and Juliet”はコンサートではチャイコフスキーの「幻想序曲」、プロコフィエフの「バレエ音楽」で聴くこともある。オペラ作品として観るのは初めてでないかと思う。メトロポリタン歌劇場(MET)では11年ぶりの新制作上演という。
最高の人気と実力を兼ね備えたディアナ・ダムラウとヴィットリオ・グリゴーロという二人の花形歌手の主演とあって観ることにした。グリゴーロは2年前の《ホフマン物語》で魅力的な演唱を披露した。ダムラウの演唱を聴くのは今回が初めてであった。

バートレット・シャーの新演出による初演は2008年にザルツブルク音楽祭で行われ、スカラ座でも上演済み。日本の劇場と違ってヨーロッパの歌劇場やMETは舞台の奥行きがある。バルコニーを含む三層構造の建物を囲む中庭を中心にした舞台装置で小道具を効果的に使用していた。舞台転換を大々的に行わずに全5幕の出し物を休憩1回を挟んで前後半の2幕ものにした。結果的に歌手たちを中心にしたドラマが展開された印象が強く浮き出た。
18世紀、イタリア・ヴェローナの舞台設定。フランス語上演。

大物二人の共演が何といっても素晴らしかった。最初から最後まで情熱的な演唱。ティーンエイジャーとしての役柄に不自然さを感じさせない堂々たる舞台。若さ溢れるロマンティックな場面から、意志を強く持ち愛を貫く若者の姿を二人ともに見事に演じきった。アリアをはじめ愛の二重唱などでの息のあった歌唱は圧倒的でドラマに迫真性があった。3時間近い上演で声量も衰えない熱演、熱唱の舞台に感動した。

グリゴーロは前回も良かったが今回の方が気に入った。ダムラウはインタヴューで「“椿姫のヴィオレッタ”より“ジュリエット”が好き」と答えて今回の初演を楽しんでいる様子だった。

指揮を行ったノセダは1964年生のイタリアの指揮者。97年マリインスキー劇場管首席客演指揮者、02年英国マンチェスターのBBCフィル首席指揮者、07年トリノ王立劇場音楽監督にも就任。MET、スカラ座、ロイヤル・オペラなど欧米の大劇場でも活躍し、世界のメジャー・オーケストラへの客演も多い世界的な指揮者。N響への出演もあり、テレビ中継でも見たことのある馴染みの顔を久しぶりに見た。

プロローグが管弦楽による激しい嵐を思わせる序奏で始まり、キャプレット家とモンターギュー家の憎しみを連想させた。合唱が悲劇のあらましを説明したのも興味深かった。オーケストラは毎回そうだが、ノセダが歌手たちを引き立てる役目に徹していた。オペラのフィナーレが原作と違っていた。最後に二人で会話をしながら、“神様、私たちをお許しください”と言って一緒に息絶えたシーンはとても印象的な場面となった。



METライブビューイング2016-17 第4作 ヴェルディ《ナブッコ》

ヴェルディは26作のオペラを遺した。ヴェルディのオペラは圧倒的に上演回数が多いと思う。《椿姫》、《リゴレット》、《アイーダ》などは海外歌劇場の札幌公演をライヴで見たことがあるが、ほんの数作にしか親しむ機会がない。《ナブッコ》は「序曲」をコンサートで数回聴いたことがあっても、オペラの内容は全く知らなかった。今回はドミンゴが出演するとあって是が非でも観ようと計画していた。
所有しているオペラ全集のCDに《ナブッコ》は「行け、わが思いよ、黄金の翼にのって」の合唱曲のみが収録されていた。今回あらためて耳にしてみた。美しい旋律の曲で、イタリアでは第2の国歌と呼ばれるほど親しまれているようである。

《NABUCCO》 紀元前6世紀のエルサレムとバビロニアの闘いを主題にした物語。全4幕(第1・2幕80分、第3・4幕66分)。上映時間3時間5分(休憩1回)。イタリア語上演。
 
〈ストーリー〉神殿に集まった人々がナブッコが率いるバビロニア軍の来襲におびえている。ナブッコには二人の娘がいる。神官ザッカーリアはナブッコの娘、フェネーナを人質に取ってバビロニア軍を撃退しようとする。フェネーナを愛するエルサレム王の甥イズマエーレは彼女を救い、味方の怒りを買う。フェネーナの姉、アビガイッレはイズマエーレを愛していたが、彼に拒絶されて復讐を誓う。古文書を見つけて自分が奴隷の娘と知ったアビガイッレは復讐心に燃え、王位を狙う。エルサレムを征服したナブッコ王は神を自称して怒れる神の雷に打たれ狂乱する。やがてアビガイッレに王座を奪われてしまう。アビガイッレは妹を死刑にしようとするが正気に戻ったナブッコが助け出し、王の地位を取り戻す。ナブッコはヘブライ人たちを故郷に返し、アビガイッレは改心して毒を飲んで死ぬ。ナブッコは王の中の王と讃えられる。

指揮はジェイムズ・レヴァイン。レヴァインは1973年にメトロポリタン歌劇場の首席指揮者に就任。75年から40年以上も同歌劇場の音楽監督に任にあった。病気のため音楽監督は辞任したが同歌劇場での指揮活動は続けて絶大な人気を誇る。
METビューイングでオーケストラ・ピットをカメラが追う場面は多くないが、今回はレヴァインに焦点を当てたカメラ・ワークが目立った。車椅子用の特別な指揮台が用意されていて、明るく力強い指揮ぶりが何度も映像となった。観客の拍手と声援が一段と大きかったが、レヴァインに対する歌劇場と観衆の評価と人気の高さがうかがえた。病気に打ち勝ち不自由な体を押して指揮にあたるレヴァインへの敬意の表れには好感を持った。

プラシド・ドミンゴは伝説の世界三大テノールとしてオペラ界の黄金時代を築いた。2011年に彼が主演の歌劇《トスカ》(1976)、《カルメン》(1981)、《オテロ》(1983)の映画を特別鑑賞会で楽しめたのは忘れ難い思い出である。
75歳で往年のテナーではなくバリトンで活躍を続けているが、今回は一応テナーだろうか(?)。柔軟な演唱で後半で一層の存在感を発揮していたと思った。立派な舞台装置で何段もの段を上り下りする演技も大変だろうと推し量った。現役で活躍を続ける偉大さへの称賛がオペラハウスに詰めかけた聴衆の喝采にも表れていた。

アビガイッレ役を演じたモナスティルスカは2012-13シーズンに《アイーダ》のタイトルロールでMETデビュー。強靭な声と卓越した劇的な表現力に秀でた現代を代表するドラマティック・ソプラノ歌手。前回1度聴いただけだが強烈な印象を受けていた。ステージでの存在感は新人当時から異彩を放っていた。今回も凄い迫力で圧倒的な演唱だった。

モナスティルスカと同じウクライナ出身のパス歌手でザッカリア役のベロセルスキーは2011年のナブッコでMETデビュー。METヴェルディ上演では欠かせない旧東側の代表。フェネーナとイズマエーレをそれぞれ演じたバートンとトーマスも米国出身のメゾ・ソプラノとテノールの歌い手として将来性のある歌手。(*ザッカリアが歌う“祈りのアリア”が心を打った。)

個々の歌手が素晴らしいのは毎回のことだが、今回は特に合唱曲が心に響いた。第3幕第2場の冒頭で歌われる「行け、わが思いよ、黄金の翼にのって」(*5分程度の合唱曲)は敵に捕らえられたエルサレムの人々が懐かしい故郷をしのび、しみじみと歌う曲。感動した聴衆のアンコールの叫び声に応えて信じがたいことが起こった。レヴァインのタクトで直ちにアンコール曲として繰り返して歌われた。今まで何十本か観てきたオペラで同じ歌が文字通りアンコールされたのは初めて観た。感動的な場面であった。(*この合唱曲が初演された当時はイタリアはオーストリアの支配下にあって、人々はこの歌にイタリア統一の理想を重ね合わせたようである。)

レヴァインとドミンゴは45年にわたる共演でつながりが深いのが印象に残った。

METビューイングを観るようになって5・6年たつが、この2・3年は妻も観るようになった。1作品1週間1日1回の上映で今まで妻と一緒に鑑賞したことがない。お互いに都合の良い日に鑑賞しているのでスケジュールを無理に合わせていない。今日は偶々、結果的に一緒になった。妻は直前に、予めチケットを買っているが、私は当日の朝にチケットを購入して鑑賞する。偶に一緒に鑑賞するのも悪くはない。

METライブビューイング2016-17 第1作《トリスタンとイゾルデ》

ワーグナーのオペラはMETビューイングで《パルジハル》を観ただけで、殆ど親しんでいない。管弦楽曲集として有名な歌劇・楽劇の「序曲」や「前奏曲」などの音楽はCDで耳にする程度である。
《楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死》はマゼール指揮ベルリン・フィル、レヴァイン指揮メトロポリン・オーケストラによる演奏で聴いている。今回はオペラ全集ワーグナーのDISC3枚に収録されていたバーンスタイン指揮バイエルン放送響withベーレンスの「愛の死」を聴いてみた。

今シーズン第1作《ワーグナー:トリスタンとイゾルデ》の札幌での上映がいよいよスタート。5時間余りの長時間鑑賞はスケジュールを調整してチケットは一昨日購入しておいた。
指揮/サイモン・ラトル、演出/マリウシュ・トレリンスキ。全3幕、 ドイツ語上演。究極の恋愛物語として知られるワーグナーの傑作オペラ。

〔ストーリー〕
アイルランドの王女イゾルデはコーンウォールの王マルケと結婚することになり船に乗っている。彼女を迎えに来たのがマルケ王の甥、トリスタン。かって自分の婚約者を殺したトリスタンには復讐心を抱いていたが、イゾルデは彼を介抱したことがあって二人の間に恋が芽生えた。会ってよそよそしい態度をとるトリスタンに傷ついたイゾルデは侍女ブランゲーネに毒薬を用意させ二人で飲もうとする。しかし侍女が盃に入れたのは媚薬であった。飲み終わった二人の愛は激しく燃え上がり、コーンウォ―ルでも密会が続いて、王の知るところとなる。王の家臣と喧嘩となり銃で重傷を負ったトリスタンは自分の領地に移される。イゾルデを待ち続けたトリスタンは彼女の到着を待たずして亡くなる。ブランゲーネから媚薬の話を聞いたマルケ王が二人の結婚を許そうとして船で駆けつけるが、イゾルデはトリスタンの遺骸の上で息絶える。二人の愛は死によって成就することとなる。

全3幕。《トリスタンとイゾルデ》の中で最も有名なのが「前奏曲」で第1幕が開く前に演奏される。オーケストラ・ピットの映像はなかったが、ラトル指揮による素晴らしい演奏はオペラ上演の期待感を一層高めた。

昨シーズン第10作《エレクトラ》で主演を務めた二ーナ・ステンメの名演には心を奪われていた。衝撃的なギリシャ悲劇で表情豊かな演技力と歌唱力を見せたドラマティック・ソプラノのステンメは最高のディ―バの一人として評価が高い。犬のような生活を送りながら復讐の時を待つ王女の壮絶な復讐劇を演じた場面が今も眼前に浮かぶ。前回の6月に続くステンメの名演を再び目にした。イゾルデは彼女が100回以上も演じた「十八番」ともいえるはまり役とされる。トリスタン役のスチュアート・スケルトンのテノールも素晴らしかった。(*立派な体躯だが、もう少し身体を絞った方が好感度が上がる気がした)。開幕から閉幕まで舞台上での二人の熱演は聴衆の心を掴み、特に二重唱は圧巻であった。

マルケ王役のルネ・バーペは以前のMETビューイングで聴いたことがあるバス歌手でワグナーの歌い手として名高いそうである。ブランゲーネ役のグバノヴァも堂々とステンメと張り合ったメゾ・ソプラノ。
今回のオペラの立役者はもう一人、サイモン・ラトル。第2・3幕の開幕では聴衆から一段と大きな拍手を浴びていた。歌手との呼吸をうまくとりながらオーケストラから素晴らしい音を引き出すラトルはさすが世界の名音楽監督。。

タイトルは良く知られているが、内容は余り知られていないストーリーのオペラ。初日で結構な客の入りであった。5年前からMETビューィングを観だして、近年は年に5・6作は観ている。妻も私の刺激を受けて、書道などで忙しいスケジュールを縫って現在は私と同じ回数は鑑賞している。自分の都合の良い日を選んで鑑賞しているので、今まで一度も一緒に鑑賞したことがないのも不思議ではある。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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